全労済・県民共済・コープ共済、どれがおすすめ?保険料の安さにとらわれず保証内容にも注意!

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今回は、4大共済と呼ばれる「全労済」、「都道府県共済」、「コープ共済」、「JA共済」について解説していきます。この4つの共済にはそれぞれ特徴的な商品があり、一定率の掛け金で比較の行いやすい全労済・都道府県共済・コープ共済のサービス内容を見比べていきましょう。

共済は月々の掛け金の安さにメリットがありますが、一般の保険会社とサービス内容を比較してみると以外にも色々な差が表れました。保険選びで迷っている方は、今回紹介する「共済サービスの比較」、「共済と保険会社の比較」をご参考にしてみてください。

全労済・県(都・道・府)民共済・コープ共済・JA共済の特徴

共済は組合員によって構成され、ユーザーは特定の共済に申し込むことで組合員として登録されます。共済の組合員になると、それぞれが掛け金として資金を出し合い、事故や病気、ケガなどの際にその資金の中から保証金が受け取れます。

こうした共済のシステムは一見すると「保険」と同じようにも感じますが、基本的な仕組みは似ています。どちらも月々の掛け金を支払い、病気やケガなどのリスクに備えています。

しかし、共済は民間の保管会社とは異なり非営利組織として運営されています。そのため、広告費もなく営業マンも存在しません。また、決算で剰余金が発生した場合には支払った掛け金に応じて割戻金が受け取れるので、生命保険や医療保険などに比べると、お得な掛け金で保障を受けられるメリットがあるのです。

共済には様々な商品がありますが、中でも代表的なものに厚生労働省が監督する「全労災」、「都道府県民共済」、「コープ共済」、農林水産省が監督する「JA共済」があり、これら4つを総称して「4大共済」とも呼びます。

ここでは4大共済の特徴や仕組みについて詳しく解説していきましょう。

全労災

全労災は各都道府県にある共済生協や生協連合会などで構成されています。全労済の中には、代表商品であるこくみん共済の他、団体生命共済、火災共済、交通災害共済などがあります。

こくみん共済はもともと労働組合の共済活動の組織として生まれましたが、今では労働組合に所属していなくても誰でも参加することができます。条件としては満64歳までの方で、月掛金2,300円を支払えることが挙げられます。

こくみん共済は手厚い医療保障が充実しており、通院保障や手術保障、先進医療保障などが受けられます。

こくみん共済のように内容が整った保障サービスが全労済の特徴です。共済ショップは全国各地に展開されており、各都道府県に設置された共済生協にて申し込みができます。

県(都・道・府)民共済

加入者が済む地域によって「県民共済」や「都民共済」など呼び名が異なります。総称して都道府県共済とも呼ばれます。

都道府県共済は全国生活協同組合連合会(全国生協連)によって運営されており、全国にある銀行窓口から加入することができます。基本的には住まいのある地域、もしくは勤務先の地域にて申しこむことになります。

ただし、47都道府県のうち8つの県では県民共済が扱われていません。内訳は、山梨県、福井県、鳥取県、徳島県、愛媛県、高知県、佐賀県、沖縄県と、転居や引っ越しの際には注意が必要です。

都道府県共済の加入条件は満18~64歳までが対象で、月掛金は2,000円となっています。月々の料金が安い代わりに保険料も安い特徴がありますが、支払いの速さや交渉時のトラブルがないことなどユーザーの満足度は高いです。

コープ共済

コープ共済は日本コープ共済生活協同組合連合会が運営管理を行っています。コープ共済の取り扱っている生協店舗にて申し込むことが可能です。

コープ共済の加入条件も全労済同様、満64歳までとなっていますが、契約を行う場合は生協の組合員になる必要があります。月掛金は2,000円です。

生命共済や火災共済など、全労済の商品と組み合わせたものがあります。

JA共済

JA共済は、農業協同組合と全国共済農業協同組合連合会が共同で運営管理を行っています。JA共済連をトップに、各都道府県の支部と通じた地方JAで構成されます。そのため、基本的にはJAの「准組合員」に加入する必要がありますが、一定の範囲内であれば組合員にならずに利用する「員外利用」も認められています。

JA共済は他の共済とは異なり、申し込む際の年齢によって月掛金が異なります(最低1,457円より)。申し込みは満75歳まで受け付けており、4大共済の中でも最長です。

主力商品には終身共済の他、医療共済、建物更生共済、自動車共済などがあります。

共済はどれがおすすめ?用途別に解説

共済を選ぶ場合は、先ほど紹介した4大共済が提供している商品を元にするのが良いでしょう。

ご自身にピッタリ合った共済を選ぶには、まず4大共済の特徴を比較していくと分かりやすいです。ただし、共済商品は非常に種類が多いため、ここでは各共済から1つずつ商品をピックアップしています。また、JA共済は年齢によって月掛金が異なるので、比較が行いにくく省いています。

全労済 都民共済 コープ共済
商品名 国民共済総合タイプ 総合保障1型 たすけあいベーシックコースR3000円
月額掛け金 1,800円 1,000円 3,000円
加入年齢条件 満15~59歳 満18~59歳 満0~54歳
保障期間 満60歳まで 満65歳まで 満65歳まで
死亡保障(交通事故) 1,200万円 500万円 400万円
死亡保障(病気等) 400万円 200万円 300万円
障害保障(交通事故) 最大1,200万円 最大500万円 最大100万円
障害保障(病気等) 400万円 200万円 最大300万円
介護保障 400万円
入院日額(交通事故) 5,000円(5~180日分) 2,500円
(5~184日分)
5,000円(1~184日分)
入院日額(病気等) 1,500円(5~180日分) 2,250円(5~124日分) 5,000円(1~180日分)
入院一時金 30万円(270日以上継続入院)
通院日額 1,000円(1~90日分) 750円(14~90日分)

医療保障の各共済のポイント

上記では各共済の商品を比較しましたが、以下でそれぞれの特徴やポイントについて解説していきます。

全労済(国民共済総合タイプ)

全労済の国民共済総合タイプは、掛け金の安さに比べて他の共済より保障が充実しています。入院一時金には対応していませんが、医療保障と同時に介護保障にも適用可能です。ただし、保障期間は最長で60歳までとなっていますので、その点には注意してください。

都民共済(総合保障1型)

都民共済の総合保障1型は、他の共済と比べても圧倒的に安い月掛金で済みます。18歳から申し込みできるので、費用とサービスのバランスを考えて若い世代に向いていると言えます。また、総合保障1型は総合保障2型(月掛金2,000円)と組み合わせて保障内容を広げることが可能です。手術費の保障内容アップや先進医療特約などの拡充ができます。

コープ共済(たすけあいベーシックコースR3000円)

コープ共済の「たすけあいベーシックコースR3,000円」は、加入年齢の幅が広く、保障期間も最長65歳までと長いという特徴があります。ただし、月掛金に比べて保障内容は全労済の国民共済総合タイプに見劣りしてしまいます。

介護保障の比較

ここまでは医療保障を中心に各共済の比較を行いましたが、今度は介護保障についても比べてみましょう。各共済では介護向け商品で、年齢によって月掛金が異なる場合や、年齢に関わらず一定料金が必要な場合など様々です。また、介護共済金の支払い方法、オプション内容まで違いが多いので、単純に保障料金を比較するだけでなく、サービス内容についても参考にしてみましょう。

全労済 都民共済 コープ共済
商品名 こくみん共済終身介護サポート 生命共済総合保障2型(介護特約) コープの介護保険
加入年齢 55歳~75歳 18歳~64歳 40歳~69歳
保障期間 終身保障 18歳~65歳 0歳~65歳
要介護状態 介護初期費用
60,000円
軽度介護一時金
30万円
介護共済金
月々 30,000円
重度障害割増で
100万円(または50万円)
+入院日額の延長
(事故の場合 最大364日)
介護共済金
(一時金)
500万円or 700万円
死亡時 死亡共済金
10万円
上記の生命共済
総合保障2型における保障内容
傷害死亡保障金
100万円
共済掛金比較 55歳男性
4,890円
65歳男性
6,980円
重度障害割増:100(50)万円の場合、総合保障型にプラス1,000(500)円の支払い 55歳男性
930円
65歳男性
3,030円
(介護一時金:500万円の場合)

介護保障の各共済のポイント

介護保障では各共済の商品によって性質が大きく異なります。加入年齢や保障期間も相当な違いがあるので、保障金額の他に条件についてもしっかりとご確認ください。たとえば、介護共済金については、全労済では月々の支払いになる一方、コープ共済では一時金での支払いになります。

各共済については以下でポイントを説明しています。

全労済(こくみん共済終身介護サポート)

全労済は加入できる年齢が55歳からと制限されますが、保障期間が終身保障というメリットがあります。つまり、こくみん共済終身介護サポートでは保険加入者が死亡するまでの間、介護共済金を受け取れます。介護初期費用には60,000円、介護共済金として月々30,000円ずつが保障されます。

都民共済(生命共済総合保障2型(介護特約)

都民共済の生命共済総合保障2型はオプションとして介護特約が受けられたり、対象年齢の幅が広い特徴がありますが、要介護状態になった場合にかかる費用を重視する場合、終身保障が利く全労済や共済掛け金の安いコープ共済の方が良いでしょう。

コープ共済(コープの介護保険)

コープ共済は、55歳男性930円、65歳男性3,030円(介護一時金:500万円の場合)など、共済掛け金の安さに強みがあります。また、40歳より加入ができるので、年齢の若い内から介護保険を検討している方に向きます。

共済と民間の保険はどちらがお得?

共済も民間会社の保険サービスも、基本的なシステムは同じです。どちらも事故や病気、ケガなどのトラブルが発生したときに月々の掛け金から保険料が支払われます。

ただし、共済と保険には制度上の違いや保障内容、掛け金の違いがあります。基本的には低コストでパフォーマンスの高い共済がお得と言われますが、実際に商品を比較しながら、両者の違いについて解説していきましょう。

共済保険と生命保険の制度上の違い

共済保険と生命保険は制度上の違いがあり、根拠法令として共済は消費生活協同組合法、農業協同組合法など、保険は保険業法によって制度が実施されます。また、共済は厚生省・農水省、保険は金融庁など監督官庁の違いもあります。

共済と保険では同じようなサービス内容でも呼び方が異なることがあります。たとえば、共済では「共済金」、「共済掛け金」、「割戻金」という言葉を使いますが、保険では「保険金」、「保険料」、「配当金」という用語に変わります。内容はどちらも同じなので、それぞれの用語は覚えておくと役立ちます。

掛け金の安さでは共済がオススメ

共済を利用するメリットとしては何といっても「掛け金の安さ」が挙げられます。一般的に、共済で提供される商品の方が、保険会社の商品に比べて割安になっています。

その理由は、共済が非営利組織として運営されており、反対に保険会社が営利目的に運営されているからでしょう。保険会社は会社存続のために毎年確実な利益が必要で、どうしても保険料が高くなりがちです。

ただし、保険会社の中でもネット専業の保険サービスも登場しており、人件費や家賃が浮くことから割安の保険料を提示する事業者が多くなっています。

また、共済では「年齢群団方式」が採用されており、若い人には割高な掛け金が、高齢の方ほど割安な料金設定が特徴です。保険会社は年齢や性別によって細かく保険料設定が行われていますが、共済は年齢層によっておおまかな価格設定となっており、年齢によっては保険会社を利用する方がお得な場合もあります。

共済と保険のサービス内容比較

共済は非営利組織として運営されていることもあり、保険会社の商品に比べて割安と紹介しました。では、共済と保険会社ではサービス内容にどれくらい差があるのでしょうか。

ここではコープ共済の「あいぷらす」、保険会社よりアクサダイレクトとライフネット生命をピックアップしてそれぞれ比較してみました。

CO・OP共済 ライフネット生命 アクサダイレクト生命
商品名 あいぷらす かぞくへの保険 アクサダイレクトの定期保険2
種類 定期死亡共済 定期死亡保険 定期死亡保険
保障内容 死亡・重度障害 死亡・高度障害 死亡・高度障害状態
特約内容 ・入院特約
・新がん特約
・災害割増特約
・リビング・ニーズ特約
死亡保障額 300万円、500万円、1,000万円、1,500万円、2,000万円、2,500万円、3,000万円より選択 500万円*~1億円
(100万円単位で設定可能)
*51歳以上は300万円から
500万円~1億円
(100万円単位で設定可能)
保障期間 10年 10年、20年、30年、65歳満了、80歳満了、90歳満了 10年、55歳満了、60歳満了、65歳満了、70歳満了
契約可能年齢 満18歳~満60歳
または満60歳~満70歳
満20歳~満70歳 満20歳~満69歳
解約返戻金 あり
配当金・割戻金 決算によってはあり
クレジットカード決済

共済に申し込む場合の注意点

共済を利用する場合は、その掛け金の少なさや割戻金など有利なコスト条件に惹かれる場合が多いでしょう。しかし、いくらコストが安くなっても、肝心の保障内容によっては最終的に損をしてしまうことになりかねません。

共済のデメリットとして挙げられるのは、民間の保険会社と比べて保障金額が少ないということです。たとえば、上記で比較した共済と民間保険との死亡保障を見てみると、共済は最大3,000万円までですが、ライフネットやアクサでは1億円までと大きく差が開いていることが分かります。

また、都民共済(総合保障型)など、病気で死亡した場合の補償額が400万円と1,000万円にも満たないことが少なくありません。死亡保障の金額としては、残された家族で一家を支えていくには決して多くはないお金となります。

共済の種類によって異なりますが、高齢になるほど保障内容が薄くなるということも見逃せません。都民共済(生命共済入院保障2型)では、65歳以上になると熟年入院型に分類され、それまでより保障内容が薄くなります。

このように、保険サービスを選ぶ場合は月々の支払い料金ももちろんですが、保障内容についてもしっかりと検討しておく必要があるのです。

全労済・県民共済・コープ共済比較まとめ

今回は、4大共済の特徴や仕組みを紹介し、比較しやすい全労済・都道府県共済・コープ共済を比較・検討してきました。

保険会社のサービスと同様、共済にも様々な商品がありますが、全労済は掛け金に対して保障内容が手厚く、都民共済はバランスに優れ、そしてコープ共済は月々の保険料が非常に安いという特徴がありました。

また、今回は共済と保険会社の比較も行いましたが、サービスの質では保険会社、コストの安さでは共済と、それぞれ長所・短所を持っています。そのため、保険を選ぶ場合は保険料や保険金、その他サービスなど総合的に検討することをオススメします。

 

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