この記事では、サーバーの順位付けをしません。 各社の仕様と料金は改定が頻繁で、確認した時点の情報がすぐ古くなるためです。また、順位を付けるには比べた基準と公表値を同じ場所に示す必要があります。代わりに、確認すべき項目を整理します。
まず満たすべき要件
WordPress.org の「必須要件」には、ホスト(サーバー)が以下をサポートしていることを推奨します。これらは、パフォーマンスとセキュリティにおける、安全で現代的な基準(ベースライン)です。 として、次が示されています。
PHP バージョン 8.3 以上。
データベース:MariaDB 10.11 以上、または MySQL 8.0 以上。
HTTPS:すべてのインストールに必須。
そして、最も堅牢で多機能なサーバーとしては Apache や Nginx を推奨するが、PHP と MySQL をサポートしているサーバーであればどんなサーバーでも動作すると説明されています。
古いバージョンについては注記があります。 PHP 7.4 以上および MySQL 5.5.5 以上でも動作はするが、これらは公式のサポート終了(End Of Life)を迎えており、サイトがセキュリティの脆弱性にさらされる可能性があるとされ、アップグレードを強く推奨すると明記されています。
ここを満たさないサーバーは、候補から外します。 料金の安さより優先します。
契約前に確認する項目
対応するバージョン:公式が推奨する版に対応しているか。そして、新しい版が出たときに追随するか。
バージョンの切り替え:管理画面から変更できるか。固定されていると、更新に追随できません。
HTTPS:証明書の用意と更新が含まれるか。
バックアップ:自動で取られるか。保存される期間。そして、自社で復元できるか。
復元の手順:申請が必要か、管理画面から行えるか。費用がかかる場合があります。
転送量と同時アクセス:制限があるか。超えた場合どうなるか。
サポートの範囲:サーバー側の問題までか、WordPress の設定まで含むか。多くは前者です。
問い合わせの手段と時間:電話、メール、対応時間。障害は営業時間外にも起きます。
移行の支援:他社から移す場合の手順と費用。
契約の解除:解約の手続きと、データの持ち出し。
料金と仕様は各社の公式ページで直接確認してください。 改定が頻繁で、第三者がまとめた情報は古くなります。
共有型と専用型の違い
共有型(レンタルサーバー):1台を複数の利用者で使います。費用が抑えられ、設定も用意されています。 他の利用者の影響を受ける可能性があります。
専用型・仮想専用型:自社で1台分の資源を使います。自由度が高い一方、設定と保守の知識が必要です。
WordPressに特化した形式:更新やバックアップが含まれることがあります。含まれる範囲を確認します。
クラウド型:規模に応じて増減できます。費用の見通しが立てにくい面があります。
多くの企業サイトでは、共有型で足ります。 アクセスが増えてから見直す判断で構いません。
安全性の観点
WordPress.org の「セキュリティ」では、WordPress コア、WordPress.org で利用できるプラグインやテーマ、より幅広いエコシステムにおける脆弱性について、責任ある開示を奨励していることが説明されています。
また、セキュリティチームは修正プログラムを開発し、テストケースを作成し、バグフィックスリリースとしてリリースするよう努めていること、最新バージョンのみが公式にサポートされていることが示されています。あわせて、古いサイトが自動更新を介して重要なセキュリティ修正を受けられるよう対応していることも説明されています。
つまり、更新を受け取れる状態を保つことが前提です。 サーバー側の設定で更新が妨げられていないか、確認します。
サーバーを選ぶ際の観点としては、通信の暗号化、管理画面へのアクセス制限が設定できるか、不正なアクセスの検知や遮断の機能があるか、利用者ごとにアカウントを分けられるかが挙げられます。
速度の考え方
速いに越したことはありませんが、サーバーだけで決まりません。
画像の大きさ、読み込むファイルの量、追加している拡張機能の数。これらの影響のほうが大きいことがよくあります。
サーバーを変える前に、まず画像と拡張機能を見直します。 変えても改善しない場合があります。
乗り換えを検討する場面
要件を満たさなくなった:公式が推奨するバージョンに対応していない。
更新が妨げられる:サーバー側の制約で、本体や拡張機能を更新できない。
障害が繰り返される:表示できない時間が続く。
サポートが機能しない:問い合わせても解決しない。
転送量の制限に頻繁に達する:アクセスが増えた場合。
乗り換えは、URLを変えずに行えます。 ホスティングの変更だけであれば、移行の危険は小さくなります。ただし、切り替えの前後で表示が止まらないこと、証明書が正しく設定されていることは確認します。
契約前にする質問
そのまま送れる形で挙げます。
対応している PHP のバージョンと、切り替えの可否。
データベースの種類とバージョン。
HTTPS 証明書の用意と更新の方法。
バックアップの頻度、保存期間、復元の手順と費用。
転送量の上限と、超過した場合の扱い。
サポートの範囲と、対応時間。
他社からの移行支援の有無と費用。
解約時のデータの持ち出し方法。
移行するときの手順
サーバーだけを変える場合、URLは変わりません。 そのため、移行の危険は小さくなります。ただし手順は必要です。
移行前にバックアップを取る:ファイルとデータベースの両方。
新しいサーバーで動作を確認する:公開前に、表示と機能を確認します。
切り替えのタイミングを決める:アクセスが少ない時間帯を選びます。
切り替え後に確認する:表示、問い合わせの動作、HTTPSの証明書、管理画面へのログイン。
旧サーバーをすぐに解約しない:問題が起きたときに戻せる状態を、一定期間保ちます。
移行支援の有無と費用を、契約前に確認しておきます。
費用の見方
初期費用だけでなく、年間の総額で比較します。
継続してかかるもの:サーバーの利用料、ドメインの維持費。
条件によってかかるもの:証明書、バックアップの追加、転送量の超過。
含まれる範囲を確認する:バックアップ、証明書、サポート。「別途」と書かれている項目を見ます。
契約期間による割引:長期契約で安くなる場合、途中解約の条件も確認します。
この記事のまとめ
サーバーは、まず公式が示す要件(PHP 8.3以上、MariaDB 10.11以上またはMySQL 8.0以上、HTTPS必須)を満たすかで絞ります。料金の安さより優先します。
次に、バージョンの切り替え、バックアップと復元、転送量、サポートの範囲、移行と解約の条件を確認します。多くの企業サイトでは共有型で足ります。
速度はサーバーだけで決まりません。画像と拡張機能を先に見直します。乗り換えはURLを変えずに行えますが、切り替え時の確認は必要です。
出典と注記
サーバーの要件と古いバージョンに関する注記は WordPress.org 日本語「必須要件」に基づきます。脆弱性への対応とサポート対象のバージョンについては同「セキュリティ」に基づきます(いずれも確認日 2026年8月20日時点)。この記事はサーバーの順位付けを行っていません。 各社の仕様と料金は改定されるため、公式ページで直接ご確認ください。確認項目と判断の基準は当社が支援の現場で用いている整理です。
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