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AI Mode内の広告が10カ国へ。日本が入らない間に決めること

Googleが2026年10月28日、AI Modeの回答の中に出る広告を10カ国へ広げると公表しました。日本は対象外ですが、AI Mode自体は日本語で使えます。この差がどこから来るのかと、対象になる前にできる準備を一次情報から整理します。

Googleは2026年10月28日、AI Modeの回答の中に出る広告を新たに10カ国へ広げると公表しました。挙がっているのはオーストラリア、カナダ、インド、ケニア、マレーシア、ニュージーランド、ナイジェリア、パキスタン、フィリピン、シンガポールです。あわせて、追加の地域としてブラジル、メキシコ、英国などへ Q4 2026 に広げる計画も書かれています。日本は、このどちらにも入っていません。

ここで引きやすい結論が1つあります。「日本ではまだAI検索に広告が出ない」という読み方です。これは正しくありません。Google検索ヘルプの提供範囲の一覧には、AI Modeが使える国として日本が、使える言語として日本語が載っています。画面はすでに日本にあり、来ていないのはその回答の内側に出る広告だけです。そして広告の出口は、内側だけではありません。

この記事では、公式ブログ、Google Ads のヘルプ、Alphabetの第3四半期決算でのCEOの発言という一次情報の範囲だけで、今回増えたものを整理します。そのうえで、日本の広告主がいまどの経路で露出しているのか、対象になる前に決めておけることは何かを見ます。確認日は2026年10月30日で、出典はいずれも英語の原文です。

10カ国の拡大と、同時に出た2つの変更

発表の内容は、提供国の追加だけではありません。公式ブログとヘルプの記載を並べると、次のようになります。

公表されたこと 書かれている状態
AI Mode内の広告の提供国 オーストラリア、カナダ、インド、ケニア、マレーシア、ニュージーランド、ナイジェリア、パキスタン、フィリピン、シンガポールへ拡大
さらなる追加 Q4 2026 に、ブラジル・メキシコ・英国を含む地域へ広げる計画
追加の形式 続けて入力された質問にも広告を出せる multiturn ads を米国で開始
広告であることの表示 「Sponsored」と明確に表示される
日本での提供 記載がありません

multiturn ads は、会話が続いたあとの質問にも広告を出せるようにするものです。発表では米国での開始とだけ書かれており、他の市場へ広げる時期は示されていません。日本の提供予定についても、発表とヘルプのどちらにも記載がありません。ここを推測で埋めると、社内の計画が根拠のない前提に乗ってしまうので、空欄のまま持っておくのが安全です。

もう1つ、見落としやすい点があります。今回の拡大で挙がっているのはすべて英語での提供です。ヘルプの提供範囲の表では、AI Overviews と AI Mode の内側に出る広告は、米国と今回の国々を含めた12市場で、いずれも英語に限られると書かれています。インドネシアは AI Overviews だけ、パキスタンはテキスト広告だけ、という条件も付いています。国の名前が増えたことと、その国の言語で出ることは同じ意味ではありません。

日本の広告主は、すでに別の経路で露出している

ここが実務でいちばん効く部分です。Google Ads のヘルプは、AIによる要約まわりの広告を2つの場所に分けて説明しています。

GoogleのAI機能に出る広告を2つに分けた分岐図。左はAI Overviewsの上下に出る広告で、AI Overviewsが使えるすべての国と地域・すべての言語が対象のため日本も入る。右はAIの回答の中に出る広告で、英語の12市場だけが対象で日本は入らない
同じ「AI検索の広告」でも、提供範囲の条件がまったく違います。今回拡大したのは右側だけです。出典:Google Ads ヘルプ「About ads in AI-powered experiences in Google Search」(確認日 2026-10-30)

1つは、AIによる要約の上または下に出る広告です。こちらは、AI Overviews が使えるすべての国と地域、すべての言語で提供されるとヘルプに書かれています。日本でAI Overviewsが出ている以上、日本の検索広告はこの面にすでに露出していることになります。

もう1つが、回答の内側に出る広告です。今回の10カ国の拡大は、こちらの話です。日本はまだ入っていません。

つまり日本の広告主にとっての現状は、「AI検索に広告が出るのはまだ先」ではなく、「要約の外側にはもう出ていて、内側だけが来ていない」です。この区別が付いていないと、順位やクリック数の変化を説明するときに原因を取り違えます。要約の中からウェブへ送るリンク自体も変わり続けているので、流入側の見方はGoogleがAI検索のリンクを前へ出した5つの変更と合わせて見てください。

手に持った端末にGoogleの検索画面が表示されているイメージ画像
検索の画面のイメージ画像です。AI Modeの実画面や、記事で触れた広告の表示例ではありません。写真: AS Photography(Pexels)

内側に出る広告は、既存のキャンペーンが自動で対象になる

対象の市場になったとき、何を作る必要があるのか。ヘルプの答えは「作らなくてよい」です。既存の検索、ショッピング、Performance Max のキャンペーンが、AI Overviews と AI Mode の内側に出る対象として自動的に適格になると書かれています。新しいキャンペーンも、別の予算も要りません。

既存キャンペーンがAIの回答の中の広告につながる関係図。左は自動的に対象になる検索・ショッピング・Performance Maxのキャンペーン、中央は商業的な意図が明確なときはクエリに直接一致させ、探索的な質問のときはクエリとAIの回答の両方に文脈で一致させるという2つのマッチの仕方、右はテキスト広告とショッピング広告として出てSponsoredのラベルが付くこと
右端の2形式が、いま出せるものです。ローカル在庫広告と車両広告は試験中と書かれています。出典:Google Ads ヘルプ「About ads in AI-powered experiences in Google Search」(確認日 2026-10-30)

広告の当て方は2通りあると説明されています。買う意図がはっきりしているクエリでは、これまでと同じようにクエリに直接当てます。もう一方は、はっきりした購買の言葉が入っていない探索的な質問のときで、クエリとAIが返した回答の両方に文脈で当てる、という書き方になっています。

後者が、運用の前提を静かに変えます。これまでは「どの検索語に当てるか」を考えれば足りました。回答の内容にも当たるのであれば、自社の商品が、AIがその質問に返した説明の流れに乗るかどうかが効いてきます。出稿側で指定できるものではありませんが、商品情報や説明文の書き方が、当たる・当たらないを左右する余地が増えるという意味です。

出る形式は、いまのところテキスト広告とショッピング広告です。ローカル在庫広告や車両広告は試験中とされています。そして表示は「Sponsored」と明確にラベル付けされると発表に書かれています。

公表された数値は、広告の成果ではなく「使われ方」

発表と決算説明には数値がいくつか出ています。ただし、広告の成果を示す数値ではありません。

公表された4つの数値を横長のカード2段で並べた図。AI Modeのクエリは平均で従来の検索の3倍の長さ、世界のAI Mode検索の5分の1が音声か画像か文書を使う、視覚検索は月50 billion回を超えた、検索の売上は第3四半期に前年同期比12%伸びた
4つのうち3つは利用のされ方、1つは売上の伸びです。広告の費用対効果に関する数値は公表されていません。出典:Google 公式ブログ「Ads in AI Mode expand to new markets」とAlphabet 第3四半期決算のCEO発言(いずれも確認日 2026-10-30)

いちばん運用に関わるのは、AI Modeのクエリが平均で従来の検索の3倍の長さだという記述です。長いクエリは、語の完全一致で拾い切れません。だからヘルプの推奨が、部分一致やAI MaxのようなAIを使うターゲティングから始まっているわけです。設定を変える前に自社で検証したい場合は、GoogleがAI Maxの実験と計画のツールを拡張した件で実験の枠組みを確かめられます。

決算説明の側では、世界のAI Mode検索の5分の1が音声・画像・文書を使っていること、視覚検索が月あたり50 billion回を超えたこと、検索の売上が第3四半期に前年同期比で12%伸びたことが述べられています。入力が文字だけではなくなっている、という傾向の裏付けとして読める部分です。数値は原文の表記のまま載せています。単位を日本語へ言い換えると、原文のどの数字を指しているのかが追えなくなるためです。

広告そのものについては、発表に2つの記述があります。AI Modeの中では、Sponsoredの商品一覧と自然検索の商品一覧のクリック率がすでに同程度だということ。そして利用者の受け止めについて、AI Modeの広告を受け入れており関連性が高いと感じている、という調査結果です。

ただし、どちらもGoogle自身の計測と調査です。測定した期間、対象の国、調査の方法、サンプルの規模は公表されていません。CPCや獲得単価への影響も示されていません。社内で共有するときは、「クリック率が同程度」という記述を「成果が同じ」と要約しないでください。別の指標の話になります。

成果は集約されて返ってくる

計測についても、先に知っておいた方がよい記述があります。ヘルプによれば、AI Overviews と AI Mode の中に出た広告の表示回数、クリック数、コンバージョン、費用は、標準のキャンペーンレポートに集約された形で含まれるとされています。広告を出したきっかけになったクエリも、検索語レポートに集約されて入ります。

専用の内訳が提示されているという記述はありません。これは実務上、わりと大きな制約です。「AI Mode経由の獲得単価」を目標値に置こうとしても、その数字を切り出す手段が示されていないからです。対象の市場で運用するチームは、AI Modeを独立した媒体として扱わない前提で指標を設計しておく必要があります。

同じ会話型の面でも、ChatGPT広告が欧州31カ国へ拡大した例では、広告の管理と課金の仕組みが検索広告とは別に用意されていました。会話の中に広告が入るという見た目は似ていても、既存の仕組みに相乗りするのか、別に立ち上がるのかで、準備する内容は変わります。

対象になる前に、やっておけること

日本は現時点で対象外です。それでも準備できることは、ヘルプの推奨事項としてすでに書かれています。どれも対象になってから始めるには重い項目です。

日本の広告主が対象になる前に確かめる5項目のチェックリスト。AIを使うターゲティングで長い会話型のクエリに当たる経路を作る、スマート自動入札とコンバージョン計測を先に整える、テキストのカスタマイズと最終ページURLの拡張を有効にする、Merchant Centerの商品フィードを完全で新しい状態に保つ、AI Mode単独の成果を測る前提で目標を作らない
1〜4はヘルプが挙げている推奨事項です。5はレポートの記述から導いた注意点で、ヘルプが推奨として書いているものではありません。出典:Google Ads ヘルプ「About ads in AI-powered experiences in Google Search」(確認日 2026-10-30)

いちばん時間がかかるのは、2番目のコンバージョン計測です。AIを使うターゲティングは、どの検索語に当てるかを人が指定しない代わりに、何を成果とみなすかの信号を機械へ渡す形になります。計測が粗いまま範囲を広げると、広がった先の判断材料がないまま費用が動きます。順番としては、計測の整備が先です。

3番目のテキストのカスタマイズと最終ページURLの拡張は、見出しや説明文、遷移先を会話的なクエリに合わせるための設定だと書かれています。ここは遷移先のページ側の仕事でもあります。長い質問に対して答えになるページが存在しないなら、設定を有効にしても合わせる先がありません。

4番目のフィードは、ショッピング広告として出る経路の前提です。在庫や価格が古いままのフィードは、AI Modeの対象になった瞬間に露出の機会を失います。

なお、これらを整えたからといって、成果が上がると決まるわけではありません。ヘルプは適格性と推奨設定を示しているだけで、効果について述べているわけではないからです。

記載があること・ないこと

自社の判断に使う前に、一次情報に書かれているかどうかで分けておきます。

項目 一次情報の記載
内側の広告の提供国 米国と今回の国々を含む12市場。いずれも英語
追加予定の地域 ブラジル・メキシコ・英国などへ Q4 2026
対象になるキャンペーン 既存の検索・ショッピング・Performance Max が自動で適格
出せる広告の形式 テキスト広告とショッピング広告。ローカル在庫広告と車両広告は試験中
広告の当て方 クエリに直接、またはクエリとAIの回答の両方に文脈で
表示 「Sponsored」と明確に表示
計測 標準レポートと検索語レポートに集約して含まれる
日本での提供時期 記載がありません
日本語での提供 記載がありません
CPCや獲得単価への影響 記載がありません
クリック率の調査方法・期間 記載がありません
AI Mode単独の内訳レポート 記載がありません

下半分が空いているのは、この種の発表では普通のことです。埋めずに持っておいて、社内で聞かれたときに「公表されていません」と答えられる状態にしておく方が、あとで困りません。

まとめ

今回公表されたのは、AI Modeの回答の内側に出る広告を10カ国へ広げること、Q4 2026 にブラジル・メキシコ・英国などへさらに広げる計画、そして米国での multiturn ads の開始です。日本は提供国に入っておらず、提供時期の記載もありません。

ただし日本の広告主が無関係なわけではありません。AI Overviews の上下に出る広告は、AI Overviews が使えるすべての国と地域、すべての言語で提供されています。日本の検索広告は、すでにその面に出ています。変わるのは「出るかどうか」ではなく「要約の外側か内側か」です。

そして対象になったときにやることは、新しいキャンペーンの作成ではありません。既存のキャンペーンが自動で適格になる代わりに、効いてくるのは計測、入札、フィード、遷移先のページという手前の部分です。AI Modeのクエリが従来の3倍の長さだという記述を踏まえるなら、長い質問に答えられるページと、成果の信号が正しく届く計測を、いま整えておくのが順番として自然です。

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