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ブログの成果が過去最低に。AI利用92.4%の裏で減ったもの

米Orbit Mediaの年次調査で「強い成果が出ている」と答えた実務者は14%まで下がりました。AI利用は92.4%。何が減ったのかを調査の公表値から読み、日本の実務者が確認できる項目を整理します。

ブログの成果が過去最低に。AI利用92.4%の裏で減ったもの - 株式会社セイビー

記事を出しても以前ほど反応がない、という感覚は、日本だけの話ではありませんでした。米国のウェブ制作会社 Orbit Media Studios が2026年9月8日に公開した年次のブログ調査で、「ブログが強い成果を出している」と答えた実務者は14%まで下がりました。同じ設問を13年間続けてきた調査で、これが最も低い値です。同じ年、ブログ制作にAIを使う人は92.4%に達しています。ただし、この2つの並びを「AIのせいで成果が落ちた」と読むことは、調査の中身からはできません。調査が示しているのは別のことです。成果と結びついていた手間のかかる工程が、この1年でまとめて実施率を落としました。この記事では、公表されている数値をそのまま追いながら、何が減ったのかを整理し、日本の実務者が自社の制作工程で確認できる項目に落とします。

13年続けてきた同じ設問だから、比較ができる

この調査は、Orbit Media Studios が毎年行っているものです。2026年版の回答者は1,042人の実務者で、記事の制作・配信・計測についておよそ24項目を尋ね、最後に「あなたのコンテンツは成果を出していますか」という1問で締めるという設計になっています。

同じ設問を毎年ぶつけている点が、この調査の価値です。単年の数字だけを見れば「14%は低い」で終わりますが、過去12年ぶんと並べると、今年だけが外れていることが分かります。調査によれば、これまでの12年間、強い成果を出していると答えた割合はおおむね20〜30%の幅に収まっていました。2026年の14%は、そのいちばん低かった年をさらに6ポイント下回った値です。

もう1つ、今年だけ大きく動いた回答があります。「ブログが成果を出しているかどうか分からない」と答えた人の割合です。調査では18%で、これまでは9〜14%の間に収まっていた項目でした。つまり、成果が落ちたと自覚している層と、そもそも判定できなくなった層が、同時に増えています。

2026年の調査で動いた4つの数字。強い成果が出ていると答えたのは14%、成果が分からないが18%、ブログ制作にAIを使うが92.4%、回答者は1,042人
今年だけ大きく動いた数字を並べたものです。相関の提示であって、因果を示すものではありません。 出典:Orbit Media Studios「Blogging Statistics and Trends」(確認日 2026-09-12)

AIはほぼ全員が使っている。しかし成果の差は出ていない

いちばん誤読されやすいのがこの部分です。調査では、ブログ制作にAIを使う人が92.4%に達しました。数年前はほぼゼロだった項目が、短期間でここまで広がっています。

同じ年に成果が落ちているので、原因はAIだと結びつけたくなります。ところが調査は、そうは書いていません。AIを使っている層と、使っていない8%の層を比べたとき、強い成果を出していると答える割合は同じだった、というのが公表されている結果です。AIの導入そのものは、成果の側に差を作っていません。

これは「AIを使っても意味がない」という話でもありません。導入したかどうかという粗い区切りでは差が出ない、ということです。AIで空いた時間を何に回したかは、この区切りでは見えません。実際、調査が示している変化は、そのあとに起きたことのほうにあります。

なお、生成AIで作った記事が検索でどう扱われるかについては、Googleが別途ガイダンスを公開しています。その内容はAIで作った記事はSEOで評価されるかを扱った記事で整理しています。

ノートパソコンとノート、コーヒーカップが置かれた作業机。記事を書く作業の場面
記事制作の作業場面のイメージです。調査画面のキャプチャではありません。 写真: Kaboompics.com(Pexels)

成果と結びついていた手法は、手間のかかるものだった

調査は、成果との相関が見られた手法を挙げています。どれも、時間か調整か費用のかかるものです。

手法 調査が示した相関
影響力のある人・専門家との共同制作 全体の水準を2.6倍上回った。データ上で最も強い予測因子
独自調査の公表 成果が出る見込みを50%押し上げた
人が編集する工程を置く AIだけの編集より明確に上。おおむね水準の2倍
長い記事に時間をかける 6時間以上かけた2,000語の記事は、強い成果の確率がおよそ2倍だった(2026年は相関が弱まった)
図版を2〜3点入れる 2〜3点のときが最も強い成果と結びついた
キーワードを検討する 検討している層のほうが上回った
有料での配信 手間と費用のかかる配信経路ほど成果と結びついた

そして、これらを組み合わせるほど成果が出やすくなる、という関係も示されています。挙げられた8つのうち6つ以上を実施している層は、強い成果を出していると答える確率がおよそ3倍でした。逆に、8つすべてを実施していた回答者は1人もいませんでした。

ここで大事なのは、どれも目新しい手法ではないということです。専門家と組む、自分たちで数字を取る、人が読んで直す、図を用意する。10年前から言われてきたことばかりです。新しい施策を探す前に、これらが自社の工程に残っているかを確かめるほうが先だ、というのがこの一覧の読み方になります。

同じ手法が、この1年でいちばん減った

調査のもう半分は、実施率の推移です。そして、減った手法の一覧は、成果と結びついていた手法の一覧とほとんど重なります。

減った手法 変化
ゲスト寄稿 1年で29%減。下げ幅が最も大きい
影響力のある人との共同制作 1年で22%減。2017年の25%から、いまは7%
独自調査の公表 10年近く増え続けたあと、減少に転じた
キーワードの検討 検討する人は過去最少の水準へ
有料での配信 実施率が低下
複数人での編集・見直し AIだけの編集へ置き換わりつつある
数値を継続して見ること 忠実に追う人が減少

共同制作が2017年の25%から7%へ落ちたというのは、5年以上かけて起きた変化です。一方、ゲスト寄稿の29%減は直近1年の動きです。長期の縮小に、この1年の急な落ち込みが重なっています。

減ったものに共通しているのは、自分の机の上で完結しないという点です。社外の人に声をかける、数字を集める、他人に読んでもらう、費用を申請する。どれも段取りが要ります。制作を速くする道具が行き渡ったあとで、最初に外れたのがこの部分でした。

成果と結びついていた手法と、実施率が下がっている手法を左右に並べた比較図。共同制作、独自調査、人による編集、キーワードの検討、有料配信が両方に現れる
左右の一覧が重なっている点が、この調査のいちばん重い指摘です。 出典:Orbit Media Studios「Blogging Statistics and Trends」(確認日 2026-09-12)

分量と制作時間も、同じ方向に縮んでいる

工程だけでなく、1本あたりの厚みも下がっています。

項目 2026年 直近の最も多かった年
1記事の平均文字量 1,312語 1,427語(2023年)
1記事の平均制作時間 3時間20分 4時間10分(2022年)

調査は、この差を年間の作業量に換算しています。年57本を書く人であれば、1本あたり50分速くなった結果、2022年と比べて年間およそ50時間ぶん、執筆に使う時間が減った計算になる、という示し方です。1週間ぶんの労働時間に相当します。

この時間が別の価値ある工程へ回っていれば、成果は下がらなかったはずです。しかし実施率の推移を見るかぎり、回っていません。空いた時間は、本数か、他の業務へ移ったと考えるほうが自然です。

別の調査も、同じ方向を指している

1つの調査だけで結論を出すのは危険です。そこで、Content Marketing Institute と MarketingProfs が実施しているB2Bの年次調査も見ておきます。こちらはブログに限らず、コンテンツマーケティング全般を対象にしたものです。

この調査では、AIを使うアプリケーションを導入している組織が95%に達しています。一方で、導入の段階としては「developing(整備中)」と答えた層が最も多く、仕組みとして確立している段階まで進んだ組織は限られていました。

予算の配分にも差が出ています。翌年に投資を増やす先として最も多く挙がったのはAI関連ツールで45%、次いでイベント・体験型が33%、自社メディアが32%でした。これに対し、人への配分を挙げた層は9%で最下位です。道具には投じるが、人の工程には投じないという配分になっています。

Orbit Media の調査が示した「手間のかかる工程から減っている」という現象と、この予算配分は矛盾しません。どちらも、人手のかかる部分が縮んでいるという同じ方向を指しています。

日本の実務者が、明日から確認できること

ここからは調査の外に出ます。当社の整理として、自社の制作工程を点検する順番を示します。効果を約束するものではなく、調査で成果との相関が見られた工程が残っているかを確かめるための手順です。

最初に見るのは、独自の数字を出しているかどうかです。自社の受注データ、問い合わせの内容、支援した現場の記録。外部から引用できない情報が1本でもあるかを確かめます。Google 検索セントラルも、自己評価の質問として「コンテンツは、独自の情報、レポート、研究または分析の結果を提示しているものですか」を挙げています。同じページには「実体験や深い知識を明確に示していますか」という問いもあります。調査の結果と、検索エンジン側のガイダンスは、この点で同じ方向を向いています。

次が、人が読む工程です。書いた人以外が公開前に読む段取りが残っているかを見ます。AIに下読みをさせること自体は問題になりませんが、それだけで公開まで到達する運用になっていないかを確認します。

3つ目が、外の人を巻き込む工程です。社内で完結した記事だけが並んでいないか、直近の数本を見返します。共同制作は減り幅が大きい一方、成果との相関が最も強く出ていた手法でもあります。

4つ目は、成果の見方です。「分からない」と答える層が増えたのは、流入数だけを見ていると変化を説明できなくなってきたためだと考えられます。検索結果の画面内で読者の用が済む場面が増えており、流入数以外の見方を持つ必要があります。この点はGEO対策として実際に行うことの記事、コンテンツから流入を作る仕組み全体はコンテンツSEOの記事で扱っています。

自社の記事制作を見直す7項目のチェックリスト。独自の数字、社外との共同制作、書いた人以外の編集、検索語の事前決定、図版2〜3点、流入数以外の成果の見方、手法の組み合わせ数
新しい施策を足す前に、外れた工程が無いかを確認するための項目です。 出典:Orbit Media Studios「Blogging Statistics and Trends」(確認日 2026-09-12)/並べ方は当社

この調査から言えないこと

扱いを間違えないために、書かれていないことも残しておきます。

第一に、示されているのは相関です。ある手法を実施した層のほうが強い成果を報告しやすかった、という関係であり、実施すれば成果が出るという因果ではありません。もともと体制に余裕のある組織ほど、手間のかかる手法を続けられるという説明も成り立ちます。

第二に、AIが成果を下げたとは書かれていません。使う層と使わない層で強い成果の割合が同じだった、というところまでです。

第三に、これは米国を中心とした回答者による調査です。日本の市場、業種、検索の使われ方に、そのまま当てはまるかどうかは確認されていません。自社で試す場合は、小さく試して自社の数字で判断してください。

要点の整理

Orbit Media Studios の2026年の年次調査では、ブログが強い成果を出していると答えた実務者は14%でした。12年間は20〜30%の幅で推移していた項目で、これまでの最低値をさらに6ポイント下回っています。成果が出ているか分からないと答えた層も18%へ増えました。

同じ年、ブログ制作にAIを使う人は92.4%に達しました。ただし、使う層と使わない層で強い成果の割合は同じで、導入そのものは差を生んでいません。

代わりに動いたのは工程です。共同制作、独自調査の公表、人による編集、キーワードの検討、有料での配信といった、成果との相関が見られた手法がそろって実施率を落としました。ゲスト寄稿は1年で29%減、共同制作は22%減です。1記事の平均は1,312語・3時間20分まで縮み、年57本なら2022年より年間およそ50時間、執筆時間が減った計算になります。

打ち手は、新しい施策を足すことではなく、外れた工程を戻すことです。自社にしか出せない数字を持つ、社外の人と組む、書いた人以外が読む、図を用意する、検索語を先に決める。調査では、8つのうち6つ以上を組み合わせている層が、強い成果を報告する確率がおよそ3倍でした。

出典と注記

本記事の数値は、Orbit Media Studios「Blogging Statistics and Trends」(2026年版)、Content Marketing Institute と MarketingProfs による「B2B Content and Marketing Trends: Insights for 2026」、および Google 検索セントラル「有用で信頼性の高い、ユーザーを第一に考えたコンテンツの作成」にもとづきます(確認日 2026年9月12日)。

数値は各調査の公表値をそのまま記載しており、単位や通貨の換算は行っていません。調査は毎年更新されるため、最新の値は各調査の公表ページをご確認ください。また、本記事で示した確認項目は、調査で相関が見られた工程を整理したものであり、実施によって成果を保証するものではありません。効果は、扱う分野、体制、継続期間によって変わります。

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