Webマーケティングは、Web上の接点を使って顧客を集め、成約につなげる一連の取り組みを指します。SEO、広告、SNS、メールといった個別の手法の名前は知られていても、それらがどう噛み合って成果になるのかは説明されないことが多い領域です。この記事では、集客から成約までの流れに沿って、各手法の役割と担当者の仕事内容を整理します。
Webマーケティングが扱う範囲
Webマーケティングは、「サイトに人を集める」ことだけを指すのではありません。実際には次の4つの段階すべてを扱います。
第1段階は見つけてもらうことです。検索、SNS、広告、外部サイトからのリンクなど、自社を知らない人が最初に接触する場所をつくります。
第2段階は理解してもらうことです。訪問した人に、自社が何を提供しているのか、他とどう違うのかを伝えます。ここが弱いと、いくら集めても離脱します。
第3段階は行動してもらうことです。問い合わせ、資料請求、購入など、次に進むための一歩を用意します。
第4段階は関係を続けることです。すぐに決めない人へメールなどで接触を保ち、検討が進んだときに思い出される状態をつくります。
多くの現場では第1段階だけに注力し、残りが手つかずになっています。訪問数が増えても問い合わせが増えないときは、たいてい第2、第3段階に原因があります。
検索から来る流入の仕組み
検索からの流入を扱ううえで、検索エンジンの動きを理解しておく必要があります。Googleは公式ドキュメントで、検索が3つの段階で成り立っていると説明しています。ページを見つけて読み込む「クロール」、内容を解析して保存する「インデックス登録」、そして検索語に応じて結果を返す「検索結果の表示」です。
重要なのは、この3段階のどこかで止まっていると、内容がどれだけ良くても検索結果に出ないという点です。サイトを作ったのに検索で出てこない場合、記事の質の前に、そもそも読み込まれているか、保存されているかを確認する必要があります。
この構造を知っていると、施策の順番が変わります。まず技術的に見つけられる状態を整え、その上で内容を充実させる、という順です。
各手法の役割分担
SEO は、検索されたときに見つかる状態をつくります。効果までに時間がかかりますが、費用をかけ続けなくても流入が続きます。
Web広告 は、費用を払って露出を確保します。出稿した日から表示され、止めれば止まります。速さと制御しやすさが利点です。
SNS は、まだ困りごとを自覚していない層への接触と、既存の関係の維持に向きます。すぐ成約する経路というより、認知と信頼の蓄積を担います。
メール は、すでに接点のある相手との関係を保ちます。新規獲得の手段ではありませんが、検討期間の長い商材では成果への寄与が大きくなります。
これらは代替関係ではなく、担当する段階が違います。広告で集めた人がすぐ決めない場合、その受け皿としてメールが働き、比較のためにサイトの記事が読まれる、という形で連携します。
計測の考え方
Webマーケティングの利点は、行動を数字で追えることです。ただし数字を並べるだけでは判断につながりません。
Googleアナリティクスの公式ヘルプでは、データが「ディメンション」と「指標」で構成されると説明されています。ディメンションはデータの属性を、指標は数量的な測定値を表します。「どのページが」「何回見られたか」でいえば、前半がディメンション、後半が指標です。
実務では、次の順で数字を見ると迷いません。まず成果の数(問い合わせ・購入の件数)、次にその流入元、最後に各段階の通過率です。訪問数から先に見ると、増減の理由を追いきれなくなります。
担当者の仕事内容
Webマーケティング担当者の実務は、次のような作業の組み合わせです。
サイトの記事やページの企画と制作、広告の出稿と予算調整、SNSの投稿と反応の確認、メールの配信、計測ツールの設定と月次のレポート作成、そして結果を踏まえた改善の提案です。
すべてを1人で担うのが難しい場合、外注する部分と自社で持つ部分を分ける判断が必要になります。制作は外部に任せられますが、何を作るかの企画と、結果の解釈は自社に残すのが基本です。ここを外に出すと、成果が出ない理由が社内に蓄積しません。
始めるときの優先順位
これから着手する場合、次の順番が現実的です。
第一に、計測できる状態を作ること。問い合わせ数とその流入元が分かるようにします。ここが無いと、以降のすべての判断が勘になります。
第二に、既にあるページの改善。訪問はあるのに問い合わせに至っていないページがあれば、そこが最も費用対効果の高い改善対象です。
第三に、流入の追加。SEOで時間をかけて増やすか、広告で早く試すかは、成果までに使える時間で決めます。
この記事のまとめ
Webマーケティングは、見つけてもらう・理解してもらう・行動してもらう・関係を続けるという4段階を扱います。SEO、広告、SNS、メールはそれぞれ別の段階を担当しており、競合しません。
検索からの流入は、クロール、インデックス登録、検索結果の表示という仕組みの上に成り立っています。計測は成果の数から逆算して見ると判断につながります。
つまずきやすい3つの箇所
1つ目は、訪問数だけを追ってしまうことです。訪問が増えても問い合わせが増えなければ、事業への貢献はありません。訪問数は途中の指標であり、最終の成果と並べて見る必要があります。
2つ目は、経路ごとの役割を混同することです。SNSに即時の成約を期待したり、リスティング広告に認知拡大を期待したりすると、評価を誤ります。各経路が担当する段階を決めてから、その段階の指標で評価します。
3つ目は、改善の対象を広げすぎることです。同時に複数の変更を入れると、どれが効いたのか分からなくなります。1回の改善では1箇所を変え、結果を確認してから次へ進みます。
外注するときの判断
Webマーケティングは分業が進んでおり、制作、広告運用、記事執筆、解析のそれぞれに専門の事業者があります。すべてを自社で抱える必要はありません。
判断の基準は、その業務が繰り返し発生するかどうかです。毎月発生する広告運用や記事制作は、外注しても社内で仕組みが回ります。一方、サイトの全面改修のように数年に一度の作業は、社内で知見を持つ意味が薄く、外注が合理的です。
ただし、何を作るかの企画と、結果の解釈は社内に残します。ここを外に出すと、成果が出ない理由が社内に蓄積せず、業者を替えても同じ結果になります。依頼するときは、目的と判断基準を文書にして渡すと認識のずれが減ります。
月次で見る項目
Webマーケティングを続けるには、毎月同じ形で数字を見る習慣が要ります。最低限の項目は次のとおりです。
成果の件数:問い合わせ、資料請求、購入など。事業にとっての最終成果を最初に置きます。
流入元ごとの内訳:検索、広告、SNS、直接アクセス、外部サイトからのリンク。どこが増減したかを見ます。
主要ページの状況:訪問の多いページと、成果につながっているページ。この2つは一致しないことが多く、そのずれが改善の手がかりになります。
広告の費用と成果:使った金額と、そこから生まれた成果の件数。
これらを毎月同じ形式で並べておくと、変化に気づけます。形式を変えると比較ができなくなるため、様式は固定します。
社内で共有するときの形
数字を共有する際、レポートが厚いほど良いわけではありません。
有効なのは、結論を先に書く構成です。「今月は問い合わせが増えた/減った。理由は◯◯。来月は△△をする」の3行が先頭にあれば、詳細を読まない人にも伝わります。
そのうえで、判断の根拠となる数字を添えます。数字の定義(何を分母にしているか)を毎回同じ場所に書いておくと、解釈のずれが起きません。
出典と注記
検索の仕組みは Google の公式ドキュメント、ディメンションと指標の説明は Google アナリティクス ヘルプに基づきます。4段階の整理と着手の順番は、当社が支援の現場で用いている考え方であり、公的に定められた区分ではありません。成果が出るまでの期間は事業や競合状況によって変わります。
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