「使いにくい」という指摘は抽象的で、そのままでは直せません。この記事では、具体的な確認項目に分解し、優先度をつけて直す手順を整理します。
手順1:測れる部分を確認する
まず、数値と表示で確認できる項目から見ます。 人の感覚に頼る前に、機械的に分かる問題を潰します。
Google 検索セントラルの「ページ エクスペリエンス」では、自己評価の質問が示されています。
ページの Core Web Vitals は良好な状態か。
ページは安全な方法で配信されているか。
コンテンツはモバイル デバイス上で適切に表示されているか。
主要なコンテンツを妨害したり注意をそらしたりするほどの大量の広告を掲載することを回避できているか。
煩わしいインタースティシャルの使用が避けられているか。
サイト訪問者が、ページのメイン コンテンツとその他のコンテンツを簡単に区別できるようにページが設計されているか。
同じドキュメントには、これらの質問は検討すべきすべての要素を網羅するものではないことも明記されています。
Core Web Vitals の見方
Google 検索セントラルの「Core Web Vitals」では、ページの読み込みパフォーマンス、インタラクティブ性、視覚的安定性に関する実際のユーザー エクスペリエンスを測定する一連の指標として、3つが示されています。
Largest Contentful Paint(LCP):読み込みパフォーマンスの尺度。ページの読み込み開始から2.5秒以内が推奨されています。
Interaction To Next Paint(INP):応答性の尺度。200ミリ秒未満が推奨されています。
Cumulative Layout Shift(CLS):視覚的安定性の尺度。0.1未満が推奨されています。
Search Console の Core Web Vitals レポートで、ページのパフォーマンスを確認できると案内されています。
ただし「ページ エクスペリエンス」のドキュメントには、レポートやサードパーティのツールで良い結果が得られても、検索結果で上位に表示されることが保証されるわけではないこと、SEO上の理由のためだけに満点を取ろうとするのは有効な時間の使い方とは言えないことも示されています。
点数を追うのではなく、極端に悪い状態を避けるという理解が実務に合います。
手順2:実際に使ってもらう
測れる部分を直しても、迷う箇所は残ります。 実際に人が操作する様子を見ないと分かりません。
社内の人では分かりません。 構造を知っているため、迷わないためです。
やり方は単純です。
目的を伝える:「料金を調べて、問い合わせてみてください」。
口を出さない:迷っている場面が、そのまま問題箇所です。教えたくなりますが、我慢します。
思ったことを声に出してもらう:どこで何を考えたかが分かります。
止まった箇所を記録する:どのページで、何を探していたか。
数人で足ります:同じ箇所で複数の人が止まれば、そこが問題です。
手順3:問題を分類する
見つかった問題を、直し方の違いで分けます。
見つけられない:情報はあるが、たどり着けない。導線とメニューの問題です。
分からない:読んでも理解できない。言葉と説明の問題です。
判断できない:情報が足りない。判断材料の問題です。 料金、条件、範囲。
操作できない:押しにくい、入力しにくい、エラーが分からない。画面の問題です。
遅い・崩れる:表示の問題です。
サイトの外:返信が遅い、対応が分かりにくい。業務の問題です。
手順4:優先度をつける
全部は直せません。 次の順で判断します。
最優先:成果を止めているもの:問い合わせが届かない、フォームが動かない、エラーで先へ進めない。
高い:多くの人が通る箇所の問題:主要な入口、料金ページ、問い合わせページ。
中くらい:判断材料の不足:料金、条件、範囲、事例。追加するだけで効くことが多い項目です。
低い:見た目の調整:配色、余白、装飾。すでに読める状態なら、優先度は上がりません。
作業量も考えます。 効果が同じなら、小さく直せるものから行います。
手順5:1つずつ直して確認する
同時に複数を変えると、どれが効いたか分かりません。
変更を記録する:日付、箇所、変更前の数値。
確認の時期を決める:変更の時点で決めておきます。
数値と観察の両方で見る:完了率などの数値と、実際に操作してもらった結果。
元に戻せるようにする:悪化した場合に戻せる状態にしておきます。
続ける仕組み
一度直して終わりではありません。 更新のたびに新しい問題が生まれます。
公開前の確認項目を決める:新しいページを出すとき、毎回同じ項目を確認します。
定期的に観察の機会をつくる:四半期に一度、社外の人に触ってもらいます。
問い合わせの内容を見る:「サイトを見ても分からなかった」という質問は、そのまま改善点です。
担当を決める:確認と改善を誰がいつ行うか。
記録を残す:何を直し、どうなったか。次の判断の材料になります。
よくある問題と直し方
探している情報が見つからない:メニューの言葉を、利用者が使う言葉にします。
料金が分からない:金額を出せない場合も、何で変わるかは書けます。
問い合わせ方法が分かりにくい:連絡手段を複数用意し、営業時間を明示します。
入力でやめてしまう:必須項目を減らし、エラーをその場で示します。
スマートフォンで操作しにくい:実機で確認します。制作画面とは見え方が違います。
表示が遅い:画像の大きさ、読み込むファイルの量を見直します。
やってはいけないこと
社内の意見だけで判断する:構造を知っている人は迷いません。
一度に全部変える:効果を切り分けられません。
見た目から直す:成果を止めている問題が残ります。
点数だけを追う:ツールの結果が良くても、上位表示が保証されるわけではないと明記されています。
測定せずに直す:改善したか判断できません。
社内で合意を取るとき
使いやすさの改善は、「好み」の議論になりやすい領域です。合意の取り方を決めておきます。
観察の記録を見せる:「使いにくい」ではなく、「3人中2人がここで止まった」と示します。事実のほうが、議論が短くなります。
数値と並べる:完了率、離脱している位置。
優先度の基準を先に共有する:成果を止めているもの、多くの人が通る箇所、判断材料、見た目。この順であることを合意しておきます。
見た目の議論を分ける:配色や余白の好みは、成果の議論とは別に扱います。
決める人を決める:意見を集めるだけでは、決まりません。
この記事のまとめ
使いやすさの改善は、測れる部分の確認から始めます。Core Web Vitals、安全な配信、モバイルでの表示、広告の量、インタースティシャル、メインコンテンツの区別という観点が公式に示されています。
次に、社外の人に実際に操作してもらい、止まる箇所を見つけます。見つかった問題は、見つけられない・分からない・判断できない・操作できない・遅い・サイトの外、に分類します。
優先度は、成果を止めているもの、多くの人が通る箇所、判断材料の不足、見た目の順です。変更は1つずつ行い、記録を残します。
出典と注記
ページ エクスペリエンスの自己評価の観点、ツールの結果と順位の関係は Google 検索セントラル「ページ エクスペリエンスと Google 検索結果への影響」に基づきます。Core Web Vitals の定義と各指標の推奨値、レポートの案内は同「Core Web Vitals と Google 検索の検索結果について」に基づきます(いずれも確認日 2026年8月20日時点)。ドキュメントは更新されるため、実務では最新の記載を確認してください。 分類、優先度、観察の方法は当社が支援の現場で用いている整理です。成果を保証するものではありません。
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