【民泊投資】民泊新法とは?簡単にわかりやすく解説します!

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新しい不動産投資として「民泊」を検討する人が増えてきています。近年、国内では外国人観光客の数が急激に増加しており、宿泊施設の需要が高まっていることが注目されています。そこで、いざ民泊投資を始めたいと思った時に気になるのが「民泊新法」です。

民泊を本格的なビジネスとして展開していくためには許可・認可が必要となり、その規定を定めたものが民泊新法です。まだ制定されて間もない制度となりますので、どのような内容なのか疑問に思う人は多いでしょう。

今回は、民泊新法とはどのような内容なのか、簡単にわかりやすく解説いたします。民泊を始めようかと検討中の方はぜひ参考にして下さい。

民泊新法とは

民泊新法とは、宿泊業における規定を定めた住宅宿泊事業法の1つです。2018年6月に、一般住宅を活用して観光客や旅行者などに宿泊サービスを提供する民泊事業に対して定められた新しい法律です。

エアビーに代表される民泊事業は数年前から徐々に話題になっていましたが、これまでは、本格的なビジネスとしてはまだ確立されていませんでした。というのも、日本は国際化という視点ではかなり遅れており、多くの主要国にて外国人相手に普通に行われている民泊に対する前例がなかったからです。

国際化とともに民泊が開花

これまで、宿泊サービスは一般的に日本人に対するものが主流でした。日本においては、外国人の存在自体がまだ珍しかったのです。

しかし、少子高齢化が加速するにつれ、もはや日本人人口だけでは十分な労働力を確保できない事態に陥りました。そこでようやく日本も鎖国の名残りを残していた国際化への扉を開け始めたのです。

最近ではコンビニや飲食店などで外国人を見かけることが珍しくありません。至るところで日本人ではない人を見かけるようになり、国際化とともに外国人宿泊客を狙った民泊事業がエアビーを先頭に開花していくのです。

民泊を位置づける必要があった

つねに外国人の行き来がある主要国では、民泊が合法の国も多く、仮に違法とされている場合でも、一般の人達が自分の住居を旅行客や短期滞在者に提供することは昔から普通に行われていました。(日本の民泊に対する過剰な態度は世界的に議論の的となったこともあります)

日本はある意味、今回が初めての国際化でしたから、民泊のような行為に対して前例がありません。戸惑った日本は民泊の存在を宿泊業者として正確に位置付ける必要があったのです。このような背景のもとに、新しく制定された法律が「民泊新法」です。

民泊新法とはどんな内容?

Woman
民泊新法とはどんな内容なの?どんな規定があるの?
Expert
民泊新法は大まかにいうと、民泊経営をするには国の認可が必要だと提言したものです。認可を得る際の要件が細かく規定で定められています。民泊をするなら認可をとってルールを守って下さいね、といった内容です。

民泊新法は3種類

民泊新法は、

  • 住宅宿泊事業者→民泊のオーナー
  • 住宅宿泊管理業者→民泊経営を管理する業者
  • 住宅宿泊仲介業者→オーナーと宿泊客、オーナーと不動産会社、オーナーと管理業者などの仲介業を行う業者

以上の3種類に対象を分類して規定が定めてあります。

民泊を管理する国の機関は、国土交通省と観光庁になります。

認可の申請先

民泊事業を行うには認可が必要です。認可の申請先は、事業者の種類によって申請先が以下のように異なります。

  • 民泊のオーナー(住宅宿泊事業者)→自治体
  • 民泊経営の管理業者(住宅宿泊管理業者)→国土交通省
  • 民泊経営の仲介業者(住宅宿泊仲介業者)→観光庁

民泊のオーナーとなる人は、民泊を行う地域の自治体に申請します。今回の記事では、オーナー向け(住宅宿泊事業者向け)の民泊新法を詳しく解説していきます。

民泊新法の概要

では、最初に民泊新法の概要を見ておきましょう。民泊新法の概要をまとめると以下のようになります。

  1. 民泊(住宅宿泊事業)を行う者は事前に届け出が必要
  2. 家主居住型の場合、衛生管理などの適正な措置を義務付ける
  3. 家主不在型の場合は、管理業者に経営の管理を委託することを義務付ける
  4. 都道府県自治体は住宅宿泊業への監督を実施

このように4つの項目に分けて、民泊を経営するにあたって守るべき規定や要件が定められてあるのです。

※民泊新法の概要は国土交通省の民泊ポータルサイトからご確認いただけます。

[国土交通省/民泊ポータルサイト]
http://www.mlit.go.jp/kankocho/minpaku/overview/minpaku/law1.html

住宅宿泊事業法とは民泊新法のこと

民泊新法について情報を調べていると、住宅宿泊事業法という言葉が同時によく出てきます。

Woman
住宅宿泊事業法とは一体何?民泊新法のことなの?
Expert
住宅宿泊事業法とは民泊新法の正式名称です。わかりやすくするために民泊新法というサブタイトルがつけられています。

旅館業と区別する住宅宿泊事業

そもそも国内のホテルや旅館などの宿泊業は、旅館業法によって規定が定められていました。

近年になって一般の住宅を旅行者に貸し出す民泊が普及し始めたわけですが、ホテルや旅館とは経営スタイルが全く異なります。個人や小規模事業者などが気軽に行う民泊に旅館業をそのまま民泊に適用するわけにもいきません。だからといって、放置しておくわけにもいかない、そこで「住宅宿泊事業法」を設けて旅館業とは区別されることになったのです。

ですから、この住宅宿泊事業(民泊)とは、あくまでも原則として居住用の施設を宿泊として貸し出す事業であることを意味しています。

住宅宿泊業は経営に制限がある

住宅宿泊業が一般の旅館業と大きく異なるのは、届出を申請するだけで宿泊業の経営ができるかわりに、経営に制限が設けてあることです。

住宅宿泊業にて宿泊サービスの提供ができるのは年間で180日未満と定められています。ですから、民泊投資として本格的な経営を目指す方は旅館業の認可を取得しておいた方が有利です。(賃貸と並行してたまに民泊を行うという方法もあります)

住宅宿泊事業(民泊)の対象となる住宅

では、住宅宿泊事業(民泊)の対象となる住宅とはどのようなものを指すのか、詳しく見ていきましょう。

住宅宿泊事業の設備要件

民泊の届出を行う住宅は、

台所・浴室・トイレ・洗面設備

これら4つの設備を有していることが最低条件とされています。

※必ずしも1つの建物内にすべてが設けてある必要はありません。例えば、隣の建物、2,3軒離れた場所であっても常識的に容易に使える環境にあれば問題ないとされています。

※浴室に関しては、浴槽がなくともシャワーがあれば要件を満たすとなっています。

住宅宿泊事業の住宅の概念とは

住宅宿泊事業でいうところの住宅とは、以下の3つのいずれかに該当するものと定められています。

  1. 現在、生活の本拠として使用されている家屋
  2. 入居者の募集が行われている家屋
  3. 定期的に居住用として使われている家屋

※社宅・寮・保養所に分類される設備についても、使用状況により上記の住宅に該当するものもあります。

住宅宿泊事業者の義務とは

次に、住宅宿泊事業法によって定められてある、住宅宿泊事業者の義務について解説していきます。

①衛生管理

原則として床面積は3.3㎡以上を確保し、清掃・換気を行う義務があります。

②安全の確保

民泊経営にあたっては、

非常用照明器具、避難経路、災害時の指導などを図り、安全を確保しなければなりません。

③外国人に対する利便性の確保

民泊のオーナーは、外国人宿泊者に対し3つの対策を行う義務があります。

  • 外国語による設備・器機の使用方法の案内
  • 外国語による移動・交通情報に関する案内
  • 外国語による災害・緊急時の案内

これらの案内は、筆記でもよいとされています。

④宿泊者名簿

民泊のオーナーは宿泊者名簿を作成しなければなりません。名簿作成に関してはいくつか規定があります。

  • 本人確認を行う
  • 作成日から3年間保存する
  • 宿泊者の氏名、住所、職業及び宿泊日を記載する
  • 外国人の場合はパスポート、旅券番号を確認・記載する
⑤周辺地域への配慮

また、民泊のオーナーは周辺地域の住民に対して、民泊によって悪影響を与えることがないよう配慮する必要があります。

宿泊客による、騒音、ごみの不法投棄、火災などに対して事前に注意しておくことが義務づけられています。

⑥苦情への対応

周辺地域への配慮を怠らないと同時に、万が一苦情があった場合の対応についても規定があります。

  • 常時、苦情に対応できるような措置をとっておくこと
  • 宿泊者が滞在していない時でも連絡がとれること
  • 誠意かつ適切に対処していくこと

などが注意喚起されています。

ここまでの民泊新法の内容は民泊ポータルサイトからさらに詳しくご確認頂けます。
[国土交通省/民泊ポータルサイト/住宅宿泊事業者の義務]
http://www.mlit.go.jp/kankocho/minpaku/business/host/responsibility01.html

住宅宿泊事業の申請方法

民泊経営に関する要件を確認し、問題がなければ地域の自治体に「住宅宿泊事業(民泊)の届出」を申請します。

申請前に確認しておく事項

申請前に以下の状況にあるオーナーは確認しておく事項があります。

  • 届出人が賃貸・転借物件にて民泊を行う場合は転貸承諾を得ていること
  • 民泊を行う物件の管理会社の許可を得ていること
  • 消防法に基づいた災害対策の措置が済んでいること

※民泊における消防用設備の設置に関する規定は、こちらからご確認頂けます。
https://www.fdma.go.jp/mission/prevention/suisin/items/minpaku_leaf_setubi.pdf

申請の大まかな流れ

申請の大まかな流れは、

  1. 住宅宿泊事業の要件を確認する
  2. 民泊を行う地域の自治体を調べる
  3. 自治体の窓口にて申請書を提出する
  4. 行政機関から認可の通知が郵送される
必要な書類

申請に必要な書類は、自治体によって多少異なりますが、基本的に以下のとおりです。

  • 登記事項証明書(賃貸の場合は転貸承諾書)
  • 申請する住宅が民泊新法で定めた住宅の要件に該当すると証明するもの(入居者募集の広告など)
  • 住宅の図面
  • 管理業者に委託する場合は書面の写し

※必要な書類・手続きなどの詳細はこちらからご確認下さい。

※民泊を始める際の認可、注意点、申請方法に関する記事がこちらからもご覧いただけます。

民泊で必要な認可の種類

民泊経営において認可が必要であることなどを規定した法律が民泊新法(住宅宿泊事業法)であることを解説してきました。民泊は、ホテルや旅館などの宿泊業に比べると届出を提出するだけで気軽に誰でも開始することが可能ですが、制限を受けてしまいます。

そこで、民泊経営では住宅宿泊事業法以外の認可も考慮していくことが欠かせません。民泊を行うことができる認可は民泊新法も含めて3種類あります。

では、民泊で必要な認可の種類と営業制限の有無などをご紹介していおきましょう。

民泊の3つの認可

民泊新法

民泊の最も一般的な認可が民泊新法です。民泊新法では今回ご紹介したように年間で180日以内の営業であることが制限されています。

民泊新法でも全く問題ないといえる方は、

  • 賃貸経営をしている方で空室が出た時に民泊を行う
  • 現在、居住している住宅の空き部屋を活用する
  • セカンドハウスや実家の空き家などをたまに民泊で活用する
  • 趣味や交流活動の一環として民泊を行う

などを目的にしたオーナーです。

特区民泊

特区民泊とは、国の政策として自治体が観光事業に力を入れている地域で行う民泊のことをいいます。特区民泊とは民泊新法とは別で旅館業法の特例として定められた法律です。

特区民泊とは正確には国家戦略特別区域法によって定められている民泊です。特区民泊であれば、2泊3日以上の最低宿泊数があるのみです。365日、年間を通して営業してもよいとされています。ただし、民泊を行いたい地域が特区民泊の認定を受けていることが条件となります。

現時点で特区民泊に認定されてある自治体は、

新潟市、千葉市、東京都大田区、大阪府34市町村(大阪市)、北九州市

以上の地域です。それ以外の地域の方でも、民泊は現在進行形で加速している制度ですので、こまめに自治体の情報を確認するようにしましょう。(補助金などのお得な情報も調べてみて下さい)

旅館業法

本格的に利益を追求して民泊事業を行っていきたい方は、旅館業法の許可を取る方が無難です。その方が賃貸経営と併用したり、ホテル業・旅館業・寮や保養所などに展開できたりと選択肢が拡がります。

民泊経営を無制限で行う際の認可は、旅館業法の「簡易宿所」の許可です。簡易宿所の許可を取るためには、保健所の現場調査を経なければならず時間も手間も民泊新法の数倍かかってしまいます。

しかし、一旦許可さえおりれば、自由に制限を受けずに民泊事業を行うことが可能です。

※旅館業法は厚生労働省の管轄です。詳しくは、厚生労働省の「簡易宿所営業の許可取得の手引き」からご覧になれます。
https://www.mhlw.go.jp/content/11130500/000307696.pdf

※民泊の3つの認可の種類についてこちらで詳しく解説しています。

※民泊新法と旅館業法の違いについて、詳しく調べたい方はこちらをご覧ください。

違法するとどうなる?

民泊は、以前はビジネスとして確立されておらず、賃貸経営や友人・知人に部屋を貸す延長線上にある曖昧なものもあったことから現在でも認可をとらないグレーな民泊は存在します。原則として、認可のない民泊は違法です。

では、違法にて民泊を行った場合はどうなるのでしょうか。

違法民泊を行った際の罰則が旅館業法・民泊新法によって定められています。

違法住宅宿泊事業の罰則一覧

虚偽の届出・業務停止に違反した場合

6か月以下の懲役、もしくは100蔓延以下の罰金または併料

管理業者・仲介業者への委託義務に違反した場合

50万円以下の罰金

民泊の認可後に業務に虚偽・違反があった場合

30万円以下の罰金

民泊事業の廃止届けに虚位・違反があった場合

20万円以下の罰金

罰金が発生するポイントとしては、注意喚起があった後、どのように対処したかによって罰金の金額が異なるので迅速に誠意をもって応対するよう注意しましょう。(本格的なビジネスでない場合は、抜け道もなきにしも有らずといった状況でしょうか・・・)

違法民泊に対する罰則の一覧は民泊ポータルサイトからもご確認いただけます。

国土交通省/民泊ポータルサイト「住宅宿泊事業者にかかる罰則」

まとめ

今回は民泊をこれから始めたい方のために、民泊新法とは一体どのような法律なのかを解説いたしました。

民泊新法はホテル・旅館などの旅館業法の許可に比べると、誰でも要件を満たし、書類さえ用意すれば認可を取ることが可能です。本格的に宿泊業に力を入れたい方は、ぜひ旅館業の許可を取得しておくことをおすすめいたします。

ただ、冒頭でもご説明しましたように、日本では国際化が始まったばかりです。いまだに外国人の存在自体が珍しがられる地域はたくさんあります。地域住民によっては、根拠のない苦情に悩まされたり、理不尽な言いがかりを受ける可能性もあります。また、自治体によっては民泊や観光事業に消極的な地域もあります。

まずは事前に民泊を行いたい地域でのリサーチや周辺住民へのあいさつ・確認が欠かせません。

そして、起こりうる事故・災害、犯罪にどう対処していくか、あらかじめ十分な対策を考えておくことが民泊経営では非常に重要なポイントとなります。いざという時に、適切に対処できるためにも、今回ご紹介した民泊新法、そして旅館業法の基本的なことを学んでおくことが大切です。

まずは民泊の法的な仕組みを把握し、民泊経営、民泊投資を確実に成功させていきましょう。

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