地震保険の確定申告の手続きについて分かりやすく解説します!

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あらゆる所で発生する地震。地震に備えて地震保険に加入している方、検討されている方も多いのではないでしょうか?

実は、地震保険には、地震保険料控除という翌年の所得税・住民税から1年間に支払った保険料に応じて一定額を控除してくれるお得な制度があります。

この地震保険料控除を受けるためには、年末調整や確定申告を行わなければなりません。

今回は、「確定申告」による手続きに焦点をあてて詳しく解説していきます。

1.確定申告とは

まずは、確定申告とは一体何なのかを詳しく見ていきましょう。

確定申告は、1年間の所得に対して納める税金額を確定するための手続きである

私たちは、生活をするため、家族を養うためなど様々な理由で、日々働いています。そして、会社勤めの方や自営業の方は、働くことによって給料という「所得」を得ています。

しかし、実際に手元に入る給料は、所得税や厚生年金などの税金が差し引かれています。この差し引く税金を確定させる手続きが、「確定申告」になります。

会社勤めの方であれば、会社で毎年年末にしてもらえる年末調整によって、所得金額や納める税金額を計算してくれるので確定申告は不要となります。

一方、自営業の方は、年末調整という便利な手続きはないので、ご自身で確定申告をする必要があります。さらに、会社勤めの方でも、医療費控除や住宅ローン控除(初年度のみ)を受ける場合には、年末調整の対象外となるため、確定申告をする必要があります。

確定申告の手続き可能期間は、たった1ヶ月のみ!

確定申告は、毎年2月16日~3月15日の1ヶ月間、この間に行わなければならない手続きとなります。

確定申告の手続き場所は、住民票に記載されている住所の管轄の税務署となります。

確定申告の手続きは、税務署に行ってすることも可能ですが、2月16日~3月15日の1ヶ月間、確定申告の手続きで税務署はかなり混んでしまい、時間がかかります。

直接税務署に行く方法以外にも、国税庁のホームページにアクセスし、所定の確定申告書を印刷し、記入例・計算方法を見ながら誰でも簡単に確定申告書を作成することができます。さらに、今では、国税庁の確定申告書作成コーナーで直接パソコンに打ち込むことができるので、時間の短縮になります。

作成した確定申告書は、管轄内の税務署に直接持参する方法以外にも郵送で提出することができるので、忙しい方は、ぜひ、パソコンで確定申告書を作成して郵送にて提出する方法をおススメします。

2.地震保険に加入していたら、確定申告をした方がいい理由とは

確定申告については理解できましたでしょうか?次に、なぜ地震保険に加入していたら、確定申告をした方がいいのか、その理由を探っていきましょう!

地震保険とは

地震保険は、単独での契約は不可で、火災保険とセット契約できる損害保険の1つです。

地震保険は、その名の通り地震はもちろんのこと噴火、津波によって損害を受けた建物・家財に対して保険金を受け取ることができる保険です。

保険金額は、

火災保険の30~50%内で設定でき、上限は、建物5,000万円、家財1,000万円

となります。

保険期間は、基本は1年で設定しますが、主契約の火災保険が5年以上で設定されているのであれば、1年または5年の自動継続どちらかで設定することが可能となっています。

これから起こるであろう大地震に備えて、地震保険に加入する方は増えています。「備えあれば患いなし」ということわざがあるように、大地震が起こる前に、事前に地震保険に加入するという対策も視野に入れて、検討するのもいいでしょう。

確定申告をした方がいい理由とは、地震保険料控除を受けるためである

地震保険で、確定申告をした方がいい理由、それは、地震保険料控除を受けるためです。

保険料控除には、

  • 一般の生命保険料控除
  • 個人年金保険料控除
  • 介護医療保険料控除

がありますが、地震保険にも地震保険料控除という制度があります。

次に、地震保険料控除について説明します。

地震保険料控除とは

ここでは、地震保険料控除について勉強していきましょう。

地震保険料控除は、1月1日~12月31日の1年間に支払った地震保険料の額に応じて、翌年の所得税・住民税から控除されるという大変お得な制度です。

地震保険料控除額は、

  • 所得税→支払った保険料の全額(最高額 55,000円)
  • 住民税→支払った保険料×1/2(最高額 25,000円)

となります。

2019年には、消費税10%に増税と、国民にとってはさらに支出が増え、生活が苦しくなる一方です。少しでも生活にゆとりを持てるように、地震保険料控除をフル活用し、所得税・住民税の支払いを軽減しましょう!

地震保険料をまとめて数年分支払った場合の地震保険料控除はどうなるの?

主契約の火災保険が契約期間5年以上で、地震保険を5年ごとの自動継続契約で、5年分の保険料を一括で支払った場合の、1年間で支払った保険料の計算方法はどうなるのでしょうか?

例えば、5年分の地震保険料が25万円だったとしましょう。この25万円を年数、すなわち5年で割った数字、これが1年間で支払った地震保険料となります。

旧長期損害保険も地震保険料控除の対象になる?

皆さん、「旧長期損害保険」という保険をご存知でしょうか?旧長期損害保険は、実は地震保険と大きく関わりをもつ保険となります。ここでは、旧長期損害保険とはどういった保険なのか、地震保険とどのような関係性を持っているのか見ていきましょう。

旧長期損害保険

旧長期損害保険とは、保険期間が10年以上、そして満期返戻金がもらえるという特徴をもつ損害保険となります。

平成19年から「地震保険料控除」制度がはじまりましたが、それ以前は、「損害保険料控除」制度が存在していました。

しかし、平成18年の税制改正によって、地震保険料控除制度が始まり、損害保険料控除という控除枠は無くなってしまったのです。

これでは、長期損害保険に加入している方にとっては、いきなり保険料控除制度が廃止されてしまうと、不満でしかありませんよね?損害保険料控除を受けるために、旧長期損害保険に加入している方もいらっしゃるでしょう。

そこで、ある一定の条件を満たしている旧長期損害保険に加入している方は、地震保険料控除の控除枠を使用する事が認められています。

地震保険料控除を受けることができる旧長期損害保険の条件とは

地震保険料控除を受けることができる旧長期損害保険の条件は、3つとなります。

  • 平成18年12月31日までに契約していること
  • 保険期間、または共済期間が10年以上、そして満期返戻金があるもの
  • 平成19年1月1日以降に契約を更新等、変更をしていないもの

1.平成18年12月31日までに契約していること

まず、契約日ですが、平成18年12月31日までに契約していることが、地震保険料控除を受けることができる1つめの条件となります。

ここで注意したいのが、保険期間、または共済期間の始期(はじまり)が平成19年以降で設定しているものは対象外となってしまいます。

例えば、保険の契約日が平成18年12月1日で平成18年中に契約していても、保険期間、または共済期間の始期(はじまり)を、平成19年1月1日で設定しまうと、地震保険料控除の対象外になってしまうという事になります。

2.保険期間、または共済期間が10年以上、そして満期返戻金があるもの

地震保険料控除を受けるには、保険期間や共済期間、そして満期返戻金があるものと細かく条件あります。

保険期間や共済期間が10年以上で設定されていても、満期返戻金がないと地震保険料控除を受けることができません。保険期間や共済期間、満期返戻金全ての条件を満たす必要があります。

平成19年1月1日以降に契約を更新等、変更をしていないもの

保険に加入していると、満期を迎えたために更新をしたり、新たに特約を付加したり、元の保険を変更することがあります。

しかし、旧長期損害保険を更新したり、途中で特約を付加したりすると、地震保険料控除を受けることができなくなるので注意しましょう。

旧長期損害保険の控除額は、

所得税

  • 1年間の支払保険料が11,000円以下→支払った保険料の全額
  • 1年間の支払保険料が11,000円以上20,000円以下→支払った保険料の1/2+5,000円
  • 1年間の支払保険料が20,000円以上→15,000円

 

住民税

  • 1年間の支払保険料が5,000円以下→支払った保険料の全額
  • 1年間の支払保険料が5,000円以上15,000円以下→支払った保険料の1/2+2,500円
  • 1年間の支払保険料が15,000円以上→11,000円

 

 

3.地震保険における確定申告に必要な書類

ここからは、実際に確定申告をするために必要な書類について見ていきましょう。

地震保険料控除証明書

まずお伝えするのが、「地震保険料控除証明書」です。

地震保険料控除証明書には、

  1. 証券番号
  2. 保険契約者
  3. 保険種類
  4. 控除対象保険料

などが記載されています。

1.証券番号

証券番号とは、保険を契約すると、1契約に割り振れられる番号です。

2.保険契約者

保険契約者とは、実際に契約した人を指します。夫名義であれば、保険契約者は夫になります。

3.保険種類

保険種類は、「地震」「旧長期」の2種類あり、「地震」は地震保険、「旧長期」は旧長期損害保険になります。

過去に旧長期損害保険に加入していて、現在も地震保険料控除を受けることをできる条件を満たしており、地震保険にも加入している場合には、保険会社によっては、1枚の地震保険料控除証明書の中に、「地震」と「旧長期」の2区分の記載がある場合もあります。

4.控除対象保険料

控除対象保険料は、確定申告をする際に、大変重要な項目となります。

控除対象保険料は、1年間で支払った地震保険料を指します。確定申告書には、控除対象保険料を記入する欄が設けられていて、税務署の方たちは、この控除対象保険料を使用し、税金の計算を行います。

入籍で地震保険料控除証明書の名前が、現在と相違してしまっている場合は?

これは、主に女性の方に起こる問題なのですが、地震保険加入後に入籍し、名義変更の手続きが完了していない状態で、地震保険料控除証明書が発行されてしまうという現象です。

この場合、地保険料控除が受けることができないのでは?と不安に思われるかと思います。もし、地震保険料控除証明書の名前が、現在と相違してしまっている場合は、

  • 契約した保険会社に連絡をし、入籍後の苗字で地震保険料控除証明書を再発行してもらう
  • 戸籍謄本等、入籍前と入籍後の苗字が証明できる書類を確定申告書類と一緒に提出する

という方法があります。

確定申告を行う税務署によって、新たに地震保険料控除証明書を発行しないといけないのか、名義変更が証明できる書類を添付するだけで問題ないのか異なりますので、近くに税務署に確認しておきましょう。

確定申告書

確定申告書は、税務署でもらうことも可能ですし、ご自身で国税庁のホームページより印刷することも可能です。印刷は、カラーでも白黒でもどちらでも構いません。

確定申告書には、「確定申告書A」と「確定申告書B」があります。確定申告書Aと確定申告書Bで、どんな違いがあるのか、どちらを使用すればいいのか見ていきましょう。

確定申告書A

確定申告書Aは、給与所得や配当所得(株式や配当金など)、一時所得(懸賞金や保険金など)、雑所得(年金など)の所得を申告する方そして、予定納税がない方が使用する書式となります。

予定納税とは、前年の所得税が15万円以上の個人事業主の方が、確定申告を行う前に所得税を納税することを指します。

確定申告書B

確定申告書Bは、確定申告書Aよりも申告する所得項目が多く、個人事業主の方でも使用できる書式となります。すなわち、確定申告書Bは、誰でも使用できる書式とも言えます。

確定申告書Aは会社員、確定申告書Bは個人事業主

先ほど、確定申告書A、Bがどういった書式なのかを説明してきました。

では、確定申告書A、Bどちらを使用すればいいのでしょうか?

確定申告書Aは、

会社勤めの方やアルバイト・パートの方、そして年金をもらっている方

確定申告書Bは、

個人事業主や不動産経営をしている方など大きな収入を得ている方

ということになります。

4.地震保険における確定申告の手続き手順

最後に、地震保険料控除を受けるための確定申告の手続き手順について説明します。

1.地震保険料控除証明書と確定申告書を準備する

まず、はじめに地震保険料控除証明書と確定申告書を準備しましょう。ここでは、確定申告書はAで見ていきます。

地震保険料控除証明書は、契約した後に地震保険の保険証券と一緒に同封されてくるか、毎年10月頃に契約した保険会社より送付されてきます。

もし、紛失しまっている場合は、再発行の依頼を保険会社に行わないといけないので、12月頃に地震保険料控除証明書があるのかどうか余裕を持って確認しておきます。

確定申告の手続期間は、確定申告のために紛失してしまった保険料控除証明書の再発行の依頼が増えると予想されるので再発行に時間を要する可能性があります。

確定申告書は、近くの税務署に取りに行くか国税庁のホームページより印刷しておきましょう。

確定申告書の最新版は、毎年12月中に国税庁のホームページにアップされる予定となっています。

2.地震保険料控除証明書を使用し、確定申告書の第ニ表を記入する

では、いよいよ確定申告書を作成していきます。

まずは、確定申告書の第ニ表を記入していきましょう。

確定申告書の第ニ表に「⑨地震保険料控除」欄があるので、地震保険料控除証明書に記載されている地震保険料、旧長期損害保険分も控除を受ける場合には、旧長期損害保険料も一緒に記入します。

3.次に、確定申告書の第一表を記入する

次は、確定申告書の第一表を記入します。

第一表に記入する数字はご自身で計算しなければなりません。計算は、地震保険料控除証明書に記載されている地震保険料、または旧長期損害保険料を使用します。

地震保険の控除額の計算方法は、前述の地震保険料控除とはを、旧長期損害保険の控除額の計算方法は、前述の地震保険料控除とは旧長期損害保険を参考にしてください。

4.第一表、第ニ表を記入した確定申告書と地震保険料控除証明書を添付して税務署に提出する

確定申告書の記入が終わったら、記入ミス・記入漏れがないか再度確認し、確定申告書と地震保険料控除証明書を添付して近くの税務署に持参もしくは郵送にて提出してください。これで地震保険料控除を受けるための確定申告の手続きは完了となります。

5.まとめ

地震保険料控除を受けるための確定申告の手続きは、確定申告書と地震保険料控除証明書があれば、簡単にできます。地震保険に加入し、ご自身のマイホームを守り、地震保険料控除を受けることにより、ご自身の生活にゆとりを持つことができます。

確定申告の手続期間は1ヶ月間しかないので、時間に余裕を持って行いましょう。

 

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