キャッチコピーは、ChatGPTが力を発揮しやすい領域です。数を出すことが得意で、人が選ぶという分担が成立するためです。ただし、材料を渡さずに頼むと、どこかで見たような一般的な言葉が並びます。この記事では、案の質を上げるための準備と、指示の書き方、選び方を解説します。
良い案が出ない原因
「キャッチコピーを10個考えて」という指示では、一般的な案しか出てきません。原因は材料の不足です。
キャッチコピーは、誰に、何を、どう伝えるかが決まって初めて具体化します。この3つが曖昧なまま案を求めると、どの会社でも使える言葉になります。
したがって、指示の前に次を決めます。対象(どんな状況の人か)、提供する価値(何が解決するか)、競合との違い(他ではなく自社を選ぶ理由)、使う場所(広告か、サイトの見出しか、資料の表紙か)。
材料を準備する
案の質は、渡す材料で決まります。次のものを用意します。
顧客が使っている言葉:問い合わせの文面、商談の記録、レビューから抜き出します。顧客の言葉をそのまま使ったコピーは、社内で考えた言葉より届きます。
受注の決め手:実際に選ばれた理由。顧客に聞いた内容が最も確実です。
提供できる範囲:書ける内容の限界を明示しておくと、実態を超えた案を防げます。
避けたい表現:効果を保証する言い回し、他社を貶める表現、根拠のない最上級。
指示の書き方
OpenAIの開発者向けドキュメントでは、期待する出力と文脈を明示することの重要性が説明されています。キャッチコピーの場合、次の要素を含めます。
〈商品・サービス〉のキャッチコピーを20案作ってください。 ・対象:〈状況を含めた顧客像〉 ・提供する価値:〈解決すること〉 ・他社との違い:〈自社の条件〉 ・使う場所:〈広告/サイトの見出し/資料の表紙〉 ・字数:〈全角◯文字以内〉 ・顧客が実際に使っている言葉:〈抜き出した表現〉 ・使ってはいけない表現:〈保証する言い回し、根拠のない最上級など〉 20案は、切り口を分けてください(困りごとから/結果から/時間から/費用から/使い方から)。
切り口を分けるよう指示することがコツです。指定しないと、似た構造の案が並びます。
案を増やす追加の指示
最初の20案から、方向性が見えたら絞り込みます。
3番の案の方向で、さらに10案を出してください。表現だけを変え、意味は保ってください。
5番の案を、より短く/より具体的に/より柔らかく、それぞれ3案ずつ書き換えてください。
出した案のうち、〈対象〉が読んだときに「自分のことだ」と感じやすいものを3つ選び、理由を書いてください。
最後の指示のように、選定の理由を書かせると、判断の観点が見えます。ただし最終判断は人が行います。
案を選ぶ基準
出てきた案を評価する観点は4つです。
対象が自分事として読めるか:状況が具体的なほど、当てはまる人に刺さります。
提供できる内容と合っているか:実態を超えた表現は、後で問題になります。
他社でも言えることになっていないか:どの会社でも使える言葉は、選ぶ理由になりません。
使う場所に合っているか:広告の見出しと、サイトの本文中の見出しでは、必要な長さも役割も違います。
Googleは公式ドキュメントで、ユーザーを第一に考えたコンテンツの重要性を説明しています。キャッチコピーも同じで、注意を引くことより、読み手にとって正確であることが優先されます。
法令上の注意
キャッチコピーは、表示に関する法令の対象になります。ChatGPTは日本の法令を前提に判断しているわけではないため、出てきた案をそのまま使わず、人が確認します。
確認すべき点は次のとおりです。根拠のない最上級表現(「日本一」「No.1」など)を使っていないか。使う場合は、調査の出典と範囲の明示が必要です。効果を保証する表現になっていないか。打消し表示が必要な条件を隠していないか。他社を不当に貶める表現が入っていないか。
業種によっては、個別の規制(医薬品、食品、金融、不動産など)が適用されます。該当する場合は、その分野の規制に沿った確認が必要です。
検証する
作った案は、公開して終わりにせず、反応を確認します。
広告なら複数案を同時に出して比較できます。 どの案がクリックされ、その先で成果につながったかを見ます。クリック率だけで判断すると、目を引くが成果につながらない案を選んでしまうことがあります。
サイトの見出しなら、変更前後で比較します。 訪問数と、そこからの成果の両方を見ます。
検証の結果は記録します。効いた表現の傾向が分かると、次の案出しの材料になります。
顧客の言葉を集める
良いコピーの材料は、社内ではなく顧客側にあります。集める場所は次のとおりです。
問い合わせの文面:困りごとを、顧客自身の言葉で書いています。
受注時の会話:「決め手は何でしたか」という質問への答え。
レビューや感想:実際に使った後の表現。
サポートへの質問:つまずいた場所と、その言い表し方。
集めた言葉は、そのまま指示に渡します。社内で考えた表現より、顧客が使っている言葉のほうが届きます。専門用語を避けるべきかどうかも、顧客が使っているかどうかで判断できます。
この記事のまとめ
キャッチコピーの案の質は、渡す材料で決まります。対象、提供する価値、他社との違い、使う場所を決め、顧客が実際に使っている言葉を材料として渡します。
指示では切り口を分けるよう明示し、20案程度を出してから絞り込みます。選ぶ基準は、対象が自分事として読めるか、提供内容と合っているか、他社でも言えることになっていないか、使う場所に合っているかの4点です。
出てきた案は法令上の観点で人が確認し、公開後は反応を検証して記録します。
使う場所ごとの違い
同じ商品でも、使う場所によって必要なコピーは変わります。
広告の見出し:字数の制限が厳しく、瞬間的に目に入る必要があります。対象が自分事として認識できる言葉を優先します。
サイトのファーストビュー:訪問直後に何の会社かを伝えます。目を引くことより、正確に伝わることが優先されます。
記事の見出し:検索した人が探している内容と一致しているかが重要です。装飾的な表現より、内容が分かる言葉が向きます。
資料の表紙:社内で共有されることを想定し、後から見ても内容が分かる形にします。
メールの件名:開封の判断がなされる場所です。誇張すると、開封後の落差で信頼を失います。
指示を出すときは、どこで使うかを必ず伝えます。伝えないと、広告向けの派手な表現が資料の表紙用として出てくることがあります。
社内で決めておくこと
使ってはいけない表現の一覧:保証する言い回し、根拠のない最上級、他社を貶める表現。あらかじめ列挙し、指示にそのまま貼り付けられる形にしておきます。
確認する人:法令に関わる部分は、制作者と別の人が確認する体制にします。
根拠が必要な表現の扱い:最上級を使う場合、調査の出典と範囲を併記できるかを確認します。できない場合は使いません。
出典と注記
プロンプトの書き方は OpenAI の開発者向けドキュメント、ユーザーを第一に考える考え方は Google 検索セントラルの公式ドキュメントに基づきます(いずれも確認日 2026年8月20日時点)。サービスの仕様は変更が速いため、運用の際は提供元の最新の記載を確認してください。 案の作り方と選定基準は、当社が支援の現場で用いている整理です。表示に関する法令の適用は個別の事情によるため、判断に迷う場合は専門家にご確認ください。
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