CVRを改善したいという相談は多く寄せられますが、いきなりページのデザインを変えても成果にはつながりません。改善には順番があり、その順を守るだけで無駄な作業が減ります。この記事では、着手すべき順序と、ページ・フォーム・導線それぞれの具体的なチェックポイントを解説します。
改善の前に確認すること
最初に確認するのは計測です。 設定の漏れで成果が計測されていない、テスト送信が混じっている、二重に数えられているといったことは珍しくありません。数字が誤っていれば、以降の判断もすべて誤ります。
Googleアナリティクスの公式ヘルプでは、重要な行動をキーイベントとして設定できると説明されています。問い合わせや資料請求が正しくキーイベントとして記録されているか、実際にテスト送信して確認します。
次に確認するのは流入の質です。 CVRが低い原因が、ページではなく集客側にあることがあります。対象と違う層を集めていれば、ページをどれだけ直しても成果は出ません。経路別にCVRを見て、極端に低い経路があれば、その集客の設定から見直します。
この2つを飛ばしてページ改善に入ると、直したのに数字が動かない、という結果になりがちです。
離脱箇所を特定する
どこで離脱しているかが分からないまま改善すると、当たらない場所を直すことになります。
見るべきは段階ごとの通過率です。訪問 → 主要ページの閲覧 → フォームの表示 → 送信完了という流れで、どこで大きく減っているかを確認します。
主要ページまで到達していないなら、そこへの導線に問題があります。フォームを表示したのに送信していないなら、入力の負担か、送信への不安が原因です。フォームまで来ていないなら、ページの内容が判断材料として不足しています。
ページのチェックポイント
何を提供しているかが冒頭で分かるか:ページを開いて数秒で、自社が何をする会社かが伝わる必要があります。会社の沿革や理念から始まるページは、この点で不利になります。
対象が明示されているか:「どんな人向けか」が書かれていると、読み手は自分事として読み進めます。
料金の情報があるか:判断材料として最も求められる情報です。個別見積もりの商材でも、目安や範囲を示すだけで問い合わせの質が上がります。
進め方が書かれているか:問い合わせた後に何が起きるかが分からないと、連絡をためらいます。
実績や事例があるか:似た状況の相手がどうなったかは、比較の段階で最も参考にされます。
対応できないことが書かれているか:範囲を明示すると、合わない相手が離脱し、合う相手には誠実さが伝わります。
Googleは公式ドキュメントで、ユーザーを第一に考えた有用なコンテンツの重要性を説明しています。これは検索評価の観点だけでなく、そのままCVR改善の指針にもなります。
フォームのチェックポイント
離脱が最も起きやすい場所です。
必須項目が多すぎないか:最初の接触に不要な項目は削ります。氏名とメールアドレスがあれば返信できます。
入力の形式が厳しすぎないか:電話番号のハイフン、全角と半角の指定など、エラーで弾かれると離脱します。
エラーの表示が分かりやすいか:どこが間違っているかが明示されないと、修正できずに離れます。
送信ボタンの文言が具体的か:「送信」より「無料で相談する」のほうが、押した後に何が起きるか伝わります。
送信後の案内があるか:いつ返信が来るかを書いておくと、送信への不安が減ります。
スマートフォンで操作しやすいか:入力欄が小さい、ボタンが押しにくいといった問題は、実機で確認しないと気づけません。
導線のチェックポイント
入口が複数あるか:問い合わせだけでなく、資料請求や相談予約といった軽い入口があると接点が増えます。
どのページからもたどり着けるか:記事を読んだ人が、次に何をすればよいか分かる状態にします。
押す場所が分かりやすいか:ボタンが本文に埋もれていると気づかれません。
途中で迷わせない:ページ間を何度も行き来させる構成は離脱を招きます。
検証の進め方
改善は、当てずっぽうで変えるのではなく、検証の形で進めます。
1回に1箇所だけ変える:同時に複数変えると、どれが効いたか分かりません。
変更前の数字を記録する:比較対象がなければ効果を判断できません。
判断に足る量が集まるまで待つ:訪問数が少ないサイトでは、数件の変動で率が大きく動きます。数日の結果で結論を出さないようにします。
変更の記録を残す:何を、いつ変えたかを記録しておくと、後から数字の動きと突き合わせられます。担当者が変わっても知見が引き継がれます。
効果が出ないとき
改善したのに数字が動かない場合、原因は次のいずれかです。
母数が少なすぎる:判断できるだけの訪問数が集まっていません。期間をまとめて見ます。
原因が別の場所にある:ページを直しても、集客の対象がずれていれば変わりません。
変更が小さすぎる:ボタンの色を変える程度では、通常は大きく動きません。判断材料の追加など、内容に踏み込んだ変更のほうが効きます。
成果の定義が事業と合っていない:Web上の数字は動いても、受注につながっていないことがあります。実際の受注数と突き合わせます。
検証の期間をどう決めるか
改善の効果を判断するには、一定の期間と量が必要です。
判断の目安は、変更前と変更後で、それぞれ同じ条件の期間を確保することです。曜日による差が大きいサイトでは、週単位で揃えます。月初と月末で傾向が違う商材では、月単位で比較します。
訪問数が少ないサイトでは、判断に足る量が集まるまで時間がかかります。この場合、率ではなく件数の推移を見るほうが実態を捉えられます。
また、季節による変動がある商材では、前月比ではなく前年同月比で見る必要があります。比較の相手を間違えると、施策の効果を正しく評価できません。
この記事のまとめ
CVR改善は、計測の確認、流入の質の確認、離脱箇所の特定、1箇所ずつの変更という順で進めます。
ページでは判断材料(料金・対象・進め方・実績・対応範囲)が揃っているか、フォームでは入力の負担が小さいか、導線では入口が複数あるかを確認します。変更前の数字と変更の記録を残すことが、改善を積み上げる前提になります。
ページの種類別に見る改善点
同じCVR改善でも、ページの役割によって手を入れる場所が変わります。
トップページでは、何を提供する会社かが伝わることが最優先です。事業内容が複数ある場合、訪問者が自分に関係する入口を選べる構成にします。
サービス紹介ページでは、提供範囲、料金、進め方、実績の4点が揃っているかを見ます。ここが不足していると、比較の段階で他社に流れます。
記事ページでは、読み終えた人が次にどこへ行くかを設計します。関連する記事、事例、サービスへの導線がないと、読んで終わりになります。
料金ページは、最も成果に近いページです。金額だけでなく、何が含まれるか、追加費用が発生する条件、支払い方法まで書きます。
事例ページでは、自分と似た状況の事例を探せるようにします。業種や規模で絞り込める形にすると、判断の材料になります。
改善の記録を残す
改善は、記録がなければ知見になりません。
残す項目は4つです。何を変えたか、いつ変えたか、変更前の数字、変更後の数字。表計算ソフト1枚で足ります。
記録があると、担当者が変わっても試行錯誤を繰り返さずに済みます。また、効かなかった施策の記録は、次に同じことを試す無駄を防ぎます。
出典と注記
キーイベントの設定は Google アナリティクス ヘルプ、コンテンツの考え方は Google 検索セントラルの公式ドキュメントに基づきます。チェックポイントと改善の順番は、当社が支援の現場で用いている整理であり、公的に定められた基準ではありません。効果は業種・商材・流入経路によって変わります。
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