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傷害保険の支払いとその例
「傷害保険はどんなケースで保険金が支払われる?どんな例がある?」
医療保険やがん保険、生命保険等人の健康や、生命に焦点を絞った保険は少なくありません。そんな中でも、選択肢の1つとして検討される事が多いのが「傷害保険」です。
傷害保険は、その名称から補償内容が分かりやすいと思います。傷害という名前があるので、傷害保険の詳細を知らない方でも傷害・怪我に関連する補償という推測がつくと思います。
その認識は間違っているものではありませんが、実際に傷害保険ではどんなケースに保険金が出るのか?という点について、しっかりと理解出来ないという方も少なくないはずです。
今回は、そんな傷害保険と支払い例というテーマについて
- 傷害保険の補償内容と支払い例
- ケースごとの保険金
- 補償されないケース
- 注目したい補償
という観点から解説していきたいと思います。まず、はじめに傷害保険の補償内容等から、傷害保険の保険金が支払われる例等について押さえていきましょう。
傷害保険の基本的な補償
保険金の支払われる例・ケースについて知りたい場合は、その保険の補償内容についてしっかりと理解している事が大前提となります。何故なら、保険金の支払いというのは、補償範囲のみに限られるからです。
補償内容について
そのため、まずはじめに傷害保険の基本的な補償についてしっかりと押さえておきましょう。傷害保険の主な補償には以下のようなものが挙げられます。
- 入院保険金と通院保険金
- 手術保険金
- 後遺障害保険金
- 死亡保険金
また、特約では以下のようなものを付帯出来るケースが多いです。
- 天災危険補償特約
(地震・噴火等に付随する怪我等) - 携行品特約
- 日常生活賠償特約
- 受託品賠償責任補償特約
上記のようなものが、傷害保険の補償対象の原因によって引き起こされたものに限って、補償されます(特約を除く)。つまり、ただ入院したとしても傷害保険の入院保険金を期待する事は出来ません。
保険金が支払われる際に重要なポイントになるのは「起こった原因」と「その結果」です。例えば、がん保険等で「がんによって」という点が最も重要なポイントになる、がんによって「入院した」「手術した」ケースに限って、各補償項目から保険金が支払われます。
傷害保険の場合はこの点が「怪我によって引き起こされたもの」という点に限られています。後に傷害保険における怪我の定義についてもご紹介していきますが、基本的に傷害保険が怪我のみの入院・手術・死亡等を補償していると押さえておきましょう。
怪我の定義について
先程、傷害保険は「怪我」に関するリスクを補償しているとご紹介しました。ただ、怪我だけを補償しているのに、死亡保険金等の補償があることに違和感を感じる方も少なくないでしょう。
この点は、傷害保険の「怪我の定義」つまり補償を行う事の出来る要因の定義について、知る事ですっきりと理解する事が出来ます。傷害保険は
- 急激
- 偶然
- 外来
という3つの条件が揃ったものによって引き起こされた怪我・病気・死亡に対応しています。対応しているのが、怪我だけというよりも突発的に発生した身体に関するリスクを補償していると言えるでしょう。
医療保険・がん保険との違いについて
先程、傷害保険の補償内容についてご紹介させて頂きました。中には「傷害保険と医療保険・がん保険の違いは?」という点について疑問が残った方も少なくないでしょう。
実際の所、傷害保険の補償内容にはいくつか他の保険と重複する補償が存在しています。
- 入院・手術・通院等
(医療保険と重複する可能性) - 死亡保険金・高度障害
(生命保険等と重複する可能性) - 賠償責任関連の補償
(個人賠償責任保険、火災保険等)
傷害保険の主契約の補償・特約等は、上記したように他の保険と重複するものが多く、混合されやすかったりしっかりと特徴を掴めない事が少なくありません。
各保険の特徴
上記したものには大きな違いがあります。これは傷害保険やその他の保険を見分ける際、以外にも使える見分け方なので、きっと参考になると思います。
保険を見分けるポイントというのは「主契約」に焦点を当てて、補償内容を見る事です。というのも、特約等はオプションとして付帯するものなので、他の保険と被りやすいものになっています。
一方の主契約というのは、保険に加入するなら必ず契約しないといけないものなので、そこで保険の特徴が出ると言っても過言では無いでしょう。
医療保険の主契約という点について簡単にまとめると「医療費を幅広く保障する」ものになっています。つまり、医療保険は「どんな医療費でも」幅広くカバーするために加入するものです。
一方のがん保険は「がんの医療費のみについて保障」するものになっています。つまり、がんのみに焦点を絞った医療保険であると言え、保障出来る範囲は医療保険より少ないですが、その分がんをしっかりと保障出来ます。
死亡保険金・後遺障害保険金等で保障が重複しやすい生命保険は「人の生死」について基本的には保障を行っています。つまり、怪我・病気に掛からわず、基本的に医療費を保障する事はありません。
上記した保険の中で各保険で特約等で保障が重複する事はありますが、主契約に焦点を当てると「なんのために加入するのか?」という点について分かりやすくなります。
傷害保険の特徴
傷害保険に関しても、やはり主契約に注目する事で他の保険との違いが分かりやすいでしょう。傷害保険の主契約は「突発的に起こった怪我の医療費・死亡に対して補償」というものになっています。
一見すると、傷害保険というのはただ単に医療費を補償するものと理解している方も少なくないと思いますが、傷害保険の焦点は医療費というよりも「突然起こった怪我・それに付随するリスク」に対して補償を行っています。
また、このような特徴を持っているため、傷害保険には以下のような特筆するべきポイントがあります。
- 年齢等によって保険料が変化しない
- 職業によって保険料が変化する
- 医療保険よりも比較的保険料が安い
- 告知内容が少ない(審査が甘い)
- 持病等があっても加入しやすい
がん保険・医療保険のように医療費という点に焦点を絞っている場合は、どうしても年齢・持病歴等が保険料を変化させたり、健康状態にリスクがある場合は加入を断れるケースもあります。
一方の傷害保険は、医療費というリスクではなく、先程ご紹介した「急激・偶然・外来」という3つの条件のみを満たしているリスクにのみ補償を行っているので、健康状態等によって保険料・加入の可否が変化する事がありません。
主契約というのは補償内容はもちろんですが、保険料の決められ方・その保険の意義を表す最も重要なポイントになっているので、傷害保険のみならずなにかの保険に加入する際は、一度はチェックしておくと良いです。
支払いにはどんな例があるのか
では、傷害保険にはどんなケースで保険金が支払われるのでしょうか?いくつか例を挙げてご紹介していきたいと思います。
保険金が支払われる例
- 仕事中に怪我をした
- 歩行中に転倒して怪我をした
- 自転車で走行中に交通事故にあって死亡した
- 通勤・通学途中で階段等から転落した
と言ったケースで、支払いを行う事が出来る事になっています。上記した例は、やはり全て「突発的に発生したもの」に限られており、見方を変えると事故に近いものになっていると言えます。
自動車事故は自動車事故等のリスクを補償していますが、この場合はも突発的に発生する事が多いです。このような突発的に発生するリスクを補償する対象が、人間であるとイメージすると理解しやすいと思います。
ケースごとの保険金
先程、傷害保険の保険金支払われる条件やその例について、解説させて頂きました。そこで、知りたくなるのは「保険金はどのくらい入るのか?」という点だと思います。なので、これから傷害保険と各保険金というテーマで、保険金の額面について解説していきます。
保険金の目安
まず、大前提として保険金というのは商品よって大きく異なります。傷害保険と一括にしても、どの補償に焦点を当てているのか?は商品によって異なりますし、支払える保険料等によっても保険金は変化するからです。
そのため、参考程度にして頂けると幸いですが、一般的な傷害保険の補償別の保険金というのは以下のようになっています。
- 入院保険金
(1,000円~5,000円程度) - 通院保険金
(1,000円~3,000円程度) - 死亡保険金
(100万円から500万円程度) - 後遺障害保険金
(死亡保険金と同額であるケースが多い)
基本的に、医療保険や生命保険と比較すると、各補償内容はそれほど手厚いものになっていないと言えるでしょう。ただ、保険料がかなり安いため、一概に補償内容のみで良し悪しを判断出来ません。
傷害保険の保険料
先程、傷害保険の保険料が安いという点について触れました。この点についてもう少し深堀りして、実際の例を出しながら解説したいと思います。
引受会社がAU損保でイオン銀行が保険代理店の役割を担っている保険では(AU損保が保険の運用を行う)、以下のような補償内容で「月々300円」から、加入する事が可能です。
- 入院保険金 4,000円
- 死亡保険金 250万円
- 手術保険金 2万円~4万円
- 個人賠償 最大1億円
補償内容の手厚さでいうと、やはり医療保険・生命保険と比較した時に保険金の額面が少ないものになっています。ただ、保険料は300円とかなり安いので、選択肢の1つとして検討の余地があると思います。
保険の詳細
補償されないケースは?
既に補償される条件や、例について解説しました。ただ、条件が存在しているという事は、傷害保険の条件に該当しないケースも存在しているという事です。
せっかく傷害保険を利用する機会が出来たと思ったのに、実際には使えなかったなんて事になってしまうと、加入した意味がなくなってしまうので、保険金が支払われない例という点について解説していきたいと思います。
そもそも補償の対象にならないもの
そもそも、補償内容に該当しないようなケースでは、傷害保険で補償を行う事が出来ません。例えば、がんによって入院したのに、傷害保険の入院保険金を請求するようなケースです。
これは、傷害保険の保険金が支払われる条件である「急激・偶然・外来」という条件に該当しないため、仮に入院保険金の補償が契約に含まれていたとしても、保険金を受け取る事が出来ません。
この点は先程解説したので、掴みやすいと思います。ただ、ややこしいのは「何らかの疾病によって偶発した怪我」に関する理解です。
例えば、「脳卒中によって倒れて骨折をした」というようなケースです。疾病の要素も、怪我の要素も持っているのでこのようなケースが補償出来るのか?について疑問を持っている方が多いと思います。
結論からご紹介すると、疾病によって偶発的に発生した怪我等についても「補償を行う事は出来ない」という事になっています。(詳細は保険によっても異なります)
基本的には、疾病を原因としない急激・偶然・外来というのが、傷害保険の保険金が支払われる条件になっているので、しっかりと押さえておきましょう。
過失があるケース
過失が認められるようなケースでも、傷害保険の保険金は支払われません。例えば「自動車で飲酒運転を行っており、事故が起こした。それによって死亡した」というようなケースです。
この場合、一見すると事故によって死亡しているので、急激・偶然・外来の条件に該当するように見えてしまいます。ただ、基本的にはどんな傷害保険も「飲酒運転」のような重大な過失がある場合は、保険金の支払いが行われません。
この過失の定義がまた難しいのですが、基本的には「法律に違反するもの」は過失として認められ、保険金の支払いを受ける事が出来ません
例えば、飲酒運転のみならず建設現場等で、免許持っていないのにも掛からず、免許が必要な乗り物(クレーン等)を操縦してしまったケースでも、保険金は支払われません。基本的に、法令違反は過失になると考えた方が良いです。
細かな条件に該当しない
最後にご紹介したいのは「細かな条件に該当しない」というケースです。例えば、傷害保険には「後遺障害」が補償として組み込まれており、数百万円の保険金が支払われる事になっています。(一部商品を除く)
ただ、この場合どんな保険でも「後遺障害」の定義に、いくつか条件を設けています。もちろん、その内容は商品によって異なりますが、医師による様々な診断・障害者手帳等が必要になるケースが多いです。
仮に、後遺障害であると一般的には認められるケースでも、保険の約款にかなり細かな条件を設定しているものも多いので、保険に加入する前にしっかりと確認しておきましょう。
必要性の高い補償
これまで、傷害保険の支払い例というテーマで、条件や支払われる例・支払われない例等についてご紹介してきましたが、主に主契約に多い基本的な補償に限った点を解説してきました。
なので、最後に「特約」というテーマで、特約で重要な補償・注意したい補償の重複についてご紹介していきたいと思います。
若年層には賠償責任保険を
傷害保険で最も注目したい特約は「賠償責任関連の補償」になっています。主に名称としては、個人賠償責任保険・補償・特約と言った名称で、特約の1つとして拝見すると思います。
傷害保険が提供している保険の中でも、重要度の高い補償が個人賠償責任保険であり、特に自転車等を頻繁に利用する5歳~10代までのお子さんを扶養している場合は、必要性が高いと言えるでしょう。
というのも、自転車事故の割合として最も多いのは通学で利用する事の多い10代と、高齢者になっています。高校等に自転車で通われている場合は、リスクが高くなっていると言えます。
他の補償についても必要性は高いと言えますが、お子さんが傷害保険に加入する場合、注目したいのは賠償責任特約・補償です。
医療保険との重複について
冒頭でもご紹介しましたが、傷害保険は医療保険・生命保険等と補償が重複している事が多いです。特に、医療保険と重複する事が多いでしょう。
何故なら、医療保険でカバー出来る範囲が医療費というかなり大きなものになっているので、この中にはもちろん怪我による医療費も含まれており、傷病保険と補償が重複しています。
結論からご紹介すると、医療保険に加入している場合は傷病保険に加入する必要性はそこまで高くない事が多いです。あまりに補償が重複しているので、無駄な保険料を支払う事にも繋がってしまうと言えます。
また、医療保険のみならず、生命保険と重複している事も多いので、仮に高額な生命保険に加入しているケースでも、死亡保険金はあまり必要ありません。
基本的に、傷害保険は「個人賠償責任補償に加入するため」「持病・年齢の関係から医療保険に加入するのが難しい」「職業上怪我のリスクが高い」という方が加入する傾向にあり、このような点に該当しない場合は必要性をしっかりと考慮した方が良いでしょう。
まとめ
傷害保険の支払い例
- 補償内容について理解する
- 傷害の定義にはいくつかポイントがある
- 傷害保険の定義に当てはまるものは支払いが行われる
ケースごとの保険金
- 補償によって保険金が違う
- 保険料は他の保険と比較すると安い
補償されないケース
- 定義に当てはまらないもの
- 過失があるもの
- 細かな条件に当てはまらない
傷害保険で大事な補償
- 若年層は賠償責任保険の必要性が高い
- 医療保険との重複に注意する
この記事では、傷害保険の支払い例というテーマで、傷害保険の補償内容から見る支払い例、補償によって異なる保険金、補償されないケース、傷害保険で必要性の高い特約等についてご紹介しました。
傷害保険は、傷害の定義によって補償される範囲がかなり狭くなっており、一見するとかなり使い勝手の悪い保険と見られる事も少なくありません。ただ、保険料も安く、傷害保険の定義する傷害のリスクの高い人にはおすすめ出来るものなっています。