Meta広告の審査は、人が1本ずつ読むのではありません。Metaの広告規定には「広告審査システムでは、主に自動ツールを利用して、広告とビジネスアカウントをポリシーに照らして確認します」と書かれており、所要時間は「通常は24時間以内に完了しますが、場合によってはそれより長くかかる場合もあります」と案内されています。
実務で効いてくるのは、審査が行われる単位です。規定は「画像、動画、テキスト、ターゲット設定、広告に関連付けられたランディングページやその他のリンク先といった個別の構成要素も審査対象になることがあります」としています。つまり、落ちる原因は広告全体の印象ではなく、どれかの構成要素と、それに対応する条文のどちらかに必ず紐づきます。審査結果の画面を眺めて理由を推測する作業より、自分の広告がどの条文の範囲に入るのかを先に特定する作業のほうが、結果に効きます。
この記事では、Metaの広告規定を一次情報として、審査が行われる時点、規定がどんな区分に分かれているか、日本語の広告でいちばん線が細い「個人の特性」の扱い、健康・美容と定期課金に付く追加の条件、そして出稿前に自分で確認できる項目を整理します。参照した規定の確認日は2026年10月24日です。
アカウント開設から配信までの作業順はMeta広告の始め方、課金方式と予算はMeta広告の費用、配信先の絞り込みはMeta広告のターゲティングで扱っているため、ここでは繰り返しません。
なお、却下理由のコード一覧、審査にかかる時間の保証、再審査の所要時間については、ここで参照した広告規定に記載を確認できませんでした。推測で埋めずに、書けない範囲として最後の節に残します。
審査は、配信前の1回で終わらない
審査落ちを「配信前の関門」としてだけ捉えると、対策の設計を間違えます。規定は、いったん配信が始まった広告についても「広告は常に審査と再審査の対象であり続け、弊社のポリシーに違反する広告はいつでも却下される可能性があります」と書いています。承認は、その広告が恒久的に問題ないことの証明ではありません。
もうひとつ押さえるのは、措置の対象が広告だけではないことです。規定には「広告主のビジネスアカウントまたはそのアセット(広告アカウント、ページ、利用者アカウント)が制限される場合があります」とあり、制限された場合は「広告主はMetaの各種テクノロジーでそのアカウントまたはアセットを使って広告を掲載できなくなります」と書かれています。1本の広告を通すか通さないかの問題ではなく、配信の土台そのものを失う可能性がある、という構造です。
責任の所在も明記されています。規定は「広告主は、すべての現地法、規制、該当する場合は自主規制の広告規定に加え、Metaの広告規定に記載のポリシー、利用規約、適用されるその他の規約およびガイドラインを理解し、これらを準拠する責任を負います」としています。審査を通ったことは、景品表示法や薬機法など国内の規制に適合したことを意味しません。媒体の審査と法令の遵守は、別々に確認する必要があります。
自分の広告がどの区分に当たるかを先に決める
広告規定は、条文がフラットに並んでいるわけではありません。コミュニティ規定、許容されないコンテンツ、禁止されている商業活動、制限されている商品およびサービス、不適切なコンテンツ、知的財産権の侵害、社会問題・選挙または政治に関連する広告、製品別およびフォーマット別のポリシー、ビジネスアセットに影響する広告ポリシーという区分に分かれ、その下に個別の条文が置かれています。
全部を読み通す必要はありません。自社の商材と訴求が、どの区分の下にある条文に当たるのかを特定するのが先です。たとえば健康食品や美容サービスなら「制限されている商品およびサービス」、月額課金のサービスなら料金表示の条文、人の悩みに呼びかける訴求なら「不適切なコンテンツ」の下にある個人の特性の条文が関係します。
この記事では、日本語の広告で問題になりやすい4つの条文を取り上げます。原文で確認した内容と、どの構成要素に効くかを対応させたものが次の表です。
| 条文 | 規定が禁じていること・求めていること | 主に関係する構成要素 |
|---|---|---|
| プライバシーの侵害と個人の特性 | 利用者やその家族の個人的特性を断定または暗示するコンテンツを含めてはならない | テキスト |
| 健康とウェルネス | 容姿の劣等性を主張する表現、身体部位のクローズアップ、期間内の成果の約束などを禁止。減量・増量などは18歳以上へのターゲット設定が必要 | 画像・動画・テキスト・ターゲット設定 |
| サブスクリプションサービス | 料金および定期請求に関する情報の開示を求め、解約方法の明示やオプトインの扱いを欠くものを禁止 | テキスト・リンク先 |
| 許容されないビジネス手法 | 効果や健康上のメリットについての詐欺的または誇張した主張、なりすましを禁止 | テキスト・画像 |
日本語の広告でいちばん線が細い「個人の特性」
いちばん見落とされるのがこの条文です。規定は、広告に「個人的特性を断定または暗示するコンテンツを含めることはできません」としています。対象になるのは人種・民族、宗教、年齢、性的指向、ジェンダーアイデンティティ、健康状態、経済状況、犯罪歴、氏名などです。
ここで多いのが、二人称そのものが禁止されていると取り違える誤読です。規定が許容する例として挙げているものには「あなたの名前を記載したカスタムTシャツを印刷します」が含まれます。問題なのは「あなた」と書くことではなく、その「あなた」に属性を結び付けて断定または暗示することです。
図の対比から読み取れることが2つあります。ひとつは、サービスの説明として属性に触れるのは許容されている点です。「うつのカウンセリング」「以前の犯罪歴を削除するサービス」はいずれも許容例に挙げられています。提供するものを書いているだけで、読んでいる人がその属性に当てはまるとは言っていません。
もうひとつは、属性の名前を書かなくても暗示に当たる場合がある点です。年齢の禁止例は「あなたの肌を若返らせたいですか?」です。年齢という言葉は出てきませんが、読者が若くないことを前提にした問いかけになっています。「◯◯でお悩みの方へ」「◯◯が気になり始めたあなたに」という日本語の広告でよく使われる型は、この形に近づきます。
実装としては、問いかけ型のコピーを疑うのがいちばん早い見分け方です。「あなたは〜ですか?」で属性を当てにいく文は、規定の禁止例と同じ構造です。訴求を落とさずに書き換えるなら、読者を当てる文から、提供するものを述べる文へ変えます。クリエイティブの文言を複数用意して比較する手順はMeta広告のターゲティングの配信設計と合わせて設計してください。
健康・美容は、表現とターゲット設定の両方に条件が付く
健康とウェルネスの条文は、禁止される表現の列挙と、ターゲット設定の要件が同じページに並んでいます。表現だけ直してもターゲット設定が要件を満たしていなければ条文に当たるため、両方を見る必要があります。
| 規定が挙げている内容 | 扱い |
|---|---|
| 容姿に関する劣等性を主張する発言(個人の容姿、特定の体の部位、衛生状態を攻撃する否定的な用語、表現、質問) | 禁止 |
| 脂肪をつまむことによる特定の身体部分のクローズアップ | 禁止 |
| ウェアラブル製品を使用するだけで結果が得られるという主張 | 禁止 |
| 肌の色の永続的な変化を引き起こす美白または脱色用品の宣伝 | 禁止 |
| 不治の病や末期疾患の治療、治癒または完治の主張 | 禁止 |
| 健康、減量または増量の文脈でのクリックベイト手法(大げさまたは極端な主張を含む扇情的な表現、免責情報や限定条件の記載なしで特定の期間内の具体的な成果を約束することなど) | 禁止 |
| ダイエット、健康、減量または増量関連の製品およびサービスの宣伝 | 18歳以上の利用者をターゲットにする必要がある |
| 一般的な心身の健康のためとしてマーケティングされるフィットネスサービス、フィットネス機器、ヘルスクラブなど | 年齢制限は適用されない |
表の下2行の線引きが、実務ではいちばん判断に迷います。減量や増量を訴求に出すかどうかで、ターゲット設定の要件が変わります。同じジムの広告でも、体づくりや運動習慣として訴求するものは年齢制限の適用外として挙げられている一方、体重を落とすことを訴求に出すなら18歳以上の設定が必要になります。クリエイティブを差し替えるときは、訴求の軸が変わっていないかを確認してください。
「免責情報や限定条件の記載なしで特定の期間内の具体的な成果を約束すること」が禁止に挙がっている点も見逃せません。日数と成果を並べた見出しは、健康・減量・増量の文脈ではこの条文の範囲に入ります。期間を使うなら、前提条件を同じ画面に書くことが必要です。当サイトは記事側でも成果を保証する表現を使わない方針を取っており、広告のコピーでも同じ扱いにするのが安全です。
定期課金は、リンク先まで含めて条件を満たす
サブスクリプションサービスの条文は、広告で何を開示するかを定めています。ポリシーは「料金および定期請求に関する情報を開示する必要があります」としたうえで、価格と請求サイクルを明確に示していないものを禁止しています。小さな文字での表示、プライバシーに関する記述への埋め込み、別のリンク先へ置くといった形は、明確な表示として扱われません。
加えて、チェックが外れた状態のオプトインのチェックボックスが含まれていないもの、サブスクリプションやメンバーシップを解約する方法を知らせる明確な文言が含まれていないものも、禁止として挙げられています。あらかじめチェックが入った同意欄は、この条文に当たります。
ここで最初の節の「審査対象になる構成要素」が効いてきます。審査はリンク先のページも対象になるため、広告文だけ整えてもランディングページ側で料金と請求サイクル、解約方法が分からなければ、同じ条文の範囲に入ります。申込み直前の画面構成はランディングページの構成で扱っているので、料金・請求周期・解約方法を入れる位置を先に決めてから入稿してください。
国内の規制も同じ画面に関わります。消費者庁の特定商取引法ガイドは、通信販売の申込み最終確認画面に表示が必要な事項として、分量、販売価格(送料についても表示が必要)、代金の支払時期と方法、商品の引渡時期、申込みの期間に関する定めがあるときはその旨および内容、契約の申込みの撤回または解除に関する事項(返品特約がある場合はその内容を含む)を挙げています。媒体の条文と国内法で求められる内容は重なりますが、同じものではありません。媒体の審査を通ったことを、法令の確認の代わりにしないでください。
効果の「誇張」は、商業活動の条文で見られる
許容されないビジネス手法の条文は、「金銭や個人情報をだまし取ろうとする手法など、特定済みの虚偽のまたは誤解を招く手法で、製品、サービス、スキーム、クーポンを宣伝してはなりません」としています。詐欺の意図がある広告を想定した条文ですが、禁止として挙げられている内容には、通常の事業者の表現にも触れるものがあります。
具体的には「商品またはサービスの効果について詐欺的または誇張した主張を用いて、人に誤解させて機密性の高い情報を購入またはシェアさせること」と、「商品またはサービスの健康上のメリットについて詐欺的または誇張した主張を用いて、人に誤解させて機密性の高い情報を購入またはシェアさせること」が並んでいます。違反の例としては、投資や銀行取引、健康や減量、無料製品の誤解を招く宣伝、存在しない機能の宣伝が挙げられています。
このうち「存在しない機能の宣伝」は、開発中の機能を先取りして広告に書いた場合に当たります。公開前の機能をコピーに入れていないか、提供範囲と広告の記述が一致しているかは、審査とは別に社内で確認できる項目です。
審査の結果は、広告の配信状態として表示される
審査の結果そのものは、広告マネージャの配信状態の欄に出ます。Metaの公式ヘルプには、キャンペーン・広告セット・広告それぞれの配信状態の一覧が掲載されており、審査中や却下といった審査に関する状態と、学習中などの配信に関する状態が同じ欄に並びます(当サイトの確認日は2026年8月22日です)。
このため、配信が始まらない原因を「審査落ち」と決めつける前に、状態名を読む手順が必要です。キャンペーンがオンでも広告セットや広告がオフなら配信されません。状態ごとの切り分けはMeta広告で効果が出ない原因で扱っています。
出稿前に、構成要素ごとに確認する
ここまでの条文を、入稿前の確認項目に落とします。審査が構成要素ごとに行われるので、確認もテキスト・画像と動画・ターゲット設定・リンク先の順に分けると、当たる条文が見つけやすくなります。
この並びにしている理由は、審査が自動で行われることと関係します。自動のしくみに対して、どの表現が引っかかったかを後から正確に知る方法は、広告主の側にはありません。だからこそ、条文に当たり得る箇所を入稿前に減らしておくほうが、却下後に理由を推測するより早いのです。Instagram側の面に出す場合も規定は共通なので、Instagram広告の出し方の手順と合わせて同じ項目を確認してください。
複数のクリエイティブを同時に入稿するときは、1本ずつこの7項目を通してください。1本が条文に当たると、同じ広告セットの中で配信される本数が減り、検証の条件が崩れます。
規定に書かれていないこと
最後に、ここで参照した広告規定の範囲では確認できなかったことを明示します。
- 却下理由の一覧と、理由ごとの対処手順。規定は禁止される内容を列挙していますが、審査結果として返る理由の分類は見つかりませんでした
- 審査にかかる時間の保証。「通常は24時間以内に完了します」とあるのみで、上限は示されていません
- 再審査を依頼した場合の所要時間。広告規定には記載がありません
- 日本国内の運用に固有の基準。規定は地域別の追加要件を持つ条文を含みますが、この記事で扱った4条文については日本固有の数値を確認できませんでした
これらを埋めるために、第三者のまとめ記事の数値を引き写すことはしません。審査の運用は更新されるため、条文の原文を定期的に読み直す担当を決めておくのが現実的です。参照先のURLを社内の手順書に残し、クリエイティブの型を変えるときに読み直せる状態にしておいてください。
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