リードとは見込み客のことで、リード獲得はその連絡先を得る活動を指します。BtoBの事業では、この獲得数が営業活動の量を決めるため、マーケティングの主要な成果指標になります。この記事では、獲得から営業への引き渡しまでの流れを整理し、それぞれの段階で何を設計するのかを解説します。
リード獲得の全体像
リード獲得は、獲得して終わりではありません。次の4段階で考えます。
獲得:連絡先を得る。資料請求、問い合わせ、セミナー申込などが入口になります。
分類:得たリードを、いま話を進められるものと、そうでないものに分けます。
育成:まだ検討段階にないリードと接点を保ち、検討が進むのを待ちます。
引き渡し:話を進められる状態になったリードを営業へ渡します。
この4段階のうち、獲得だけを設計している現場が多くあります。その場合、集めたリードの大半が放置され、獲得の費用が無駄になります。
獲得の手段
リードを得る手段は、オンラインとオフラインに分かれます。
オンラインでは、資料ダウンロード、問い合わせフォーム、オンラインセミナー、診断ツール、メールマガジンの登録が主な入口です。検索や広告から流入した人に対して、連絡先と引き換えに何かを提供する形になります。
オフラインでは、展示会での名刺交換、セミナーの参加登録、紹介、既存顧客からの引き合いが該当します。対面のため関係の質が高く、その後の商談も進みやすくなります。
両者は競合しません。展示会で交換した名刺に対して、後日オンラインの資料を送る、といった組み合わせが有効です。
分類の基準
得たリードは、すべてが同じ状態ではありません。分類の基準を決めておくと、営業の時間が有効に使われます。
実務で使いやすいのは、次の3点です。
課題の明確さ:解決したいことがはっきりしているか。「情報収集中」と「今期中に導入したい」では状況が違います。
検討の時期:いつまでに決めるのか。時期が遠いリードは、育成に回します。
自社の対象範囲との適合:提供できる範囲に収まっているか。合わないものは早めに見極めます。
これらは、資料請求時のアンケートや、初回の接触で確認できます。すべてを入力必須にすると離脱するため、入口では最小限にし、その後の接触で聞くという設計にします。
育成の方法
すぐに話が進まないリードとの接点を保つ活動です。
メールでの定期接触が基本になります。売り込みではなく、役に立つ情報を送る形にします。事例、選び方の基準、業界の動向、よくある失敗などが題材になります。
再訪のきっかけを作る:新しい資料の案内、セミナーの告知など、こちらから接触する理由を用意します。
行動の変化を見る:資料を再度見た、料金ページを訪れたといった動きは、検討が再開したサインです。
育成で重要なのは、送る頻度と内容の質の両立です。頻度が高くても内容が薄ければ配信停止され、質が高くても間隔が空きすぎると忘れられます。
営業への引き渡し
マーケティングと営業の連携で最も問題が起きやすい部分です。
引き渡しの基準を先に決めることが解決策になります。どの状態のリードを渡すのか、両者で合意しておきます。基準がないと、営業からは「話にならないリードばかり」、マーケティングからは「渡したのに追わない」という不満が同時に出ます。
渡すときに背景情報を添えることも有効です。どの経路から来たか、何をダウンロードしたか、どんな質問をしていたか。これがあると、営業は最初の接触で的確な話ができます。
成約したリードの共通点を戻してもらうことで、獲得の設計が改善されます。どの経路のリードが成約しやすいかが分かれば、資源をそこに寄せられます。
獲得単価の考え方
リード獲得にいくらまで使えるかは、逆算で決まります。
必要な材料は3つです。1件の成約から得られる利益、リードから成約に至る割合、目標とする利益。1件の成約で得られる利益と成約率が分かれば、リード1件に使える上限が計算できます。
この上限を持たないまま広告費を増やすと、費用対効果を誰も説明できなくなります。逆に、上限が分かっていれば、単価が高い経路でも成約率が高ければ継続する、という判断ができます。
計測の設計
リード獲得は数字で管理します。
Googleアナリティクスの公式ヘルプでは、重要な行動をキーイベントとして計測できると説明されています。資料請求や問い合わせをキーイベントに設定すれば、経路別の獲得数が把握できます。
広告を使う場合は、Google広告のヘルプが説明するように、複数のコンバージョン計測の方法があります。ウェブサイト上の行動、電話、アプリ内の行動など、事業に合った方法を選びます。電話での問い合わせが多い事業では、Web上の数字だけを見ると実態を見誤ります。
この記事のまとめ
リード獲得は、獲得・分類・育成・引き渡しの4段階で設計します。獲得だけを整えても、その後の流れがなければ費用が無駄になります。
分類の基準と引き渡しの基準を営業と合意しておくことが、連携の失敗を防ぎます。獲得単価は、成約から得られる利益と成約率から逆算して決めます。電話での問い合わせがある事業では、Web以外の計測方法も併せて検討します。
BtoBとBtoCでの違い
リード獲得の設計は、BtoBとBtoCで大きく変わります。
BtoBでは、検討に複数人が関わり、期間も長くなります。獲得したリードがすぐに動かないことが前提のため、育成の設計が成果を左右します。資料の充実、定期的な情報提供、再訪の検知といった仕組みが必要です。
BtoCでは、個人が短期間で判断します。育成より、獲得から購入までの導線を短くすることが優先されます。メール登録より、その場で購入や予約ができる設計のほうが成果につながります。
自社がどちらに近いかで、資源を投じる場所が変わります。BtoCの商材に手厚い育成の仕組みを入れても、費用に見合いません。
記録しておく項目
リードの管理では、連絡先だけでは足りません。次の項目を残しておくと、後の判断に使えます。
取得日と経路:いつ、どこから来たか。経路別の成約率を出すために必要です。
取得のきっかけ:どの資料をダウンロードしたか、どのセミナーに参加したか。関心の対象が分かります。
接触の履歴:いつ、誰が、何を送ったか。重複した連絡を防げます。
分類の結果:いま話を進められるか、育成に回すか。次に何をすべきかが明確になります。
これらは高機能なツールでなくても、表計算ソフトで管理できます。項目を決めて、全員が同じ形で記録することのほうが重要です。
つまずきやすい箇所
リード獲得の設計でよく見られる問題を挙げます。
獲得数だけを目標にする:質が下がり、営業の時間が無駄になります。成約に至った割合まで見ます。
育成の仕組みがない:獲得したリードの大半は、その時点では動きません。接点を保つ手段がなければ、費用をかけて集めた意味がなくなります。
営業と基準を共有していない:渡す側と受ける側で期待がずれ、双方に不満が残ります。
記録が分散している:名刺、フォーム、セミナー名簿が別々だと、誰に何を送ったか分からなくなります。
電話の問い合わせを数えていない:Web上の数字だけを見ると、実際の成果を過小評価します。
出典と注記
キーイベントの計測は Google アナリティクス ヘルプ、コンバージョン計測の方法は Google 広告 ヘルプの記載に基づきます。4段階の整理や分類の基準は、当社が支援の現場で用いている考え方であり、公的に定められた区分ではありません。
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