規制の対象になっている商材を扱っていると、広告プラットフォームのポリシー改定は、クリエイティブの良し悪しより先に配信の可否を決めます。Googleがアルコール関連の広告について、性質の違う2つの改定を告知しました。2026年9月30日にアルコールポリシーそのものを統一の枠組みへ移し、2026年10月30日にYouTube面でのパーソナライズド広告を解禁します。
先に要点を書きます。9月30日の改定は手続きの話です。国別のガイドラインが見直され、地域によってはそれまでの許可が失効し、認定を申請し直すことになります。10月30日の改定は当て方の話です。これまでアルコールはパーソナライズの対象外でしたが、YouTubeの在庫に限って、地域の条件を満たす範囲で使えるようになります。前者を放置すると配信が止まり、後者を知らないと使える手段を取りこぼします。
この記事で扱えるのは、Googleの広告ポリシー ヘルプに現在書かれている範囲だけです。改定後の条文はまだ施行前で、全文は確定した形で読めません。効果に関する数値も公表されていません。確認日は2026年9月6日です。
告知されたのは2本のポリシー更新
Googleの広告ポリシー ヘルプには、今回に関係する更新の告知が2本並んでいます。片方はアルコールポリシー本体の改定、もう片方はパーソナライズド広告ポリシーの改定で、施行日も対象も違います。同じ「アルコール広告の話」として1つにまとめると、期限を取り違えます。
| 更新 | 施行日 | 主な内容 |
|---|---|---|
| アルコールポリシーの改定 | 9月30日 | 国別ガイドラインを見直し、統一のグローバルな枠組みへ。掲載できる地域を拡大し、広告主の要件と責任を明確化する |
| パーソナライズド広告ポリシーの改定 | 10月30日 | YouTubeの在庫で、地域が認めている範囲のアルコール広告をパーソナライズできるようにする |
この2本の前段として、7月28日に対象国の拡大が実施されています。承認済みのロケーションが追加され、地域ごとに認められる最大のABV(アルコール度数)と、0%のABVの飲料を出せることが示されました。改定は一度きりの出来事ではなく、地域の追加から枠組みの統一へと段階的に進んでいます。
改定前のアルコールポリシーはどうなっているか
変わる点を読む前に、いまの土台を押さえておきます。ヘルプの記載では、アルコール飲料の販売を促す広告は、未成年をターゲットにせず、承認済みのロケーションだけを対象にする限り掲載できます。度数の低い飲料については、これに加えてランディングページに最大のABVを示すことが条件になっています。掲載できるかどうかは、まず出稿先の国で決まります。
承認済みのロケーションは一覧で公開されており、日本もそこに含まれています。ただし同じ一覧の中に、地域ごとの上限が併記されています。たとえばインドとインドネシアは0%のABVの飲料に限られます。ポーランドについては、アルコールの情報を扱う広告がビールに限定され、広告主の申請が必要だと書かれています。同じ「掲載できる国」でも、出せる中身が違います。
表現の側にも制約があります。ヘルプが挙げているのは、飲酒によって社会的・性的・職業的・知的・運動能力の面で有利になると示すこと、健康上または治療上の効能を示唆すること、過度の飲酒や一気飲み、飲酒の競争を好意的に描くこと、機械や車両を操作しながらの飲酒、注意力や器用さを求められる作業中の飲酒などです。これらは今回の改定で緩められるとは書かれていません。
パーソナライズド広告のポリシーでは、アルコールはセンシティブな興味関心のカテゴリに入っています。この区分に該当する商材では、広告主が自分で用意したオーディエンスを使えず、Googleがあらかじめ定義しているオーディエンスを使う形になります。センシティブなシグナルで意図せず絞り込んでしまうことを避けるための制限です。
9月30日に変わること
告知には、統一のグローバルな広告の枠組みを導入すると書かれています。具体的には、国別のガイドラインを見直し、広告を出せるロケーションを広げ、広告主に求められる要件と責任をより明確に示す、という3点です。現在のアルコールポリシーのページはこの日に差し替わり、施行前に改定後の文面を確認できる案内も出ています。
実務でいちばん影響が大きいのは、認定の扱いです。0%のABVの広告だけを認めている地域を対象にしている広告主は、認定を申請し直す必要があります。告知には、それまでの許可が9月30日に取り消されると書かれています。手続きを済ませていない状態で施行日を迎えると、その地域向けの配信が続けられません。期限のある作業なので、対象地域を扱っているなら最初に着手する項目になります。
もう1つ、無責任な飲酒の描写に関する基準への違反は、アカウントの停止につながりうるとされています。個別の広告が止まるだけでなく、アカウント単位の措置に及ぶという書き方です。クリエイティブの表現を確認する担当と、アカウントを管理する担当が分かれている体制では、この点を共有しておく価値があります。
切り替えの前後については、広告に複数のラベルが同時に表示されることがあるものの、一時的なもので配信には影響しないと説明されています。管理画面の見え方が変わっても、それ自体は不具合ではないということです。
10月30日に変わること
こちらはYouTubeの在庫に限った話です。告知では、地域が認めている範囲で、アルコール広告をYouTubeの在庫でパーソナライズできるようになる、と書かれています。対象には、アルコールそのもの(alcohol)に加えて、アルコール関連の商品(alcohol-related products)と、アルコールの代替飲料(alcohol alternative beverages)が含まれます。ノンアルコールの飲料を扱っている場合も、この区分に入ります。
一方で、維持される保護も明記されています。健康に関するセンシティブな興味関心の区分では、アルコールに関連する健康情報でのターゲティングは引き続き禁止されます。年齢に関する制限も残り、未成年に向けたパーソナライズは行われません。利用者の側では、My Ad Centerで広告の設定を調整できることが変わらず示されています。アルコール広告がGoogleの広告ポリシー全体と、現地の法律や規制に従う点も同じです。
解禁されるのは配信面での当て方であって、審査や表現の基準ではありません。パーソナライズが使えるようになっても、前の節で挙げた表現の禁止事項はそのまま残ります。「対象が広がったから素材の作り方も緩む」と読むと、アカウント単位の措置につながる領域を踏むことになります。
対象外とされた4つの国
今回のパーソナライズの解禁では、エジプト、インド、インドネシア、ポーランドが対象から外れています。告知の書き方は「まだ利用できない(not yet available)」であり、恒久的に除外するとは書かれていません。
このうちインドとインドネシアは、承認済みロケーションの一覧で0%のABVに限られている地域です。ポーランドは、情報を扱う広告がビールに限定され、申請が必要とされている地域です。いずれも、改定前から国ごとの上乗せ要件が置かれていた地域が並んでいます。エジプトについては、公開されている一覧の中で該当する記載を確認できませんでした。理由がまとめて説明されているわけではないため、ここは推測せずに事実の並びだけを記します。
日本で出稿している場合に確認できること
日本は承認済みロケーションの一覧に含まれています。ただし、統一の枠組みで日本向けの要件がどう変わるかは、施行前の現時点では読み取れません。「日本は対象だから今までどおり」と決め打ちせず、改定後の文面が公開されている範囲で自社の該当箇所を確かめるのが、いま取れる確実な手順です。
順番としては、まず出稿している国を書き出すところからです。複数国へ配信していると、キャンペーンの設定上は1つでも、適用される要件は国ごとに分かれます。次に、0%のABVだけを認めている地域が含まれているなら、認定の申請をやり直します。ここだけが日付の決まった作業です。
商材の側も棚卸しします。アルコール本体だけを対象と考えていると、関連商品や代替飲料を扱うキャンペーンが抜けます。10月30日以降は、YouTube面で除外される4つの国とそれ以外で扱いが分かれるため、地域の設定を混ぜたキャンペーンは切り分けておくほうが管理しやすくなります。Google広告の基本的な構成についてはGoogle広告とは、YouTubeの配信面についてはYouTube広告とはで扱っています。
公表されていないこと
確認できなかった項目を残します。統一の枠組みの条文そのものは、施行前のため全体を確定した形で読めません。どの国が新たに掲載可能になるのか、その一覧も告知の中では示されていません。日本向けの要件が改定後にどう変わるかも同じです。
パーソナライズの側も、使えるオーディエンスの具体的な種類までは書かれていません。センシティブな興味関心の区分に置かれたままなのか、区分そのものが変わるのかは、現時点の告知からは読み取れません。除外された4つの国がいつ対象になるのか、条件が示されているかも確認できませんでした。
効果に関する数値は一切公表されていません。パーソナライズを使った場合の成果を示すデータはなく、この改定が売上や獲得にどう働くかを示す根拠は、公式ページには存在しません。施行後に自社で計測するまでは分からない、というのが正確な状態です。
出典と注記
この記事は、Googleの広告ポリシー ヘルプに掲載されている「Update to the Alcohol Advertising Policy (August 2026)」「Update to Google Ads Personalized Advertising Policy (September 2026)」「Alcohol sale」「Alcohol」「Personalized advertising」「Update to Alcohol Policy: Country expansion (July 2026)」を出典としています。確認日は2026年9月6日です。
原文の語は必要な箇所で併記し、単位や通貨の換算はしていません。施行前のポリシーを扱っているため、施行日を過ぎた時点で内容が変わる可能性があります。成果を保証する記述は含みません。海外の他の動きは海外マーケティング最前線にまとめています。
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