不動産担保ローンとは?メリットだけではなく思わぬリスクがあるかも!?

不動産担保ローンとは?

不動産担保ローン(不動産担保融資とも呼ばれる)とは、土地や建物などの不動産を担保にして、銀行やその他の金融機関からローンを借り入れることです。利用する時には、不動産の担保価値や借入者の職業や支払い能力などについての審査を受け、それらに応じて融資金額などが決定される仕組みになっています。基本的に無担保ローンよりも一回で借りられる金額が大きく、金利が低く長期返済も可能といった特徴があり、不動産を持っている人に多く利用されています。

また、お金を借りる本人の名義の不動産に限定している金融機関もあれば、両親や配偶者といった家族が所有している他人名義の不動産、あるいは、会社が所有している法人名義の不動産を担保にできるところもあります。借りるお金の使途については、限定をされないフリーローンが一般的です。

不動産担保ローンのメリット

一般的に、不動産融資のメリットには以下のようなものがあります。

借りられる金額が高額

多くの無担保融資では、借入者の年収や属性などにより融資額の上限が設定されているため、高額の融資を受けることはなかなか難しいものです。一方不動産担保融資の場合、不動産という確実な担保があるため、担保不動産の価値によっては高額融資も受けられるというメリットがあります。

カードローンやビジネスローンは、最大でも1,000万円程度が借入金額の限度になります。それに対して、不動産担保ローンは、担保とする不動産の価値によって変わりますが、1億円以上の資金を借りることも可能です。そのため個人だけでなく法人などの利用にも適しています。

長期間にわたって借り入れができる

返済期間を10年〜30年などと長期に設定することができます。金融機関によっては、最長で35年のローンを提供しているところもあります。返済期間を長期にすれば、毎月返済する金額を低く抑えることができます。そのため余裕を持った返済計画を立てられるというメリットがあります。

ただし、返済期間が長期間になればなるほど、利息の負担額が大きくなる点には注意が必要です。

借り入れの際の金利が低金利でお得

確実に存在する不動産を担保としているため、担保の無いの個人向けカードローンや法人向けビジネスローンなどよりも、低金利で借りることができます。無担保のカードローンやビジネスローンの金利は一般的に5~15%ですが、不動産担保のフリーローンでは2.9~9.7%となっています。借りる側にとっては、借入金利が低い分、返済する総額も安くなります。長期間で借りることの多い不動産担保ローンでは嬉しいですね。

連帯保証人が必要ない不動産担保ローンもある

無担保融資などでは、ほとんどの場合保証人を設定する必要がありますが、不動産担保ローンの場合、万が一返済不能になっても不動産を売却して返済することができるため、連帯保証人を必要としない場合もあります。

不動産担保ローンのデメリット

また一方で、不動産担保ローンには、以下のようなデメリットも存在します。

申請から借り入れまでに時間がかかる

無担保のクレジットキャッシングやカードローンのように、数分で審査が終了し、即日融資完了というわけにはいきません。担保となる不動産の価値を評価する時間が必要になります。不動産の評価は、専門家に調査を依頼する必要がありますし、周辺の不動産の相場を調査する時間も必要で、短時間ではできません。したがって、一般的には、審査には数日かかり、実際に融資が実行されるまでには1週間〜2週間程度の期間が必要になってきます。

借入時に諸費用(手数料)がかかる

キャッシングやカードローンの利用時は、通常、手数料は発生しません。借りる人が返済額以外で支払う手数料は、利息だけです。一方、不動産担保ローンでは、銀行やその他の金融機関が不動産を担保にするにあたって、事務手数料、不動産鑑定費用、印紙代、抵当権の登記費用といった費用がかかります。こうした諸費用は、借入金額によって変わりますが、数千万円など高額なお金を借り入れるとなると、手数料が数十万円かかるケースもあります。

不動産担保ローンの場合借入額が少額だと、借入金利が低くても諸費用など諸々を含めて、カードローンなどと支払総額がほとんど変わらないといったこともあり得ます。

不動産担保ローンを利用する場合、だいたいですが、融資額の1~3%の手数料が必要となる場合が多いようです。また、抵当権の登記費用や、場合によっては不動産の鑑定費用など現金で先に支払う必要があります。そのため、予めある程度の現金を用意しておく必要があります。

返済できなくなると、不動産を差し押さえられる

これは当たり前のことですが、不動産を担保に入れて融資を受けているため、返済できなくなった場合には不動産を売却しなければなりません。もし売却の打診を無視し続けた場合は、金融会社によって強制売却が行われ、売却代金からローンの返済残額が回収される場合もあります。

金融機関は担保とする不動産について、法務局に「抵当権」や「根抵当権」の登記をします。抵当権、根抵当権とは、融資先の人がお金を返せなくなったときに、お金を貸した方が担保にした不動産を売却し、その売却代金から貸したお金と利息を回収する権利のことです。つまり、返済が不能であると判断されると、担保の不動産が売却されてしまうというわけです。

担保の不動産を売却しても返せない時は?

担保に入れた家や土地を売却したとしても、その売却代金がローンの返済金額に満たない場合は、担保割れとなり、再度ローンを組むなどして、引き続き残額を返済していかなければなりません。それでも返済が難しい場合、自己破産をしなければならないことになるかもしれません。

メリット・デメリットをまとめたポイント

ここまでメリットとデメリットを紹介してきましたが、不動産担保ローンには、一般的な無担保ローンと比較して大きな資金を、低金利で長期間にわたって借り入れることができますが、逆に融資までには時間と費用がかかり、万が一、返済が不能となったときには不動産を売り払わなければならないというリスクがあります。こうしたメリットとデメリットを踏まえると、実際の利用にあたって、次のような点に注意すべきでしょう。

  • 申し込みから、実際の融資までには約1週間かかるので時間に余裕をもって申請する。
  • 金利だけチェックするのではなく必要となる諸費用も考慮し、お得な不動産担保ローンを選ぶ。
  • 返済期間は、余裕をもって設定する。確実に返済を進めていくためには、返済期間を長期にして毎月の負担を軽くすることが考えられるが、返済期間が長期になるほど利息の総額は増えることに注意する。
  • 利息を少なく、早く返済し終えるためには、繰り上げ返済を活用することも視野に入れる。お金に余裕ができた時は是非活用しましょう。ただし、繰り上げ返済の条件や手数料を確認しておきましょう。

不動産担保ローンの選び方の注意点

それでは、どのようにして不動産担保ローンを選ぶのが良いのでしょうか。不動産担保ローンを扱う会社は、大きく分けて銀行とその他の金融機関のノンバンクの二つに大別されます。まずは両者の特徴や違いについて紹介していきます。

銀行の特徴

銀行の特徴としては、審査が厳しく融資まで時間がかかり、最大融資金額も低めになっていますが、全体的に金利が低めであり、利用時の諸費用もノンバンクに比べ安い場合が多いです。

ノンバンクの特徴

それに対してノンバンクは、金利は銀行に比べ高めなことが多いものの、様々な商品の種類があり、銀行に比べ不動産鑑定額が高い傾向にあります。また、独自の審査基準を設けている会社も多く、審査のスピードが早く最大融資金額も高い場合が多いという特徴があります。

 

これらの特徴を踏まえ、自身が必要な金額や融資までの時間、返済計画などを考慮してどちらがより適切かを考える必要があります。手数料などの諸経費を計算にいれた実質金利がとても重要です。実質金利とは、表面的な金利にこれらの手数料を加味した金利を言いますが、表面金利は安いが手数料が高いケースもあるので実質金利を見極めることが大切です。

融資実行に際して金利以外の手数料がどの程度かかるか、必ず詳細を確認するようにしてください。手数料や各種費用を織り込んだ上で無理がない返済計画になるかどうかを考えましょう。元利均等返済や元金均等返済など返済方式によっても返済計画が変わってくるので、返済方法についても事前の確認が必要です。

不動産担保ローン実行までの流れ

ローン申し込み準備

まずは、金融機関の融資担当に連絡をとり、不動産担保ローンを申し込むための準備をしましょう。

金融機関に相談に行く場合、申請に必要な書類をあらかじめ揃えておくと、その後のやりとりも短縮できるうえ、融資担当者の心証もよくなります。特に、住民票や印鑑証明書、納税証明書などは、区役所や税務署に出向かなければならず時間がかかるので早めに用意しておきたいですね。

次に担保に入れる物件を審査するのに必要な書類です。土地、建物の登記簿謄本は必要ですので用意しておきましょう。これはインターネットでも簡単に取れるようになっています。公図も必要です。これもインターネットで取れるようになってるのですぐに取ることができます。

担当者に購入する意思を示す為にも、これらの書類は時間がある時に準備しておきましょう。

ローン審査申し込み

申し込み自体は支店などに出向いて直接話をして相談することが一般的でしたが、最近ではネット銀行なども出てきたこともあって、大体の金融機関でネットで相談することが可能となっています。ネット相談でまず簡単ですが査定のようなことができます。

借入しようとしている金額に対して顧客属性、要は勤務先や勤続年数はどうかということや年収が借入希望額に対して返済できるものなのかということを簡単に見てくれます。これで実際に申し込みをした際に属性の時点で申し込みもできないという事態を防ぐことができます。

そして、実際に金融機関に来店し不動産担保ローンを借りるための本申込の手続きを行います。必要書類や今後の審査の流れといったことを打ち合わせを行い、手続きを進めていきます。

申し込み相談後、属性や不動産資料を確認し、ローン審査の申し込みが可能だと判断されると連絡がきます。相談から担当者から連絡がくるまでの日数は、1週間ほどが多いようです。審査可能と判断されると、その時点で申込書の提出が必要な金融機関もあります。また、不足している資料の提出や別途必要な書類が求められる場合も多いので不測の事態にもすぐ対応できるように心構えだけでもしておきましょう。

ローン審査開始

審査は属性、担保に入れる物件の評価額の調査を行います。顧客属性に関してはサラリーマンの方であれば、勤務先、勤続年数、年収を見ます。自営業や個人事業主であれば、その事業が直近3年間で安定して売り上げを上げているか、事業が今後も安定して続くかというところを見ます。

サラリーマンと個人事業主、両方に共通することはへ返済負担率です。金融機関によって返済負担率は異なりますが大体30%以内に収めなければ審査を通るのは厳しいということです。これは今回借入する金額だけではなく、すべての借入に対しての収入に対する割合になってきます。

他には、過去の借入などで延滞歴が無いかなどを見ます。また、他の金融機関でも多数の借り入れをしていたりすると厳しくなったりします。このように顧客属性でしっかり返済できるかを審査します。

担保に入れる不動産に関しては、金融機関側で対象物件の評価を取ります。実際に金融機関が対象物件の現地調査を行い、物件の周辺の相場などから評価を下したりします。算出された不動産の評価の7割から8割程度を限度として借入が可能になります。

ただし、先ほどの顧客属性も審査に入りますので、限度額いっぱいまで借入可能かどうかは顧客属性によっても違ってきます。担保評価が低く借入したい金額に満たない場合は、追加で別の不動産があるのであればそれを担保に入れる方法もあります。

提出した資料をもとに申し込みが完了したら、担当者が融資の稟議書を作成し、金融機関本部でローン審査が始まります。ローン審査にかかる時間は、通常半月から1ヶ月程度が多いようです

融資確定通知

金融機関でローン審査が完了すると、担当者からローン審査の結果が送られてきます。

登記などの手続き

審査に無事通れば正式に金融機関と不動産担保ローンの契約を結びます。一般的に言う金銭消費貸借契約と呼ばれるものです。これには借入に関する重要な事項が記載されております。金利条件や借入期間、借入金額などが記載されておりますので、説明で不明点が無いように、あらかじめわからないところや不安なところを洗い出しておきましょう。

そして融資を実行する日程を決めます。融資を実行する前にやらなければいけないことがあります。それは抵当権を設定することです。金融機関がお抱えの司法書士を紹介してくれますので、特に知り合いがいなければ任せてしまって問題ないと思います。

抵当権を設定するための書類を提出し、抵当権の登記が完了すれば融資実行という流れになります。ちなみにこの抵当権ですが設定順位というものがあります、住宅ローンですと抵当権設定順位がその金融機関が1位でないといけませんが、不動産担保ローンですと金融機関によっては設定順位2位でも可能というところもあります。

まとめ

ここまで解説してきたように銀行とその他金融機関のノンバンクの不動産担保ローンには、それぞれ対照的となるメリット・デメリットがありましたね。まずは金利に目がいってしまいますが、金利ばかりを気にしていても目的に合った借入できなければ話になりません。

よって、申込者の条件や目的に合わせた借入先選びが必要となってくると思います。そこで選考時に気にかけてもらいたいのが下記のポイントです。

  • 金利
  • 融資までの速さ
  • 審査の難易度
  • 借入の上限額

これらのどの点に重きを置いて借入したいのかによって、銀行とノンバンクのどちらがいいか、その判断基準とすることができると思います。特に最初に決定してもらいたいのが利子を最優先の条件とするかしないかです。

これによってまずは銀行とノンバンク、どちらに申し込むかの選別が可能です。不動産担保ローンは、不動産を担保にするため無担保ローンよりも良い条件で借入ができますが、今回解説したように利用する金融機関によって条件内容は大きく違ってきます。金利面で言えば圧倒的に銀行の方が有利ですが、その他によりノンバンクを利用せざるを得ないパターンも出てくるでしょう。

今回解説した内容を参考にして、目的に合った借入ができるよう願っております。

コメントを残す