投資家なら押さえたい「リーマンショック」株式・不動産に与えた影響は?投資家が次のバブルに気をつけたい事

リーマン・ショックとは何だったのか?

「投資家ならしっかりと理解したいリーマン・ショック」

アメリカとトルコの緊張によって、発生したトルコショック。アメリカとトルコが外交上の挑発的な攻撃に両国とも乗ってしまうことで、緊張感が高まりトルコの通貨である「トルコ・リラ」が一時は20%以上の下落を見せました。

トルコ国内では、インフレ率が高まっていると言われており、今現在経済的な面で世界の市場にあまり影響を与えていませんが、トルコ情勢によって影響される資産をお持ちの方は、しっかりとこれからの動向を見守る必要があると思います。

経済危機というのは、これまで予想も出来なかったようなものが暴落したり、暴騰したりして発生するのが要因です。投資を経験されている方の中にも、大きな経済危機の影響で損失を出した経験があるという方も少なくないでしょう。

投資を行っている方ならどこかで経済危機を起こると、その経済危機がチャンスになったり、ピンチになったりする事があります。なので、これから起こるかもしれないもっと大きな経済危機に備えるためにも「歴史上の経済危機」についてしっかりと知識を付けておいて、損はないと思います。

なので、この記事では記憶に新しく、日本人の生活にも大きな影響を与えた「リーマン・ショック」について詳しくご紹介させて頂き、「経済危機が広がる理由」「株式・不動産が影響を受ける理由」などについてご紹介したいと思います。

まず、はじめに「リーマン・ショック」について押さえていきます。

リーマン・ショックはなぜ起こったのか

リーマン・ショックというのは、当時世界第四位の投資銀行だった「リーマン・ブラザーズ」が一連の経済危機によって破産した事だったり、それに関連する経済危機を指しています。根幹の原因になった「サブプライムローン問題」と呼ばれる事もあります。

では、なぜリーマン・ショックは発生したのでしょうか?この疑問をしっかりと理解するためには「サブプライムローン」について理解する必要があります。

サブプライムローンというのは住宅ローンの事であり、通常の住宅ローンではローンを組めないような低所得者向けのローンの事です。当時、アメリカの不動産事情はかなり良好で、価格が常に上昇しており、投資家もこぞって不動産投資に手を付けていました。

このようなアメリカの不動産事情を背景に、サブプライムローンの根本的な仕組みは、アメリカの不動産が常に上がり続けているので、債務者(お金を借りている人)が「もしも返せなくなっても、担保の不動産を売却すれば良い」というローンだったのです。

そのため、サブプライムローンの審査はかなり雑だったと言われています。(もしものときは売却すればいいから)

中には「犬名前でローンを組めた」というケースもあったようです。しかし、アメリカ人の1つのステータスとして「持ち家を持つ」というものがあったようで、低所得者も家を持てるし銀行も損失を出さないので「みんなハッピーな住宅ローン」という認識が広がっていました。

債券をごちゃ混ぜにした金融商品

いくら不動産価格が上がり続けているとは言っても審査が雑なため、銀行は「爆弾」を抱えているような状態でした。なぜなら、もしも「不動産価格が下がった時」に、債券を回収する事が難しいからです。(そもそも、返せないような相手に貸しているから)

そのため、銀行はこの債券を証券化して「MBS」にして投資家や投資銀行に売り出します。

MBSとは?

モーゲージ債と言われるもので、一言でまとめると「借金(債券)の権利を持てる投資商品」です。具体的には、債券を「証券化(投資商品)」にしたものです。

しかし、MBSはサブプライムローンという信用価値が低い債券を証券化したものなので、それほど高く売り出す事が出来ません。ここでローン会社や銀行が考えたのは「債券をごちゃ混ぜ」にして売り出すという方法です。

例えば、信用の評価がA-B-Cに分かれていたとします。

サブプライムローンの債券は、信用価値が低いので「C」ぐらいの信用です。しかし、ここに「A」の債券や「B」の債券も混ぜる事で「カモフラージュ」する事が可能なのです。

このような金融商品を「COD」・「債務担保証券」と言います。

CODのイメージがあまり浮かばない方は、カレーを想像してみてください。カレーを作るには「じゃがいも」や「人参」、「牛肉」などの食材が必要です。もしも、この内2つの食材が傷んでおり・賞味期限が切れていたとしても「まとめて煮込んでしまう」と、美味しいカレーが完成します。

このように「質の悪い債券」の中に「質の良い債券」を少し混ぜる事で、あたかも「信用度の高い債券」のように見えてしまうのです。事実、このCODは投資家に沢山販売され、ローン会社や銀行は「債券を転売」するだけで大きな利益を出していました。

そのため、ローン会社や銀行は利益を出すために、信用度の低い人でもどんどん審査を通したのです。筆者のアメリカ人の友人は、冗談と皮肉を込めて「ホームレスでも通る審査だった」と言っていました。

格付け機関と不動産バブルの崩壊

しかし、サブプライムローンというのは「低所得者向け」の債券であり、通常信用度が低いはずです。いくらカモフラージュしても、それほど多くの投資マネーが「COD」に集まってくる事に疑問を感じた方も少なくないでしょう。

ここに「格付け機関」の存在が台頭します。というのも、格付け機関はサブプライムローンで利益を出すために「投資銀行」「銀行」「ローン会社」などと結託していたと言われており、最も信用度が高いと言われている「AAA」評価を、MBSやCODに付けていたのです。

格付け機関って?

格付け機関とは、企業・国などの組織や「株式」「債券」「不動産」などの金融商品等を分析して、信用度を評価する企業の事です。

有名なものだと「S&P」や「Moody’s」「Fitch」などの企業が挙げられます。

そのため、投資家は「格付け機関がそう言ってるなら信用できる!」と感じて、沢山の投資家がサブプライムローンに関連するような金融商品を購入しました。

しかし、このような状況はそれほど長く続きませんでした。何故なら「そもそも、サブプライムローンは返せるような人に貸していなかった」という点と、サブプライムローンは「金利がどんどん上がっていく仕組み」だったのです。

そのため、どんどんサブプライムローンを返済できない人が増えてきました。不良債権(返済されていない債券)が大量に発生し、投資家達は初めて「自分の持っているCOD・MBSは危険なものだったんだ!」という点に気付き、そこからサブプライムローンに関連する金融商品の売りが行われました。

例えるなら、数年後に爆発すると約束された時限爆弾が、爆発したような状況が起こったのです。

そこで、「リーマン・ブラザーズ」は不動産の証券化を得意な業務として長年経営していたため、不動産価格の下落などで多額の負債を抱えてしまいます。その額は「60兆円」とも言われており、とても立ち直れるような額ではなく、株価は暴落・経営破綻しました。

当然、色々な場所に火の粉は飛び散り、株価の暴落・不動産価格の暴落等はもちろんですが、日本にも「円高・株安」という状況をもたらしました。

なぜ、経済危機は広がる?

リーマン・ショックの概要についてご紹介させて頂きましたが、リーマン・ショックは世界中に大きな損失をもたらしましたが、なぜ「経済危機は広がるのか?」という点について疑問を持った方も少なくないと思います。

なので、これから「リーマン・ショックと日本」を例にして、リーマン・ショックが日本にどう影響し、経済危機がなぜ広がるのか?を明らかにしていきます。

日本はリーマン・ショックの影響を受けにくかった?

日本は直接リーマン・ショックの影響を受けていなかったと言われています。それは、日本に直接サブプライムローン関連の金融商品が出回っておらず、サブプライムローンやアメリカの金融機関が破綻したとしても、直接日本に大きな損失が訪れる事は無かったのです。

しかし「リーマン・ショックによって、日本が不景気になった」と考える人は少なくありません。

事実、リーマン・ショックが起こった直後の日本では失業率もあがり、求人についても冷え込んでいました。つまり、日本も「サブプライムローン」の影響を直接受けてはいませんが、リーマン・ショックという経済危機の影響を受けていたのです。

では、なぜ直接関係のない日本が、リーマン・ショックに影響を受けてしまったのでしょうか?ここに経済危機が広がるヒントが隠されていると言えます。

日本が影響を受けた理由を一言でまとめると「お金は血液」だからです。血液というのは、よく経済を表す言葉で使用されます。何故なら、もしも体のどこかで「血液が止まってしまう」と、血液が破裂してしまったり、病気に掛かってしまう可能性が高くなります。

つまり、体の血液というのは「常に体を回り続けていないといけない」のです。お金に関しても同様で、日本中・世界中でお金は回り続けており、もしも経済危機のような大きな事が起こると「世界中に影響を与える」です。何故なら経済危機というのは、血液が止まってしまうのと同じようなものだからです。

円高と輸出

為替取引などを行っている方だと実感しているかもしれませんが、ドルに何かあると「円が買われる」という傾向があります。円は世界的に見ても信用度が高いお金として認識されており、経済的な事案が起こった際に、円が買われてしまうので「円高」になりがちです。

一見、円高というのは「円の価値が高くなる」という事なので、日本にとって良い影響を与えそうです。しかし、実際は「自動車」「家電」など、日本の代表的な企業が輸出しているような商品の価格が上がってしまうのです。

そのため、円高になってしまうと海外で日本のものが売れなくなってしまいます。(逆に、海外のものは安く買える)

もしも、日本のものが売れなくなるとどうなるのか?「日本の企業の株価」が下がります。このように一般的に「円高」と「株安」というのは、セットで発生する事が多く、日本の代表的な企業は「輸出」が主な利益になっている企業も少なくないので、円高になってしまうとダイレクトに影響を受けます。

このような理由で、リーマン・ショックによって「日本に不況」がもたらされたのです。リーマン・ショックは一例であり、アメリカやヨーロッパなどの国を含む大きな経済力を持っている国で、何か起こると必ず世界的に大きな影響を与えると言ってよいでしょう。

そのため、投資を行っている方は「経済危機」についてしっかりと警戒しておく必要があると言えます。

株式・不動産は影響を受けやすい

経済危機が発生すると、必ずと言っていいほど影響を受けるのが「株式」と「不動産」です。代表的な投資対象であるため経済危機が発生した際に、株式・不動産の動向についてはしっかりと見守る必要があると言えるでしょう。

これから、株式と不動産が影響を受けやすい理由についてご紹介していきます。

株式が影響を受けやすい理由

株式が影響を受けやすい理由をはっきりさせるには「株式というのは、そもそもどんなものなのか?」という点に押さえるとしっかりと理解する事が可能だと思います。

株式というのは、そもそも「会社を所有する権利」だと言えます。というのも、株式とは「株式会社」が設立される際に発行されるものであり、発行した株式を様々な人に売却する事で「資金調達」を行う事が目的で、開発されました。

「株式を保有している人」つまり「株主」は、その株式会社に出資しているような立場です。なので、保有している株式の会社に影響力も持っていたり、50%を超えると事実上のオーナーになる事も可能です。では、なぜそもそも「株式」を購入するのでしょうか?

それは、株式を保有しておくことで「利益を配当」して貰うことが可能だからです。例えば、会社が100万円を売り上げたとして、30万円が余るとします。その余ったお金を「株主」で分け合う事が可能で、このような株主が得られる利益の事を「配当金」と言います。(配当金に当てる割合は、会社によって異なります)

そのため、株式というのは「会社の権利」を保有する事が出来るものであり、その権利を売買するのが「株式市場」です。

株式会社というのは、株主に利益を還元する事が1つの使命なので、経済活動をしてしっかりと利益を出していかないといけません。もし、その作業を怠ってしまうと株主が「売り」を初めて、自分の会社の価値が下がってしまうからです。

しかし、経済危機が起こってしまうと、経済活動を行って利益を出していく企業に少なからず影響を与えます。例えば、自動車を輸入している企業だと、円高になれば車が売れなくなり、利益が出にくくなってしまうです。

利益が出にくくなる=株式が売られるため、株の値段が下がってしまい「株安」という状態になります。つまり、株式会社というのは「経済活動を頻繁に行う」存在なので、経済危機が起こってしまうと経済活動に大きな影響を与えてしまい、影響を受けやすいのです。

不動産が影響を受けやすい理由

次に、不動産が影響を受けやすい理由についてご紹介していきたいと思います。不動産が影響を受けやすい理由を簡単にまとめると「巨大な産業である」という点と「融資を受ける」という点が大きいと思います。

まず、巨大な産業という点について触れていきます。不動産業の生産額は、毎年GDPの「10%~15%」程度の規模であり、様々な産業が存在する中でかなり大きな割合を占めています。そのため、必然的に「経済状況」に影響を受けやすく、逆に言うと「不動産が経済に影響を与えやすい産業」とも言えるでしょう。

例えば、日本のバブルも「不動産投資」が、かなり加熱していました。アメリカのリーマン・ショックに関しても、元は不動産が原因だったと言えます。不動産はそもそも「経済に影響を受けやすく・与えやすい存在」なのです。

また「融資を受ける」というのも、不動産が経済危機の影響を受けやすい原因だと言えるでしょう。マイホームを手に入れるなら「住宅ローン」の融資を受ける事が一般的ですし、不動産投資を行う際も金融機関から融資を受けて、レバレッジを掛ける事で効率的に運用するケースが多いです。

しかし、経済危機が発生すると金融機関は、経済危機が発生したという不安から「融資を見送る・拒否」する事が多くなります。そうなってくると「不動産が購入されない」という状況が続いてしまうので、不動産価格の下落が起こってしまうのでしょう。

大きなバブルは「不動産」が関連している事も少なくありません。不動産投資を行っている方は、バブルに飲み込まれないように、慎重に投資を行う必要があるでしょう。

まとめ

リーマン・ショックとは?

  • サブプライムローンが原因
  • サブプライムローンが証券化され、投資家に沢山販売された
  • リスクが表に出てくると、投資家の売りが始まり、市場が大混乱
  • 不動産の証券化を得意としていたリーマン・ショックは大きな打撃を受ける

なぜ、経済危機は広がるのか?

  • 日本はサブプライムローンに直接的な影響を受けていない
  • しかし、円高・株安の流れになった
  • 直接関係なくても、経済危機は広がる

株式・不動産が影響を受けやすい理由

  • 株式会社は利益を目的に経済活動をするから
  • 不動産は経済と深く関わっており、経済危機が起こると融資も受けにくくなる

リーマン・ショックのような経済危機を予測することは難しいですが、一部ではサブプライムローンの問題点を見抜いて、予め売りを設定していた人やサブプライムローン関連に対してCDSを掛けていた人は、大きな利益を挙げたと言われています。

また、ウォーレン・バフェットは、リーマン・ショックによって大きく株価を下げたゴールドマン・サックスの株を、リーマン・ショック直後に大量に保有し、ゴールドマン・サックスの株価が回復した現在では、大きな利益を上げているようです。

経済危機は一見、投資家にとってピンチのように感じられますが、予測出来ると「チャンス」に大きく変化するのです。経済危機について警戒しつつ、ここぞというチャンスに備えて、準備をしていくというのも1つの投資法かもしれません。

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