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Tallyの無料プランはどこまで使えるか|上限と有料の境目

海外のフォーム作成サービスTallyは、フォームの数と回答の数に上限がありません。公正利用ポリシーが挙げる使用量の目安、回答者への返信メールや独自ドメインが有料になる境目、回答データの保存先を、公式ページの記載だけで整理します。

ベルギーのヘントに登記された Tally BV が運営するフォーム作成サービスTallyは、フォームを何本作っても、回答を何件集めても無料です。公式ヘルプは「99% of Tally’s features are available to all users for free and without limits」と書いています。回答数で課金される他のフォームサービスを使ってきた担当者ほど、この一文を疑いたくなるところです。

疑うべき点は、実は料金ではなくどこに線が引かれているかです。Tallyの無料プランで引かれている線は「件数」ではなく、「誰に何を送るか」と「どのドメインで見せるか」にあります。問い合わせを受け取るだけなら無料で完結し、受け取った人へ自動で返信メールを出す時点で有料のProが必要になります。そしてもう1つ、量についての目安は公正利用ポリシー(Fair Use Policy)に数字で書かれています。

この記事では、2026年11月3日に公式サイトで確認できた記載だけを使って、4つを順に見ます。無料のまま使える量はどこまでか。目安を超えたら何が起きるのか。無料とProの境目はどの作業で来るのか。そして、集めた回答データはどこに置かれ、誰が責任を持つのか。金額は公式ページの表記どおりドルで書き、円には換算していません。なお料金については、同じ公式サイトの中に2通りの数字が載っています。その読み方は後半に回します。

「上限なし」と書かれているのは、フォームと回答の数

料金ページの無料プランの欄に並んでいるのは、「Unlimited forms」と「Unlimited submissions」です。ここに加えて、決済の受け取り、署名、ファイルのアップロード、条件分岐と計算、重複送信の防止、パスワードによる保護、件数または日付での締め切り、回答を次の質問へ引き継ぐ機能、45以上の言語と右から左へ書く言語への対応、そしてGoogleスプレッドシート・Notion・Airtable・Zapier・Make・Webhookとの連携が、無料の欄に書かれています。

無料で使えるものの幅としては、かなり広い側です。アンケート、イベントの申し込み、資料請求、社内の申請など、マーケティングの現場で使うフォームの多くは、この欄の機能だけで作れます。ただし「without limits」には条件が付いていて、公式ヘルプは公正利用のガイドラインの範囲内であることを前提として書いています。その範囲が数字で示されている唯一の場所が、公正利用ポリシーです。

Tallyの公正利用ポリシーが高い使用量の例として挙げている3つの数値と、無料プランだけに付く1ファイル10MBの上限を並べた図
3つの数字は、プランの上限ではなく「連絡の対象になる使用量の例」として挙げられています。1ファイルの大きさだけが、無料プランに固有の上限です。 出典:Tally Help「Fair Use Policy」、Tally Help「Collect free file uploads」(確認日 2026-11-03)

ポリシーが挙げているのは、回答を1か月に50,000件集め続けること、ファイルのアップロードを1か月に100 GB、または総計で500 GB抱えること、通知メールを1か月に50,000通送り続けることです。いずれも「extensive usage(広範な利用)の例」という位置づけで、プランの仕様としての上限ではありません。

この数字は、自分の月々の使用量と見比べる形で使うものです。たとえば月に数千件の問い合わせを受けるサイトでも、回答の件数で目安に届くことはまずありません。届きやすいのは、むしろファイルのアップロードの側です。採用応募で履歴書を受け取る、デザインの入稿を受け取る、といった使い方では、総計の容量が先に膨らみます。

目安を超えたときに、何が起きると書かれているか

「上限を超えたら止まるのか」は、無料で業務のフォームを運用するときに最初に知りたい点です。ポリシーに書かれているのは、停止ではなく連絡です。

公正利用の目安を超える使用が3〜4か月続いた場合に、Tallyから連絡が来て、実際の使用量に見合う個別のプランが提示され、四半期ごとに請求されるという4段階の流れを示した図
量の問題と、使い方の問題は分けて書かれています。契約を組織の外と共有することだけは、停止または解約の対象として別に挙げられています。 出典:Tally Help「Fair Use Policy」(確認日 2026-11-03)

まず「継続的」の意味が定義されています。ポリシーは、高い使用量が3〜4か月続いた場合を継続的な利用として扱うと書いています。キャンペーンで1か月だけ回答が跳ね上がった、という状況はここに当たりません。次に、該当した場合はTallyから連絡が来て、実際の使用量に見合うカスタムプランが提示されます。そしてその請求は四半期ごとと明記されています。

もう1つ、量とは別の線が引かれています。Pro・Businessの契約を、登録した組織の外にいる人と共有してはいけない、という条項です。違反した場合には停止または解約があり得ると書かれています。こちらは使用量の多寡とは無関係です。複数の会社で1つの契約を分け合う形は、量を抑えていても該当します。

無料とProの境目は、機能の名前よりも作業で見える

プランの比較表を機能名で読むと、どれが自分に必要なのかが判断しにくくなります。やりたい作業の側から並べると、境目がはっきりします。

無料プランのままで足りる使い方と、Proの契約が必要になる使い方を左右に並べ、下段にBusinessだけの機能を置いた図
左の欄だけで足りるなら、無料のまま運用できます。右の欄に1つでも当たるなら、その時点でProの検討に入ります。 出典:Tally「Pricing」、Tally Help「Respondent email notifications」(確認日 2026-11-03)

料金ページに並んでいる3段を、金額と、各段で初めて使えるようになるものだけに絞って並べ直すと次のようになります。

プラン 料金ページの表示 その段で初めて使えるようになる主なもの
Free 無料(公正利用の範囲内) フォームと回答の数に上限なし。決済・署名・ファイル添付・条件分岐・自分宛の通知・外部サービス連携
Pro 月あたり24ドル Tally表記の削除、独自ドメインでの公開、回答者への返信メール、独自の送信元ドメイン、チームでの共同編集、途中で送られた回答、フォームと離脱の分析、カスタムCSS、変更履歴30日分、アップロードのサイズ無制限
Business 月あたり74ドル Proの全機能に加えて、回答データの保持期間の制御、メールアドレスの検証、変更履歴90日分

出典:Tally「Pricing」(確認日 2026-11-03)。表示されていた金額の読み方は後述します

この表で注意したいのは、Proの欄に「人数」も「容量」も出てこないことです。Tallyの有料プランは、使う量ではなく使える機能の範囲で分かれています。回答が増えたから有料になる、という形ではありません。フォームの見せ方と、回答後の連絡の作り方を変えたいときに有料へ移る構造です。

逆に言えば、無料のままでも回答は何件でも受け取れます。社内の申請フォームや、年に数回のアンケートのように、受け取って集計するだけの用途では、無料のまま使い続ける判断に無理がありません。

回答者への返信メールだけは、無料では送れない

実務でいちばん効く境目がここです。公式ヘルプは「Respondent email notifications is a Tally Pro feature」と書いています。フォームが送信されたときに回答者へ自動で送るメール、いわゆる受付の控えや自動返信は、Proの機能です。

無料プランで使えるのは、料金ページに「Self email notifications」と書かれている自分宛ての通知です。つまりフォームが届いたことは自分に知らせられますが、送ってくれた人へ自動で返すことはできません。資料請求や問い合わせのフォームでは、送信後に何も届かない状態が相手側に残ります。送信完了ページの文面と、人が後から送る返信で埋める運用にするか、Proに移るかの選択になります。

送信元についても記載があります。回答者向けの通知を設定した場合、既定の送信元は notifications@tally.so です。自社のドメインから送りたい場合は、独自ドメインを追加して送信元のアドレスを変更できるとされています。ここも含めてProの範囲です。メールの到達は受け取る側の設定にも左右されるため、自社ドメインで送る必要があるかどうかは、相手が社外か社内かで変わってきます。

集めたメールアドレスへ継続的に配信したい場合は、フォームの機能とは別に同意の取り方を設計する必要があります。その部分はメルマガの同意の取り方に、フォーム自体の離脱を減らす設計は入力フォームの改善にまとめています。

添付ファイルは1件10 MBまで、保存期間の定めはない

無料プランに固有の数値上限は、ファイルの大きさです。公式ヘルプは、無料でアップロードできる1ファイルの最大が10 MBであることと、Proではサイズの上限がなくなることを書いています。

一方で、ファイルの個数と総容量には上限の記載がありません。保存期間についても、アカウントが開いていて回答が削除されていない限り保持されると書かれています。期限で消える仕組みではない、という意味です。ただし先に見た公正利用ポリシーには総計500 GBという数字が出てくるため、無制限と読むのは行き過ぎになります。

ノートパソコンで作業している人。業務のフォームを無料のまま使い続けられるかを、公式ページの記載で確かめる場面
イメージ写真です。フォームの機能ではなく、公表されている条件のどこに自分の使い方が当たるかを先に確かめる段階を示しています。写真: RDNE Stock project(Pexels)

実務でこの2つを合わせると、判断の形はこうなります。1件あたりの大きさが10 MBを超えるファイルを受け取るかどうかが、無料とProの分かれ目です。写真1枚や書類1点なら無料の範囲に収まりますが、動画や高解像度のデザインデータを受け取る前提なら、最初からProで設計したほうが運用が安定します。応募者へ「10 MB以内に圧縮してください」と頼む形は、提出率を下げる側に働きます。

回答データはどこに置かれ、誰が責任を持つのか

無料だから軽く扱える、とはいかない部分です。公式のGDPRのページは、フォームを作った側がデータの管理者(controller)で、Tallyは処理者(processor)であると明記しています。集めた個人情報についての責任は、フォームを作った会社の側にあるという整理です。

保存場所と暗号化についても記載があります。Tallyのフォームデータは転送時と保存時のいずれも暗号化され、欧州に保存されると書かれています。削除したデータについては、自分で削除したフォームデータはバックアップから90日以内に完全に削除され、それより早く消したい場合はゴミ箱を手動で空にすればよいとされています。アカウントを作成して利用規約に同意した時点で、法人としてデータ処理契約(DPA)の内容にも同意したことになる、という説明も同じページにあります。

同じページには、処理を委託している事業者の一覧が載っています。記事で触れる範囲を4社だけ抜き出します。

役割 事業者 公式ページでの所在地の表記
ホスティング・ストレージ Google Cloud ベルギー
ストレージ Cloudflare EU
メール通知の送信 SendGrid 米国
決済の処理 Stripe 米国

出典:Tally Help「GDPR」(確認日 2026-11-03)。公式ページには15社の一覧があり、ここは本文で触れた4社だけを抜いたものです

通知メールと決済は米国の事業者が担っています。フォームの本体が欧州にあることと、通知の経路が同じ場所にあることは別の話です。自社の規程で保存先や委託先の申告が必要な場合、確認するのは一覧の全体になります。契約の相手方も日本法人ではなく、公式のプライバシーポリシーに記載があるベルギーのヘントの Tally BV です。なお本記事は公式の記載を整理したもので、自社の取り扱いが法令上どう評価されるかという判断はしていません。

価格の表記が2通りある

ここが読み方の要るところです。料金ページには「Pay monthly」と「Pay yearly」の切り替えがあり、年払いの側には「2 months off」と書かれています。2026年11月3日に取得した表示では、Proが月あたり24ドル、Businessが月あたり74ドルでした。

いっぽう、プランを解説している公式ヘルプのページは、Proを29ドル/月、Businessを89ドル/月と書いています。どちらも公式の記載です。2か月分の割引という表記と並べて読めば、安い側の金額が年払いを選んだときの1か月あたりの額にあたると読めますが、料金ページのどちらの表示が既定で出るかは、見た時点の状態によって変わります。

したがって、申し込みの前に決済画面で月額と年額を確認してください。年払いの総額、円建ての表記、消費税の扱いについては、今回参照した範囲に記載がありませんでした。海外のサービスを会社として購入するときの税の扱いは海外ツールの消費税にまとめています。

事業者としての性格も、同じヘルプページに書かれています。Tallyは自社を小規模で独立した、自己資金で運営している会社と説明し、収入は購読料に頼っていると書いています。無料で広く配り、機能の一部で収益を得る形を公表している側です。無料プランを長く使う前提で業務に組み込む場合、この収益の作り方そのものが判断材料になります。

確認できなかったこと

参照したページに書かれていなかったことも残します。記載がないというのは、定めが存在しないという意味ではなく、今回見たページに書かれていなかったという意味です。

年払いの総額の表記、円建ての価格、消費税の扱い。料金ページで既定表示になるのが月払いと年払いのどちらか。Proで共同編集できる人数の上限。ワークスペースやフォルダの数の上限。有料から無料へ戻したときに、Proの機能で作った部分がどうなるか。最低契約期間と返金の条件。日本語での問い合わせ対応の有無。これらは、今回参照したページの範囲では確認できませんでした。

同じ「無料で使えるが条件が付いている」海外サービスの読み方としては、自前運用まで含めて選べるPlausible Analyticsの料金と自前運用、ライセンスの条文が提供の形を決めるn8nのライセンスが参考になります。ほかの海外サービスは海外Webサービスに並べています。

判断は、量ではなく3つの作業で決まる

Tallyを業務で使うかどうかは、回答が何件になるかでは決まりません。決まるのは次の3つです。

1つ目、回答者へ自動で返信を出すか。出すならProです。出さない運用にできるなら、無料のまま問い合わせや申し込みを受け取れます。

2つ目、どのドメインで、どの見た目で見せるか。独自ドメインでの公開とTally表記の削除は、どちらもProの側にあります。自社サイトの一部として見せたいのか、フォームへのリンクを渡すだけでよいのかで分かれます。

3つ目、どんなファイルを受け取るか。1件10 MBを超える添付を受け取る前提なら、無料では収まりません。

この3つに当たらないのであれば、無料のまま始めて問題のない設計にできます。当たるものが1つでもあるなら、最初からProで作っておいたほうが、途中でURLと送信元を変える手間を避けられます。公表されている条件は、どれも後から確かめるより先に読んだほうが安い部分です。

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