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Pinterestが視覚検索に広告を載せる。Visual Search Adsの読み方

PinterestがVisual Search Adsを発表しました。検索結果とPinのクローズアップに出る新しい広告面です。公式ヘルプのPerformance+の制約と突き合わせ、日本の実務者が先に確かめることを整理します。

Pinterestが、検索の結果と Pin のクローズアップに広告を置く Visual Search Ads を発表しました。発表の場は年次の広告主向けイベント Pinterest Presents で、日付は2026年9月17日です。同社の説明では、キーワードの関連性と新しい広告枠の形を組み合わせ、人が探し、見比べ、決めに近づいていく途中に広告主を目立つ位置へ置く仕組みです。

押さえておきたいのは、広告枠が1つ増えたという話で終わらないことです。発表の文面は検索広告の前提そのものに手を入れる言い方をしています。同社の最高経営責任者 Bill Ready 氏の言葉として載っているのは、従来の検索広告は長くキーワードに頼ってきたが、AIが前提の世界では人はもっと豊かな形で自分の求めるものを表している、という一文です。

一方で、発表だけを読んで自社の出稿計画を動かすには材料が足りません。提供はベータで、対象は eligible advertisers とだけ書かれています。対応する目的も lower funnel objectives という括りで、具体名が挙がっていません。この記事では、発表の文面と Pinterest のヘルプセンターの記載を突き合わせ、何が変わるのか、日本の実務者が先に確かめるべきことはどこかを整理します。確認日は2026年10月13日です。英語の記載を訳しているため、日本語の管理画面では語が違うことがあります。

Pinterest Presents で発表されたこと

発表の骨格そのものは短いものです。Visual Search Ads は ad performance feature と呼ばれ、出る場所は検索結果と Pin のクローズアップの2か所。広告主は上位の回答を取りに入札でき、そこから人を広告主のサイトへ直接つなげるとされています。下層の目的に対応し、同社のAIによる運用の束である Pinterest Performance+ と併用できると書かれています。提供はベータで、広告を出せる全市場の対象広告主へ、近日のうちに、という言い方です。

規模の根拠として挙がっているのは、Pinterest の利用者が1か月に 80 billion 件を超える検索を行っており、その大半が視覚的なもので、半分以上が購買に関わるものだという説明です。これは検索の量であって、広告の成果ではありません。社内へ共有するときに「これだけの需要が取れる」と書き換えないよう注意してください。

Pinterestの発表に書かれている Visual Search Ads の要素を中央のハブから6方向へ結んだ関係図。出る場所、組み合わせるもの、入札の対象、送り先、対応する目的、提供の状態の6つを並べ、目的の具体名と提供条件が記載されていないことを添えている
6つのうち、推測が入っていない形で確認できるのは左の3つです。右下の提供条件は書かれていません。出典:Pinterest Newsroom「Pinterest unveils Visual Search Ads」(確認日 2026-10-13)

6つのうち、実務の判断に直結するのは提供の状態です。all Pinterest ad markets という書き方は市場の広さを示していますが、eligible advertisers の条件は書かれていません。日本のアカウントで使えるかどうかは、管理画面か担当の窓口でしか分かりません。

「キーワードの関連性」をどう指定するのかは書かれていない

発表を読んで最初に引っかかるのがここです。Visual Search Ads は「キーワードの関連性」と新しい広告枠を組み合わせると書かれ、同時に Performance+ と併用できると書かれています。ところが Performance+ のヘルプを読むと、キーワードは Performance+ が対応していない指定項目として明示されています。関心と言語も同じ扱いです。

つまり、Performance+ の上で Visual Search Ads を動かすとき、キーワードの関連性を誰がどう決めるのかが文面から読み取れません。広告主が語を渡すのか、画像と商品情報から Pinterest 側が推定するのか、発表にもヘルプにも説明がありません。ここは推測で埋めずに、提供が始まってから管理画面で確かめるのが安全です。

関連する記載として、Performance+ の対象の広げ方を説明したヘルプがあります。こちらは広告の視覚的な要素と書かれた要素を読み取り、手で選んだ指定の外側にある近い関心まで対象を広げる、という説明です。例として挙がっているのは、recipes と snacks を指定したお菓子の会社が、road trips に関心のある人にも届くという形です。既定では新しいキャンペーンで有効になっており、管理画面の Interests and Keywords の欄か、一括編集の列で切り替えられます。広げる対象は関心とキーワードに限られ、地域・性別・言語・配置・年齢の指定には影響しないと明記されています。

ここから読み取れるのは、Pinterest がキーワードを、広告主が選ぶ指定ではなく推定の材料として扱う方向へ寄せていることです。検索語を1つずつ選んで入札する作業は減りますが、代わりに自社の商品が何の言葉で理解されるのかを自分で設計できなくなります。検索語を選ぶ側の考え方はSEOキーワードの選定方法|検索意図から狙う語を決める手順に整理していますが、Pinterest の新しい面では、その作業の置き場所が画像と商品情報の側へ移ると考えたほうが実態に近いです。

買い物袋を持ちながらスマートフォンの画面を見ている手元のクローズアップ。画像を入口に商品を探して見比べる場面のイメージ画像
画像を入口に商品を探して見比べる場面のイメージ画像です。Pinterest の管理画面や Visual Search Ads の実画面ではありません。写真: Max Fischer(Pexels)

Performance+ が自動化する範囲と、手放す範囲

併用できるとされている Performance+ について、ヘルプの記載を確かめておきます。これは同社の自動化とAIの機能を束ねたもので、キャンペーンの作成を簡素にし、広告の表示機会を最大化すると説明されています。入力は 50% 少なくなるとされ、対応する目的は Consideration・Lead・Sales の3つです。

Pinterest Performance+ の公式ヘルプに書かれている指定できる項目と指定できない項目を左右に並べた比較図。左は国・簡易な年齢・顧客リスト・予算の種類・入札・素材の自動生成、右は関心・キーワード・言語・広告グループ間の配分・それらの内訳レポート
右の列は「自動化に任せる範囲」ではなく「触れなくなる範囲」です。レポートの内訳も同じ軸で消えます。出典:Pinterest ヘルプセンター「Pinterest Performance+」(確認日 2026-10-13)

左右を見比べると分かりますが、Performance+ は設定の手数を減らす仕組みというより、設定できる項目そのものを削る仕組みです。予算は Lifetime と Average Daily だけで、キャンペーン単位の上限は設けられていません。対象の指定は国、簡易な年齢、顧客リストに絞られます。広告グループはキャンペーンの設定内容から自動で作られ、Sales では見込み客の開拓・再訪・動的な再訪の形で生成されますが、その間の費用の配分を広告主が決めることはできません。

実務でいちばん先に困るのは最後の行です。関心・キーワード・言語は指定できないだけでなく、レポートの内訳にも出ません。月次の定例資料でこれらの軸を使っているチームは、Performance+ へ寄せた時点で同じ様式を維持できなくなります。何を見て良し悪しを判断するかの設計は、Web広告の効果測定方法|見るべき指標と改善の進め方の考え方に沿って、使える軸の側から組み直す必要があります。

目的の側も確認しておきます。ヘルプに並んでいる目的は、認知の Brand Awareness と Video Completion、検討の Consideration、転換の Leads と Sales です。Video Completion は完了の目印を 95% の位置に置いた指標で、入札は Performance+ のみ。Consideration と Sales では、サイト側へのクリックを目的にする場合に Performance+ が前提になると書かれています。Visual Search Ads が人を広告主のサイトへ直接つなぐ形である以上、この条件は無関係ではありません。

同時に発表された Performance+ の3つの変更

Visual Search Ads と同じ発表の中で、Performance+ 側の変更が3つ挙がっています。

名前 発表の説明 書かれている状態
Priority Products 季節の立ち上げ・販促・カテゴリの押し出しのような場面で、優先したい商品を指定できる。自動化の規模と効率は保ったまま 提供時期の記載なし
セルフサービスのA/Bテスト 素材・対象の指定・Performance+ の中で、施策を試し、効果を確かめ、調整できるようにする 提供時期の記載なし
App Promotion アプリのインストールのために作られた目的。従来の回避策と比べ、ある広告主で獲得単価が最大 85% 改善した 対象の広告主へ全世界でベータ

Priority Products は、自動化に寄せたときに失いやすい「売りたいものを売る」という操作を戻すものです。自動化は全体の効率で動くため、粗利の高い商品や在庫を減らしたい商品を優先したいという事業側の都合は、通常そのままでは反映されません。ここに指定の口ができるのは、Performance+ を本番で使う判断を押しやすくします。

A/Bテストの追加は、発表の中でいちばん地味に見えて、運用の仕方を変える項目です。ただしどう分割するのか、何日で判断してよいのか、どの程度の差があれば差と認めるのかは、発表にもヘルプにも書かれていません。実験の設計をどこまで決めてから走らせるべきかは広告のA/Bテストのやり方|Google広告の実験機能で判定する手順で整理したとおりで、分割方式と期間と判定の基準が示されていない機能は、結果を読む側の作法を自分で用意しないと使えません。

公表された改善率をどう扱うか

App Promotion に添えられた 85% という数字は、扱いを間違えやすい形で書かれています。発表の文面は、ある1社の広告主が、従来の回避策と比べて獲得単価で最大 85% の改善を見たというものです。平均でも、保証でもありません。

読み替えのときに落ちやすい条件が3つあります。1つ目は、母数が1社だということ。2つ目は、最大という限定が付いていること。3つ目は、比較の相手が従来の回避策であって、専用の目的が無かった状態だということです。つまりこの数字が示しているのは、アプリのインストールを取るための専用の目的が無かったときに人が組んでいた迂回の構成と比べた差であり、他社の正攻法と比べた差ではありません。

社内で共有するときは、数字そのものより比較の相手を書き添えるほうが役に立ちます。これを「Pinterest ならインストール単価が下がる」と要約すると、次の提案の前提が崩れます。

日本の実務者が先に決めておくこと

いますぐ出稿を動かす話ではありません。ベータで、対象の条件も公表されていません。やることは準備の側に寄ります。

Pinterestの新しい広告面に備えるための確認項目を6行に並べたチェックリスト。自社アカウントでの提供状況、カタログと商品画像、送客先の計測、A/Bテストの判定基準、レポートの様式、社内の期待値の順に、それぞれの根拠となる記述を添えている
上の3つは確かめれば答えが出る項目、下の3つは発表に答えがなく自社で決める項目です。出典:Pinterest Newsroom の発表、Pinterest ヘルプセンター(確認日 2026-10-13)

順番に理由があります。第一に、自社のアカウントで使えるかを先に見ることです。全市場という言い方と、対象の広告主という言い方が同時に置かれているので、市場の広さから自社の可否は決まりません。使えない状態で設計を進めると、作った資料ごと作り直しになります。

第二に、カタログと商品画像を整えることです。検索結果と Pin のクローズアップに出る面では、人が最初に受け取るのは画像です。Performance+ の素材の自動生成も、カタログを読んで Collections と Shopping ads を作ると説明されています。入口に置くものの質が、そのまま出力の質の上限になります。機械が商品を選ぶ側に回るときに商品情報の何を整えるかは、AIが買い物をする時代へ。Microsoftが示した3段階の備えで扱った順序がそのまま使えます。

第三に、送客先の計測をどこで区切るかを決めることです。Visual Search Ads は広告主のサイトへ直接つなぐ形で、ヘルプ側ではサイト側へのクリックを目的にする場合に Performance+ が前提になると書かれています。媒体側の数字と自社の記録をどこで突き合わせるのかを先に決めておくほうが、後からの照合より早く済みます。

第四に、レポートの様式を見直すことです。関心・キーワード・言語の内訳が出ない前提で、何を見て判断するかを決め直します。ここを先に済ませておけば、提供が始まった日から運用に入れます。

発表と公式ヘルプに記載がないこと

推測で埋めないために、探しても見つからなかった項目を残します。

確認したかった項目 記載の有無 どうするか
対応する目的の具体名 下層の目的という括りだけで、名前の記載なし 管理画面で選べる目的を確認してから設計する
eligible advertisers の条件 記載がありません 担当の窓口で自社が対象かを確認する
日本での開始時期 近日という表現だけで、市場ごとの時期の記載なし 日付を前提にした計画を立てない
キーワードの関連性の指定方法 記載がありません。Performance+ 側はキーワード非対応と明記 提供後に管理画面で確かめる
価格・最低予算 記載がありません 窓口で自社の規模で成立するかを確認する
A/Bテストの分割方式と判定の基準 記載がありません 自社で基準を決めてから使う
Priority Products の提供時期 記載がありません 現行の運用を前提に計画する

書かれていない項目が多いのは、この種の発表では普通のことです。問題になるのは、書かれていないことを自社の資料で埋めてしまうときです。社内へ共有するときは、発表の記載と自分たちの見立てを分けて書いてください。

まとめ

Pinterest は、検索結果と Pin のクローズアップに広告を置く Visual Search Ads を発表しました。出る場所、入札の形、送り先、Performance+ との併用までは文面で確認できますが、対応する目的の具体名と、提供の条件は書かれていません。

実務にとって重要なのは、新しい枠が増えたことより、キーワードを広告主が選ぶ作業の置き場所が変わっていく方向です。Performance+ は関心・キーワード・言語の指定を受け取らず、その内訳でのレポートも返しません。選ぶ作業が減る代わりに、画像と商品情報の質、そして自社でどの数字を見るかの設計が、結果を左右する側へ回ります。

同時に発表された Priority Products とA/Bテストは、自動化に寄せたときに失う操作を一部戻すものです。App Promotion の 85% は1社の最大値で、比較の相手は従来の回避策です。いま手を動かすなら、出稿の準備ではなく、カタログの整備とレポートの様式の作り直しからです。

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