プロンプト集を集めても、そのまま使えることは多くありません。自社の状況が反映されていないためです。この記事では、型としてのプロンプトを業務別に示し、自社の情報を差し込んで使える形にします。あわせて、精度を上げる5要素と、避けるべき書き方を解説します。
精度を上げる5要素
OpenAIとAnthropicは、それぞれプロンプトの書き方に関するガイダンスを公開しています。共通しているのは、期待する出力と判断に必要な文脈を明示するほど、意図に沿った結果が得られるという点です。
実務に落とすと、次の5要素になります。
役割:どんな立場で答えるか。「BtoBのマーケティング担当者として」といった前提。 目的:何のための出力か。社内共有用か、公開用かで書き方が変わります。 材料:判断に使う情報。事実に関わる部分は、こちらが渡します。 形式:箇条書きか文章か、分量、見出しの有無。 制約:「渡した材料に無いことは書かない」「専門用語を使わない」など。
以下の型は、この5要素を含む形にしてあります。〈 〉の部分を自社の情報に置き換えて使います。
調査で使う型
顧客の困りごとを整理する
あなたは〈業種〉のマーケティング担当者です。以下は当社への問い合わせ内容です。顧客が繰り返し挙げている困りごとを、多い順に5つ整理してください。それぞれについて、実際に使われている表現を引用してください。文中に無い内容は補わず、判断できない場合は「材料からは不明」と書いてください。 【問い合わせ内容】〈貼り付け〉
検索されそうな言葉を洗い出す
〈対象読者〉が〈困りごと〉について調べるとき、検索しそうな言葉を30個挙げてください。専門用語だけでなく、一般的な言い回しも含めてください。検索回数は推測せず、言葉だけを出してください。
競合情報を表に整える
以下は競合3社の公式サイトから転記した情報です。〈項目1〉〈項目2〉〈項目3〉の観点で比較表にしてください。記載が無い項目は「記載なし」としてください。推測で埋めないでください。 【転記した情報】〈貼り付け〉
企画で使う型
訴求の切り口を出す
〈商品・サービス〉を〈対象読者〉に伝えるための訴求の切り口を20案挙げてください。以下の条件を満たすものだけにしてください。 ・当社が実際に提供できる範囲:〈範囲〉 ・使ってはいけない表現:〈効果を保証する言い回しなど〉
企画の弱点を挙げる
以下は当社が検討している施策です。この案の弱点、想定される反論、見落としている前提を、それぞれ3つずつ挙げてください。実行を前提とせず、批判的に検討してください。 【施策の内容】〈貼り付け〉
記事の題材を出す
〈対象読者〉が〈テーマ〉について知りたいことを、検討の段階別(知る/比べる/決める)に分けて、各5つずつ挙げてください。それぞれ、記事にした場合のタイトル案も添えてください。
制作で使う型
記事の構成を作る
次の条件で記事の構成案を作ってください。 ・対象読者:〈状況〉 ・この記事で答える疑問:〈疑問〉 ・伝えたい結論:〈結論〉 ・含めるべき要素:〈要素〉 ・分量の目安:〈字数〉 ・避けたい表現:〈効果を保証する言い回しなど〉 見出しは3〜7個、それぞれに何を書くかの1行説明を添えてください。
本文の下書きを作る
以下の材料の範囲で、〈見出し〉の節の本文を〈字数〉程度で書いてください。材料に無い数値・企業名・事例は書かないでください。 材料から判断できない点は「〈確認が必要〉」と書いてください。 【材料】〈一次情報の内容を貼り付け〉
文体を揃える
以下の【見本】と同じ文体・語尾・段落の長さで、【原稿】を書き直してください。内容は変えないでください。 【見本】〈過去の記事〉 【原稿】〈書き直したい文章〉
分析で使う型
数字から論点を出す
以下は当社サイトの月次データです。前月と比べて変化が大きい項目を挙げ、考えられる原因の候補をそれぞれ3つ挙げてください。断定はせず、確認すべきことを併記してください。 【データ】〈貼り付け〉
レポートの文章を作る
以下の数字をもとに、月次報告の文章を作ってください。冒頭3行で「増えた/減った・理由・次にすること」を書き、その後に詳細を続けてください。数字は渡したものだけを使い、計算した値は書かないでください。 【数字】〈貼り付け〉
避けるべき書き方
材料を渡さずに事実を書かせる:「〇〇業界の市場規模を教えて」といった質問は、根拠の確認できない数値が返ってきます。
曖昧な指示:「いい感じの文章を書いて」では、判断基準が伝わりません。
一度に多くを求める:構成も本文も図も、という指示は、どれも中途半端になります。工程を分けます。
制約を書かない:「材料の範囲で」という制約がないと、一般的な知識で補われます。
出力をそのまま使う:どの型を使っても、数値と固有名詞の確認は人が行います。
型を育てる
用意した型は、使いながら改善します。
出力が期待とずれたら、指示に足りない要素を探します。 多くの場合、材料か制約が不足しています。
うまくいった型は保存して共有します。 個人の工夫を社内の資産にできます。
定期的に見直します。 サービスの仕様が変わると、同じ指示でも出力が変わることがあります。
出力が長すぎる・短すぎるとき
分量が意図と合わない場合、指示の書き方で調整できます。
長すぎる場合:字数の上限を数値で指定します。「簡潔に」より「全角で何文字以内」と数値で書くほうが確実です。また、含める項目を絞ると自然に短くなります。
短すぎる場合:含めるべき要素を列挙します。「それぞれについて、理由と具体例を添えてください」といった指示で厚みが出ます。
分量がばらつく場合:出力の形式を固定します。「見出しをいくつ、各見出しの字数はいくつ」のように構造を指定すると安定します。
分量の指定は、出力の質にも影響します。短く求めると要点だけが残り、長く求めると説明が増えます。用途に応じて使い分けます。
この記事のまとめ
プロンプトは、役割・目的・材料・形式・制約の5要素で組み立てると精度が上がります。特に効くのは、材料を渡すことと、材料の範囲で答えるよう制約することです。
紹介した型は、〈 〉の部分に自社の情報を差し込んで使います。どの型を使う場合も、数値と固有名詞の確認は人が行い、出力をそのまま公開しない体制を前提にします。
型を社内で共有する
個人が作った型を社内で共有すると、全体の効率が上がります。共有の際は次を添えます。
どの業務で使うか:型だけを渡されても、使う場面が分かりません。
何を差し込むか:〈 〉の部分に何を入れるかの説明を添えます。
出力の例:実際に得られた出力を1つ添えると、期待値が伝わります。
注意点:この型で気をつける点(確認が必要な箇所など)を書きます。
保存場所は、社内の誰もが見られる場所にします。個人の手元にあるだけでは、担当者が変わったときに失われます。
型を更新するタイミング
出力が期待とずれたとき:指示に足りない要素を足します。
業務の内容が変わったとき:対象読者や目的が変われば、型も変わります。
サービスの仕様が変わったとき:同じ指示でも出力が変わることがあります。定期的に、型が今も機能しているかを確認します。
新しい使い方を見つけたとき:うまくいった指示は、型として残します。
出典と注記
プロンプトの書き方については、OpenAI と Anthropic の開発者向けドキュメントに基づきます(いずれも確認日 2026年8月20日時点)。各サービスの仕様は変更が速いため、運用の際は提供元の最新の記載を確認してください。 掲載した型は、当社が支援の現場で用いているものです。出力の品質は、渡す材料と対象の内容によって変わります。
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