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GeminiのGemsがskillsへ。移行の期限と先に直す3か所

Googleは2026年9月30日、Geminiのskillsを公開しました。Gemsは個人アカウントが2026年11月、Workspaceが2027年3月と6月で終了します。違いと移行の期限、マーケティング業務で先に直す箇所を整理します。

毎回同じ指示を書き直している作業を、保存して呼び出せるようにする機能です。Googleは2026年9月30日、Geminiにskills(スキル)を追加したと公表しました。入力欄で「/」を打って名前を選ぶと、保存しておいた指示がその会話に効きます。同じ役割を担ってきたGemsについては、終了の日程が同時に示されました。個人のGoogleアカウントが2026年11月、Workspaceのbusiness・enterprise・non-profitが2027年3月、educationが2027年6月です。

先に誤解を消しておきます。手元のGemsが消えて作り直しになるわけではありません。公式ヘルプは、Gemsが終了するときに自動でskillsへ移すと書いています。ただし例外があり、GitHubのファイルはskillsが対応していないため引き継がれません。共有や、Google DriveのファイルとGemini Notebookのノートブックの追加は、skills側では「今後」として案内されています。いま同じことができるとは書かれていません。

この記事では、Googleの公式ブログと、Gemini Appsの公式ヘルプ3ページ(移行の案内、作成と管理、書き方)を突き合わせます。見るのは4点です。skillsが何をする機能なのか、移行の期限がどう分かれるのか、自動では移らないものは何か、そしてGeminiがskillを選ぶ仕組みはどうなっているのか。そのうえで、保存した指示を業務で共有している組織が11月より前にできることを整理します。確認日は2026年10月1日です。Geminiが利用者の代わりに手を動かす方向の動きはChromeでの自動ブラウズでも扱いました。

skillsは「保存した指示」を会話の中から呼び出す仕組み

公式ブログの説明は、繰り返す作業のために保存しておける指示、というものです。呼び出し方は入力欄で「/」を打ち、skillの名前を選ぶだけだとされています。Gemsとの違いとしてブログが挙げているのは重ね合わせです。文体のskillとブランド基準のskillを同時に効かせる、という例が示されています。一度の依頼に複数の基準を通したい場面は実務では珍しくないので、ここは使い方そのものが変わる部分です。

参照ファイルも添えられます。プレーンテキストの文書、PDF、画像が挙がっています。ブログが示している用途は、プレゼン資料の構成と話す要点の組み立て、Workspaceアプリをまたいで自分の文体をそろえること、ブレインストーミングのために複数の視点を出させることの3つです。

ヘルプ側にはもう1つ、知っておいたほうがよい記載があります。有効にしてあるskillは、作業の文脈と意図からGeminiが自動で選ぶことがある、というものです。呼び出しを忘れても効く、という利点として読めますが、逆も成り立ちます。意図していない場面で社内の指示が効く可能性があります。有効にしておくものと、必要なときだけ手で呼ぶものを分けて考える理由になります。ヘルプにはskillごとに有効・無効を切り替える操作が載っていて、この切り分けは運用側で決められます。

作り方は4通りです。Geminiと会話しながら作る、あらかじめ項目が入ったテンプレートを直す、白紙から入力する、SKILL.md のファイル(またはそれを含むフォルダ)をアップロードする。書き出しは .zip で行えます。ファイルとして持ち出せる形になっているので、社内の共有ドライブで版を管理する余地があります。共有機能そのものが「今後」である間は、この持ち出しが代わりになります。

移行の期限は3段階に分かれる

日程は、ブログとヘルプの双方に同じ3つが載っています。個人のGoogleアカウントが2026年11月、Workspaceのbusiness・enterprise・non-profitが2027年3月、Workspaceのeducationが2027年6月です。skills側の提供は、Gemini Sparkではすでに始まっており、Geminiチャットへは世界向けに公開、Workspaceの各契約には「今後数週間」で届くとされています。

skillsの提供開始からGemsの終了までを4つの時点で並べた経緯図。2026年9月30日にGeminiチャットへ公開、2026年11月に個人アカウントのGemsが終了して自動でskillsへ移り、2027年3月にWorkspaceのbusiness・enterprise・non-profit、2027年6月にeducationが終了する
4つの時点はいずれも公表されている日程です。下の帯にある「手を動かす必要がある範囲」は、公式ヘルプの記載から当社が整理したものです。 出典:Google「Let skills in Gemini tackle your most repetitive tasks」/Gemini Apps Help「About the transition from Gems to skills」(確認日 2026-10-01)

この並びで実務に効くのは、期限が先に来るのが個人アカウントの側だという順序です。会社としてWorkspaceを契約していても、担当者が自分のGoogleアカウントで作った指示は2026年11月に区切りが来ます。法人契約の側は2027年3月まで残ります。つまり同じ社内で、Gemsがもう無い人と、まだある人が同時にいる期間が1年以上続きます。手順書に「Gemを開いて」と書いてある組織では、その記述がいつから通じなくなるかが、人によって違うことになります。

教育機関向けが最後(2027年6月)に置かれているのも、年度の区切りを踏んだ配置として読めます。ただし理由は発表に書かれていないので、ここは推測として扱ってください。

Gemini Apps Help「About the transition from Gems to skills」のファーストビュー
引用キャプチャGemini Appsの公式ヘルプ「About the transition from Gems to skills」。記事で扱っている個人アカウントとWorkspaceの終了時期、残っているGemsが自動でskillsへ移ることがここに記載されています。 出典:Gemini Apps Help「About the transition from Gems to skills」(公式ヘルプ)(確認日 2026-10-01/表示のファーストビュー)

自動で移るもの、自動では移らないもの

ヘルプは移行を自動と明記しています。終了時に残っているGemsは、対応しているファイルを含めてskillsとして作り直されます。終了を待たずに自分で作り替えることもできるとされています。移らないものは2種類に分かれます。

Gemsからskillsへの移行で、そのまま移るものと、移らない・使えないものを左右に分けた図。左は保存済みのGems本体と対応ファイル、早めの作り直し。右はGitHubのファイル、共有とDrive・Notebookの参照、Canvasやディープリサーチなどskillsが動かない機能
左右の項目はいずれも公式ヘルプの記載です。「見直しが要るのは右側だけ」という整理は当社によるものです。 出典:Gemini Apps Help「About the transition from Gems to skills」/Gemini Apps Help「Create & manage skills for Gemini Apps」(確認日 2026-10-01)

1つ目はGitHubのファイルです。skillsが対応していないため、自動移行に含まれません。リポジトリの中の資料を読ませる形で作ってあるGemは、移行後に参照先が無い状態になります。2つ目は機能の側の制約で、Canvas、ディープリサーチ、動画の生成、音楽の生成、ガイド付き学習では、skillsが動かないとされています。この5つを前提にした使い方をしているなら、移行では解決しません。作り直しではなく別の手段を探す話になります。

共有とDrive・Notebookの参照については、ヘルプが「Gemsで気に入っていた機能」として、skillsに入る予定のものとして挙げています。予定として書かれているだけで、時期は示されていません。チームでGemを共有して回している運用は、ここが埋まるまでの間、.zip での書き出しと配布で代える形になります。

Geminiがskillを選ぶのは、名前と説明だけ

移行の作業よりも、実務で効くのはこちらだと考えます。書き方のヘルプに、Geminiがskillを使うかどうかを判断する手順が書かれています。関係するかどうかを見る段階では、読むのはskillの名前と説明だけです。関係すると判断してから指示の本文を読み、必要になったところで添えたファイルを読む、という順序です。

Geminiがskillを使うまでの3工程を示した手順図。1つ目で名前と説明だけを読んで関係するかを判断し、2つ目で指示の本文を読んで従い、3つ目で必要になった時点で添付ファイルを読む。下段に名前・説明・指示の書き方と、skillにしない作業の条件を並べている
3工程と、下段の名前・説明・指示の書き方は、いずれも公式ヘルプの記載です。文字数の上限は説明欄に対するものです。 出典:Gemini Apps Help「Write effective skills for Gemini Apps」(確認日 2026-10-01)

この順序から、名前と説明の書き方に具体的な指示が付いています。名前は動詞から始めること。helper、tool、data のような曖昧な語を避けること。書式は小文字とハイフンで、plan-meal-from-recipe のような例が示されています。説明は三人称で何ができるかを書き、「Use when …」の形で使う場面を並べること。文字数は1024文字までです。

指示の本文については4つが挙げられています。求める結果の書式やテンプレートを入れること。避けたい間違いをまとめた節を置くこと。長い作業には工程と確認項目を書くこと。そして情報が足りないときにどうするかを書くことです。最後の1つは、推測で埋められるのを防ぐための指示として読めます。数値や固有名詞を扱う業務では、ここを書いていないskillは危ないと考えます。

skillにしないほうがよいものも書かれています。1回だけの作業と、すでに満足できる結果が出ている作業です。数を増やすほど、同時に有効にできる数の制限に当たり、名前と説明で選ばれる確率も下がります。増やすことが目的になると、かえって呼ばれなくなります。

使える条件と、当たりやすい制限

条件と制限は、作成と管理のヘルプに具体的な数字で載っています。表に写します。金額や単位の換算はしていません。

項目 公式ヘルプ・ブログの記載
対象 18歳以上、個人のGoogleアカウントでサインインしていること(18歳未満は「近日」)
必要な設定 Keep Activity をオンにしていること
使える場所 Geminiのモバイルアプリ、MacのGeminiアプリ、gemini.google.com のWebアプリ
料金 Google AI のすべてのサブスクリプション階層
Workspace business・enterprise・non-profit・education は「今後数週間」
同時に有効にできる数 100件まで(作成できる数そのものに上限の記載はない)
アップロードの合計 100 MB まで
使えない機能 Canvas、ディープリサーチ、動画の生成、音楽の生成、ガイド付き学習
非対応のファイル .docx、.doc、.xlsx などのバイナリ形式
スクリプト インターネットへアクセスするもの、外部サイトへ操作や要求を行うものは非対応

このうち日本の業務でいちばん当たりやすいのは、バイナリ形式が非対応だという行だと考えます。社内の表記ルールやレポートの型は、WordやExcelのファイルで回っていることが多いためです。テキストやPDF、Markdownへ置き換える手間が先に来ます。スクリプトが外部サイトへ要求を出せないという制約も、外のデータを取ってくる用途を考えていた場合は、その時点で設計が変わります。

削除が取り消せないことも書かれています。整理のために消す前に、.zip で書き出しておくほうが安全です。

マーケティングの仕事に置き換えると、どこが変わるか

作業そのものが変わるわけではありません。変わるのは指示の置き場所と呼び出し方です。下の表は、公式ヘルプの書き方の指針に沿って当社が組んだ作例です。Googleが推奨している組み合わせではありません。

業務 skillの名前(作例) 説明に書く使う場面 添える参照ファイル
記事とSNSの下書きを自社の言い回しにそろえる write-draft-in-brand-voice Use when 記事・投稿・メールの下書きを書くとき 表記ルールと用語集(.md)
広告レポートの書式を毎週そろえる summarize-weekly-ad-report Use when 週次の広告実績をまとめるとき 前月のレポート(.pdf)
問い合わせへの一次返信を下書きする draft-first-reply-to-inquiry Use when 問い合わせフォームの内容へ返信するとき よくある質問の一覧(.txt)
競合の公式発表を要点だけ拾う extract-facts-from-announcement Use when 他社の発表ページを読んで要点を出すとき 拾う項目のテンプレート(.md)

左の2列と右の2列を分けて書いたのは、名前と説明だけで呼ばれるかどうかが決まるからです。名前を report-helper のように付けると、どの依頼に対しても関係がありそうに見え、関係のない場面でも選ばれます。逆に説明へ「使う場面」を書いていないと、呼ばれるべき場面でも選ばれません。ここは検索のためのキーワード選びに近い作業です。指示の中身を磨く前に、名前と説明を直したほうが結果が変わりやすいと考えます。

重ね合わせができることも、設計の仕方を変えます。1つのskillに文体とブランド基準と書式を全部入れると、他の場面で使い回せません。分けておけば、必要な組み合わせでその場に載せられます。AIに任せる範囲を部品に分けて持たせる考え方は、複数モデルを使い分けた事例でも同じ形で出てきました。

2026年11月より前にできること

提供はすでに始まっています。待つ必要はありませんが、慌てて全部を作り直す必要もありません。順序を4つに絞ります。項目と順序は当社によるもので、Googleが示しているものではありません。

1つ目は棚卸しです。いまGemsを何に使っているかを、誰のアカウントで作ったかまで含めて一覧にします。個人アカウントで作られたものは期限が先に来るので、ここを分けておかないと移行の順番が決められません。

2つ目はGitHubのファイルを参照しているGemの洗い出しです。自動移行の対象外なので、移行後に参照先が無くなります。読ませていた資料をテキストやPDFで持ち直すのか、その用途をやめるのかを先に決めます。

3つ目は名前と説明の規約を決めることです。動詞から始める、小文字とハイフンでつなぐ、説明は「Use when …」で使う場面を並べる。ここまでは公式ヘルプの指針どおりに決められます。そのうえで、社内でどの単位に切るか(媒体別か、工程別か)を決めておくと、人が増えても同じ形で足せます。

4つ目は共有の代わりを決めることです。共有機能が「今後」である間は、.zip の書き出しを共有ドライブに置く、あるいは SKILL.md をリポジトリで管理する形になります。どちらにしても、どれが正本かを決めておかないと、少し違うskillが人数分できます。

なお、これで成果が上がると書けるものではありません。skillsは指示の置き場所を変える仕組みで、指示の中身と使い方は変わりません。効果は書いた内容と運用によります。

公式の情報で確認できなかったこと

埋めずに残します。共有機能と、Google Drive・Gemini Notebookの参照が使えるようになる時期。18歳未満へ広げる時期。日本語での案内の状況(今回参照したページは英語版です)。Workspaceの各契約で提供が完了する具体的な日付(「今後数週間」という記載までです)。skillが自動で選ばれる判断の基準の詳細。作成できるskillの数の上限(同時に有効にできる数は100件と書かれていますが、作成数の上限は見当たりませんでした)。移行の対象になったGemsの件数などの実績値も公表されていません。

いずれも「存在しない」という意味ではありません。公開されている範囲がここまで、という意味です。

この記事で確認できたこと

Googleは2026年9月30日、Geminiにskillsを追加したと公表しました。保存した指示を「/」と名前で呼び出し、複数を重ねて使えます。参照ファイルはプレーンテキスト、PDF、画像に対応し、作り方は会話・テンプレート・白紙・SKILL.md のアップロードの4通りです。提供はGemini Sparkで先行し、Geminiチャットへは世界向けに公開、Workspaceの各契約へは「今後数週間」とされています。対象は18歳以上・個人のGoogleアカウントで、Google AI のすべてのサブスクリプション階層が含まれます。

Gemsの終了は3段階です。個人のGoogleアカウントが2026年11月、Workspaceのbusiness・enterprise・non-profitが2027年3月、educationが2027年6月。残っているGemsは自動でskillsへ移りますが、GitHubのファイルは対応しておらず引き継がれません。Canvas、ディープリサーチ、動画の生成、音楽の生成、ガイド付き学習では、skillsは動きません。共有とDrive・Notebookの参照は、skillsに入る予定として案内されています。

Geminiがskillを使うかどうかは、名前と説明だけを読んで判断します。名前は動詞から始めて曖昧な語を避け、説明は「Use when …」で使う場面を挙げる(1024文字まで)。指示には書式、避けたい間違い、工程、情報が足りないときの扱いを書きます。11月より前にできるのは、棚卸し、GitHubのファイルを参照しているGemの洗い出し、名前と説明の規約づくり、共有の代わりを決めることの4つです。海外の動きを読み解いた記事は海外マーケティングにまとめています。

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