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デラウェア法人の年間費用|年次報告50ドルと税額の決まり方

デラウェア州の法人が毎年州へ払うのは、年次報告の50ドルとフランチャイズ税です。税額は授権株式数で決まる方式と、資産と発行済株式で決まる方式の2つ。州公式の計算例と期限、遅れたときの負担までを、州の公表資料の記載だけで整理します。

デラウェア法人の年間費用|年次報告50ドルと税額の決まり方 - 株式会社セイビー

デラウェア州に法人を持つと、州へ払うものは毎年2つに決まっています。年次報告の手数料と、フランチャイズ税です。年次報告の手数料は、免除対象ではない国内法人で50.00ドル。会社ごとに変わるのはフランチャイズ税のほうで、州は最低175.00ドル、上限200,000.00ドルと公表しています。期限はどちらも毎年3月1日で、オンラインでの提出が求められます。

つまり「デラウェア法人の維持費はいくらか」という問いは、実際にはほぼ「自社のフランチャイズ税がいくらになるか」という問いです。そしてこの税額は、売上でも利益でもなく、定款に書いた授権株式数、あるいは総資産と発行済株式数から決まります。設立のときに何気なく決めた株式数が、そのまま毎年の請求額になります。

この記事では、デラウェア州 Division of Corporations が公開しているページ、デラウェア州法(第8編)、IRSの公式ページに書かれている範囲だけを使い、毎年いくら払うのか、その金額が何で決まるのか、設立の時点で州へ払うものは何かを順に整理します。金額は公表されている通貨(米ドル)の表記のまま書き、日本円へは換算していません。為替で変わるためです。確認日は2026年9月8日です。

なお州のページには、Division of Corporations は法的助言を提供しないこと、事業形態を選ぶときは弁護士や公認会計士に相談することが明記されています。この記事も、自社がどの方式で申告すべきかという判断は扱いません。公表されている計算の仕組みを読むところまでです。

州へ毎年払うものは、この2つだけ

まず全体像です。デラウェア州の国内法人に課されるのは、年次報告の提出(手数料あり)と、フランチャイズ税の納付です。どちらも同じ期日にまとめて処理します。

項目 金額 期限
年次報告の手数料(免除対象ではない国内法人) 50.00ドル 3月1日
年次報告の手数料(免除対象の国内法人) 25.00ドル 3月1日
フランチャイズ税(授権株式方式の最低額) 175.00ドル 3月1日
フランチャイズ税(みなし額面資本方式の最低額) 400.00ドル 3月1日
フランチャイズ税の上限 200,000.00ドル 3月1日
フランチャイズ税の上限(Large Corporate Filer) 250,000.00ドル 3月1日
期限までに提出・納付がない場合 200.00ドル+税と罰金に対する月1.5%の利息 -

出典:デラウェア州 Division of Corporations「Annual Report and Tax Instructions」「How to Calculate Franchise Taxes」(確認日 2026-09-08)

年次報告の手数料は定額です。会社の規模でも活動状況でも変わりません。動くのはフランチャイズ税だけで、しかもその幅は最低175.00ドルから上限200,000.00ドルまで、1,000倍以上あります。維持費の見積もりで注意して読むべき場所は、ここ1か所に絞られます。

デラウェア州の外で設立した法人が、デラウェアに登録している場合(州の用語では foreign corporation)は、別の枠組みになります。州のページによると、この場合の年次報告は手数料250.00ドルで、期限は6月30日、期限までに受領されないと250.00ドルの罰金が加わります。日本の会社が米国法人を作るのではなく、自社を直接登録する道を検討している場合は、こちらの期日で管理することになります。

授権株式方式:発行していない株にも課税される

フランチャイズ税の計算方法は2つあり、1つ目が授権株式方式(Authorized Shares Method)です。州の公式ページは、金額を次のように定めています。5,000株以下は175.00ドル(最低額)、5,001株から10,000株までは250.00ドル、それを超える分は10,000株ごと、または端数の10,000株ごとに85.00ドルが加わります。

ここで効いてくるのが「授権」という言葉です。数えるのは実際に発行した株ではなく、定款で発行できることにした株の総数です。将来のストックオプションや増資に備えて授権枠を大きく取っておく設計はよくありますが、その枠は、まだ1株も発行していなくても課税の対象になります。

州の公式ページには、この方式の計算例が2つ載っています。10,005株を授権している会社は335.00ドル(250.00ドルに85.00ドルを足したもの)、100,000株を授権している会社は1,015.00ドル(250.00ドルに85.00ドルの9倍を足したもの)です。10,005株の会社が、たった5株の超過で85.00ドルを負担している点が、この方式の性格をよく表しています。端数も1単位として数えるためです。

授権株式方式による年間フランチャイズ税を比べた横棒グラフ。5,000株以下は175ドル、5,001から10,000株は250ドル、10,005株は335ドル、100,000株は1,015ドル
州が定める区分の額(黄)と、州の公式ページが計算例として示している額(黒)を同じ軸に並べたものです。金額はすべて年額で、上限は200,000.00ドルです。 出典:デラウェア州 Division of Corporations「How to Calculate Franchise Taxes」(確認日 2026-09-08)

グラフの4本は、いずれも会社の売上や利益とは無関係です。設立して1年目で収入がゼロでも、授権株式数が同じなら同じ額になります。逆にいえば、この方式での税額は定款を書いた時点でほぼ決まっているということです。

なお州のページには、年の途中で株式数や額面を変更した場合、その構成が有効だった日数に応じて税を按分すると書かれています。年度の途中で授権枠を増やしても、その日から先の分だけが上乗せされる形です。

みなし額面資本方式:資産と発行済株式で決まる

2つ目がみなし額面資本方式(Assumed Par Value Capital Method)です。こちらは授権株式数だけでは決まらず、総資産発行済株式数を使います。州の公式ページが示している手順は6段階です。

  1. 総資産を発行済株式数で割り、小数第6位まで求める(これが「仮定額面」)
  2. 仮定額面より低い額面の授権株式について、株数に仮定額面を掛ける
  3. 仮定額面より高い額面の授権株式について、株数にその額面を掛ける
  4. 2と3を足す(これが「みなし額面資本」)
  5. みなし額面資本を1,000,000で割り、400.00ドルを掛ける
  6. この方式の最低額は400.00ドル

州の公式ページには、この手順を使った計算例が載っています。額面1.00ドルの株式1,000,000株と、額面5.00ドルの株式250,000株を授権し、総資産が1,000,000.00ドル、発行済株式が485,000株の会社です。この場合のみなし額面資本は3,311,856ドル、税額は1,600.00ドルになると記載されています。

みなし額面資本方式の計算例。仮定額面2.061856ドルを求め、額面ごとに掛けた2,061,856ドルと1,250,000ドルを足して3,311,856ドル、100万ドル単位に切り上げて400ドルを掛け1,600ドルになる流れの図
州の公式ページに載っている計算例を、入力の3つと結果に分けて並べたものです。数値は例のもので、自社の税額を示すものではありません。 出典:デラウェア州 Division of Corporations「How to Calculate Franchise Taxes」(確認日 2026-09-08)

図の最後の段にある切り上げは、この方式の負担を読むうえで見落とせない部分です。州の説明では、みなし額面資本を1,000,000で割って400.00ドルを掛けますが、単位は「100万ドル、またはその端数ごと」です。例のみなし額面資本3,311,856ドルは4単位として数えられ、税額が1,600.00ドルになっています。資産が100万ドルの倍数をわずかに超えるたびに、400.00ドルの段が1つ上がる構造です。

2つの方式を並べると、税額を動かしている要素がまったく違うことが分かります。

見る項目 授権株式方式 みなし額面資本方式
税額を決める数字 授権株式数だけ 総資産・発行済株式数・授権株式数と額面
最低額 175.00ドル 400.00ドル
上限 200,000.00ドル 200,000.00ドル
加算の単位 10,000株ごと(端数も1単位)に85.00ドル みなし額面資本100万ドルごと(端数も1単位)に400.00ドル
公式ページの計算例 10,005株で335.00ドル/100,000株で1,015.00ドル 総資産1,000,000.00ドル・発行済485,000株で1,600.00ドル

出典:デラウェア州 Division of Corporations「How to Calculate Franchise Taxes」(確認日 2026-09-08)

表の2つの計算例は別々の会社を前提にした数字なので、335.00ドルと1,600.00ドルを比べても意味はありません。同じ会社に2つの方式を当てはめたときにどちらが安くなるかは、その会社の資産と株式の構成によって変わります。なお、州がどちらの方式で請求するのか、会社が方式を選べるのかについては、今回参照した州のページには記載がありませんでした。

毎年3月1日までに、年次報告と税をまとめて出す

期日は覚えやすい形になっています。前年分の年次報告とフランチャイズ税は、毎年3月1日までで、州のページにはオンラインでの提出が必要と書かれています。提出と納付のどちらかが遅れると、200.00ドルの罰金に加えて、税と罰金に対して月1.5%の利息がかかります。

もう1つ、金額が大きい会社だけに適用される決まりがあります。州の公式ページによれば、フランチャイズ税が5,000.00ドル以上になる法人は見込みで分割納付し、6月1日に40%、9月1日に20%、12月1日に20%、残りを翌年3月1日に納めます。年に4回の期日が立つことになるので、初年度から該当しそうな規模の会社は、資金の予定を早めに組んでおくことになります。

デラウェア州法人の年間の支払い期日を並べた時系列。3月1日に前年分の年次報告と税、5,000ドル以上の法人は6月1日に40%、9月1日に20%、12月1日に20%、翌3月1日に残りを納付
3月1日を起点に、州が公表している期日を1年分並べたものです。中央の3回は、フランチャイズ税が5,000.00ドル以上になる法人だけに関係します。 出典:デラウェア州 Division of Corporations「Annual Report and Tax Instructions」(確認日 2026-09-08)

期日を過ぎたときの負担が「罰金だけ」で止まらないことにも注意が要ります。利息は月ごとに、税と罰金の両方に対してかかると書かれています。放置した月数がそのまま増加分になる形です。

デラウェア州 Division of Corporations 公式ページ「Annual Report and Tax Instructions」のファーストビュー
引用キャプチャデラウェア州 Division of Corporations の公式ページ「Annual Report and Tax Instructions」。記事で扱っている年次報告の手数料、フランチャイズ税の最低額と上限、3月1日の期限、遅れたときの罰金と利息がここに記載されています。 出典:デラウェア州 Division of Corporations「Annual Report and Tax Instructions」(公式ページ)(確認日 2026-09-08/表示のファーストビュー)

設立のときに州へ払うもの

設立時の費用も、州の側の根拠を見ておきます。デラウェア州法 第8編 第391条は、原始定款(certificate of incorporation)の受理・提出・記録にあたって納める税を、授権株式のうち20,000株までは1株につき0.02ドルで計算すると定めています。そして同条には「いかなる場合も15ドルを下回ってはならない」と書かれています。株式数が少ない設立では、この最低額が効いてきます。

設立に伴って州へ払う金額の総額は、Division of Corporations が公開している手数料表(PDF)に定められています。この手数料表は今回の確認では機械的に読み取れなかったため、この記事には総額を書いていません。推測で埋めず、確認できた条文の金額だけを載せています。

金額以外の要件で、日本の会社が先に知っておくべきものが2つあります。1つは登録代理人です。州のページには、すべての事業体がデラウェア州内に登録事務所と登録代理人を維持しなければならないと書かれています。代理人はデラウェア州の個人居住者でも、州内で事業を行う権限のある事業体でも構いません。もう1つは居住要件で、州のFAQはデラウェア州に居住している必要はないと明記しています。必要なのは代理人であって、創業者の住所ではありません。

このほか、州のFAQには社名の予約が1件75.00ドルであること、1時間・2時間・当日・翌日という区分の迅速処理サービスがあることが書かれています。迅速処理の料金は手数料表の側にあり、今回は確認できていません。

EINは無料。米国外に本拠がある会社は電話で取る

法人ができたあと、米国で口座や決済サービスを使うにはEIN(雇用者識別番号)が要ります。IRSの公式ページはEINは無料で取得できると明記し、あわせて「EINに料金を請求するウェブサイトに注意してください」と書いています。手数料を求められた時点で、それは公式の窓口ではありません。

取得の経路は、会社の本拠がどこにあるかで変わります。オンライン申請の対象は、米国または米国領で設立された組織で、主たる事業所も米国または米国領にある場合です。さらに、責任者(responsible party)の社会保障番号(SSN)または個人納税者番号(ITIN)が必要になります。

主たる事業所が米国外にある場合は、電話での申請になります。IRSのページには、267-941-1099へ、東部時間の月曜から金曜、午前6時から午後11時のあいだに連絡するよう記載があります。また、オンラインでも電話でも郵送でもファクスでも、取得できるのは1日に1件までです。責任者とは、その事業体と資産を実質的に管理する人を指すとされています。

日本に本社を置いたまま米国法人を作る場合、この「主たる事業所がどこか」は形式ではなく実態の話になります。オンライン申請の条件に当てはまるかどうかを先に読んでおくと、申請の段取りが変わります。

株式の設計は、税と持分の両方に効く

授権株式数は、この記事で見たとおり毎年の税額を左右します。同時に、投資家へ渡す持分の計算にも効いてきます。当サイトでは、海外アクセラレーターの標準的な投資条件を、Y CombinatorとTechstarsの公式ページの記載から整理した記事にまとめています。会社をどこに置くかという前提も、そちらで扱っています。

金額の大小ではなく「何を単位に数えているか」を読む姿勢は、料金や契約を読むときに共通して使えます。同じ読み方を料金モデルに当てはめた例がAIエージェントの成果課金を扱った記事です。海外の事業に関する記事は海外ビジネスにまとめています。

今回の確認で分からなかったこと

正確を期すために、確認できなかった項目を残します。

設立時に州へ払う手数料の総額は、前述のとおり手数料表(PDF)を機械的に読み取れなかったため書いていません。迅速処理サービスの料金も同じ理由で載せていません。登録代理人に払う年間の費用は、州が定める金額ではなく代理人ごとに異なるため、公式資料から単一の金額を示すことはできません。

州がどちらの計算方式で請求するのか、会社側が方式を選べるのかについても、参照したページには記載がありませんでした。免除対象の国内法人(年次報告25.00ドル)の要件も、今回参照した範囲には書かれていません。

また、この記事は米国側の税務・会計の取り扱いや、日本の親会社側の税務については扱っていません。デラウェア州のフランチャイズ税は、法人の所得に対する税ではなく、州に法人を維持するための税です。所得に対する連邦税や州税、日本側での申告は別の制度で、専門家に確認する範囲になります。州自身が「法的助言は提供しない」と書いているのと同じ理由で、ここでも判断は示しません。

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