UX(ユーザーエクスペリエンス)は、利用を通じて得られる体験全体を指します。抽象的に語られがちですが、Webサイトに限れば、具体的に確認できる項目があります。この記事では、その範囲を整理します。
何を含むか
サイトを訪れる前:広告や検索結果で何を期待したか。
訪れた瞬間:何のサイトか分かるか。表示が速いか。
探している間:情報にたどり着けるか。迷わないか。
判断する場面:料金、条件、範囲。判断材料が揃っているか。
行動する場面:問い合わせや申し込みが、負担なく完了するか。
行動した後:受け付けたことが分かるか。いつ返事が来るか。
問い合わせ後:返信の速さ、内容の分かりやすさ。ここもUXの一部です。
サイトの中だけがUXではありません。 前後を含めて設計します。
公式ドキュメントが示す観点
Google 検索セントラルの「ページ エクスペリエンス」では、Google のコア ランキング システムは、優れたページ エクスペリエンスを提供するコンテンツを高く評価するように設計されていると説明されています。あわせて、限られた要素のみにとらわれないようにし、多くの要素について検討して全般的に優れたページ エクスペリエンスを提供できているかを確認するよう案内されています。
自己評価の質問として、次が示されています。
ページの Core Web Vitals は良好な状態か。
ページは安全な方法で配信されているか。
コンテンツはモバイル デバイス上で適切に表示されているか。
主要なコンテンツを妨害したり注意をそらしたりするほどの大量の広告を掲載することを回避できているか。
煩わしいインタースティシャルの使用が避けられているか。
サイト訪問者が、ページのメイン コンテンツとその他のコンテンツを簡単に区別できるようにページが設計されているか。
同じドキュメントには、これらの質問は検討すべきすべての要素を網羅するものではないとも明記されています。
妨げになる要素
Google 検索セントラルは「煩わしいインタースティシャルやダイアログを避ける」というドキュメントを公開しています。
煩わしいインタースティシャルやダイアログとは、主にプロモーション目的で、ユーザーのコンテンツ閲覧を妨害するページ要素と説明されています。インタースティシャルはページ全体を覆うオーバーレイ、ダイアログはページの一部のみを覆うオーバーレイとされ、場合によっては元のコンテンツが見えにくくなるとされています。
そして、煩わしいインタースティシャルでユーザーの閲覧を妨害すると、ユーザーの不満を招き、ウェブサイトへの信頼を損ないかねないと説明されています。さらに、煩わしいダイアログやインタースティシャルが表示されると、Googleや他の検索エンジンがコンテンツを把握することが困難になり、検索のパフォーマンスが低下する可能性があること、ユーザーがサイトを使いにくいと感じれば、そのサイトに再度アクセスする可能性は低くなることが示されています。
改善の方法も示されています。 インタースティシャルではなくバナーを使用すること、つまりページ全体を覆うのではなく、画面のほんの一部だけを覆うバナーを使うことが挙げられています。バナーを使うことで、ユーザーと検索エンジンは、ページに到達すると同時にコンテンツにアクセスできるとされています。
避けるべきミスとして、インタースティシャルでページ全体を覆わないようにすること、同意や入力のために、ユーザーを別のページにリダイレクトしないようにすることが示されています。
なお、法律で義務付けられている場合や、公開するコンテンツの種類によってインタースティシャルの表示が必須とされる場合(年齢確認などが例として挙げられています)は、このガイドラインの適用対象外とされています。
実際によくある問題
表示が遅い:読まれる前に離脱されます。
画面を覆う表示が出る:開いた直後の登録案内、通知の許可。
判断材料がない:料金、条件、対応範囲が書かれていない。
問い合わせ方法が分かりにくい:連絡先が探しにくい、フォームしかない。
入力の負担が大きい:必須項目が多い、エラーの表示が分かりにくい。
送信後に何も起きない:受け付けたか分からない。
返信が遅い、または来ない:サイトの外の問題ですが、体験としては同じです。
数値で見る部分と、見て確かめる部分
数値で見る部分:表示の速さ、離脱している位置、フォームの完了率、エラーの発生。
見て確かめる部分:探している情報にたどり着けるか、迷わないか、安心して申し込めるか。
後者は、実際に人に使ってもらわないと分かりません。 社内の人は構造を知っているため、迷いません。社外の人に、目的を伝えて操作してもらうのが確実です。
観察のしかた
目的を伝えて、操作してもらう:「このサービスの料金を調べて、問い合わせてみてください」。
口を出さない:迷っている場面が、そのまま問題箇所です。
思ったことを声に出してもらう:どこで何を考えたかが分かります。
止まった箇所を記録する:どのページで、何を探していたか。
数人で足ります:多くの人数は必要ありません。同じ箇所で複数の人が止まれば、そこが問題です。
改善の進め方
第1段階:測れる部分を直す:表示の速さ、スマートフォンでの表示、画面を覆う表示。
第2段階:実際に使ってもらう:社外の人に操作してもらい、止まる箇所を見つけます。
第3段階:判断材料を足す:料金、条件、対応範囲、手順。
第4段階:入力の負担を減らす:必須項目、エラー表示、送信後の画面。
第5段階:サイトの外を見る:返信の速さ、対応の分かりやすさ。業務の見直しが必要になることがあります。
第6段階:1つずつ直して確認する:同時に変えると、効果を切り分けられません。
社内で進めるとき
担当と範囲を決める:UXは複数部署にまたがります。まとめ役を決めます。
優先度を決める:全部は直せません。成果に近く、影響の大きいものから。
指標を決める:完了率、問い合わせ件数、再訪。
観察の機会をつくる:定期的に、社外の人に触ってもらう場を持ちます。
記録を残す:いつ何を変えたか。数値と突き合わせられるようにします。
この記事のまとめ
UXは、サイトを訪れる前から問い合わせ後までを含む体験全体です。サイトの中だけではありません。
公式ドキュメントでは、Core Web Vitals、安全な配信、モバイルでの表示、広告の量、インタースティシャル、メインコンテンツの区別という観点が示されています。煩わしいインタースティシャルは、ユーザーの不満を招き、検索のパフォーマンスにも影響する可能性があると説明されています。
改善は、測れる部分を直し、実際に使ってもらい、判断材料を足し、入力の負担を減らし、サイトの外も見る、という順で進めます。
出典と注記
ページ エクスペリエンスの自己評価の観点は Google 検索セントラル「ページ エクスペリエンスと Google 検索結果への影響」に基づきます。インタースティシャルとダイアログの定義、影響、改善方法、適用対象外の扱いは同「煩わしいインタースティシャルやダイアログを避ける」に基づきます(いずれも確認日 2026年8月20日時点)。ドキュメントは更新されるため、実務では最新の記載を確認してください。 観察のしかたと改善の進め方は当社が支援の現場で用いている整理です。成果を保証するものではありません。
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