「連携しているサービスのロゴを自社サイトに並べたい」「資料に『Slack連携に対応』と書きたい」。このときに最初に分かれるのは、文字として名前を書くのか、ロゴ画像を置くのかです。海外4社の公開規約を読むと、どの会社もこの2つを別の条文で扱っています。文字としての言及には許諾なしで書ける範囲があるのに対して、ロゴ画像のほうは「明示のライセンスがなければ使えない」と書いている会社があります。
次に効くのが置き場所です。ページの本文や説明文の中で名前に触れることと、自社のサービス名やドメイン、SNSのアカウント名の中に入れることは、まったく別の扱いになります。名前への組み込みについては、今回読んだ4社すべてが禁止の条文を置いていました(どの場所を名指しするかは会社ごとに違います)。
ここで読むのは各社が公開している規約と利用ガイドラインで、日本の商標法の解釈ではありません。規約を守っていることと、法律上の問題がないことは別の判断で、両方を満たす必要があります。判断に迷う表示は、公開前に専門家の確認を通してください。この記事の作成者は弁護士ではありません。確認日は2026年10月9日です。
この記事では、使う前に通す4つの確認、文字として書くときに求められる形、ロゴ画像の前提が会社ごとに逆になっていること、自社の名前に入れられない場所、「連携しています」と名乗れる条件、検索広告で重なる2つの規則、スクリーンショットの条件、そして各社が書いていなかったことを順に見ます。
使う前に通す4つの確認
この4つは規約の章立てではなく、確かめる側の作業の順です。順番に意味があるのは、1つ目の答えが残りの3つの前提を決めるからです。文字としての言及なら、条件を守れば自社の判断で書ける範囲があります。ロゴ画像なら、素材の入手経路と許諾の有無が先に立ち、置き方の制限までついてきます。
現場で起きる取り違えは、2つに集まります。1つは「素材をダウンロードできたのだから使ってよい」。配布していること自体は、置き方や大きさの制限が無いことを意味しません。もう1つは「名前を書けるのだから、自社のサービス名にも入れられる」。この2つは、4社とも別の条文で扱われています。
ライセンスや規則の本文から、できることとできないことの境界を読む作業そのものは、n8nのライセンスで無料と有償が分かれる条件でも同じ形で扱っています。
文字として書くときは、形容詞にするよう求められている
4社とも、名前を名詞や動詞として使わないことを求めています。Microsoftは形容詞としての使用を挙げ、「Excel spreadsheets」「Word documents」のような書き方を示しています。逆に避ける例として挙がっているのが「Excel with Microsoft」のように、商標を動詞のように使う言い方です。
Googleも同じ考え方です。形容詞としてのみ使い、名詞や動詞として使わないこと、複数形や所有格にしないことが書かれています。加えて、商標の後ろに製品の一般名詞を置くこと(Google search engine のような形)、商標の一覧どおりに綴りと大文字を合わせること、周囲の文字と見分けられるようにすることが並びます。
Slackは「Slack collaboration software」のように、形容詞として使い、そのあとにサービスの説明を続ける形を示しています。AWSはもう一段具体的で、自社ブランドと関係を示す語とAWSの商標を並べる形を勧め、関係を示す語の例として for use with、compatible with、works with、built on、developed with を挙げています。
| 会社 | 求められている形 | 避けるよう挙げられている形 |
|---|---|---|
| Microsoft | 形容詞として使う(Excel spreadsheets、Word documents) | 名詞・動詞としての使用(Excel with Microsoft) |
| 形容詞としてのみ使い、後ろに一般名詞を置く(Google search engine) | 名詞・動詞・複数形・所有格。略称化、頭字語、ハイフンでの結合 | |
| AWS | 自社ブランド+関係を示す語+AWSの商標(works with、built on など) | 他の語や商標と結合、省略、短縮、ハイフンでつなぐ |
| Slack | 形容詞として使い、サービスの説明を続ける(Slack collaboration software) | 名詞・動詞・複数形・所有格としての使用 |
日本語で書くときに注意が要るのは、品詞の形が表に出ないことです。「Slackする」「Slack化する」は、名前を動詞として使った形になります。一方で「Slackと連携する」「Slack連携の設定」は、名前を修飾語として置いた形です。英語の原文が求めているのは後者の構えで、名前そのものを自社の動作や機能の呼び名にしないことだと読めます。
Microsoftは、商標を使っていることを知らせる脚注を入れるよう求めています。例文まで示されていて、複数の商標を挙げるときはアルファベット順に並べる形です。自社サイトの表記ルールを作るなら、この脚注をどのページのどこに置くかまで決めておくほうが早いです。あとから全ページに足すことになると、テンプレート側の作業になります。文章そのものの調子をどう決めるかは、ブランドボイスの決め方の側で扱っています。
ロゴ画像は、会社ごとに前提が逆になっている
Microsoftの書き方がいちばん強く、ロゴ、アプリと製品のアイコン、イラスト、写真、動画、デザインは、明示のライセンスなしには使えないとしています。提携していない会社が自社サイトにMicrosoftのロゴを置く経路は、規約の上では用意されていません。文字としての言及なら許諾なしに書ける一方で、画像はそうではない、という非対称がここに出ます。
Googleは、ロゴを使うときはGoogleが承認したアートワークだけを使うこと、ロゴの周囲にクリアスペースを確保すること、自分のコンテンツの中で最も目立つ要素にしないことを挙げています。素材はブランド リソース センターで配布されています。
AWSは、ロゴ画像を比率・色・書体を含めて改変しないことを求めています。あわせて、AWSの商標を他の語や商標・ブランド要素と結合したり、省略・短縮したり、ハイフンでつないだりしないことが挙がっています。平文での言及については、顧客に混同を生じない限り第三者による fair use に異議を唱えないという書き方です。
Slackは、公開しているブランド素材からロゴを入手できるとしています。ただし、自社のブランドの代わりにSlackのロゴを使わないこと、色の組み合わせ・図形・音・アイコン・書体といった見た目の特徴を模倣しないことが、禁止として並びます。
実務では、素材の配布ページがあるかどうかが最初の分かれ目になります。配布しているなら、クリアスペース、最小の大きさ、改変の禁止といった条件を読んで従う。配布していないなら、許諾が取れるまで置かない。「他社のサイトで見かけたから大丈夫」は根拠になりません。そのサイトが個別の許諾を得ている場合があります。
自社の名前・ドメイン・アカウント名には入れられない
| 会社 | 名前に入れないよう挙げられている場所 |
|---|---|
| Microsoft | 事業名、製品名、サービス名、アプリ名、ドメイン名、SNSのアカウント、その他の提供物や事業の表示 |
| ドメイン名としての登録、SNSのアカウント名・プロフィール名。略称化、頭字語、ハイフンでの結合 | |
| AWS | 組織・製品・サービスの名称、自社の商標やロゴ、商標を含むドメイン名、サブドメインでの使用 |
| Slack | slack を含むドメインの登録(意図的な綴り間違いや音訳も同じ扱い)、Slack を含む商標の出願 |
4社とも禁止の条文を置いていますが、挙げている場所は同じではありません。Microsoftは事業・製品・サービス・アプリ・ドメイン・SNSのアカウントまで広く列挙しています。Googleはドメイン名の登録とSNSのアカウント名・プロフィール名を挙げ、さらに略称化や頭字語化、ハイフンでの結合も認めていません。AWSは組織や製品の名称への組み込みに加えて、サブドメインでの使用まで名指しで挙げています。Slackは、slackという語を含むドメインの登録を禁じ、意図的な綴り間違いや音訳も同じ扱いだとしています。
ここで分かれ目になるのは、アプリやサービスの名前そのものに他社名を入れてよいかです。Slackは、自分のアプリがSlackと連携していると言うことは認めていますが、アプリ名に入れてよいかどうかについて、今回読んだ範囲では明確な記載を見つけられませんでした。名前に入れる形を取る前に、各社の開発者向けの規定を別に確認する必要があります。
既存の名前を変えるのは、ドメインの移転からSNSのアカウント名、審査を通った広告の文面まで波が及びます。社名や製品名を決める段階で読むのが、いちばん安いタイミングです。
「連携しています」と名乗れる条件は、会社ごとに決まっている
Slackは条件を数で示していません。代わりに掲載を条件にしています。Slack Marketplaceに自分のアプリがあれば、Slackと連携していると言うこと、あるいは Slack Platform Partner であると言うことができる、という書き方です。逆に、掲載されていない状態でパートナーを名乗る経路は示されていません。
Microsoftは、互換性や連携の事実を述べることを認めています。公開されている例は「Contoso app works with Microsoft OneDrive」のような形です。ただし、戦略的提携の契約がある場合を除いて、Microsoftのブランドを自社のブランドや社名より目立たせないこととされています。
AWSは、パートナーの類別ごとに表示する文面を決めています。Solution Provider、Distributor、Distribution Seller については、「Amazon Web Services resold by …」で始まる所定の文と、商標の帰属表示を入れる形です。文面が決まっているなら、自分で言い換える余地はありません。
AWS does not object to fair use of its marks by third parties, so long as the use would not be confusing for customers.
4社に共通するのは、推薦・提携・後援・承認があるかのように読ませないことです。事実として連携していることと、相手に認められた立場であることは別で、後者を名乗るには各社の条件を満たす必要があります。「公式パートナー」のような語を自社の判断で足さないことが、いちばん具体的な線引きになります。
検索広告では、2つの規則が重なる
Google広告のポリシーは、商標をキーワードとして使う場合を制限の対象外としています。そのうえで、広告文で商標を使うことが認められる場合として3つを挙げています。
| 区分 | ポリシーに書かれている条件 |
|---|---|
| キーワードとしての使用 | 制限の対象外として明記されている |
| 再販・販売の促進 | 商標に対応する商品やサービス、構成部品、交換部品、または互換性のある商品やサービスの販売を主な目的としているか、明らかに販売を促進している場合 |
| 情報の提供 | 商標に関連する商品やサービスの詳細情報、または商標に関する検索結果のインデックスの提供を主目的としている場合 |
| 記述的な使用 | 商標が、通常の意味において記述的に広告で使用されている場合 |
一方で、Slackのブランド規約には、検索エンジンかどうかを問わず、広告に関連してSlackの商標を使うことはSlackからの明示の承認なしに行わないよう書かれています。この2つは別の層の話です。プラットフォームの審査を通ることは、商標権者との関係で問題がないことを意味しません。Googleのポリシー自体も、申し立ては商標権を申し立てた国と業種の範囲で受け付けるという、手続きの説明として書かれています。
実務としては、入札する語と広告文を分けて管理し、広告文に他社名を入れる場合は上の3つの区分のどれに当たるかを説明できる状態にしておく形になります。相手の規約が広告での使用に承認を求めているなら、審査を通ったかどうかとは別に、承認そのものが必要です。入札する語の設計は、Google広告のキーワード選定にまとめています。
スクリーンショットは、目的と加工で分かれる
Slackは、製品とウェブサイトのスクリーンショットを、指示・教育・説明の目的で載せることを認めています。条件として並ぶのは、リサイズ以外の改変をしないこと、自社製品の画面の中に入れないこと、許可なく第三者のコンテンツを含めないこと、識別できる個人や個人情報を写さないことです。
4つ目は見落としやすい項目です。自社のワークスペースで撮ると、ほぼ必ず誰かの氏名とアイコンが写ります。社外に出す資料では、写っている人の情報を外すか、専用の環境で撮り直すことになります。
Slackのブランド規約には、あいまいさがあると判断した場合に、そのサービスがSlackによって作られたものではなく、提携も支援も受けていないという注記の表示を求めることがある、という条文もあります。注記の文字は最小15pt、不透明度は80%以上で、黒・白または色付きで表示する形です。マーケティング資材に入れる著作権表示については、資材の下部・右寄せに置き、文字の大きさを7pt未満にしないよう書かれています。注記の体裁まで数で決めている会社があることは、他社の規約を読むときの目安になります。
あわせて、Slackは求めに応じて使用をやめるまでの期間も書いています。求められた日から妥当な期間のうちに、どのような場合でも7日を超えずに使用を止める、という書き方です。素材を使う側から見ると、差し替えの作業を1週間で終えられる形にしておく必要があるということになります。ロゴを画像として埋め込んだ印刷物や動画は、ここで効いてきます。
書かれていなかったこと
読んだ範囲で、探したものの見つけられなかった項目を挙げます。埋めずに残します。
- Microsoftのガイドラインには、クリアスペースや最小の大きさのような数値の指定が、今回読んだ範囲では見当たりませんでした。ロゴ自体が許諾制のため、個別のライセンスの側で決まると読めます
- Googleのページには、クリアスペースを確保するという指示はありますが、具体的な数値は今回確認できませんでした
- AWSのガイドラインにも、大きさや余白についての数値の指定は見当たりませんでした
- Slackのブランド規約には、この版の発効日や最終更新日の表示が見当たりませんでした。再確認の周期は、読む側で決めることになります
- 日本語での表記(カタカナ表記を認めるかどうかなど)については、4社いずれも今回読んだ範囲では記載を見つけられませんでした
いずれも「規定が存在しない」という意味ではありません。公開されているページで、外部の読み手が確かめられる範囲がここまでだということです。社名の日本語表記のように記載が見つからない項目は、推測で決めず、問い合わせた記録を残すほうが確実です。
読み取れたことの整理
文字としての言及は、4社とも形容詞として使うことを求めていました。名詞や動詞としての使用、複数形や所有格は避けるよう挙げられており、AWSは自社ブランドと関係を示す語とAWSの商標を並べる形まで示しています。日本語では品詞の形が見えないため、「Slackする」のような動詞化が起きやすい点に注意が要ります。
ロゴ画像は、前提が会社ごとに逆でした。Microsoftは明示のライセンスなしには使えないとし、Googleは承認されたアートワークだけを使うこととクリアスペースの確保、最も目立つ要素にしないことを挙げ、AWSは改変の禁止、Slackは公開のブランド素材からの入手を認めつつ自社ブランドの代わりに使わないことを求めています。最初に見るのは、素材の配布ページがあるかどうかです。
自社の名前への組み込みは、4社とも禁止の条文を置いていました。ただし挙げている場所は同じではなく、ドメイン名とSNSのアカウント名のほか、Microsoftは事業・製品・サービス・アプリ名、AWSはサブドメイン、Slackは商標の出願までを挙げています。アプリ名に他社名を入れてよいかについては、明確な記載を見つけられませんでした。
「連携している」と言えるかどうかには条件がありました。SlackはMarketplaceへの掲載を条件にし、Microsoftは互換・連携の事実の記述を認めるかわりに自社ブランドより目立たせないこととし、AWSはパートナーの類別ごとの表示文を決めています。検索広告については、Google広告のポリシーがキーワードとしての使用を制限の対象外とし、広告文は3つの場合に認めている一方で、Slackの規約は広告での使用に明示の承認を求めていました。審査とは別の層の条件です。
海外企業が公表している取り組みを読み解いた記事は、海外マーケティングにまとめています。計測用のパラメータの命名規則のように、社内の規程をそのまま公開している例はUTMパラメータの命名規則で扱っています。
この分野の実務を相談したい方へ
記事で扱っている内容は、当社が実務として支援している領域です。 自社で進めるか外部に任せるかの判断からご相談いただけます。