SEOの作業にChatGPTを使うとき、任せてよい部分と、公式ツールや人の目で確認すべき部分の線引きが重要になります。この記事では工程ごとに使い方を示し、どこで判断を誤りやすいかを解説します。
前提:検索での扱い
Googleは公式ブログで、AI生成コンテンツに関するガイダンスを公開しています。制作の手段ではなく、コンテンツの品質を評価するという趣旨が示されています。
したがって、ChatGPTを使うこと自体が問題になるわけではありません。ただし、中身が薄ければ人が書いても評価されないという点は変わりません。使い方の目標は量産ではなく、同じ時間でより深い内容を作ることに置きます。
キーワード調査での使い方
候補出しには使えます。 「〈対象読者〉が〈テーマ〉について調べるときに検索しそうな言葉を30個」といった形で、幅広く挙げさせられます。専門用語だけでなく、一般的な言い回しも出てくるため、社内の思い込みを外せます。
検索回数は分かりません。 ChatGPTに検索ボリュームを尋ねると、それらしい数字が返ってくることがありますが、根拠がありません。必ず公式のキーワード調査ツールで実数を確認します。
実務の流れとしては、ChatGPTで候補を広げ、公式ツールで実数と競合性を確認し、人が狙う語を決める、という組み合わせになります。
検索意図の整理での使い方
検索する人が何を知りたいかの整理に使えますが、注意点があります。
実際の検索結果は、人が見ます。 ChatGPTに「この語で上位に出るのはどんなページか」と尋ねても、推測が返ってくるだけです。実際に検索して、上位ページが何に答えているかを確認するのは人の作業です。
確認した内容の整理には使えます。 上位ページの見出しを貼り付けて、「共通して扱われている論点」「触れられていない論点」を整理させると、記事の方針が決まります。
構成作成での使い方
たたき台の作成に向きます。指示に含めるのは次の要素です。
対象読者の状況、この記事で答える疑問、伝えたい結論、含めるべき要素、分量の目安、避けたい表現。OpenAIのドキュメントでも、期待する出力と文脈を明示することの重要性が説明されています。
出てきた構成は、人が並べ替えます。 読者が知りたい順と、AIが出す順は一致しないことが多くあります。特に、結論を後ろに置く構成が返ってきやすいため、先に結論を示す形へ組み替えます。
執筆での使い方
下書きとして使い、材料を渡してから書かせます。
事実を含む部分は、手元の一次情報を貼り付け、その範囲で書くよう指示します。何も渡さずに書かせると、実在しない数値や事例が混じります。
節ごとに分けて指示するほうが、全体を一度に書かせるより精度が上がります。1つの節につき、含める要素と結論を渡します。
内部施策での使い方
タイトルとメタディスクリプションの案出しに使えます。字数の目安と含めたい語を指定し、複数案を出させて人が選びます。
構造化データの下書きも作れますが、必ず公式ドキュメントの仕様と照らして確認します。 仕様は更新されるため、生成された内容が現行の形式と違うことがあります。
内部リンクの候補出しでは、既存記事の一覧を渡して、関連の強い組み合わせを挙げさせる使い方ができます。
改善での使い方
どのページを直すかは人が決めます。 検索順位、表示回数、クリック率、そこからの成果を見て、優先順位を付けます。
方針が決まったら、書き直しの下書きはChatGPTに任せられます。「この節に、この観点を加えて書き直す」という具体的な指示であれば、精度の高い出力が得られます。
リライトで注意すべきは、既存の良い部分を壊さないことです。全体を作り直させるより、追加・修正する箇所を限定して指示するほうが安全です。
使ってはいけない場面
検索結果の情報を要約して記事にする:他社の記事の要約になり、独自性がありません。
数値をChatGPTに出させる:統計や相場の数字は、根拠のないものが返ってくることがあります。出典から取ります。
大量生成してそのまま公開する:確認できない量を作ると、誤りの混入を防げません。
専門的な判断を要する分野を任せきる:医療、法律、税務など、誤りが不利益につながる分野は専門家の確認が前提です。
品質を保つ体制
確認項目を決める:数値、固有名詞、裏付け、他社表現との類似、自社の提供範囲との整合。毎回同じ項目を確認します。
確認できる量だけ作る:制作量が確認の体制を超えると、誤りが公開されます。
独自の情報を必ず入れる:自社の実績、実際に受けた質問、支援の現場で得た知見。これらがAIには生成できない部分であり、記事の価値になります。
浮いた時間を深さに使う:一次情報の確認、事例の収集、図解の作成に充てるほうが、量を増やすより成果につながります。
社内で方針を決める
AIの利用について、社内で共通の方針を持っておくと判断が速くなります。決めるのは次の4点です。
使ってよい工程:候補出し、構成、下書き、書き直し。どこまで使うかを明示します。
必ず人が行う工程:事実の確認、検索結果の確認、公開の判断。
確認する項目:数値、固有名詞、裏付け、他社表現との類似、提供範囲との整合。
制作量の上限:確認できる量を超えて作らないための目安。
この4点を文書にしておくと、担当者が変わっても品質が保てます。また、社内で「AIを使ってよいのか」という議論が繰り返されることも避けられます。
この記事のまとめ
ChatGPTはSEOの工程のうち、キーワードの候補出し、確認した内容の整理、構成のたたき台、本文の下書き、書き直しに使えます。
一方、検索回数の確認、実際の検索結果の確認、直すページの判断、事実の検証は人が行います。Googleは制作手段ではなく内容の品質を評価するとしているため、量産ではなく深さに時間を使うことが結果につながります。
実際の作業の流れ
工程の分担を、1本の記事を作る流れに落とすと次のようになります。
準備(人):対象読者と答える疑問を決め、公式ドキュメントや社内の記録から材料を集めます。
候補出し(AI):検索されそうな言葉を挙げさせます。
実数の確認(公式ツール):候補の検索回数と競合性を確認し、狙う語を人が決めます。
検索結果の確認(人):実際に検索し、上位ページが何に答えているかを見ます。
構成(AI+人):確認した内容と材料を渡して構成案を作らせ、人が並べ替えます。
執筆(AI):節ごとに材料を渡して下書きを作らせます。
確認(人):数値、固有名詞、裏付け、他社表現との類似、提供範囲との整合を検証します。
仕上げ(人):自社の実績や現場の判断など、独自の情報を加えます。
公開後にすること
順位と流入の確認:狙った語で表示されているか、クリックされているかを見ます。
成果への貢献の確認:訪問した人が問い合わせに至っているかを確認します。
改善の判断:順位が伸びない、クリックされない、成果につながらない。どれが起きているかで、直す場所が変わります。
記録を残す:いつ何を変えたかを残すと、後から効果を突き合わせられます。
出典と注記
AI生成コンテンツに関する検索の考え方は Google 検索セントラルの公式ブログ、プロンプトの書き方は OpenAI の開発者向けドキュメントに基づきます(いずれも確認日 2026年8月20日時点)。検索の仕様とサービスの仕様は更新されるため、運用の際は最新の記載を確認してください。 工程の分担や品質を保つ体制は、当社が支援の現場で用いている整理です。順位や成果を保証するものではありません。
この分野の実務を相談したい方へ
記事で扱っている内容は、当社が実務として支援している領域です。 自社で進めるか外部に任せるかの判断からご相談いただけます。