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不動産投資には高額な資金がかかるイメージが強く、色々な投資方法がある中でも敬遠されてしまう投資方法の1つであります。最近ではローンを組むことによって比較的簡単に始めることができますが、やはり取り扱う金額を考えると、専門知識や経験もなく始めるわけにもいきません。
そんな中、注目されているのが投資信託で始める不動産投資です。
投資信託であれば経験豊富なプロに運営を任せながら、利益を得ることができます。不動産投資の投資信託はリート(REIT)と呼ばれるもので、その他の投資信託同様に少額から始めることが出来ます。
今回は、投資信託リートについてわかりやすく解説していきたいと思います。
不動産投資の概要
不動産投資とは、利益を得ることを目的に不動産を購入することを言います。
利益を得る方法は、
- 物件の売買差額による利益→売買益
- 家賃収入による利益→運用利益
この2つの利益を期待することが主流となっています。
株式やFXなどの金融商品に比べ、低リスクで長期的に安定した収入が狙えることや節税効果も高くなるため、近年では20代のサラリーマンや公務員から幅広い年代に渡って、退職後のビジネスとしても取り組まれています。
不動産投資の資金はどれくらい
不動産はその他の金融商品のように10万、20万、あるいは100万、200万で購入できるものではなく、1,000万、2,000万以上と高額な資金がかかってしまいます。
仮に安い物件を見つけたとしても500万以下で購入できるものは非常に少なくなります。
※戸建・マンションの購入価格の平均
出典:全国宅地建物取引業協会連合会 参考URL
東京都
渋谷区 7,005万円
新宿区 4,350万円
福生市 1,340万円
西多摩郡奥多摩町 780万円
京都府
京都市東山区 8,096万円
与謝郡伊根町 618万円
岩手県
盛岡市 1,780万円
和賀軍西和賀町 480万円
上記の購入平均価格から見てもわかるように、月々少額からローンを組んだとしても完済するまでに何年かかるでしょうか。やはり、金額的な部分で不動産投資をためらう人が多いのもうなずけます。
不動産投資がハードルの高い投資方法として見られているもう1つの理由は、不動産に関する専門的な知識を習得することが容易ではないという点にあります。
投資信託のリートとは
投資信託のリート(REIT)とは、
(リアルエステイト インベストメントトラスト)
を略したものです。
投資信託には、株式、通貨、債券などがあるように不動産に投資できるファンドをリート(REIT)と言います。
リートの種類には、
- 国内の不動産を取り扱った 国内リート(Jリート)
- 海外の不動産を取り扱った 海外リート
と、大きく2つの種類のREITがあります。
リートの投資方法は、
投資家たちから集めた資金をもとに、運用会社が不動産に投資を行い、得られた利益を投資家たちに分配金として還元していく投資方法になります。
運用会社とは、
国内リート(Jリート)の場合は・・・
- 日本ビルファンドマネジメント
- 三井不動産フロンティアマネジメント
- 大和ハウスアセットマネジメント
- 東急不動産リートマネジメント
- 野村不動産投資顧問
などの不動産に特化した投資専門機関が、目的に沿って投資家から集めた資金にて、投資・運用を行っています。
投資家が購入する投資信託はファンドとも呼ばれるもので、
担当のファンドマネージャーの意向や運用会社の方針に従って、投資内容はファンドによってそれぞれ異なるのです。
リートのメリットとデメリット
リートのメリットは、
ファンドにもよりますが、
- 少額からの投資が可能
- 不動産投資の専門家に運用を任せることができる
- 分配金を定期的に受け取ることができる
- ファンドの売買益によって利益を期待することができる
- 初心者でも始めることができる
- 複数の不動産への投資が実現できる
といった内容になり、不動産投資において最もネックとなっていた、資金・専門知識の両方を解決してくれるのです。
反面、リートのデメリットとは、
- リートの中には高額なものも多い
- 専門知識がないので売買のファンドの選び方がわからない
- 分配金が出ない場合もある
- 市場の動きによっては地価が暴落する恐れもある
- 専門知識がないので売買のタイミングがわからない
などといったことが挙げられます。リートだけに限ったことではありませんが、投資という性質上、やはり元本割れのリスクは常にあり、大きな損失を出してしまう可能性も考慮する必要があります。
以上のリートのメリットとデメリットを理解した上で、リートの購入方法やどんなリートがあるのかを見ていきましょう。
リートの購入方法
リートの購入方法は、
リートは株式と同じように、証券として日本証券取引所に上場している金融商品となり、「上場投資信託」「ETF」「REIT」と呼ばれています。それぞれのリートには証券番号がついており、ファンドの購入単価に沿って売買することが出来ます。
上場している証券を取引する為には、証券会社の口座開設が必要になります。すでに証券会社の口座を持っていれば、簡単に始めることができます。ほとんどの証券会社で口座開設は無料です。
市場における売買に自信がない方、不安な方は、
銀行や証券会社などの金融機関にてリートに投資を行う投資信託を選んで投資を実現することが出来ます。
投資信託リートの2つの投資方法をご説明します。
A.市場から直接リートを購入する(ETF リート)
- 不動産に投資をしているリート(不動産投資信託)がある
- リートを直接購入する→東証に上場しているリート証券を市場で直接売買する
B.リートに投資をしている投資信託を購入する(投資信託リート)
- リートに投資をしている運用会社(投資信託ファンド)がある
- 投資信託ファンドを購入する→リートを扱う投資信託を売買する
市場にて直接リートを購入する場合は最低購入単価は数万円~数十万円のものがあり、予算に合わせて選ぶことができます。投資信託でリートを扱うファンドを購入する場合は、ファンドによって1,000円、5,000円くらいから購入することができるから安心です。
それでは、今回は初心者にも購入しやすいリートに投資をしている投資信託ファンドをいくつかご紹介しておきましょう!
投資信託 国内リート
国内の複数の国内リート(Jリート)に投資を行うものです。ファンドの詳細は、2018年11月1日時点での情報を参考にしています。
Jリート・バリューファンド
運用会社/野村アセットマネジメント
主な投資先
ジャパンリアルエステイト投資法人
日本ビルファンド投資法人
野村不動産マスターファンド投資法人
積水ハウスリート投資法人など・・・
価額:9,959円
分配金:15円
決算:毎月18日
最低購入単位:1万円以上
購入手数料:3.24%以内で販売会社による
販売会社
東北銀行、野村証券、エース証券、楽天証券、SBI証券
※今のところ毎月分配金が出ていることが魅力です。10万円分購入したとすれば、来月には約150円の分配金がもらえることになります。分配金を再投資していけば、少しづつ保有額も増えることになりますよね。
三菱UFJ J-REITインデックスファンド
運用会社/三菱UFJ国際投信
主な投資先
日本ビルファンド投資法人
ジャパンリアルエステイト投資法人
野村不動産マスターファンド投資法人
日本リテールファンド投資法人など・・・
価額:25,955円
直近分配金:0円
決算:毎年1月26日
最低購入単位:1円~
購入手数料:なし
販売会社
三菱UFJ、三菱UFJ信託銀行、三菱UFJモルガン・スタンレー証券
※このファンドの運用責任者である松尾勝氏は運用歴30年の超ベテランです。手数料がかからなくて、1円単位で少額から購入できるから嬉しいですね。
明治安田Jリート戦略ファンド
運用会社/明治安田アセットマネジメント
主な投資先
日本リテールファンド投資法人
日本ビルファンド投資法人
ジャパンリアルエステイト投資法人
ケネディクスレジデンシャルネクスト投資法人など・・・
価額:10,627円
直近分配金:200円
決算:毎月18日
最低購入単位:販売会社による
購入手数料:販売会社による
販売会社
岡三証券、カブドットコム証券、松井証券、マネックス証券、愛媛銀行、大牟田柳川信用金庫、その他
※分配金が毎月200円です!Jリートのアナリステックレポートが3か月おきくらいにファンドマネージャー自身から発行されます。運用レポートとは別で見れるのがお得です。参考URL
投資信託 海外リート
では、海外リートに投資を行う投資信託をご紹介します。こちらも2018年11月1日の情報を参考にさせて頂きました。海外リート(外貨建て)の場合は為替差益のリスクを抑えた「為替ヘッジあり」と、為替レートの差益を活かす「為替ヘッジなし」を選ぶことができます。
三菱UFJ先進国リートインデックスファンド
運用会社/三菱UFJ国際投信
主な投資先
日本以外のS&P先進国REITインデックスに連動するリートに投資をしていきます。
SIMON PROPERTY GROUP INC
PROLOGIS INC
PUBLIC STRAGE
など・・・
価額:24,195円
直近分配金:0円
決算:毎年01月05日
最低購入単位:1円以上
購入手数料:なし
販売会社
三菱UFJ、三菱UFJ信託銀行、三菱UFJモルガン・スタンレー証券
※総資産額が2016年あたりから急激に増えてきています。2013年から価額が約11,000円値上がりしているので、長期で狙ってもよさそうですね。
アジア好利回りリートファンド
運用会社/三井住友アセットマネジメント
主な投資先
アジア、オセアニア各国のリートに投資を行います。
香港の商業施設
シンガポール物流施設
オーストラリアの商業施設
など・・・
価額:10,897円
直近分配金:0円
決算:毎年09月12日
最低購入単位:販売会社に問い合わせ
購入手数料:販売会社に問い合わせ
為替ヘッジなし
販売会社
三井住友銀行、松井証券、マネックス証券、カブドットコム証券、楽天証券、その他
※年1回の決算型で今のところ分配金は出ていませんが、総資産額、価額ともに上昇傾向にあり比較的安定した値動きであることがおすすめです。目論見書も詳細がわかりやすく、丁寧に説明してあるので初心者にも読みやすいのが嬉しいですね。
損保ジャパン・グローバルリートファンド
運用/損保ジャパン日本興亜アセットマネジメント
主な投資先
米国リート90% Jリート10%
店舗用リート
住宅用リート
オフィス用リート
価額:10,897円
直近分配金:30円
決算:毎月13日
最低購入単位:販売会社による
購入手数料:3.24%内で販売会社による
為替ヘッジなし
販売会社
イオン銀行、PayPay銀行、スルガ銀行、楽天証券、松井証券、SBI証券、その他
※2018年4月以降から、上昇する気配が強く見られています。分配金があるのも嬉しく、Jリートへの投資も同時に行うのも魅力の1つです。バランスのとれた不動産投資が実現できます。
目論見書の見方
それでは最後に、それぞれのファンドがどのような不動産に投資をしているのかを確認する方法をご紹介しておきたいと思います。いくらプロに任せられるといっても、投資の内容はある程度理解しておきたいものです。
目論見書は、投資信託ファンドのカタログのようなもので、そのファンドの運用方針や詳細が確認できます。全部を読みこなすまでには、少しずつでも勉強していく必要がありますが、投資内容は誰でも簡単に確認することができます。
定期的に発行される運用報告書もオンラインで見れるようになっていますので、これから、投資信託リートを探すにあたって参考になるとおもいます。
目論見書の概要
それぞれファンドや運用会社によって、目論見書の形式は変わりますが、基本的に概要は同じ流れで記載されてあります。
1~3ページ
表紙、ファンド名、運用会社名、ファンドの大まかな紹介などの内容になります。
それから、だいたい以下の順番で数ページづつ詳細が書かれてあります。
- ファンドの特色
- ファンドの目的
- 投資リスク
- 運用実績
- 手続き・手数料
投資内容を確認する
上記の項目の中で、投資内容が確認できるのは「運用実績」の項目になります。
では、実際に「損保ジャパン・グローバルリートファンド」の運用実績のページを見てみましょう。参考URL
以下のようなページになります。
運用実績
運用実績のページから「主な資産の内容」という項目を探して下さい。そこの欄の、上記のように青線と赤線で囲んだところ見てみて下さい。
青線で囲んだ部分
この部分では、米国リートのどのようなタイプの不動産に投資をしているのかが確認できます。
赤線で囲んだ部分
この部分には、具体的な米国リートの投資機関名が書いてあります。この企業に投資をしていることになるのです。そして、それぞれ各リートの不動産のタイプも調べることができます。
そのまま、下のページにスクロールすると、
今度はJリートではどんなリートを選んでいるのかを確認することができます。
Jリートの投資内容
以上の比率の多い順に、
- 日本ビルファンド投資法人
- 野村不動産マスターファンド
- ジャパンリアルエステイト投資法人
- 日本リテールファンド
などと、具体的なリート名を調べることができます。
さらに、例えば日本ビルファンド投資法人はどんな物件を持っているのかを調べたい場合は、オンラインで「日本ビルファンド投資法人」と検索してみます。
その企業の公式サイト→不動産ポートフォリオ(所有物件)を確認してみることも可能なのです。
日本ビルファンドの場合は、物件の約90%が東京都内。
物件名は、
- 六本木ティーキューブ
- 西新宿三井ビルディング
- 三菱重工ビル
- 芝NBFタワー
などと具体的なビル名も調べることができます。
まとめ
以上のように、リートを扱う投資信託を選ぶことで、個人ではけっして実現できない複数の高額不動産への投資が可能となります。
リートへ投資をする場合には、
リート(ETF):不動産に投資をしているリート(投資信託ファンド)を直接市場から購入する方法
投資信託ファンド:複数のリートに投資をしている投資信託ファンドを金融機関から購入する方法
の2つの方法があります。今回は、初心者でも購入しやすいように、リートを扱っている投資信託ファンドをご紹介してみました。少しややこしい関係かもしれませんが、つまりは、不動産投資信託に投資をしているファンドを購入するという内容でした。
数千万円、数億円、数兆円単位の物件に、数千円から投資を行うことができる投資信託なら、専門家に運用を任せながら不動産投資を実現させてくれる心強い投資方法です。
不動産投資が気になる方は、是非この機会に、投資信託リートから始めてみませんか?