生命保険に加入している方におススメ!生命保険料控除を利用して節税しよう

将来自分の身に何か起こった時や、子どもの教育資金、そして年金以外の老後の資金作りのために生命保険に加入している方が多くいらっしゃるでしょう。

実は生命保険に加入すると、「生命保険料控除」という所得税や住民税を節税できるお得な優遇制度を受ける事ができます。今回は、生命保険料控除とは一体どういうものなのかを解説します。

1.生命保険とは

ここではまず、生命保険とはどういった保険なのかを簡単に説明します。

生命保険には様々な保険が存在する

生命保険には、死亡した時に保険金が支払われる定期保険やこどもの教育資金を貯めるためのこども保険(学資保険)、そして60歳や65歳などある年齢になった時に保険金を受け取れる個人年金保険など、様々な保険が存在します。

定期保険

定期保険とは、決めた期間の間に死亡した時に保険金が支払われる保険です。支払われる保険金を、死亡保険金といいます。

定期保険は、保険料を掛け捨てで支払うのが一般的となっています。例えば、60歳までの定期保険で20歳から毎月11,000円支払った場合、40年間で4,800,000円の保険料を支払うことになりますが、支払った4800000円の保険料は、掛け捨てのため戻ってきません。

しかし、支払った保険料が戻ってこない代わりに、毎月支払う保険料は、他の保険と比べると安く設定されています。貯蓄性がない保険は、基本的に保険料は安くなる傾向となっています。

終身保険

終身保険とは、保障が一生続く保険で、保険料の支払いも契約者が亡くなるまで続く(終身払い)のが特徴です。50歳までと年齢を設定して保険料の支払いを終わらせて保障が一生続く方法(有期払い)もあります。しかし、終身払いよりも有期払いは、保険料が高くなってしまうのが、欠点となります。

こども保険(学資保険)

子どもができると、小中高、そして大学への進学で多額のお金が必要となってきます。こども保険(学資保険)は、子どもが小さい時から、子どもを被保険者として保険を掛けて、子どもが進学する時にお祝い金(保険金)を受け取ったり、満期を迎えた際には、満期保険金を受け取れる保険となっています。

こども保険(学資保険)は、貯蓄性の保険となっているため、毎月支払う保険料は定期保険よりも高く設定されています。万が一契約者の親が亡くなってしまった場合は、保険料の支払いはなくなります。そして親が亡くなってしまっても、お祝い金や満期保険金は受け取る事ができるのも、こども保険(学資保険)の特徴の1つとなります。

個人年金保険

将来的に年金がもらえるか分からない現代、老後の生活に不安を持たれている方が大勢いらっしゃるでしょう。個人年金保険は、若いうちから、お金を積み立てて、年金をもらえる年齢(60歳~65歳)に保険金を受け取れる保険となります。

2.生命保険料控除とは

次に、生命保険料控除とは一体どういった制度なのかを説明します。

生命保険料控除が受けられる生命保険は、種類が限られている

実は、生命保険料控除を受けることができるのは、全ての生命保険ではありません。生命保険料控除を受けられる保険は、3つに分類されます。

  1. 一般の生命保険料控除

まずは、一般の生命保険料控除です。一般の生命保険料控除は、満期まで生存もしくは生存中、そして死亡することにより保険金・給付金が支払われる保険が対象となります。対象となる保険の例として、死亡保険や収入保障保険などが挙げられます。

2.個人年金保険料控除

次に個人年金保険料控除です。個人年金保険料控除を受けることができるのは、言葉通り個人年金保険になりますが、注意しないといけないのが、個人年金保険料税制適格特約がついている個人年金保険料に限定されます。そしてさらに4つの条件を全て満たす必要があります。

  • 年金を受け取る人を契約者もしくは配偶者で設定していること
  • 年金を受け取る人=被保険者であること
  • 保険料を支払う期間が10年以上の個人年金保険であること
  • 個人年金保険を確定年金もしくは有期年金で契約している場合、年金を受け取る年齢が60歳以上で、年金を受け取る期間を10年以上で設定していること

変額個人年金保険に加入している場合は、個人年金保険料控除ではなく、一般の生命保険料控除を受けることができます。

3.介護医療保険料控除

最後に介護医療保険料控除です。介護医療保険料控除とは病気やケガで入院・通院した場合に保険料が支払われる保険が対象となります。対象となる保険の例として、医療保険やガン保険が挙げられます。

生命保険料控除は、支払った保険料に応じて税金が安くなる

生命保険料控除とは、1年間(1月1日~12月31日)に支払った保険料に応じて、翌年の所得税・住民税が安くなる、家計の味方になる制度です。

では、1年間に支払った保険料が全額、翌年の所得税・住民税の節税に充てられるのでしょうか?実は、生命保険料控除は、1年間に支払った保険料が全額充てられるのではなく、限度額が設定されています。

さらに、平成23年以前に契約した保険と平成24年以降に契約した保険では、限度額が異なりますので注意しましょう。

3.生命保険料控除の限度額はどうやって計算するの?

では次に、生命保険料控除の限度額の計算方法を説明します。

所得税

  • 平成23年以前に契約した保険

平成23年以前に契約した保険の場合、一般の生命保険料控除と個人年金保険料控除の2種類のみになります。介護医療保険控除は受けることができません。

一般の生命保険料控除・個人年金保険料控除ともに、最大控除限度額は50,000となり、最大合計100,000円の控除を受けることが可能です。

  • 平成24年降に契約した保険

一方、平成24年降に契約した保険の場合は、一般の生命保険料控除、個人年金保険料控除、そして介護医療保険料控除の3種類全てが対象となります

そして、平成23年以前に契約した保険の最大控除限度額は、それぞれ5万円でしたが、平成24年降に契約した保険の場合は、3種類全て40,000円となり、最大合計120,000円の控除を受けることが可能です。

住民税

  • 平成23年以前に契約した保険

住民税も所得税と同様、一般の生命保険料控除と個人年金保険料控除が控除の対象となります。それぞれの最大控除限度額は35,000となり、最大合計70,000円の控除を受けることが可能です。

  • 平成24年以降に契約した保険

住民税も一般の生命保険料控除、個人年金保険料控除、そして介護医療保険料控除が対象となり、最大控除限度は22,800円となります。これまでの流れでいくと、合計控除額は2.8万円×3=8.4万円となる所ですが、住民税の合計控除額は、平成23年以前に契約した保険と同様で70,000円となります。

生命保険料控除額はどうやって計算するの?

次に、実際にいくら控除されるのか計算する方法を説明します。

所得税

  • 平成23年以前に契約した保険

まずは、1年間で支払った保険料がいくらかを計算します。そして、1年間で支払った保険料に応じて計算方法が異なるので実際に見ていきましょう。

  1. 1年間で支払った保険料が、25,000円以下の場合

1年間で支払った保険料が25,000円以下の場合は、支払った保険料を全額控除できます。11,000円であれば11,000円、23,000円であれば23000円を控除できるという事になります。

2.1年間で支払った保険料が、25,000円以上55,000円以下の場合

1年間で支払った保険料が25,000円以上55,000円以下の場合は、1年間で支払った保険料×1/2+12,500円で控除額を計算します。例えば、1年間で支払った保険料が30,000円だった場合は、30,000円×1/2+12,500円となり、27,500円の控除を受ける事ができます。

3.1年間で支払った保険料が、55,000円以上100,000円以下の場合

1年間で支払った保険料が55,000円以上100,000円以下の場合は、1年間で支払った保険料×1/4+25,000円で控除額を計算します。例えば、1年間で支払った保険料が80,000円だった場合は、80,000円×1/4+25,000円となり、45,000円の控除を受ける事ができます。

4.1年間で支払った保険料が、100,000円以上の場合

1年間で支払った保険料が100,000円以上の場合は、控除額は55,000円となります。200,000円支払っても、300,000円支払っても、控除額は55,000円となります。

  • 平成24年以降に契約した保険
  1. 1年間で支払った保険料が、20,000円以下の場合

1年間で支払った保険料が20,000円以下の場合は、平成23年以前に契約した保険と同様、支払った保険料を全額控除できます。

2.1年間で支払った保険料が、20,000円以上40,000円以下の場合

1年間で支払った保険料が20,000円以上40,000円以下の場合は、1年間で支払った保険料×1/2+11,000円で控除額を計算します。例えば、1年間で支払った保険料が30,000円だった場合は、30,000円×1/2+11,000円となり、25,000円の控除を受ける事ができます。

3.1年間で支払った保険料が、40,000円以上80,000円以下の場合

1年間で支払った保険料が40,000円以上80,000円以下の場合は、1年間で支払った保険料×1/4+20,000円で控除額を計算します。例えば、1年間で支払った保険料が80,000円だった場合は、80,000円×1/4+20,000円となり、40,000円の控除を受ける事ができます。

4.1年間で支払った保険料が、80,000円以上の場合

1年間で支払った保険料が80,000円以上の場合は、控除額は40,000円となります。平成23年以前に契約した保険と同様、200,000円支払っても、300,000円支払っても、控除額は40,000円となります。

住民税

  • 平成23年以前に契約した保険
  1. 1年間で支払った保険料が、15,000円以下の場合

1年間で支払った保険料が15,000円以下の場合は、支払った保険料を全額控除できます。所得税と同様、11,000円であれば11,000円を控除できるという事になります。

2.1年間で支払った保険料が、15,000円以上40,000円以下の場合

1年間で支払った保険料が20,000円以上40,000円以下の場合は、1年間で支払った保険料×1/2+7,500円で控除額を計算します。例えば、1年間で支払った保険料が30,000円だった場合は、30,000円×1/2+7,500円となり、22,500円の控除を受ける事ができます。

3.1年間で支払った保険料が、40,000円以上70,000円以下の場合

1年間で支払った保険料が40,000円以上70,000円以下の場合は、1年間で支払った保険料×1/4+17,500円で控除額を計算します。例えば、1年間で支払った保険料が60,000円だった場合は、60,000円×1/4+17,500円となり、32,500円の控除を受ける事ができます。

4.1年間で支払った保険料が、70,000円以上の場合

1年間で支払った保険料が70,000円以上の場合は、控除額は35,000円となります。200,000円支払っても、300,000円支払っても、控除額は35,000円となります。

  • 平成24年以降に契約した保険
  1. 1年間で支払った保険料が、12,000円以下の場合

1年間で支払った保険料が12,000円以下の場合は、支払った保険料を全額控除できます。

2.1年間で支払った保険料が、12,000円以上32,000円以下の場合

1年間で支払った保険料が20,000円以上40,000円以下の場合は、1年間で支払った保険料×1/2+6,000円で控除額を計算します。例えば、1年間で支払った保険料が30,000円だった場合は、30,000円×1/2+6,000円となり、21,000円の控除を受ける事ができます。

3.1年間で支払った保険料が、32,000円以上56,000円以下の場合

1年間で支払った保険料が32,000円以上56,000円以下の場合は、1年間で支払った保険料×1/4+14,000円で控除額を計算します。例えば、1年間で支払った保険料が40,000円だった場合は、40,000円×1/4+14,000円となり、24,000円の控除を受ける事ができます。

4.1年間で支払った保険料が、56,000円以上の場合

1年間で支払った保険料が56,000円以上の場合は、控除額は28,000円となります。平成23年以前に契約した保険と同様、200,000円支払っても、300,000円支払っても、控除額は28,000円となります。

平成23年以前、平成24年以降の保険に両方加入している場合の控除額は?

平成23年以前、平成24年以降の保険に両方加入している場合の控除額は、平成24年以降に契約した保険の控除額、所得税が48,000円、住民税が28,000円となります。

平成23年以前に契約した保険を更新や転換等をしてしまうと、控除額の計算方法が、平成24年以降に契約した保険の計算方法になるので注意しましょう!

4.生命保険料控除を受けるにはどういった手続きが必要なの?

最後に、実際に生命保険料控除を受けるのにどういった手続きが必要なのかを説明します。

年末調整で生命保険料控除証明書を提出する

会社勤めされている方は、毎年年末に会社で年末調整をされているでしょう。この年末調整で、保険会社から送られてくる生命保険料控除証明書を年末調整の書類に添付して会社に提出すれば、会社で手続きをしてくれます。

ぜひ会社勤めの方は、年末調整の際に、忘れず生命保険料控除証明書を一緒に提出してください。

確定申告で生命保険料控除証明書を提出する

自営業の方や会社勤めでも年末調整で生命保険料控除証明書を提出するのを忘れた方は、翌年の2月16日~3月15日の期間内に確定申告をしましょう。

確定申告書類はインターネットでダウンロードするか、お住まいの地域にある税務署に行けばもらう事が可能です。確定申告書類に必要事項を記入して、生命保険料控除証明書を添付し、提出します。

確定申告はどうしてもめんどくさい、難しいイメージを持たれている方も多いかと思いますが、記入例・記入方法に従えば、誰でも簡単に出来ます。

しかし、確定申告はいつでもできるわけではなく、1ヶ月という短い期間となっているため、前もって確定申告書類の準備をしておきましょう。

5.まとめ

生命保険料控除は上手に利用すれば、所得税・住民税が一定額控除され、節約になります。生命保険料控除を受けるには条件を満たしている保険に加入していないといけないので、生命保険料控除を受けるために保険加入を検討されている方は、検討している保険が生命保険料控除を受ける事ができるのか、しっかり確認しましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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