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Google広告の金融サービス確認が米国・カナダへ。2027年初頭の予定

Googleが金融サービス確認を米国とカナダへ広げると発表しました。身元確認との違い、英国から広がった施行日の並び、日本が一覧に入っていない現状、対象国で求められる手続きを公式情報の範囲で整理します。

Googleが、金融関連の広告を出す前に「規制当局や公認のレジストリから認可されていること」を広告主に示させる仕組みを、米国とカナダへ広げると発表しました。2026年10月20日の広告・コマース公式ブログで、開始は2027年初頭の予定とされています。

先に要点を書きます。これは、いますぐ申請できる手続きの話ではありません。発表の時点で公開されているのは、拡大する方針と大まかな時期、そして米国では米国銀行協会(American Bankers Association)のレジストリを使うという枠組みだけです。受け付けるレジストリの一覧、必要な資格の種類、申し込みの手順は「開始前に国ごとに案内する」と書かれている段階にあります。

もう1つ、取り違えやすい点があります。Googleの広告主確認は二階建てです。すべての広告主へ段階的に広がっている「身元確認」と、特定の国・地域で金融の広告を出すときだけ求められる「金融サービス確認」は別の仕組みで、前者を終えていても後者は免除されません。

この記事で扱うのは、2026年10月22日に公式ブログと広告ポリシー ヘルプで確認できた範囲だけです。日本に関する扱い、米国・カナダの具体的な開始日、未確認のまま出稿を続けた場合の措置については、公表されていないことを後半でそのまま書きます。

発表された内容

発表はGoogleの広告・コマースの公式ブログに、Ads Privacy and Safety のVP兼ゼネラルマネージャーである Keerat Sharma 氏の署名で掲載されました。日付は2026年10月20日です。

内容は3点に分かれます。1つめは、金融サービス確認(Financial Services Verification)を米国とカナダへ2027年初頭に導入すること。2つめは、この仕組みが身元確認の上に積む専門的な確認であること。3つめは、米国では米国銀行協会の専用レジストリを使い、カナダではカナダ銀行協会(Canadian Bankers Association)と準備を進めていることです。

仕組みの位置づけは、原文では「身元確認という長年の第一の防衛線の上に、広告主の資格情報を検証する専門的な確認を加える」と説明されています。このポリシーの下では、広告主は一定の金融関連の広告を出す前に、関連する規制当局または公認のレジストリから認可されていることを示す必要があります。目的として挙げられているのは、ブランドのなりすましを防ぎ、悪意のある出稿者が利用者に届くのを止めることです。

経緯についても一文あります。Googleは、この種の確認を求めた最初の主要プラットフォームであり、2021年に英国で開始し、直近では欧州連合(EU)へ広げてきた、という書き方です。保護の規模については、原文が「2 billion internet users」という表記で、世界で対象になっている利用者の規模を示しています。

数値で公開されているものは2つあります。米国とカナダでは、人々がGoogleで目にする広告のうち97%超が、すでに身元確認済みの広告主によるものだとされています。もう1つは自動検知の側で、2025年にGeminiがポリシー違反の広告の99%超を配信前に捉え、不正な広告をリアルタイムで遮断したと書かれています。どちらも米国・カナダの金融サービス確認そのものの効果ではありません。導入前の前提条件として示された数字です。

広告主が受け取る案内についても予告があります。開始前に、受け付けるレジストリ、必要な資格情報、オンボーディングの手順を国ごとに提供し、確認の受け付けが始まったら、手続きが必要な広告主へ通知する、という順序です。ポリシーの執行が始まる前に対応できるよう案内するとも書かれています。

身元確認と金融サービス確認は別物

ここを混ぜると、社内の報告が食い違います。2つの確認は、求められる相手も、確認する対象も違います。

身元確認(Advertiser verification)は、広告ポリシー ヘルプで「Googleの透明性に関する取り組みの段階的な展開の一部として、最終的にはすべての広告主が完了を求められる」と説明されています。信頼を築き、透明性を高め、より多くの機能にアクセスできるようにするための手続きで、組織についての質問に答えるなどの作業が示されています。選ばれる契機として、疑わしい挙動、金融サービスなど特定の業種、ブランド名に関する検索、アカウント停止の異議申し立てが挙げられています。提出後、アカウント上で状態が更新されるまで最大5営業日かかるとされています。

金融サービス確認は、対象の国・地域で金融の広告を出すときに重ねて求められる確認です。ヘルプの冒頭には「一部の地域では、金融サービスの広告を出すために追加の確認手順を完了する必要があります」とあり、続けて「Googleは広告主に確認を求めており、ターゲットとする地域ごとに別個の確認が必要になります」と書かれています。キャンペーンの設定が1つでも、対象国が2つあれば確認は2回です。

虚偽申告への扱いも明記されています。確認を完了した後に金融サービスを宣伝していることが判明し、かつ確認の過程で虚偽の情報を提供していた場合、確認は即時に取り消され、アカウントが停止されることがあるとされています。

身元確認と金融サービス確認の左右比較。左は対象範囲と手続き、右は対象の国・地域と認可の証明、地域ごとの別個の確認
左右は段階の前後ではなく、別の条件で発生する2つの確認です。右側の「地域ごとに別個」は、1つのキャンペーンで複数国を狙っている場合に効いてきます。 出典:Google 広告ポリシー ヘルプ「Advertiser verification」および「Financial Services Verification」(確認日 2026-10-22)

2021年の英国から米国・カナダまで

Googleは「国ごとに段階的に実装する」と書いており、実際に施行日は国・地域ごとに分かれています。広告ポリシー ヘルプの「Relevant Regulators and Enforcement Dates」には、国・地域ごとの規制当局と施行日が表で並んでいます。

並びを追うと、拡大の順序が見えます。最初が英国で2021年9月6日。次がオーストラリア、シンガポール、台湾の2022年8月30日。2023年1月24日にブラジル、フランス、ドイツ、インド、インドネシア、ポルトガル、スペインが加わり、同年11月1日にイタリアとトルコが続きます。2024年11月7日にアイルランド、ニュージーランド、韓国、タイ。そして2026年に入ってから、EU・EEAの各国が7月23日と9月15日の2つの日付で一気に加わりました。

ここに米国とカナダが2027年初頭の予定として接続します。順序としては、英国で始まった仕組みが6年目で北米に届く、という位置です。ブログが「最初の主要プラットフォーム」と自称している点を含めて読むと、これは新しい発想の導入ではなく、既存の仕組みの地理的な拡大として説明されています。

規制当局の欄も見ておく価値があります。たとえばオーストラリアは ASIC、ブラジルは Banco Central do Brasil と CVM、インドは RBI と SEBI、韓国は FSC と FSS が挙げられています。EU・EEA の国々では、各国の当局に加えて EBA、EIOPA、ESMA といった欧州の監督機構が併記されています。認可の出どころは1つではなく、国によって複数並ぶという構造です。

タイムライン。2021年の英国から、2022年の豪州・シンガポール・台湾、2023年のブラジルやインド、2024年のアイルランドや韓国、2026年のEU・EEA各国を経て、2027年初頭に米国・カナダへ広がる金融サービス確認の施行順
最下段だけが施行日ではなく「予定」です。上の6段はヘルプの表に載っている実際の施行日で、国名は各日付に並んでいるものの一部を抜き出しています。 出典:Google 広告ポリシー ヘルプ「Financial Services Verification: Relevant Regulators and Enforcement Dates」ほか(確認日 2026-10-22)

対象の一覧に日本は入っていない

2026年10月22日に確認した時点で、「Relevant Regulators and Enforcement Dates」の表に日本の行はありません。米国とカナダも、まだ表には載っていません。

つまり、日本向けに金融の広告を出しているだけなら、いま金融サービス確認の手続きは発生しません。日本の広告主に関係してくるのは、次の2つの場合です。

1つめは、対象の国・地域へ出稿している場合です。表に載っている国・地域を広告のターゲットに含めているなら、その地域ごとに確認が必要になります。日本の法人であっても、出稿先が対象であれば対象です。

2つめは、米国・カナダへの出稿を計画している場合です。2027年初頭に開始が予定されているため、北米で金融関連の広告を検討しているなら、認可の証明に使える資格が社内にあるかを先に確かめておく余地があります。確認の受け付けが始まったときに通知される、という順序なので、通知を待ってから資料を探し始めると、執行開始までの期間が短くなります。

なお、日本が将来追加されるかどうかについては、公式ページに記載がありません。拡大の実績が示しているのは順序だけで、次に追加される国・地域の予告は見当たりませんでした。

対象の国・地域では誰が認可を証明するのか

手続きの中身は国ごとに違います。ヘルプには地域別の節が並んでおり、たとえばオーストラリアの節では3段階の流れが示されています。

第1段階は、Googleのベンダーである G2RS の第三者確認を受けることです。「G2RS Financial Services Verification form」から手続きに入り、完了すると、Googleの金融サービス確認のフォームで使う固有のコードが発行されます。第2段階は、必要な場合に身元確認を完了すること。これはGoogleから通知されます。第3段階が、G2RS から受け取った固有のコードを、Google広告の金融サービス確認フォームでGoogleへ提出することです。

対象になる広告主の区分も、同じ節に整理されています。オーストラリアの例では次の5区分です。

区分 位置づけ
Authorized advertisers 関連する金融サービスの規制当局から認可を受けている広告主
Approved third parties 認可を受けた広告主からの承認を得た事業者
Non-Financial services advertisers 金融サービスを宣伝しないが、金融サービスを探している利用者へ当てる広告主
Government entities 規制当局などの政府機関(オーストラリアでは .gov.au のドメイン)
Regulation-exempt Financial Services advertisers 免許の対象外、または免許を求められていない広告主

この並びで注意したいのは3番目です。オーストラリアの節には「オーストラリアで金融サービスの広告を表示するには、金融サービスを探しているように見えるオーストラリアの利用者へ広告を表示する場合を含めて、広告主は確認を受ける必要がある」と書かれています。自社が金融商品を売っていなくても、金融を探している人へ当てる設計なら対象に入りえます。保険の比較、家計の情報サイト、資産形成をうたう講座のように、金融そのものではない商材でも、ターゲティングの設計次第で該当する余地があるという書き方です。

ここで挙げた区分と手順は、あくまでオーストラリアの節の記載です。米国とカナダの区分や手順が同じ形になるとは書かれていません。米国については、米国銀行協会のレジストリを使って認可された銀行を確認する、という枠組みだけが公表されています。

虫眼鏡を使って書類の記載内容を1つずつ確かめている手元
この仕組みで確認されるのは広告の文面ではなく、広告主の資格情報です。レジストリに照らして認可の有無を突き合わせる作業が、配信の前に1段入ります。写真: RDNE Stock project(Pexels)

自社が対象になるかを判断する順番

判断は、商材から入るより、出稿先から入るほうが早く済みます。ポリシーの適用単位が地域だからです。

最初に、いま広告のターゲットに含まれている国・地域を書き出します。次に、それを「Relevant Regulators and Enforcement Dates」の表と突き合わせます。表にある地域が1つでも含まれていれば、その地域ごとに確認が必要かを個別に見ます。この段階で、キャンペーンの構成も確認しておくと手戻りが減ります。対象地域と非対象地域を1つのキャンペーンに混ぜていると、確認が間に合わなかったときに切り分けができません。

次に商材とターゲティングを見ます。金融商品を扱っていれば当然に対象ですが、前の節で見たように、金融を探している利用者へ当てる設計も対象になりえます。オーディエンスの設計を担当者だけが把握している状態だと、この判定が抜けます。

最後に、認可の証明に使えるものが社内にあるかを確かめます。規制当局の登録番号、免許の種類、認可を受けた事業者との関係を示す書面などです。どの書類が受け付けられるかは国ごとに案内されるため、いま揃えられるのは「何を持っているか」の棚卸しまでです。Google広告の基本的な構成についてはGoogle広告とはで扱っています。規制商材のポリシー改定への備え方という点では、Google広告のアルコールポリシー改定の進み方が参考になります。

出稿先が対象の一覧に入っているかで、地域ごとの確認が必要か、いまは身元確認だけかを分ける分岐図
分岐の入口は商材ではなく出稿先です。右の「載っていない」に進んだ場合も、米国・カナダの例のように後から追加されるため、判定は一度で終わりません。 出典:Google 広告ポリシー ヘルプ「Financial Services Verification」(確認日 2026-10-22)

公表されていないこと

確認できなかった項目を、埋めずに残します。

米国とカナダについて、具体的な開始日は示されていません。「早期の2027年(early 2027)」という表現までで、月の指定もありません。受け付けるレジストリの全体像も不明です。米国で米国銀行協会のレジストリを使うことは書かれていますが、銀行以外の金融事業者がどのレジストリで確認されるのかは記載がありません。カナダについては、カナダ銀行協会と「緊密に連携している」という段階で、使う仕組みは公表されていません。

必要な資格情報の種類、フォームの所在、手続きにかかる期間も、米国・カナダについては公開されていません。G2RS が米国・カナダでも窓口になるのかどうかも、現時点のヘルプからは読み取れませんでした。

執行後の扱いも明記がありません。ヘルプにあるのは、確認後に虚偽の情報が判明した場合の取り消しと停止についてです。確認を完了しないまま金融の広告を出し続けた場合に何が起きるかは、該当する記述を見つけられませんでした。

効果に関する数値も、この拡大については公表されていません。先に挙げた97%超と99%超は、拡大前の前提として示されたもので、米国・カナダでの導入による変化を示すデータではありません。日本が対象に追加されるかどうかも、前述のとおり記載がありません。

日本から海外へ出稿している場合に取れる手順

この発表の時点で手を動かせる範囲は限られています。それでも、通知を待つだけの状態と、棚卸しを終えた状態では、執行開始までの余裕が変わります。

まず、出稿先の一覧と対象地域の表の突き合わせを、キャンペーン単位ではなく地域単位で記録します。確認が地域ごとに別個である以上、記録の粒度も地域に合わせるのが素直です。次に、金融を探している利用者へ当てているオーディエンスがあるかを、広告運用の担当と商材の担当の両方で確認します。片方だけで判定すると、金融商品を扱っていないという理由で対象外と結論しがちです。

最後に、Googleからの通知を受け取る窓口を決めておきます。確認が必要な広告主には通知されるという書き方なので、アカウントに紐づく連絡先が退職者のままになっていると、案内が届いた時点で止まります。身元確認についても、提出から状態の更新に最大5営業日かかるとされているため、締め切りの直前にまとめて動かすと間に合わない可能性があります。

海外の他の動きは海外マーケティング最前線にまとめています。

出典と注記

この記事は、Googleの広告・コマース公式ブログ「Expanding our defenses against financial scam ads」と、Google広告ポリシー ヘルプの「Financial Services Verification」「Financial Services Verification: Relevant Regulators and Enforcement Dates」「Advertiser verification」を出典としています。確認日は2026年10月22日です。

原文の語は必要な箇所で併記し、単位や通貨の換算はしていません。米国・カナダへの導入は開始前のため、開始時点で条件が変わる可能性があります。対象国・地域の一覧と施行日は更新されるため、出稿先が含まれるかどうかは、判断の時点でヘルプの表を直接確認してください。この記事に、成果を保証する記述は含みません。

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