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Form SS-4の書き方|SSNが無い場合のEIN申請と送付先

責任者がSSNもITINも持たない会社が、米国法人のEINをどう申請するかを整理します。オンラインの対象外になる条件、7a・7bの記入、国際申請者のFAX番号と郵送先、IRSが示す所要日数、取得後の届出までをIRSの記載だけで扱います。

米国法人のEIN(雇用者識別番号)を申請しようとして、最初に止まるのはオンライン申請の入口です。IRSのページは、オンラインで申請できる条件として「You are a domestic organization, formed or created in the United States or U.S. territories」と「Your principal place of business is in the U.S. or U.S. territories」の2つを挙げています。日本に拠点を置いたまま米国で法人を作った会社は、2つ目の条件に当てはまらないことがあります。

当てはまらない場合でも、申請はできます。同じページは、主たる営業所が米国外にある申請者について、オンラインの代わりに電話・FAX・郵送で申請するよう案内しています。そして責任者がSSN(社会保障番号)もITIN(個人納税者番号)も持っていない場合の書き方は、Form SS-4の記入要領に示されています。番号を持っていないことは、申請できない理由にはなりません。

この記事が扱うのは、Form SS-4を書いて送るところまでです。オンラインの対象かどうかの判定、7a・7bに誰の何を書くか、送付の経路と宛先、IRSが示している所要日数、取得後に責任者が変わったときの届出の順に整理します。参照したのはIRSの3ページで、確認日は2026年10月31日です。州への登録や毎年の維持費は扱いません。デラウェア州に法人を置いた場合に州へ払うものはデラウェア法人の年間費用|年次報告50ドルと税額の決まり方にあります。

オンライン申請の対象から外れる会社

まず、自社がどちらの経路に入るのかを決めます。判定に使うのは設立地と営業所の2点で、創業者の国籍や居住地ではありません。

主たる営業所が米国内にあるかで分岐し、米国内ならオンライン申請、米国外なら電話・FAX・郵送のいずれかになることと、どちらでも7a・7bには個人の氏名と番号を書くことを示した判断図
分岐の条件は設立地と主たる営業所の2点です。右の経路に入った場合に何を送るかが、この記事の本題です。出典:IRS「Get an employer identification number」(確認日 2026-10-31)

オンライン申請にはもう一つ条件があります。同ページは、申請にあたって責任者の社会保障番号または納税者番号を用意するよう求めています。番号を持たない人を責任者として立てる場合、オンラインの画面は進みません。

あわせて、経路に関係なく効く上限があります。「You can apply for only 1 EIN per responsible party per day」という記載で、同じ責任者の名前では1日に1件しか取得できません。複数の法人を同時に立ち上げるとき、同じ人を責任者にして同じ日に2件出す段取りは、この記載と合いません。

ここで言う「主たる営業所」が実務上どこになるのかは、会社の実態によって変わります。IRSのページは判定の手順を示していないため、形式的な登記の場所だけで決めてよいかどうかは、このページの記載からは読み取れません。登記上の住所と実際に事業を動かしている場所が違う会社は、申請の前に専門家へ確認する範囲になります。

責任者に誰を書くかで、申請の可否が決まる

Form SS-4の7a・7bは、法人そのものではなく人を書く欄です。IRSの「Responsible parties and nominees」は、責任者を「A responsible party is someone who owns, controls or exercises effective control over a business, nonprofit or other legal entity and directly or indirectly manages its funds and assets」と定義しています。所有または実質的な支配と、資金・資産の管理が判断の中身です。

記入要領の7a・7bの説明にも「Enter the full name (first name, middle initial, last name, if applicable) and SSN, ITIN, or EIN of the entity’s responsible party」とあり、政府機関を除いて責任者は個人(自然人)でなければならないと示されています。親会社の名前を書く欄ではありません。

EINを申請する法人を中心に、責任者は7a・7bに書く、名義人は書けない、第三者代理人は任意で指定できるという3つの関係と、それぞれの定義を示した関係図
同じ「代わりに手続きする人」でも、書ける欄が違います。名義人を7aに書く形は認められていません。出典:IRS「Responsible parties and nominees」(確認日 2026-10-31)

混同しやすいのが名義人(nominee)です。同ページは名義人を「someone you give limited authority to act for your entity during its formation」と説明し、名義人は資産に対する支配をほとんど、あるいは全く持たないとしています。そのうえで「Nominees can’t apply for an EIN and shouldn’t be listed on Form SS-4」と明記しています。設立を代行した事務所の担当者や、現地で名前だけを借りた人を7aへ書く形は、この記載と合いません。

この2つの定義を並べると、判断の順番が決まります。先に「資金と資産を実質的に管理しているのは誰か」を決め、その人の氏名を7aへ書く。手続きを手伝う人がいる場合は、責任者の欄ではなく後述の第三者代理人の欄で扱う、という順です。

7bに書く番号が無いときの書き方

ここが、SSNを持たない創業者にとっての分かれ目です。記入要領の7bは、SSN・ITIN・EINのいずれかを書くよう求めています。そして、持っておらず取得もできない場合の扱いも示しています。「Enter ‘foreign’ or N/A on line 7b if the responsible party doesn’t have and is ineligible to obtain an SSN or ITIN」という記載です。

つまり、空欄のまま出すのでも、誰かの番号を借りるのでもありません。該当する語を書いて出す、という形が示されています。なお、この記事で参照した3ページには、EINの前にITINを取得しなければならないという記載はありません。ITINの申請が必要かどうかは、その人自身の申告義務の側で決まる話で、EINの申請要件としては書かれていません。

番号を持っている場合は、持っているものを書きます。米国の居住者であればSSN、過去にITINの割り当てを受けている人はITINです。どれを書いたかによって、その後の照合のされ方が変わる可能性がありますが、参照したページにその説明はありませんでした。

送る経路を選び、宛先を間違えない

経路は3つです。それぞれ使える条件と宛先が違い、FAXと郵送はIRSが所要の目安を示しています。

経路 使える条件 宛先・番号 IRSが示す所要
電話 米国内に法的居所・主たる営業所・主事務所のいずれも持たない申請者 267-941-1099(通話料無料の番号ではない)。東部時間の月曜から金曜、午前6時から午後11時 参照したページに日数の記載はありません
FAX Form SS-4 を記入して送る 855-215-1627(米国内から送る場合)/304-707-9471(米国外から送る場合) 返信用のFAX番号を書いた場合、一般に4営業日
郵送 Form SS-4 を記入して送る Internal Revenue Service, Attn: EIN International Operation, Cincinnati, OH 45999 約4週間

電話の経路は、国際申請者に用意されたものです。記入要領は、米国内に法的居所も主たる営業所も主事務所も持たない場合について、この番号へ記載の時間帯に連絡するよう示しています。通話料無料の番号ではないと明記されているため、日本からかける場合の通話料は自社の負担になります。

時間帯は東部時間での表記です。日本時間へ読み替えると夏時間の有無で1時間ずれるため、この記事では換算しません。かける前に、その時点の東部時間で確認してください。

FAXと郵送は、どちらもForm SS-4を送る形です。違いは番号と宛先、そして戻ってくるまでの日数です。

FAXは4営業日、郵送は約4週間、申請は責任者1人につき1日1件、責任者が変わったら60日以内にForm 8822-Bという4つの数値を並べたカード図
左の2つは申請の経路を選ぶときの材料、右の2つは守る上限と期限です。日数はIRSが目安として示している値です。出典:IRS「Instructions for Form SS-4 (12/2025)」(確認日 2026-10-31)

日数の差は、そのまま段取りの差になります。現地の決済サービスや取引先への登録でEINを求められている場合、郵送を選ぶと約4週間の待ちが先に入ります。返信を受け取れるFAX番号を用意できるかどうかが、実質的な選択肢の幅になります。

送る前にそろえる情報

記入要領は、行ごとに何を書くかを定めています。この記事で確認した範囲のうち、日本の会社がつまずきやすい行を挙げます。

行 書くもの 読み違えやすい点
3行目 「care of」の名称。信託なら受託者、遺産なら執行者・管理人・人格代表者などの名称 送付先の担当者名を書く欄ではなく、特定の立場の人を書く欄です
7a 責任者の氏名(名・ミドルイニシャル・姓) 法人名を書く欄ではありません
7b 責任者のSSN・ITIN・EINのいずれか 持たず取得もできない場合は foreign または N/A
18行目 申請する事業体が過去にEINの割り当てを受けたことがあるかどうか 新しい番号が必要かどうかの判断は別の話で、ここは事実の申告です
Third Party Designee 代理人の情報。記入は任意 記入すると、その人がSS-4の記入について質問に答え、割り当てられたEINを受け取れます
紙の申請書に手書きで記入している様子のイメージ画像
紙の申請書に記入する場面のイメージ画像です。Form SS-4 の実物や、IRSの画面ではありません。写真: RDNE Stock project(Pexels)

第三者代理人の欄は、現地の会計事務所や設立代行に手続きを任せるときに使います。記入要領は、この欄について「Complete this section only if you want to authorize the named individual to answer questions about the completion of Form SS-4 and receive the entity’s newly assigned EIN」と説明し、その権限はEINが割り当てられて代理人へ渡された時点で終わると示しています。以後のやり取りを任せ続ける仕組みではありません。

この区別は、前の節の名義人の話とつながっています。手続きを手伝ってもらうのは第三者代理人の欄、法人を実質的に支配しているのは7aの欄。両方を同じ人で埋めなければならない理由はありません。

取得したあとに期限が1つ増える

EINを受け取ったら終わり、ではありません。IRSの「Responsible parties and nominees」は、責任者が変わった場合の届出を示しています。使う書類はForm 8822-B(Change of Address or Responsible Party – Business)で、変更から60日以内にIRSへ提出するよう求めています。

同ページには、60日のあいだに変更の確認通知が届かない場合の扱いも書かれています。Form 8822-Bの写しに「Second Request」と書いて郵送する、という案内です。提出したつもりで終わらせず、通知が来たかどうかまで見る前提になっています。

創業期の会社では、責任者にあたる人が入れ替わることがあります。資金と資産を管理する人が交代した時点が起点になるため、組織の変更を決めたときに、この届出を手続きの一覧へ入れておくほうが安全です。株式の設計そのものは米国ストックオプションの課税時点|ISOとNSOで変わる場所で扱っています。

この記事で確認できなかったこと

参照した3ページの記載だけで書いているため、残った空欄をそのまま示します。

電話で申請した場合に、その通話の中でEINが伝えられるのか、後日に通知が届くのかは、確認した範囲に記載がありませんでした。所要日数の目安が示されているのはFAXと郵送だけです。オンライン申請の所要も、この記事では扱っていません。

「主たる営業所」の判定方法も記載されていません。登記上の住所、役員の所在、実際の業務の場所のどれを優先するのかは、このページからは読み取れません。

EINを取得したあとに必要になる連邦税・州税の申告、州への登録、銀行口座や決済サービスの開設要件は、この記事の範囲外です。EINは連邦の識別番号で、州の登録や許認可とは別の制度です。資金調達に関する連邦の届出はForm Dの提出期限は15日|SECへの届出と免除規定の条件で扱っています。海外の事業に関する記事は海外ビジネスにまとめています。

なお、ここに書いたのはIRSの公表ページの記載です。自社の形態や実態に当てはめた判断は税務・法務の専門家の領域で、この記事では示しません。

まとめ

責任者にSSNもITINも無く、主たる営業所も米国外にある会社は、オンライン申請の対象から外れます。それでも申請の道は3つ用意されています。電話は国際申請者だけが使える経路で、FAXと郵送はForm SS-4を送る形です。

書き方の要点は2つです。7aには法人を実質的に支配し、資金と資産を管理している個人の氏名を書く。7bには持っている番号を書き、持たず取得もできないなら foreign または N/A と書く。名義人を責任者として書くことは認められていません。

送った後は、FAXなら一般に4営業日、郵送なら約4週間がIRSの目安です。そして責任者が変わったら60日以内にForm 8822-Bを出します。番号・宛先・日数はIRSの記載で、この記事の確認日は2026年10月31日です。申請の前に、各ページの現行の記載を確認してください。

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