これからiDeCoを始める人が押さえておかなければならないことを徹底解説!

年金2000万円問題が出てから、自身の老後の資産をいかにして自分で作って備えていかなければならないかという問題に直面しているところがあります。

しかし、40代・50代の人の約6割以上の人が「老後の備えを全くしていない」という驚きの結果が出ています。

そんな状況の中で、老後2000万円問題(意図的に報告を取り下げられた)が登場してから個人でどのように老後資産を形成していけばよいかといったところで、iDeCoや企業年金が注目されるようになりました。

今回は、個人型の確定拠出年金である「iDeCo」がどのような制度なのかについて、解説していきます。

1.iDeCoを始めるまでの流れ

iDeCoを始まるにあたって、まずはどのような制度であるかを理解したうえで、開始するまでにどのような流れになっているかを確認することが大切です。

(!)個人型確定拠出年金(iDeCo)とはどのような制度か?

個人型確定拠出年金(iDeCo)とは。確定拠出年金の一つで、運用方法を自分で決定して、その運用決壊基づいて60歳以降に年金又は一時金として受け取ることが出来る仕組みとなります。

個人型なので、掛金は毎月自分で拠出することになります。なお、掛金は「小規模企業共済等掛金控除」として、所得控除の対象となります。

なお、毎月拠出することが出来る掛金は上限が設定されており。その上限を超える金額を拠出することが出来ません。

【iDeCoの毎月の掛金上限】

職業 上限金額
会社員(企業年金あり) 12,000円 又は 20,000円
会社員(企業年金なし) 23,000円
公務員 12,000円
自営業者 68,000円
専業主婦(夫) 23,000円

 

【掛金についての注意点】

ア 掛金の拠出について、休止・再開はいつでも行うことが出来ます。

イ 掛金の納付方法は、口座引き落とし又は給与天引きのいずれかを選択することが出来ます。

ウ 口座引き落としを選択した場合、口座から引き落としが出来なかった場合はその月運の掛け金については「未納」扱いされます。

エ 掛金の金額の変更は年に1回のみ認められます。

(2)iDeCoの運用を行う口座を開設する

iDeCoは専用の口座で資産運用等を行います。そのため、まずはiDeCo口座を開設するための金融機関を決定しなければなりません。詳しい内容は後程、解説します。

(3)加入申込書類の記入・提出

加入申込書類については、ネットで入力して送信するか、金融機関のコールセンターに請求することで資料と申込書類一式を郵送してもらうかのいずれかで行います。

【加入申込書類等について】

加入申込書類はネット上で行うか、直接金融機関から取り寄せるかのいずれかの方法で行いますが、「会社員・公務員」の場合は「職場の証明」が必要となります。

「事業所登録申請書件第2号加入者に係る事業主の証明書」といわれる書類に、会社の印を押印してもらう必要があります。そして、その会社等において「初めてiDeCoの加入者」となる場合は、会社の事業主が「事業所登録申請書」と「事業主の証明書」を金融機関へ提出しなければなりません。

(4)掛け金の引き落とし方法の決定

加入申出書の中に、毎月の掛け金の引き落とし方法を記載するところがあります。掛け金の引き落とし方法には「口座引き落とし」と「会社の給与から天引きする」という2つの方法があります。

(5)毎月の掛け金の金額と運用方法を決定する

掛金の引き落とし方法を決定しましたら、次は、毎月に掛金をいくらにするのか?そして、その掛金の運用方法を具体的にどのようにしていくのかを決めていきます。

具体的な内容については、「3.iDeCoで取り扱われている金融商品」で解説します。

(6)口座開設完了の通知が来るのを待つ

書類を提出して、口座開設が完了するまでに約2~3ヶ月かかります。そのため、口座開設完了通知が来たら、すぐに掛け金の引き落としができるように入金をしていくようにしましょう。

2.iDeCoを取り扱っているところ

iDeCoを取り扱っているところは、基本的に金融機関です。そのため、「銀行」「証券会社」「信託会社」などの金融機関で様々なキャンペーンなどを謳って新規の利用者獲得に躍起になっているかと思います。

 

【iDeCoの金融機関を選択するうえでのポイント】

iDeCoを始めるにあたっては、様々な金融機関で取り扱いがあります。そこで、どの金融機関を選ぶべきなのかについて、いくつかのポイントから解説していきます。

  • 運用商品について

運用商品は、金融機関によって最も特徴が出る部分といえます。そのため、どの金融機関でiDeCo口座の開設を使用かを考えていくうえで、もっとも大きな判断材料になってくるものではないかと考えられます。

当然ですが、金融機関ごとに取り扱っている商品は異なるので、どこまでiDeCoにお金を回すことが出来るかなど総合的に判断したうえでの決定をすることが望ましいです。

  • サポートサービスについて

サポートサービスについてですが、これは。各金融機関のサイトなどでどのようなサービスがあるかを確認することから始まるといえます。注目すべきポイントとしては「画面が分かりやすいものになっているか?」「コールセンターの受付時間はどうなっているか?」「店頭において制度説明・申し込み手続きをすることが出来るか?」などがあげられます。

  • 費用について

運用商品の種類と同じくらいに重要な要素として、口座管理料や信託報酬といったコスト面がどうなっているかについても併せて確認するようにしてください。

また、加入時、、受取時、他社へ残高を移行するときなどにおいて、コストがどれくらい発生するかなどについても併せて確認しておく必要があります。

3.iDeCoで取り扱われている金融商品

iDeCoで取り扱うことが出来る金融商品には、株式や投資信託、定期預金など、様々なものがありますが、いずれの商品においても、金融機関によって異なる特徴があります。

(投資信託)

投資信託(ファンド)とは、投資家から集めたお金を基に、資産運用の専門家が投資・運用をして、その運用成果について、投資額に応じて分配される仕組みの金融商品です。そのため、元本が保証されている金融商品ではありません。

投資信託は「投資信託運用会社」で作られ、主に証券会社や銀行などの金融機関が販売会社となって販売を行い、投資家からお金を集めます。

その集められたお金が一つにまとめられ、資産管理を専門として行う信託銀行に保安してもらい、その保管された資産を運用会社はどのように投資するかを立案し、その投資内容について信託銀行に運用指図を行い、その運用先として株式や債券などがあります。

(株式)

株式投資は、企業が発行した株式を購入することで、その会社が業績が良かった場合に支払う配当を受ける権利を持つことが出来ます。

株式とは、会社が新規事業を立ち上げたり、事業を新たに展開しようとするときの資金調達の手法の一つとして発行するものです。

出資者である投資家がお金を出して株式を購入し、企業はそのお金を事業資金などとに運用していきます。

株式を持っている人(株主)に対して、企業は配当金として、利益の一部を支払い、また、株主限定で様々なサービスを受けることが出来る(株主優待)制度などがあります。

株式の場合、購入した金額よりも株価が高い時に売却することで得られる売買益で収益を上げていく手法となりますので、その株式の企業の業績や業界の状況などによって、株価が大きく変動することがあります。そのため、大きく利益を上げることが出来る反面、大きな損失が発生する可能性がある、いわゆる「ハイリスク・ハイリターン」の金融商品といえます。

株式投資は、日本の企業に対して行うか、また、海外の企業の株式に投資するかで、リスクやリターンの割合が異なるため、安全性を重視するのであれば、国内株式の投資をする方が多く、比較的リスクを取ることが出来る人であれば、外貨建ての株式に投資する人が多いといわれています。

(債券)

債券投資は、債券と呼ばれる国や企業が資金を集めるために発行している借用書を購入することを言います。

債券には当然ですが、返済義務があるわけで、企業や国は投資家に対して、一定期日までに債権の券面に記載されている額面金額を返済しなければなりません。基本的に、債券の場合、満期になったときに全額支払われることになっているものがほとんどです。そういう意味では、元本保証がされている商品といえます。

また、債券は購入時点で決められて期日に利息(金利)を受け取ることが出来るようになっています。債権が満期になり償還されるまでの期間内において、決まった期日に利息を受け取ることが出来るという点では、定期預金などと同じといえます。

定期預金と大きく異なる点としては「利率が違う」ことです。銀行に預入れても年0.01%ほどの金利しかつかないのに対して、債権の額面に対する利率は約2~3%と銀行に預入れるよりも高い金利を受け取ることが出来ますが、その債権の企業が業績悪化により、倒産してしまうとS¥利息を受け取ることが出来なくなるというリスクを併せ持っているといえます。

また、債券についても、国内企業が発行している債券と海外の企業や国が発行している債券があり、これらの違いも金利にあります。そのため、株式投資のところでもお話しましたが、安全性を優先するのであれば、国内の企業が発行している債券を選択する人が多く、リスク許容度が高い人であれば、海外の企業や国が発行する債権に投資する人が多いといえます。

(定期貯金)

定期預金は、銀行が行っている定期預金口座に預入れて、その預入れている期間中に発生する利息を受け取ることで利益を上げていく金融商品です。

昨今の金利を考えてみると、0.01%とかなり低い金利が続いているため、国内の銀行に預入れることによるメリットがほとんどなくなってきたのではないかと思いますが、海外の銀行の場合は、日本国内の銀行の金利に比べると、高めに設定されているものが多く、日本国内の銀行でも、海外の銀行口座を開設することが出来るところも多くなっています。

4.運用先を選択するうえでの注意点

では、実際に運用先を決めるにあたってどういったところに注意を払う必要があるのでしょうか?先ほど、金融機関を選択するうえでのポイントの中でもいくつか記載している内容と重なる部分もありますが、運用先を選択するという、実際に自分の資産をどの様に運用すべきかという部分を意識して考えてみると、気を付けなければならないポイントは異なってきます。

・運用先の種類は法令上3種類以上35種類まで

運用先の種類は金融機関ごとに異なりますが、種類の数については3種類以上35種類以内と差だえられており、最低1つ以上については元本が保証されている商品でなければならないとされています。

・運用先のポイントは「長期」「分散」「積立」

iDeCoは60歳になるまで解約をすることが出来ないため、運用期間も長期になります。そのたM、長期的に運用することが出来るものであり、かつ、確実に積立が出来るものでなければなりません。さらに、リスクをなるべく少なくするために分散投資を行うことが望ましいとも言えます。

以上のことから、運用先を決める際には「長期」「分散」「積立」の3つの要素を考慮したうえで、自分のペースで運用を進められるものを組み合わせて選択していくことが大切であるといえます。

・投資スタイルによる運用先の選定

運用商品の投資スタイルは「パッシブ型」「アクティブ型」の2つに分かれます。

(パッシブ型)

投資対象とする市場の動きを示す代表的な指標(インデックス)と、同じ値動きを目指して運用する手法のことで、インデックス型ともいわれます。

代表的な指標として、「日経平均株価」または「TOPIX(東証株価指数)」といった指標と連動する値動きを目指すものが多くみられます。

(アクティブ型)

投資対象とする市場のインデックスを中長期的に上回る運用成果を目指します。

主に国内株式に投資する投資信託であれば、日経平均株価やTOPIXを上回るリターンを得ることを目指します。そのためにファンドマネージャーなどの運用の専門家が、独自の視点と分析で高い成長性が期待できる銘柄(企業の株式)を複数選んで運用します。

・リスク許容度を把握しておくことが大切

運用先を決めるうえで、もっとも重要なことの一つに「リスク許容度」がどれくらいなのかを把握しておくことがあります。

リスク許容度が高い人であれば、積極的にハイリスク・ハイリターンの金融商品の構成割合を高めにして、運用収益が高くなるようにしていきますが、逆に安定志向の人や経験がほとんどないような人であれば、安全性を重視するため、リスク許容度も小さくなり、得られる収益は少なくなります。当然ですが、リスク強度が高い人の方が、大きな利益が出る可能性がある反面、大きな損失が出る可能性もありますが、リスク許容度が小さい人は、小さな利益しか出ないが、その分、大きな損失が出る可能性は少ないとも言えます。

また、性格的な面からもリスク許容度がどれくらいであるかを考慮したうえで、運用先の商品の組み合わせなどについて考えていくことが望まれます。

当然ですが、iDeCoを始めた時期がいつ頃であるかによっても、運用商品の組み合わせが変わってきます。長期的に運用することが見込めるのであれば、長期的に運用が可能な金融資産を中心に組み込み、そして、安全性を併せ持つような組み合わせになるところですが、40代以降の方であれば、運用期間が短くなるため、長期的な運用商品というよりは、比較的短期間で安定した収益を見込めるような商品を組み合わせていく傾向が強くなってきます。

また、現状の資産状況などもリスク許容度を図るうえで重要な要素となります。

5.まとめ

iDeCoは老後資金対策として有効な方法の一つですが、まずは、口座開設をする金融機関をどこにするかを真剣に考えて決めることから始まります。ここで選択を間違えてしまうと、一生涯その金融機関でiDeCoの資産運用などを行わなければならなくなります。

そう考えると、iDeCoを始めるにあたって、何を最も重視しているのか?(運用コストなのか?運用商品の種類の数なのか?など)によって、運用先まで併せて考えていくことが最も望ましいことになりますが、運用先については自分自身の自己責任において行わなければならないことを忘れないようにしてください。

iDeCoのほかにも企業年金(企業型DCなど)についても、有効活用することで、分散投資につなげていくことこそが、老後資金対策としては最も大切なことであり、重要なことでもあります。

近年の年金制度の根幹を揺るがすような出来事が相次いでいる中で、自分の資産を自分の力で増やしていく志向はより一層強まってきます。そうするうえでも、iDeCoなどの仕組みをしっかり理解しておかなければ、自分の資産を増やすどころか、目減りさせてしまいかねませんので、押さえるべきポイントをしっかり押さえて活用するようにしてください。

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