Facebookページの数字が先月より落ちていると、最初に知りたいのは「何が起きたのか」です。結論から書くと、Metaはフィードの並び順が決まる仕組みと、表示順位を下げる対象のコンテンツを公表しています。その一方で、個別の投稿について順位が下がった理由を知らせる仕組みは、今回参照した公表資料には記載がありません。
つまり、こちらから打てる手は2つに絞られます。公表されている条件に自社の投稿が当たっていないかを照合することと、比べ方そのものをそろえることです。「アルゴリズムが変わった」と結論づけるのは、このどちらも終わっていない段階では早すぎます。
この記事では、Meta透明性センターの公表ページを一次情報として、並び順が決まる4つの段階、表示順位が下位になると明示されている項目、そして公表されていない範囲を分けて示します。最後に、自社の投稿を点検する順番と、公表資料からは言えないことを並べます。
公表されているのは、並び順が決まる4つの段階
Meta透明性センターの「Facebookフィードのランキングに対する弊社のアプローチ」は、フィードの並び順を4つの段階として説明しています。
1段階目がインベントリーです。同ページは「最新のインベントリー、すなわち、Facebookを開いた際に見ることができるすべての潜在的な新規投稿」を集める段階だと説明しています。自社の投稿も、ここでは候補の1つとして扱われます。
2段階目がシグナルです。同ページは「何千もの『シグナル』を考慮」すると書いています。いいねやシェアのような行動と、そこから推測される情報が含まれます。
3段階目が予測です。「パーソナライズされた一連の予測」を行う段階として説明されており、コメントされそうか、会話が盛り上がりそうかといった推測が挙げられています。
4段階目が関連度スコアです。「各投稿の『関連度スコア』が計算され、このスコアに基づいて投稿が順番に並べられます」と書かれています。
ここで押さえておきたいのは、説明されているのが順番だという点です。自社の投稿が「表示されなくなった」のではなく、他の投稿より後ろに回った結果として数字が下がることがあります。原因を探すときは、自社の投稿に起きた変化だけでなく、同じフィードを争う投稿の量が増えた可能性も残しておく必要があります。
公表されている情報は、意図的に限定されている
同じページには、開示の範囲についての記述もあります。シグナルについて「シグナルのうち、当該カテゴリに関してここで共有している情報は、意図的に、悪質行為者によるシステムの悪用を防ぐものに限定されています」と書かれており、さらに「また、この情報は変更される可能性があります」と続きます。加えて「フィードのランキングはパーソナライズされているため、各予測モデルがフィードに及ぼす相対的な影響は人やコンテンツによって異なります」という説明もあります。
「ランキングの解説に対するMetaのアプローチ」では、仕組みの説明の仕方が示されています。Metaの製品では「コンテンツのランキングに人工知能(AI)システムが活用されている」こと、「各AIシステムには複数のモデルがあり」、入力されるシグナルが「投稿のユニーク機能、投稿を見た人の反応、過去の類似コンテンツへの反応など、幅広いカテゴリに分類される」ことが書かれています。仕組みを解説する「AIシステムカード」も用意され、「専門知識がある人にも、ない人にも、理解できるように書かれている」と説明されています。
この線引きを、表にして確かめておきます。
| 項目 | 公表されているか | 根拠 |
|---|---|---|
| 並び順が決まる段階の構成 | 公表されている | 「Facebookフィードのランキングに対する弊社のアプローチ」の4段階 |
| 入力されるシグナルの大まかな種類 | 公表されている | 投稿の機能、見た人の反応、過去の類似コンテンツへの反応など |
| 個々のシグナルの重み | 公表されていない | 共有する情報を「意図的に」限定していると明記 |
| 予測モデルが及ぼす影響の大きさ | 固定の値としては公表されていない | 「人やコンテンツによって異なります」と明記 |
| 個別の投稿が下位になった理由 | 記載がありません | 今回参照した公表資料では確認できず |
この表の下半分が、運用の判断にそのまま効いてきます。「投稿時間を変えればリーチが増える」「この文字数が最適」といった説明は、Metaの公表資料を根拠にはできません。重みも判定基準も公表されていないうえ、影響の大きさは人とコンテンツによって異なるとされているためです。社内で施策を決めるときは、こうした説明を「公式の裏付けがある話」として扱わないようにしてください。
表示順位が下位になると明示されている項目
Meta透明性センターには「表示順位が下位になるコンテンツタイプ」というページがあり、ここに該当する項目が挙げられています。公表されているのは次の4項目です。
- クリックベイトのリンク
- エンゲージメントベイト
- ファクトチェックされた誤情報
- コミュニティ規定に違反している可能性が高いコンテンツ
この4項目のうち、エンゲージメントベイトについては、定義と例を示した発表が別に残っています。2017年12月18日に公開された「Fighting Engagement Bait on Facebook」です。そこでは、この手法が「seeks to take advantage of our News Feed algorithm by boosting engagement in order to get greater reach」(エンゲージメントを増やすことでより広いリーチを得ようと、フィードの仕組みを利用しようとするもの)と説明され、例として「LIKE this if you’re an Aries!」のような投稿が挙げられています。
同じ発表には、対応の段階も書かれています。「Starting this week, we will begin demoting individual posts from people and Pages that use engagement bait」として個別の投稿の表示順位を下げることが示され、続けて「Over the coming weeks, we will begin implementing stricter demotions for Pages that systematically and repeatedly use engagement bait to artificially gain reach in News Feed」として、繰り返し使うページにはより強い措置を取ることが示されています。ページ単位で扱いが変わりうると書かれている点が、1回の投稿だけの話ではないことを示しています。
発表が2017年のものである点には注意が必要です。その後どのように運用されているかまでは、この発表からは分かりません。ここで確かなのは、現在の透明性センターの一覧にも項目として残っていることです。
| 公表されている項目 | 公表されている情報の範囲 | 自社の投稿で見るところ(当社の整理) |
|---|---|---|
| クリックベイトのリンク | 一覧に項目名 | 見出しと遷移先の中身が合っているか |
| エンゲージメントベイト | 定義・例・ページ単位の措置(2017年の発表) | 反応そのものを促す文を入れていないか |
| ファクトチェックされた誤情報 | 一覧に項目名 | 出典のない数値や効果の断定を書いていないか |
| コミュニティ規定に違反している可能性が高いコンテンツ | 一覧に項目名 | 規定に触れうる表現や素材が混じっていないか |
右の列は当社の整理です。各項目に当たるかどうかの判定はMeta側で行われ、その基準は公表されていません。「この書き方なら安全」と言い切れる材料は、公表資料の中にはありません。
落ちたと感じたときは、比べ方からそろえる
ここまでが公表されている側の話です。実務では、その前に確認することがあります。数字が落ちたのではなく、比べ方がそろっていないだけという場合があるためです。
そろえるのは4つです。1つ目は期間で、日数が違えば合計は当然変わります。2つ目は投稿形式です。動画と写真と文章だけの投稿を混ぜて平均を取ると、構成比が変わっただけで数字が動きます。3つ目は投稿本数です。本数が減れば合計は下がり、1投稿あたりの数字とは逆向きに見えることがあります。4つ目は指標の種類で、どの指標を見ているかを取り違えると、別のものを比べてしまいます。
指標ごとの数え方は、Metaビジネスヘルプセンターの「Facebookのページやプロモードのプロフィールのインサイトを確認する方法」で確認してください。本記事では、インサイト画面に表示される各指標の定義を転記していません。公式ページの記載を当社で確認できていないため、言い換えた説明を置かない判断です。
前提をそろえたうえで下がっているなら、次に公表されている4項目との照合に進みます。あわせて、ポリシーに関する通知が管理者へ届いていないかも確認します。通知が誰に届くかは権限の設定によって変わるため、受け取る人が社内に残っているかは別途の確認が必要です。退職や契約終了に合わせた棚卸しは、Facebookページの権限管理で整理しています。
もう1つ、見落としやすい前提があります。同じ会社のページが複数できていると、フォロワーも投稿も分かれたままになります。片方のページの数字だけを見て「落ちた」と判断していないかを確かめてください。まとめる場合の条件と、まとめたときに消えるものはFacebookページの統合にあります。
4項目に当たらないと判断できたとき
照合して当たらないと判断できた場合、残るのは順番の変化です。ここで配信を直接操作する手段は、公表資料の中にはありません。シグナルの重みも閾値も公表されていないため、「この操作をすれば上がる」と言える材料がないからです。
公表資料の範囲で言えるのは、入力されるシグナルに「投稿を見た人の反応」が含まれている、というところまでです。反応を得られる投稿を作る以外に近道があるとは、公表資料からは読み取れません。そして効果は投稿の内容と運用によって変わります。この記事でも、特定の施策が数字を回復させると書くことはできません。
注意したいのは、ここで反応を集めようとして逆の結果になる形があることです。いいねやシェアを促す文を足して反応の数を増やす行為は、2017年の発表が説明しているエンゲージメントベイトそのものにあたります。リーチを増やすこと自体を目的にした操作が、表示順位を下げる対象として挙げられているという関係を押さえておいてください。
Facebookページの位置づけや運用の全体像は、Facebookマーケティングとはで扱っています。あわせて、Instagram側で何をどう見るかはInstagramインサイトの見方にまとめています。
この記事で確認できなかったこと
最後に、埋めなかった項目を明示します。
- 各指標(リーチ、閲覧数など)の数え方の定義。公式ヘルプのページ本文を当社で確認できていないため、転記していません
- 4項目のそれぞれについて、どの投稿が該当すると判定されるかの基準と閾値。公表されていません
- 個別の投稿について、順位が下がった理由を知らせる仕組み。今回参照した公表資料には記載がありません
- 「何割下がったら異常か」という目安。公表されていません
この4つは、調べ直しても今の公表資料では埋まりません。埋まらないまま運用の判断をするために、公表されている条件との照合と、比べ方をそろえる作業を先に置く、という順番になります。
まとめ
Facebookページのリーチが落ちたときに、公表資料からできることは次の3つです。
- 期間・投稿形式・投稿本数・指標の種類をそろえて、同じ条件で比べ直す
- 公表されている4項目(クリックベイトのリンク、エンゲージメントベイト、ファクトチェックされた誤情報、コミュニティ規定に違反している可能性が高いコンテンツ)に当たっていないかを照合する
- 当たらないと判断できたら、順番の変化として扱い、重みや閾値を推測した施策に進まない
並び順の仕組みそのものは公表されていますが、重みと判定基準は公表されていません。公表されている部分で確かめ、公表されていない部分は推測で埋めないという線を引いておくと、社内の判断がぶれにくくなります。
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