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クラウドファンディングの業者によっては、高額な不動産にも1万円からの投資が可能です。分配金利回りが高いことも不動産クラウドファンディングの魅力になっていますが、安易に始めて後悔することがないようにしたいものです。
クラウドファンディングはメリットも大きいけれど、デメリットやリスクもそれなりに生じてしまいます。
気軽に不動産投資が始められる不動産クラウドファンディングですが、始める前にどのようなリスクがあるのかを確認しておくことが大切です。損失などのリスクがあることが、あらかじめ分かっていれば安心です。
今回は、これから不動産クラウドファンディング投資を始める人を対象に、考えられるリスクを全部わかりやすく解説していきます。
不動産クラウドファンディングのメリット
本来なら安くても数百万円~数千万円はかかる不動産投資が少額からできるクラウドファンディングは、ある意味、不動産投資業界に革新的なイメージを与えました。
現在はまだ、クラウドファンディングに参入する企業は数えられるほどしかありませんが、大手関連も徐々に参入する動きが見られています。今後は少額からできる不動産クラウドファンディングの市場が活性化することが期待されているようです。
そこで、不動産クラウドファンディングのメリットを最初に見ておきたいと思います。
5つのメリット
少額から不動産に投資ができる!
まず不動産クラウドファンディングの最大のメリットは少額から不動産に投資ができるということです。
これまでもJ‐REIT(不動産投資信託)なら少額からの不動産投資が可能でしたが、やはり数十万円単位のものが多く、10万円以下で購入できるJ-REITは少ないのが現状です。
不動産クラウドファンディングなら、投資する物件や業者にもよりますが、1万円からの投資も可能です。ハードルが高いとされていた不動産投資への扉が多くの人に開かれたことになります。
投資物件の情報が確認できる!
また、不動産クラウドファンディングの魅力になっているのは、投資する物件の情報が確認できることにあります。
物件の施工日、立地、用途、購入価格など詳細を確認できることが投資家意欲をさらに高めてくれます。本当に自分もオーナー(大家さん)の1人になったことを実感することができるのは嬉しいことです。
オンラインで簡単に手続きできる!
もう1つ、不動産クラウドファンディングに人気が集まっている理由として、手続きの簡潔さにあります。
もし、不動産投資を実際に行うのであれば、物件探し、管理会社探しをして、契約、ローンなどと複雑な過程を踏まなければなりません。また、株式やFXのように、まずは証券会社の口座を開設して、ツールの仕組みを覚える必要もありません。
気になる物件が見つかったら、そのサイトに会員登録をして、後はその投資口を購入するだけです。
短期間でも高利回りが期待できる!
さらに、不動産クラウドファンディングではほんの数か月の運用で分配金が得られるというメリットがあります。
これは物件にもよりますが、短いものだと3か月程度の募集企画もあります。長期間のものでも1,2年程度です。運用期間中は分配金を受け取ることができます。
短期間でも高利回りを実現している物件も多いのが大きなメリットです。
時代のニーズに合ったアイデア・企画が探せる!
5つ目のメリットは、やはりクラウドファンディングのようなベンチャー企業にしかできない、アイデアや企画を探せるということです。
大手不動産業者となれば、そう簡単に新奇なアイデアや企画を実施するわけにはいきません。重厚な管理体制、そして資本関係などから、1つの企画を実行するまでには数年かかる場合もあります。
しかし、ベンチャー企業は比較的小規模な企業です。新しい時代に合ったアイデアや企画を実行しやすい環境にあります。
メリットも多いけれど
というように不動産クラウドファンディングはメリットも多いのですが、それなりにリスクも生じます。
そこで、安易に気に入った物件に飛びつく前に、不動産クラウドファンディングのリスクを徹底的に理解しておくことが欠かせないのです。
始める前に抑えておきたいリスク
それでは不動産クラウドファンディングには、どのようなリスクがあるのかを確認していきましょう。
元本と収益
元本保証はない
投資として費やす資金は、それが何であろうと預金とは異なり、元本が完全に100%保証されるものはほとんどありません。
不動産クラウドファンディングでも、投資した1万円、10万円、あるいは100万円が満期日に必ず全額償還されるという補償はないのです。つまり、運用状況によっては大きな損失が出る可能性もあります。
元本割れが生じる要因として
- 投資をした業者の経営不振や破綻によって元本が償還されない場合
- 投資をした物件の運用が悪く収益が得られない場合
- 世界的な経済恐慌によって市場相場が暴落してしまった場合
などが、元本が減少する要因となります。最悪の場合は業者の経営破綻によって会社自体が倒産してしまった場合は1円も償還されない可能性もあります。
収益が出るという保証はない
誰でも、収益を見込むからこそ投資をするわけです。しかし、投資とはそもそも将来がわからないものに資金を提供するものであって、収益が必ず出ると約束されているわけではないのです。
思ったようにその物件の運用が展開しなければ、損失が出る恐れがあるのです。
これは、不動産クラウドファンディングに限ったことではないのですが、いかに将来性や成長性が高いものに投資をするかが非常に重要なポイントになります。
2種類のファンドがある
不動産クラウドファンディングに投資をする際には、2種類のファンドがあることに注意する必要があります。
1つは、不動産運用会社に直接資金を提供する不動産投資型のファンドです。
もう1つは、不動産運用会社に融資を行う金融業者に資金を提供する融資型ファンドがあります。
不動産投資型ファンド
不動産投資型ファンドは、ファンド型の不動産クラウドファンディングとも呼ばれるもので、不動産会社に直接投資を行います。
物件の詳細が詳しく調べられるというメリットがあるのですが、運用状況に左右されやすいというデメリットもあります。
融資型ファンド
融資型の不動産クラウドファンディングはソーシャルレンディング、貸付型、不動産担保型などとも呼ばれているファンドのことです。
この場合、金融業者へ投資を行います。そして、金融業者が不動産会社へ融資をして、そこで得られるローンの返済金や運用収益が投資家に還元される仕組みになっています。
融資型はローンとして最初に一定の条件で貸し付けるため、分配金利回りが変動しづらいというメリットがありますが、不動産会社から思ったように返済額が回収できないというデメリットもあります。
物件情報
また、次に注意しておきたリスクは物件情報に関するリスクです。
不動産クラウドファンディングは、基本的に募集を行う業者のHPにてプロジェクトが公開されています。一般の投資家たちは、この公開された情報を見て、投資する物件を探すわけです。
よくわからないものにお金を使うのは極力避けるようにしましょう。そういった意味では、投資する物件のリサーチは不動産投資においては最も重要となります。
これは、あくまでも自己責任になりますが、もし、業者自体を高く評価していて、その業者が選ぶ物件であれば信用できると思われる方は、詳細がわからなくても投資する場合もあるでしょう。
利回り情報
不動産クラウドファンディングの魅力の1つになっているものが分配金利回りの高さです。その物件のプロジェクトが公開された際には、必ずこの利回り情報が提示されてあります。
しかし、提示されてある利回りとはあくまでも想定利回り率でしかありません。運用前に予想されている利回り率なのです。この想定利回り率を鵜呑みにして投資をすると期待を裏切られる場合があります。
利回り率の種類
つまりこれは不動産投資における表面利回りと呼ばれている数値です。この機会に利回りに関する知識をつけておきましょう。
表面利回りとは、
投資総額(物件の購入金額など)に対して、年間で全室から賃貸収入を得たとした場合の利益率を計算した数値のことです。ですから、実際の収益率とは全く異なる場合も多々あるのです。
空室が出るリスクもありますし、家賃が下がったり、不動産の鑑定評価額が下がる可能性もあります。
実質利回りとは、
実際に運用してみてから、算出される利益率を実質利回りといいます。これが、具体的に得た収入ということになります。
業者のHPを確認すると、すでに終了した物件の利回りがどうだったのかを確認することができます。過去の運用歴を目安にしてみるといいでしょう。
運用状況がよい場合には、もちろん分配金や元本が増える可能性はあるのです。
契約
次に不動産クラウドファンディングのリスクとして気をつけたいのが契約内容です。
不動産クラウドファンディングで、ファンドに投資をするということは、ある特定の条件のもとで契約を交わしているのと同じことです。
法的に有効とされる条件の元で、○○円を○○期間に渡って資金を提供することを約束していることになります。ですから、そのファンドの購入を決意した場合は契約内容をしっかりと確認しておくことが大切です。
満期日の償還方法
まず確認しておきたいのは、満期日がいつなのか、どのような方法で償還されるのかということです。
不動産クラウドファンディグが、株式やFXなどの取引と大きく異なるのは、いつでも好きな時に売買できるわけではない、ということです。あらかじめ契約時に投資期間が定められています。
不動産クラウドファンディングの投資の仕組み
不動産クラウドファンディングの投資の流れを確認しておきましょう。
- 運用予定の物件への投資情報が公開される
- 物件の購入や運用に必要な目標金額に達成する
- 不動産運用が開始される
- 運用中の収益から分配金が支給される
- 運用期間が終了して満期日を迎える
- 満期日に投資金額が償還される
といった流れになります。
注意点
契約上で注意しておくことは、そのプロジェクトの運用は目標金額を達してから開始されるということです。つまり、資金収集が進んでいないプロジェクトはいつまでもたっても運用が始まらないリスクがあります。
また、運用に必要な金額や運用期間が限定されていることから、中途契約ができないものが多くなります。
クーリングオフの対象かどうか
いざ、気に入った物件があって投資を行う場合は、念のためにクーリングオフの対象かどうかも確認しておいた方がいいでしょう。基本的にクーリングオフは契約してから(購入してから)8日以内であれば、無条件に解約できることが法的に認められています。
運用会社
では、最後に不動産クラウドファンディングのリスクとして、運用会社に対するリスクをご説明しておきたいと思います。
冒頭でも軽く触れましたが、不動産クラウドファンディングの業者は、まだ経歴が比較的に浅いベンチャー企業が主流となります。
最近では、大手不動産関連でも参入する動きが見られていますが、大半は2000年代に入ってから新しく設立された企業です。
このように新しいベンチャー企業への投資には、どのようなリスクがあるのでしょうか。
悪質な業者に注意しよう
極端な言い方をすれば、クラウドファンディングは上場していなくとも、法人登録をしていなくとも、だれでも企画立案をして開始することが可能です。
ということは、その仕組みを利用して悪用しようとする悪質な業者も実際にはあります。
クラウドファンディング詐欺の手口を参考までにご紹介しておきます。
クラウドファンディング詐欺
- そのファンドの会社、団体、個人の身元が明確に記載されていない
- その運用会社の実績や経歴に不明点が多い
- 投資の仕組みに不明点が多い
- 問い合わせができない(対応が遅すぎる)
- 入金後(契約後)連絡が取れなくなる
- 募集企画の内容と実際の投資内容が異なる
など・・・
資金を提供しようとしている対象が、どのような人達なのか、どのような会社なのか、どのような物件なのか、どのような企画なのか、事前のリサーチや確認が大切です。
経営不振のリスクは高い
仮に、投資をした不動産業者や金融業者に全く悪意はなかったとしても、歴史が新しい会社が多くなるため、常に経営不振に陥るリスクがあることは否定できません。
不動産クラウドファンディング自体がまだ非常に新しく、前例がないだけに、まだ先のことがわからない部分も多いのです。
そこが不動産クラウドファンディングの大きなメリットでもあり、大きなリスクでもあると言えるのです。
スポンサーや運用方針を調べておこう
このような運用会社に介在するリスクを避けるためにも、企業情報を事前に調べておくことが欠かせません。
しかしながら、どんな大手企業も最初は小さな無名の会社でした。今後大きく飛躍していくベンチャー企業があることも事実です。
スポンサーが不安要素になったとしても、運用方針に説得力があれば、今後の進展を期待することもできるでしょう。これからの時代のニーズに応えることができる運用方針なのかも考慮する材料になると思います。
※参考までに、不動産クラウドファンディングの業者一覧をリサーチにお役立て下さい。
※また、不動産クラウドファンディングの募集企画の見方はこちらを参考にしてみて下さい。
まとめ
今回は、最近話題になっている不動産クラウドファンディングのリスクについて解説いたしました。
少額から不動産のオーナーとして投資ができることは、多くの投資家にとって非常に嬉しいことです。短期間でも高利回りで利益が期待できるのであれば、試しに始めてみたいという人は多いでしょう。
定期預金の金利が、どんなに高くても0.25%~0.30%ぐらいが相場であることを考えると、4.5%~7.0%が利回り相場となる不動産クラウドファンディングは効率のいい気軽な投資方法です。預金という枠を超えて、始めて投資にチャレンジしたい初心者にもおすすめです。
しかし、気軽で簡単、短期で高利回りの裏にはリスクが潜んでいることを理解しておくことが、成功への第一歩となります。ぜひ、この機会にリスクを確認した上で、お気に入りの物件探しを楽しんでみましょう!