オシレーター系テクニカル分析をマスターしよう!

相場の7割はもみ合いだといわれています。そんな値動きが緩慢な時に有効な手法がオシレーター系テクニカル分析です。オシレーター系テクニカル分析にはどのような種類があるのか、メリット・デメリットは何なのかを詳しく解説していきます。

 

オシレーター系テクニカル分析とは

 

テクニカル分析には順張りと逆張りがあります。オシレーター系テクニカル分析は逆張りです。逆張りとは買われすぎで売り、売られすぎで買いを行う取引をいいます。

出典 マネックス証券

 

オシレーター系テクニカル分析はボックス相場で有効

 

相場の7割はもみ合いと言われています。もみ合いとは株価の方向性が出ないことで、値動きも小さくなります。その場合、オシレーター系の勝率は高くなります。ただ、しトレンドが始まり大きく株価が動き出すと含み損を抱えることになります。損切りをしないと大きな損失を抱えてしまう可能性があるので注意が必要です。

オシレーター系テクニカル分析はトレンドの強さや過熱感などの変化を見つける時に便利です。相場の行きすぎを判断し、上昇相場なら下落に転じるポイント、下落相場なら上昇に転じるポイントを示唆してくれます。うまくいけば、安値で買って高値で売ることができるのです。その判断材料としてオシレーター系テクニカル分析は有効です。

オシレーター系テクニカル分析の6種類をご紹介

オシレーター系テクニカル分析といっても多くの種類があるので、次の6つをご案内します。

 

  • RSI(相対力指数)
  • ストキャスティックス
  • サイコロジカルライン
  • 移動平均かいり率
  • MACD(移動平均収束拡散手法)
  • ピボット

 

RSI(相対力指数)

 

RSIはRelative Strength Indexの略で相対力指数と呼ばれ、アメリカのテクニカルアナリストJ.W.ワイルダーが開発しました。

株価が上がる力、株価が下がる力がどのくらい強いかをみる指標です。前日終値に比べていくら上昇したか、いくら下落したかをもとに計算され、現在の相場は上昇と下降どちらに傾いているのかを判断することができます 。

RSIの計算方法は以下のようになります。

RSI(%) = (上昇した日の値上がり幅の合計) ÷ (上昇した日の値上がり幅の合計 +下落した日の値下がり幅の合計) × 100

上昇日 + 下落日の合計は14日が使われるのが一般です。

 

RSIが70~80を超えてくると買われすぎと判断して売りシグナル、20~30を割り込むと売られすぎと判断して買いシグナルと判断します。

 

ただし、逆ばり指標にはよくあることなのですが、株価が急騰した場合や急落した場合、またトレンドを作って大きく動いた時など一方向に大きく動くと 、RSI が100に近づいたり0に近づいたりしたところで、横ばいになり動かなくなることがあります。つまり、株価の値動きがトレンドを作ってしまうと、テクニカル指標として機能しなくなる場合があるのです。 RSI が有効なのは、ボックス相場、または緩やかな値動きの時です。まずはチャートを確認して、もみあいであると判断したところでRSI を使うようにしましょう。

また、一般的には高値圏は70~80、安値圏は20~30と書きましたが、これも銘柄によって異なります。ですから取引しようと考えている銘柄がボックス相場の時にどのぐらいの数値で安値圏、高値圏と判断されているのか調べるようにしましょう。例えば、ある銘柄ではRSI30前後で安値圏から反発する、もしくはRSIが70前後で高値圏と判断されている場合もあるので、銘柄ごとのの数値を確認することが必要です。

出典 野村証券

 

ストキャスティックス

ストキャスティックスは推測統計学という意味で、1950年代にジョージ・レインによって開発されました。

RSIと同じように買われすぎ売られすぎを判断するテクニカル指標です。

過去における高値、安値に対して当日の終値がどの位置にあるかを数値化したもので、「%K」「%D」 を利用したファーストストキャスティックスと 「Slow%K」と「Slow%D」を利用したスローストキャスティックスの2週類があります。 それぞれ見ていきましょう。

ファーストストキャスティックス

「%K」

一定期間内(n日)に動いた値幅の範囲(最高値 ー 最安値)を100とした場合に,直近の終値がその何パーセントのところに位置しているのかを示す数値です。計算式は次のようになります。

(「直近の終値ー過去n日分の安値」÷ 「過去n日分最高値 ー 過去n日分最安値」) × 100

n日は5日、9日、14日を使うのが一般的です。

「%D」

ある期間分の「%K」を 平均化したものとなります。ですから

%D = m日分の%Kの移動平均となります。

m日は通常3日を使います。

計算式は複雑なものの、使い方はシンプルなので安心してください。ストキャスティックスの使い方をご説明させていただきます。

 

出典 自分銀行

 

まず「%K」がどの位置にあるかを把握します。これは RSI と同じ考え方で「%K」も0~100の間を動きます。つまり直近の終値が最高値なら「%K」は100。最安値であれば「%K」はゼロ。最高値と最安値の真ん中であれば「%K」は50になります。

高値圏、安値圏の判断基準としては「80%・20%」「75%・25%」「70%・30%」という組み合わせが一般的です。

そして「%D」は「%K」の移動平均線なので遅れて動きます。例えば株価が下落基調にあれば先に「%K」が下落して「%D」が遅れて下落します。そして株価が反発局面に入ると「%K」が出遅れていた「%D」 を上回ります。ここが買いシグナルとなります。移動平均線でいう「ゴールデンクロス」です。これが図の「①買いシグナル」です。

逆に株価が上昇基調であれば先に「%K」が上昇して「%D」が遅れて上昇します。そして、株価が下落局面に入ると「%K」が出遅れている「%D」 を下回ります。ここが売りシグナルとなります。移動平均線でいう「デッドクロス」です。これが図の「②売りシグナル」となります。

スローストキャスティックス

 

スローストキャスティックスは「Slow%K」と「Slow%D」で表されます。

Slow%K =%D

Slow%D = x日の%Dの移動平均

xは通常3日を使います。

 

出典 マネックス証券

 

ファーストストキャスティックスは反応が早いので短期売買に向いていますが、ダマしが多いのが欠点です。ですから、中長期で投資をする場合にはスローストキャスティックスを使うのが一般的です。

使い方はファーストストキャスティックスと同じです。「Slow%K」が20%以下の時は売られすぎと判断します。そして「Slow%D」が「Slow%K」下から上に抜けたら買いサインです。これは移動平均線のゴールデンクロスと一緒です。

一方で「Slow%K」が80%以上の時は買われすぎと判断します。そして「Slow%K」が「Slow%D」上から下に抜けたら売りサインです。これは移動平均線のデッドクロスと一緒です。

ストキャスティックは2本の線で売りと買いのシグナルを出せるので、 RSI よりも人気がある指標です。ただしこれも RSI 同様、トレンドを作る相場では機能しない場合があり、「%K」が0%や100%に張り付いてしまうこともあります。オシレーター系(逆張り)の指標では全て同じなのですが、まずはトレンドなのかもみ合いなのかを判断するようにしましょう。また 一定期間の数値を変えると売買シグナルも変わってきます。銘柄ごとに合う数値は変わるので個々の銘柄で研究するようにしましょう。

サイコロジカルライン

 

サイコロジカルラインとは、ある一定期間(通常は12日間)の中で、上昇した日が全体の何パーセントになっているかを表したテクニカル指標です。

計算方法は簡単です。

サイコロジカルライン = n日の内上昇した日  ÷ n X 100(%)

n = 12で

3日上昇した場合は

3 ÷ 12 × 100 = 25(%)

サイコロジカルラインは25%となります。

 

サイコロジカルラインは0から100%の間で推移します。50%が普通の状態で25%以下は売られすぎ、75%以上では買われすぎと判断します。

サイコロジカルラインは個別銘柄の分析よりも、日経平均株価などの全体の指数を分析するのによく使われます。 日経平均の日足チャートを見てみましょう。

出典 SBI証券

日経平均は大幅に上昇しています。そしてサイコロジカルラインは80を超えています。サイコロジカルラインでは買われすぎを示しています。 日経平均先物を取引する投資家はよく見ている指標ですので参考にするようにしましょう。

 

移動平均かい離率

 

移動平均かい離率は、株価が移動平均からどれだけ離れているかを数値化したものです。どの程度離れているかによって買われすぎや売られすぎを判断します。移動平均線はトレンドを把握できる便利な指標ですが、価格が急変動した場合にトレンド転換の判断が難しいという弱点があります。買われすぎ・売られすぎを判断できる移動平均線乖離率と合わせるとより精度の高い分析が可能になります。計算式は次のようになります。

移動平均かい離率 = (当日の終値 ー 移動平均値) ÷ 移動平均値) × 100

 

移動平均かい離率は日足の移動平均線を使用します。移動平均線は5日・25日・75日・200日があります。通常、移動平均かい離率が多く使われるのは25日移動平均線です。どの程度のかい離になると高値圏になるのかという目安は、一般に移動平均かい離率が

 

 

①+5%以上は目先調整局面に入る可能性が高い

②+10%以上は天井圏

 

 

と判断します。

 

安値圏では

 

 

 

①-5%以下になると目先反発に転じる

②マイナス10%以下になると底値圏である

 

 

 

と判断します。

 

移動平均乖離率も個別銘柄に使用できますが、銘柄ごとに幅が大きく出来高が薄い新興株だと移動平均かい離率が30~50%程度離れてしまうことも少なくありません。ですから、移動平均かい離率は流動性の高い大型株や日経平均株価など指数に使用する方が適しています。

 

MACD

 

MACDは移動平均収束拡散手法と呼ばれ、短期の移動平均線と長期の移動平均線を使用し、買いと売りを判断します。短期は9日、長期は26日を使うのが一般的です。

 

MACDに使われる移動平均線は、単純移動平均線(SMA)ではなく、指数平滑移動平均線(EMA)を使用します。単純移動平均線では、例えば5日移動平均線だったら5日間の値動きを同じ比重で考えますが、指数平滑移動平均線では新しい価格の方がより影響力が高いという考えから、新しい価格の比重を高めて計算します。つまり、指数平滑移動平均線では5日前の株価より1日前の株価の方をより重視するのです。

 

MACD = 短期EMA (9日)ー 長期EMA(26日)

 

また MACD の移動平均線をシグナルといいます。シグナルの平均期間は通常9日間です。

 

それでは具体例を見てみましょう

 

出典 じぶん銀行

 

① MACD は下向きになっています。また、シグナルの下にあるので相場は弱いと判断します。

 

② MACD がシグナルを下から上へ抜けています。これは移動平均線のゴールデンクロスと同じように買いのタイミングと判断します。

 

③ MACD がシグナルを上から下に抜けています。移動平均線のデッドクロスと同じ売りのタイミングと判断します。

MACD は移動平均線のゴールデンクロス・デッドクロスよりも早めに売買シグナルでます。ですから、トレンドの転換点をいち早く知ることができるのです。ただし、そのぶんダマシも多く発生するリスクがあります。

 

ピボット

 

ピボットはリアクション・トレンド・システムとも呼ばれ、RSIを開発した J・W・ワイルダーによって開発されたテクニカル指標です 。

前日の株価を用いてサポートラインやレジスタンスラインを予測しようという指標で、デイトレーダー向けの分析指標です。

これは当日の値動きを予想するには、昨日の動き中でも高値・安値・終値の3つが一番参考になるだろうという発想から開発されました。計算式は以下のようになります。

出典 カブドットコム証券

 

B1とB2が下値支持線(サポートライン)

S1とS2が上値抵抗線(レジスタンスライン)

 

逆張りでの使用はB1・B2とS1・S2を使用します。

 

B1・ B 2がサポートラインと考えられるので、株価が接近したら買い

S1・S2がレジスタンスラインと考えられるので、株価が接近したら売り

 

といったように使います。

 

HBOPやLBOPを抜けるとトレンドを作って大きく株価が動く可能性があるので、損切り注文を入れるようにします。

 

相場の7割はもみあいになるといわれています。ですから、ピボットは逆張りで仕掛ける目安として有効な指標といえるでしょう。

出典 カブドットコム証券

 

オシレーター系テクニカル分析のメリット・デメリット

テクニカル分析のメリット

 

理解しやすく情報の信頼性が高い

テクニカル分析は計算方法が複雑なものがあるものの、わざわざ自分で計算しないでもネット証券などのチャートで分析することができます。そしてチャートとは過去の株価データです。チャートの見方は異なるもの、株価データは情報の正確性が高いので、信頼性が高くなります。

 

売買タイミングをつかみやすい

テクニカル分析は、具体的な売買ポイントを示してくれます。株価の値動きだけでは、どこが売買ポイントなのか判断するのは困難です。テクニカル分析を利用すれば漠然と取引するのではなく、ポイントを明確にして売買することができるのです。

 

オシレーター系テクニカル分析のメリット

 

オシレーター系テクニカル分析は「下がりすぎた株価の反発」または「上がりすぎた株価の反落」を狙う逆張りで仕掛けるのに適した指標です。ですから相場の値動きが無いもみ合い相場で有効な指標になります。

 

テクニカル分析のデメリット

 

テクニカル分析には様々な指標があります。逆張り指標でも RSI やストキャスティックス、 MACD など様々な指標があります。単独で利用するとダマシが発生することがあるので、2つ以上の指標を使うと、売買シグナルが複数出て判断に迷ってしまうことがあります。情報が多すぎると、取引に迷いが生じてしまう可能性があります。

 

オシレーター系テクニカル分析のデメリット

 

値動きが少ないもみ合い相場では有効なオシレーター系テクニカル分析ですが、トレンド相場では利益をだすことが難しくなります。特にトレンド相場は値動きが荒くなることも多いので、適切な損切り注文を入れておかないと大きな損失を被る可能性があります。

 

まとめ

 

いかがでしたでしょうか。オシレーター系テクニカル分析のうち

 

  • RSI
  • ストキャスティックス
  • サイコロジカルライン
  • 移動平均かいり率
  • MACD
  • ピボット

 

の6指標をご案内させていただきました。それぞれに特徴があるので、自分が投資しようとしている株のテクニカルチャートで是非分析してみてください。

 

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