LinkedIn/解説

LinkedIn広告の費用|課金対象と予算の上限、公表されている金額

LinkedIn広告の費用の決まり方を公式ヘルプから整理します。単価表は公表されておらず、費用は目的・最適化目標・入札戦略で決まる課金対象と、日予算の上振れ幅、請求のしきい値で説明できます。金額が書かれている箇所も挙げます。

LinkedInは、広告の単価表を公表していません。「1クリックいくら」「1,000回表示でいくら」という価格はヘルプのどこにも書かれておらず、費用はオークションで決まります。社内の見積りに書けるのは、単価の予想ではなく、何に対して課金されるかと支出がどこまで振れるかの2つです。

この2つは公式ヘルプに書かれています。課金対象は、キャンペーン目的・最適化目標・入札戦略の組み合わせで、インプレッション、遷移先クリック、送信、動画の再生などに分かれます。支出の振れ幅は、連続配信なら1日あたり日予算の最大2倍、1週間なら日予算の7倍までという形で上限が決まっています。

金額そのものが書かれている箇所もあります。クレジットカードの支払いしきい値、Dynamic Group Budgetという機能の最低予算、請求書払いに切り替える条件の3つです。いずれも米ドル建ての記載で、クリック単価の目安ではありません。

この記事では、LinkedIn公式ヘルプにもとづいて、課金対象の決まり方、入札戦略の違い、課金されるクリックとされないクリック、予算の上限、請求のタイミングを整理します。確認日は2026年10月10日で、引用は英語版ヘルプの記載を訳したものです。日本語の画面では語が違うことがあります。

単価表がないのは、毎回オークションで決まるから

公式ヘルプは、広告の表示が競りで決まると書いています。「あなたの広告キャンペーンは、似た広告形式と対象者を持つ他の広告主のキャンペーンと競合し、どの広告がメンバーへ表示されるかが決まります」という記載です。

価格を動かす要因も2つ明記されています。ひとつは対象者で、「オークションに勝つために必要な費用は、対象者の需要の高さによって決まります」とあります。もうひとつが広告の内容で、「広告の関連性が高いほど、支払う価格は下がります」と書かれています。

ここから、社内の説明で使える言い方が決まります。「LinkedInのクリック単価は◯円です」とは言えません。言えるのは、同じ予算でも、対象を狭めて需要の高い役職や業種へ寄せれば単価が上がりうること、広告の関連性が低ければ単価が上がりうることです。どちらも方向だけが公表されていて、幅は公表されていません。

なお、関連性が上がれば必ず安くなる、という読み方はできません。ヘルプは関連性と価格の向きを示しているだけで、下がる幅には触れていないためです。LinkedInを使うかどうかの判断軸は、単価ではなく対象者の精度にあります。BtoBでの位置づけはLinkedInマーケティングとは?BtoB企業が見込み客を獲得する方法で扱っています。

課金対象は「目的 × 最適化目標 × 入札戦略」で決まる

費用の話で最初に確かめるのは、単価ではなく課金対象です。ここを取り違えると、同じ予算で得られるものが変わります。公式ヘルプは「選択したマーケティング目的が、その広告セットで使える広告形式、入札戦略、最適化目標を決めます」と書いています。順番は、目的 → 最適化目標 → 入札戦略です。

キャンペーン目的、最適化目標、入札戦略の3段を選ぶと、課金対象がインプレッション・遷移先クリック・送信・動画の再生のいずれかに決まることを示した工程図
3段目の入札戦略で請求の単位が確定します。最大配信には入札額もコストキャップも設定する欄がなく、同じ最適化目標でも戦略を変えると課金対象が変わります。出典:LinkedInヘルプ「Objective-based pricing for LinkedIn advertising」と「Campaign and ad set bidding strategies」(確認日 2026-10-10)

ヘルプには目的ごとに表が置かれています。ブランド認知とWebサイト訪問の2つを書き出すと、次のようになります。

目的 最適化目標 入札戦略 課金対象
ブランド認知 到達(スポンサードコンテンツのみ) 最大配信(自動) インプレッション
ブランド認知 インプレッション 最大配信(自動) インプレッション
ブランド認知 インプレッション コストキャップ インプレッション
ブランド認知 インプレッション 手動入札 インプレッション
ブランド認知 送信(メッセージ広告のみ) 最大配信(自動) 送信
Webサイト訪問 遷移先クリック 最大配信(自動) インプレッション
Webサイト訪問 遷移先クリック コストキャップ インプレッション
Webサイト訪問 遷移先クリック 手動入札 遷移先クリック
Webサイト訪問 インプレッション 手動入札 インプレッション
Webサイト訪問 送信(メッセージ広告のみ) 最大配信(自動) 送信

同じ形の表が、エンゲージメント、動画視聴、リード獲得、Webサイトコンバージョン、求人応募、人材リードの各目的にも用意されています。

見落としやすいのは、Webサイト訪問の行です。最適化目標を「遷移先クリック」にしても、最大配信とコストキャップではインプレッション課金になります。クリックを増やす設計でありながら、請求はクリックに対して発生しません。クリックに対して課金されるのは、手動入札を選んだときだけです。

この違いは、報告の数字の読み方にも影響します。インプレッション課金のキャンペーンでクリック単価を計算することはできますが、それは請求の単位ではなく、割り算した結果です。指標の取り違えを避ける整理はLinkedInアナリティクスの見方|指標の定義と期間を取り違えないにまとめています。

入札戦略は3つ。入札額を置ける位置が違う

入札戦略は、最大配信(自動)、コストキャップ、手動入札の3つです。それぞれ、指定できる値と、予算の使い切り方が違います。

項目 最大配信(自動) コストキャップ 手動入札
指定する値 なし 主要な結果あたりの費用の上限 主要な結果あたりの入札額
公式の説明 機械学習が自動で入札し、予算の全額を配信しようとする Campaign Managerが基準として使い、自動で入札を調整する 入札したい金額を自分で指定できる
課金 インプレッション(メッセージ広告は送信) インプレッション CPC・CPM・CPV・CPSのいずれか
対応する目的 すべての目的 ブランド認知、Webサイト訪問、エンゲージメント、動画視聴、リード獲得 すべての目的
予算の消化 全額の配信を狙う設計 設定した上限によって変わる 入札額によって変わる

コストキャップで入れる金額は、必ず守られる上限ではありません。公式ヘルプは「指定する主要な結果あたりの最大費用は、Campaign Managerがその範囲内に収めようとする平均値です」と書いています。平均で収めようとする値であり、1件ごとの上限ではない点が、見積りの前提になります。

最大配信を選ぶときは、入札額を設定する欄がないことを押さえておきます。予算の全額を配信しようとする設計なので、設定した日予算は使い切られる前提で考えることになります。単価を抑えたいなら、コストキャップか手動入札を選ぶ側の判断です。獲得単価が合わないときの見直し手順は広告CPAを改善する方法|獲得単価が高いときの見直しポイントで扱っています。

課金されるクリックと、課金されないクリック

手動入札でクリック課金を選んだ場合、広告のどこを押されたら費用になるかが決まっています。公式ヘルプは、目的と広告形式ごとに対象を列挙しています。

Webサイト訪問の目的で、本文・画像・見出し・CTAのクリックは課金対象、会社ロゴや会社名、さらに表示、反応した人の一覧、いいねやコメントやシェア、ハッシュタグのクリックは課金対象外であることを左右に並べた比較図
Webサイト訪問の目的で、シングル画像・カルーセル・ドキュメント・イベント広告を使う場合の内訳です。遷移先URLが開いたクリックだけが費用になります。出典:LinkedInヘルプ「Chargeable clicks for website visits campaigns」(確認日 2026-10-10)

課金対象は、本文(イントロテキスト)、広告の画像、見出し、CTAの項目をクリックして遷移先URLが開いたときです。課金されないのは、会社ロゴと会社名、「さらに表示」で本文を広げる操作、いいねやコメントをした人の一覧を開く操作、そしていいね・コメント・シェア・ハッシュタグへのクリックです。

動画広告は、メディアのどこを押しても遷移先URLが開けば課金されます。テキスト広告は本文・見出し・画像、スポットライト広告はCTAボタンと遷移先へ進む領域が対象です。メッセージ広告は送信ごとの課金で、「課金対象のクリックはありません」と明記されています。

ここから、運用上の読み方が1つ出ます。反応が多い広告の費用が高くなるとは限りません。いいねやシェアは課金対象外なので、拡散した投稿型の広告は、同じ費用で露出だけが伸びることがあります。逆に、会社名を押してページへ来た人は費用に現れません。企業ページ側の訪問数を広告の成果として合算すると、二重に数えることになります。ページ側の数値の持ち方はLinkedIn企業ページの作り方|開設の手順と作成前に決める3つのことで触れています。

日予算は「その日の上限」ではない

費用の見通しでいちばん外しやすいのがここです。公式ヘルプは、日予算を「その広告セットで1日あたりに使いたい平均額」と説明しています。上限ではなく平均です。Campaign Managerの指標定義では、日予算は「1日に使いたい最大額」、通算予算は「その広告セットで使われる最大額」と書かれています。画面の言葉が揃っていないので、実際の挙動を書いているヘルプの側で確かめます。

設定した日予算を1倍としたとき、1日の支出は最大2倍まで振れ、1週間の支出は7倍を超えないことを横棒で比べた図
横軸は日予算の倍数です。金額の例ではありません。連続配信の1日あたり上振れ100%と、1週間の上限7倍は公式ヘルプの記載です。出典:LinkedInヘルプ「Campaign and ad set budgets」(確認日 2026-10-10)

連続配信(終了日を決めない配信)では、「ある日の実際の支出は、日予算の額より最大100%高くなることがあります」と書かれています。日予算の2倍まで振れるという意味です。そのうえで「キャンペーンまたは広告セットは、1週間に日予算の7倍を超えて使いません」という上限があります。

開始日と終了日を決めた配信では、「キャンペーンまたは広告セットの合計支出は、日予算に期間の日数を掛けた額を超えません」とあります。1日単位の上振れは同じく100%までです。

通算予算を選ぶ場合、「開始日と終了日を指定して通算予算を選んだときは、通算予算が最低予算以上でなければなりません」と書かれています。その最低予算の金額は、このページに記載がありません。期間の長さによって変わるという説明だけです。

設定時の条件も2つあります。既定の日予算の推奨値は「現時点ではUSDとEURの通貨でのみ利用できます」と書かれています。カスタムの配信期間を設定するには、広告セットがスポンサードコンテンツの形式で、かつLinkedIn Audience Networkを無効にしている必要があります。連続配信と期間指定の配信は、開始日の協定世界時0時に配信が始まります。日本時間とは9時間ずれるため、初日の支出が想定より小さく見えることがあります。

月次の見通しを作るときは、日予算の7倍を1週間の枠として置いておくと、請求額が上振れしても説明できます。日予算をそのまま30倍して月額とすると、週の上限に達する配信では足りません。

金額が書かれているのは、この3か所

ヘルプを横断しても、クリック単価や最低入札額の金額は見つかりません。金額が明記されているのは次の3か所です。

項目 金額 どこで効くか
最初の支払いしきい値 100ドル クレジットカードへの請求の頻度
Dynamic Group Budgetの最低キャンペーン日予算 30ドル その機能を使うキャンペーンの日予算
同・残り10日の通算予算の例 300ドル(30ドル × 10日) 期間を決めて使うときの下限
請求書払いに申し込む条件 直近1年で連続2か月、各月3,000ドル以上の支出 支払い方法の選択

Dynamic Group Budgetは、キャンペーンの予算をその配下の広告セットへ自動で配分する仕組みです。公式ヘルプは「最低のキャンペーン日予算は30ドル」、「残り10日のキャンペーンの最低通算予算は300ドル(10日 × 最低キャンペーン日予算30ドル)」と書いています。広告セットは1キャンペーンあたり最小1・最大50で、同じ目的・入札戦略・予算タイプを揃える必要があり、変更する前に少なくとも1週間は配信を続けることが推奨されています。

この30ドルは、LinkedIn広告全体の最低日予算ではありません。Dynamic Group Budgetを使うときの条件として書かれた金額です。ほかの配信方法の最低額は、確認したページには記載がありませんでした。

請求書払いの条件は、「自社の広告アカウントがBusiness Managerに追加されており、直近1年のうち連続2か月でLinkedIn広告に3,000ドル以上を使っていること」です。他社のプラットフォームの費用構造と並べて検討する場合は、Meta広告の費用はいくら?課金方式と予算の決め方を解説も同じ観点で読めます。

請求はいつ来るか

クレジットカード払いのとき、請求の頻度は支出の速さで変わります。公式ヘルプは「LinkedInで広告を始めたとき、支払いのしきい値は自動的に100ドルに設定されます」と書いています。

そのうえで「支出がしきい値を超えると翌日に請求され、超えなければ残額は翌月1日に請求されます」という動きになります。「複数のしきい値を超えた場合は、1日に複数回請求されることがあります」とも書かれています。しきい値そのものは固定ではなく、「LinkedInとの支払い履歴を示すもの」で、履歴が積み上がると請求の頻度が下がる方向に動きます。

デスクで計算機とノートパソコンを使い、請求額を突き合わせて確認している様子
請求の明細と管理画面の金額を突き合わせる作業のイメージ画像です。LinkedInの管理画面ではありません。写真: RDNE Stock project(Pexels)

円建ての口座では、金額の扱いが変わります。「広告アカウントがUSD以外の通貨の場合、しきい値は地域の通貨価値によって変わることがあります」という記載があるため、100ドル相当という読み方になります。

管理画面の金額と請求書の金額が完全に一致しない点も明記されています。「Campaign Managerに表示される金額は見積りであり、最終的な請求書とわずかに異なる場合があります。この差は小さく、1ドル未満です」という記載です。経理の締めで差額を追う前に、この1ドル未満の差を前提にしておくと手戻りがありません。

請求書払いに移行した場合、支払いは電信送金、ACH、小切手で行います。一度月次請求に設定した広告アカウントは、支払い方法をクレジットカードへ戻せません。

円建てにするか、ドル建てにするか

通貨の一覧には日本円(JPY)が含まれています。同時に「広告アカウントの通貨を設定すると、後から変更できません」と書かれています。変えたい場合は別のアカウントを作る形になります。

ここに前の節の2つが絡みます。既定の日予算の推奨はUSDとEURだけで、円建ての口座では推奨値が出ません。請求のしきい値も、USD以外では地域の通貨価値によって変わるとされています。一方で、ヘルプに書かれた最低予算の金額はドル建てです。円建てを選ぶと、金額の記載をそのまま当てられる箇所が減ります。社内の精算を円で完結させたいか、ヘルプの記載と突き合わせやすくしたいか、どちらを取るかの選択です。

なお、日本の消費税の扱いについては、この記事で確認したページに記載がありませんでした。請求書と税区分は、自社のアカウントの請求情報で確認してください。

見積りに書けること、書けないこと

ここまでで、社内の見積りに根拠付きで書けるものが決まります。課金対象(目的・最適化目標・入札戦略の組み合わせで決まる請求の単位)、1週間の支出の上限(日予算の7倍)、期間を決めた配信の合計上限(日予算 × 日数)、請求の頻度(しきい値100ドルと翌月1日)、管理画面と請求書の差(1ドル未満)です。

反対に、書けないものもはっきりします。クリック単価や1,000回表示あたりの単価の目安、最低入札額、通算予算の最低額の金額、業種や役職ごとの相場です。これらはヘルプに記載がなく、推定で書けば根拠のない数字になります。見積りでは、単価欄を空けたまま「上限で管理する」と書くほうが実態に合います。

はじめの1本を出すときの決め方も、この順番になります。先に課金対象を決め、次に1週間で許容できる金額を決め、それを7で割って日予算を置きます。単価を先に決めて予算を逆算する手順は、LinkedInの公表情報では成立しません。

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