Googleは2026年8月20日、検索・Discover・ニュースのパーソナライズに関する機能をまとめて発表しました。発表者は検索エコシステム担当ゼネラルマネージャーのMrinalini Loew氏です。この中で、サイト運営者にとって直接の作業が生まれるのが「Preferred Sources(優先ソース)」のボタンです。読者がページ上のボタンを押すと、そのサイトがGoogle上で優先ソースとして登録され、読者は元のページへ戻されます。発表では、すでに600,000を超える固有のソースが人々によって選ばれていると説明されています。この記事では、この機能の仕様と設置の方法、指定された場合に何が変わるのかを、公式ドキュメントの範囲で確認します。
発表の内容
発表は3つの機能で構成されています。ひとつめが、いま述べたPreferred Sourcesのボタンです。ボタンのコードはGoogle検索セントラルのドキュメントで提供されると案内されています。
ふたつめは、Discoverのフィードを自分の言葉で調整できる機能です。フィード上の三点メニューから、どんな話題をもっと見たいか、あるいは減らしたいかを入力すると、フィードがその場で調整され、指定した内容が記憶されると説明されています。提供時期は「今後数日のうちにGoogleアプリで」と案内されています。
みっつめは、Googleニュースの音声ブリーフィングの調整です。Android版のGoogleニュースアプリで、聞きたい話題を選んでブリーフィングを組み立てられます。出典の明示と記事へのリンクが含まれること、ニュース向けAIの試験プログラムに参加している発行元については、より深い記事へ辿れることが述べられています。
3つに共通しているのは、Googleが読者の側に選択の操作を渡している点です。発行元の立場では、ひとつめだけが自サイトに作業が発生します。
Preferred Sourcesとは何か
検索セントラルのドキュメントによれば、Preferred Sourcesは、読者がGoogle検索でお気に入りの発行元を指定する仕組みです。指定されたサイトの記事は、トップニュースで「preferred」のバッジ付きで表示されやすくなります。AI ModeとAI Overviewsでも、そのサイトを優先ソースに指定した利用者に対して、バッジ付きで扱われると記載されています。
対象となる範囲には条件があります。優先ソースの指定に使えるのは、ドメイン単位とサブドメイン単位のサイトだけです。ドキュメントでは、https://www.example.com/ と https://code.example.com/ は対象になる一方、https://www.example.com/blog のようなサブディレクトリは対象にならないと明記されています。サブディレクトリでメディアを運営している場合、この機能をそのまま自メディア単位で使うことはできません。
表示される範囲についても記載があります。トップニュースは世界のすべての言語で、AI ModeとAI Overviewsは提供されているすべての言語とロケールで対象になると説明されています。
自サイトへの置き方
ドキュメントには3つの方法が示されています。
推奨されているのは、標準のJavaScriptを使う方法です。スクリプトタグと、google-add-preferred-source-btn の属性を持つdiv要素の2行をHTMLへ加えるだけで、自動的に翻訳される対話型のボタンを設置できると説明されています。data-theme と data-lang の属性で見た目と言語を調整できます。
ふたつめは、より細かく制御したい場合の方法です。ESモジュールとしての読み込みや、コールバックのキューを使って、自前のUIへ組み込む形が案内されています。既存のデザインシステムに合わせたい場合はこちらになります。
みっつめは、リンクだけで済ませる方法です。https://www.google.com/preferences/source?q=example.com の形式で、Googleのソース設定ツールへ直接読者を送ります。JavaScriptを増やしたくないサイトでも使えます。
置き場所については、SNSの共有ボタンなど、ほかの行動喚起と並べる形が想定されています。記事を読み終えた読者が押せる位置に置くのが素直な設計です。
指定されると何が変わるか
指定によって変わるのは、その読者のGoogle上での表示です。すべての利用者に対して順位が上がるわけではありません。ここは誤解しやすい点なので、社内で説明するときも区別して伝える必要があります。
つまりこの機能は、検索順位を上げる施策ではなく、すでに自メディアを評価している読者との関係を、Googleの画面上で継続させる仕組みです。ニュースレターやSNSのフォローに近い性格を持ち、置き場所も同じ発想で考えられます。効果の大きさは読者数と指定率に左右されるため、事前に見積もれるものではありません。
600,000を超える固有のソースがすでに選ばれているという発表の数字は、読者側の利用が一定量あることを示しています。ただしこれは選ばれたソースの数であって、指定した人数でも、そこから生まれた流入でもありません。数字の意味を取り違えないようにします。
メディア運営者が判断すべきこと
判断は3つに分かれます。
第一に、自サイトのURL構成が対象になるかを確認します。サブディレクトリでメディアを運営している場合、優先ソースの指定はドメイン全体に対して行われます。企業サイトの一部としてメディアを持っている場合、指定される単位が自分の意図と合うかを考える必要があります。
第二に、設置方法を選びます。速さを優先するなら標準のJavaScript、既存のデザインに合わせるなら高度な方法、追加のスクリプトを避けたいならディープリンクです。当サイトのように外部スクリプトの読み込みを抑える方針であれば、3つめが選択肢になります。
第三に、置く位置と文言を決めます。押してもらう理由は「この発行元の記事をこれからも見たい」という気持ちであり、機能名を書いても伝わりません。読者に何が起きるのかを短く添える必要があります。
第四に、効果をどう見るかを決めておきます。この仕組みは、押した回数が自サイトの計測に残る形にはなっていません。ディープリンクで実装する場合はクリックを計測できますが、その先で実際に指定されたかどうかまでは追えません。トップニュースやAI Overviewsからの流入の推移を見るしかない、というのが現実的な線です。数字で説明しにくい施策であることを、着手前に共有しておく必要があります。
読者に選ばせるという方向
今回の発表を3つまとめて見ると、Googleが検索・Discover・ニュースの3つの面で、同じ方向へ動いていることが分かります。表示する内容の決定を、アルゴリズムだけに委ねず、読者本人の指定に一部を渡すという方向です。Discoverでは話題を自分の言葉で伝え、Googleニュースでは聞きたい話題を選び、検索では発行元を指定する。操作の対象は違いますが、いずれも読者が明示的に意思を示す仕組みです。
発行元の立場では、これは評価される経路がひとつ増えたことを意味します。従来はページの内容とリンクの評価が中心でしたが、そこに「読者が名指しで選んだかどうか」が加わります。ただし、指定してもらうには、まず読んでもらう必要があります。指名される状態を作るのは、検索対策ではなく記事そのものの仕事です。この機能は、その結果を受け止める受け皿として位置づけるのが適切です。
出典と注記
この記事はGoogleの公式ブログと検索セントラルのドキュメントのみを出典とし、機能名・条件・数値は原文の表記に従いました。指定によって検索順位が上がると述べているものではありません。日本語環境でのボタン素材の提供状況や、Discover・Googleニュース側の機能の日本での提供時期は、発表に記載がありません。実装の前に公式ドキュメントで最新の仕様を確認してください。
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