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ゆうちょ銀行(郵便局)の貯金担保自動貸付けでお金を借りる方法とは
ゆうちょ銀行(郵便局)の貯金担保自動貸付けとは、総合口座で管理する定額貯金や定期貯金を担保として、お金を借りられる制度のことを言います。なお、通常貯金の残高を超える払戻しの請求があったときに、その不足分が自動的に貸し付けられる仕組みです。つまり
- 郵便局の窓口で通帳と印鑑を使って払戻し(引き出し)をする
- 郵便局ATM、提携しているATM(コンビニ、銀行などに設置されているもの)でキャッシュカードを利用して払戻し(引き出し)をする
などの操作をした場合、残高が足りない分は、貯金担保自動貸付けを使って補完してくれると考えましょう。
なお、担保にできるのは、定額貯金と定期貯金の2つです。両者の違いを表にまとめました。
定額貯金 | 預け入れる「口数」(1口1,000円から)を選んで口座に預けると利息が付く。なお、半年たてばいつでも口数単位で払い戻しができる 例)1,000円を5口預けていた→半年後から1口(1,000円)ずつ払い戻せる |
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定期貯金 | 民間の銀行が提供する定期預金と同様、預入期間を指定し、お金を預けると期間に応じた金利がつく |
貸付の条件は?
- 貸付金額の上限
- 貸付期間
- 貸付の回数
などについてまとめました。
貸付金額の上限 | 預入金額の90%以内 |
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貸付期間 | 貸付けの日から2年(貸付けの日から2年以内に担保とする貯金が満期を迎える場合は、その満期までの期間) |
貸付の回数 | 無制限 |
貸付金利の決まり方、利子の計算方法は?
貸付金利の決まり方および利子の計算方法についても解説しておきましょう。まず、貸付金利の決まり方は、担保定額貯金か担保定期貯金かによって異なります。
- 担保定額貯金を担保とする場合:返済時の約定金利(%)+0.25%
- 担保定期貯金を担保とする場合:預入時の約定金利(%)+0.5%
また、利子は1年を365日として日割り計算します。
担保にできる貯金が複数ある場合は?
なお、担保定額貯金・担保定期預金のうち、担保にできるものが2口以上ある場合は、次の順に貸付を行います。
- 貸付期間が最も長いもの
- 貸付金の金利が最も低いもの
- 個別番号の大きいもの
逆に、担保となった貯金が2口以上あった場合は、次の順に返済を行います。
- 貸付期間が最も早く満了するもの
- 貸付金の金利が高いもの
- 個別番号の小さいもの
貸付期間を過ぎても返済ができなかった場合は?
既に触れた通り、貯金担保自動貸付によりお金を借りた場合、貸付期間は貸付けの日から2年(貸付けの日から2年以内に担保とする貯金が満期を迎える場合は、その満期までの期間)です。この期間を過ぎても貸付金額・貸付利子を返済できなかった場合は、担保とした貯金を払戻し、その払戻金を貸付金額・貸付利子の返済に充てます。残った金額があれば、総合口座の通常貯金に預け入れる仕組みです。
ゆうちょ銀行(郵便局)の貯金担保自動貸付けでお金を借りる方法のメリット
次に、ゆうちょ銀行(郵便局)の貯金担保自動貸付けでお金を借りる方法のメリットとして
- 審査がないため、どんな人でもお金を借りられる
- 郵便局は全国にあるため、日本に住んでいる限りは利用できる
- 通帳とキャッシュカードを使うので、周囲にお金を借りていることがバレにくい
の3つを解説しましょう。
1.審査がないため、どんな人でもお金を借りられる
ゆうちょ銀行(郵便局)の貯金担保自動貸付けを利用するにあたっては、ゆうちょ銀行に口座を持っていて、残高があることが唯一の条件です。そのため、どんな人の立場であってもお金は借りられます。

「お金を借りる」のには審査が必要
銀行、消費者金融、信用組合、信用金庫などの金融機関が提供するカードローンや、クレジットカード会社のキャッシングを利用する場合、必ず審査があります。
カードローンやクレジットカード、キャッシングなど「お金を貸す」ことが前提となる取引においては「その人に相応の支払能力があるか」が非常に重視されます。仮に、相応の支払能力がないのにお金を貸した場合、返してもらえないリスクが高まるからです。どんな手段を用いても返済してもらえなかった場合は、最終的にその損失は取引を提供した会社がかぶることになってしまいます。
取引を提供した会社は、このようなリスクを避けるため、審査を行って「返済してくれそうにない人」ははじいているのです。
個人信用情報と審査
はじく=審査を行うためには、個人信用情報を利用します。個人信用情報とは、クレジットカードやローン、キャッシングなど「お金の貸し借りを伴う取引(信用取引)」の利用履歴のことです。個人信用情報と呼ばれる組織・企業がデータベースとしてとりまとめ、クレジットカード、ローン、キャッシングの新規申込の際に審査担当者が調べ、審査を行うと考えましょう。
異動情報が登録されたらアウト
個人信用情報と併せて覚えておきたいのが、異動情報です。異動情報とは
- 過去にクレジットカードやローン、奨学金の返済を延滞・滞納した
- 利用規約違反などの理由でクレジットカードを強制解約された
- 任意整理、個人再生、自己破産などの債務整理をした
などの「支払能力に重大な疑念を及ぼす事象」のことです。個人信用情報に異動情報が登録されてしまうと、一定期間(最長10年)はクレジットカードやローン、キャッシングは利用できません。

トラブルを起こしていなくてもNGなケースがある
また、個人信用情報に異動情報が登録されていなかったとしても「安定継続した収入がない」という事実だけで、クレジットカードやローン、キャッシングなど「お金の貸し借りを前提とした取引」が利用できないケースはあり得ます。具体的には
- 学生、専業主婦など働いていないので、定期的な収入がない
- 起業したてなのでむしろ持ち出しのほうが多い
- 芸能人、スポーツ選手など収入が不安定な職業についている
などが考えられます。
どんな立場の人であっても利用はできる
ここまで述べてきたように、銀行、消費者金融、信用金庫、信用組合などの金融機関や、クレジットカード会社が提供するローン、クレジットカード、キャッシングなどのサービスを利用するには、相応の支払能力がないと難しいため、どんな立場の人であっても利用できるとは限りません。
しかし、ゆうちょ銀行(郵便局)の貯金担保自動貸付けは、担保となる定額貯金や定期貯金があることが唯一の条件であるため
- 過去にお金のことでトラブルを起こした
- 学生、主婦で定期的な収入はない
- 起業したてで持ち出しの方が多い
- スポーツ選手、芸能人など収入は多いが不安定である職業についている
というように、キャッシングやローン、クレジットカードを使うことが難しい人であっても、問題なく利用できます。
2.郵便局は全国にあるため、日本に住んでいる限りは利用できる
意外に思うかもしれませんが、日本の全47都道府県に支店・営業所を有している銀行は、2020年9月現在はゆうちょ銀行とみずほ銀行の2つのみです。みずほ銀行が地域によっては大きなターミナル駅や県庁所在地(もしくはその付近)にしかないことを考えると「日本全国、どこにいても利用できる」のは事実上、ゆうちょ銀行のみになってしまうでしょう。
海外からの日本の金融機関の利用は、マネーロンダリングや反社会組織への資金流出阻止の観点から厳しく規制されているので、さすがに海外に引っ越してしまったら、この方法は利用できません。しかし、日本にいる限りは、どんな田舎に行ったとしても郵便局はあるため、問題なく利用できるのが大きな強みです。
3.通帳とキャッシュカードを使うので、周囲にお金を借りていることがバレにくい
たとえ、後ろめたい理由がなかったとしても「お金を借りていることが周囲に知られるのは嫌だ」という人は多いかもしれません。
- 「お金の管理もできない人」と思われる
- 借りたこと自体をとがめられたり、利用目的を追及されたりする
- 周囲にあらぬ噂を流される
など、周囲からのネガティブな反応を恐れているためです。そういう人にとっては、ローンカードなど「お金を借りること」を匂わせるアイテムは、なるべく使いたくないかもしれません。この点、ゆうちょ銀行(郵便局)の貯金担保自動貸付けであれば、使うのは通帳とキャッシュカードだけです。詳しくは後述しますが、借り入れをするときもATMを操作するだけなので、何も事情を知らない人が見れば「ATMからお金をおろしているのか」くらいにしか思われないでしょう。
ゆうちょ銀行(郵便局)の貯金担保自動貸付けでお金を借りる方法のデメリット
一方、ゆうちょ銀行(郵便局)の貯金担保自動貸付けでお金を借りる方法には、デメリットもあるのが事実です。
- そもそもゆうちょ銀行の口座にお金がないと使えない
- 貯金している金額の80%~90%までしか借り入れができない
- 返済期限が近づくとハガキが来るので周囲に知られる恐れがある
の3つについて解説しましょう。
1.そもそもゆうちょ銀行の口座にお金がないと使えない
ゆうちょ銀行(郵便局)の貯金担保自動貸付けは「ゆうちょ銀行に預けてあるお金を担保にして、お金を借りること」です。つまり、ある程度の貯金があるのが前提になるため、そもそも残高が0の場合は利用できません。個人信用情報に基づく審査を受けなくてもいいため、様々な立場の人が利用できるのは確かですが、あくまでも「ゆうちょ銀行(郵便局)にお金を預けている」ことが前提になります。
個人信用情報に異動情報が登録されているような状態であれば、ゆうちょ銀行(郵便局)の口座にもお金がほとんどないことは十分考えられるはずです。
家族の通帳、キャッシュカードの無断借用は絶対にダメ
極端な話、同居している家族がゆうちょ銀行(郵便局)の貯金担保自動貸付けの利用申込をしていた場合は、たとえ本人の同意がなくても、通帳やキャッシュカードさえあれば、借り入れができてしまいます。しかし、たとえ家族であっても、人のものを無断借用するのは倫理的に問題があります。ちょっと借りただけで、すぐに使った金額を返したなら法律上は罪にならない可能性が高い(使用窃盗)ですが、相手は嫌な思いをするはずです。
さらに、無断で使い込んでいたなら「相手のものを盗んだ」として窃盗罪が成立してしまうでしょう。実際は家族内のことであるので、警察に通報する事態に発展する可能性は低いです。しかし、相手の信頼を著しく損ねてしまうのは間違いありません。どんな理由があっても、家族の通帳、キャッシュカードを無断で使わないようにしましょう。

貯金を解約してでも返済する方が先
また、消費者金融、銀行のカードローンや、クレジットカード会社からのキャッシングなど、何かしらお金の貸し借りを伴う取引をしていて、その返済が追い付かないためゆうちょ銀行(郵便局)の貯金担保自動貸付けを使おうと考えている人もいるかもしれません。しかし、これは絶対にやめましょう。貯金担保自動貸付けは審査もいらないし、通帳とキャッシュカードさえあれば、簡単な手続きを済ますだけで使えてしまいます。しかし
- 借りている間は金利がかかる
- 貸付の日から2年以内に返済しなくてはいけない
という条件もある、れっきとした借金です。つまり、なんらかの借金を返すために貯金担保自動貸付けを使うということは「借金を返すために別の借金をする」ということになります。
もし、ゆうちょ銀行にある程度のお金を預けているなら、いったんそれを引き出して返済に回した方が、利息の支払いもしなくて済むため、長い目で見て楽になるでしょう。

2.貯金している金額の90%までしか借り入れができない
貯金担保自動貸付けによる貸付金額の上限は
です。これを超える金額での借り入れは認められていないため、ゆうちょ銀行(郵便局)の口座の残高によっては、借りられる金額もごくわずかになってしまいます。
3.返済期限が近づくとハガキが来るので周囲に知られる恐れがある
ゆうちょ銀行(郵便局)の貯金担保自動貸付けには、貸付期間が設けられています。つまり、貸付期間が終わる日が返済の期限ということになりますが
- 原則:貸付けの日から2年
- 例外:貸付けの日から2年以内に担保とする貯金が満期を迎える場合は、その満期までの期間
というのが基本的なルールです。返済は貸付金額と貸付利子の相当額を、通常貯金に預け入れれば、その後は勝手にシステム上で処理されるために簡単にできるのですが、注意が必要な点があります。返済期限が近付いているのに返済が完了していないと、ハガキで通知が届ということです。
ゆうちょ銀行(郵便局)の貯金担保自動貸付けは、通帳とキャッシュカードを使うため、周囲から「お金を借りている」ことがバレにくいのが長所の1つです。しかし、返済を遅らせていたことが原因でハガキが届いてしまうと「お金を借りたこと」が家族に発覚してしまう可能性も出てきます。

ゆうちょ銀行(郵便局)の貯金担保自動貸付けでお金を借りるまでの手順
最後に、ゆうちょ銀行(郵便局)の貯金担保自動貸付けでお金を借りるまでの手順を解説しましょう。大まかな流れは以下の通りです。
- 郵便局に出向き、貯金担保自動貸付けを利用したい旨を伝える
- 通帳とキャッシュカードを使ってATMからお金を引き出す(このとき、通常貯金の残高を超える金額を引き出すことで、自動的に貸付が行われる)
- 貸付金額と貸付利子の相当額を通常貯金に入金し、返済していく
申し込みの際に必要なものは?
郵便局に出向き、貯金担保自動貸付けを利用したい旨を伝えると、手続きを進めてくれます。このとき、次の物を持っていきましょう。
- 届出印
- 運転免許証などの本人確認書類
- 総合口座通帳
ゆうちょ銀行(郵便局)の貯金担保自動貸付けでお金を借りる際の注意点
ゆうちょ銀行(郵便局)にお金を定額貯金、定期貯金として預けていれば、ほぼ誰でも簡単な手続きだけで利用できる仕組みです。しかし
- 借りている間、所定の利息はかかる
- 期限が来たら返済しないといけない
などの点がある借金であることには変わりません。
- いつ、何のために使うかを決める
- 目的の達成において妥当な金額を決め、それだけを借りる
- 借りたお金はなるべく早く返済する
という当たり前のことを忘れないようにしましょう。