生成AI活用/解説

AIでペルソナを作成する方法|調査から設定までの手順を解説

生成AIを使ったペルソナ作成の手順を、材料の準備から出力の検証まで解説します。AIに任せてよい範囲、想像で埋めさせないための指示、実在の顧客と突き合わせる方法を整理します。

生成AIにペルソナを作らせると、それらしい人物像がすぐに出てきます。しかしその内容は、AIが学習した一般的な傾向から組み立てられたものであり、自社の顧客とは限りません。この記事では、AIを使いながら実在の顧客に基づいたペルソナを作る手順と、想像で埋めさせないための指示の出し方を解説します。

AIに任せてよい範囲

ペルソナ作成の工程を分けると、任せる範囲がはっきりします。

材料集め:人が行います。既存顧客への聞き取り、問い合わせの文面、失注の理由、サポートへの質問。これらは社内にしかない情報です。

材料の整理:AIが得意です。大量のテキストを渡し、共通する困りごと、使われている言葉、判断の基準を抽出させます。

人物像の組み立て:AIに下書きを作らせ、人が確認します。

検証:人が行います。実在の顧客と照らして、当てはまるかを確認します。

施策への反映:人が判断します。

つまり、AIは整理と下書きの担当であり、事実の供給と検証は人が担います。この分担を守らないと、一般論の人物像ができあがります。

左右比較。AIに任せる工程と人が担う工程
材料の供給と検証は人、整理と下書きはAI。この分担を守らないと一般論になります。 出典:OpenAI「Prompt engineering」(開発者向けドキュメント)(確認日 2026-08-20)

材料を準備する

AIに渡す材料を集めます。次のようなテキストが該当します。

顧客への聞き取りの記録:何に困っていたか、どうやって知ったか、何と比べたか、決め手は何か。数人分でも十分です。

問い合わせの文面:顧客が実際に使っている言葉が残っています。

商談の記録・失注の理由:検討過程で気にしていた点が分かります。

サポートへの質問:購入後につまずく箇所を示します。

これらを渡す際、顧客の個人情報を含めないよう注意します。氏名、会社名、連絡先は削除し、内容だけを渡します。利用するサービスの規約とデータの扱いを確認したうえで、社内の基準に沿って判断します。

指示の出し方

OpenAIとAnthropicは、それぞれプロンプトの書き方に関するガイダンスを公開しています。共通しているのは、期待する出力の形式と、判断に必要な文脈を明示するほど、意図に沿った出力が得られるという点です。

ペルソナ作成では、次を明示します。

渡した材料の範囲で答えること:「以下の資料に書かれている内容だけを使い、書かれていない項目は『未確認』としてください」と指示します。これがないと、AIは一般的な傾向で空欄を埋めます。

出力の項目を指定する:状況、困りごと、動くきっかけ、判断の基準、情報の集め方。項目を決めておくと、比較や更新がしやすくなります。

根拠を併記させる:各項目について、材料のどの部分から導いたかを書かせます。根拠が示せない項目は、AIの推測です。

複数案を出させる:1つに絞らせず、材料から読み取れる顧客像を複数挙げさせます。そこから人が選びます。

確認リスト。材料の範囲、項目の指定、根拠の併記、複数案
想像で埋めさせないための指示です。提供元のガイダンスに沿った実務上の整理です。 出典:Anthropic「プロンプトエンジニアリングの概要」(確認日 2026-08-20)

出力を検証する

出てきた人物像は、そのまま使いません。次の観点で確認します。

根拠のある項目か:材料のどこから導いたかが示されているか。示されていない項目は削除するか、調べ直します。

実在の顧客に当てはまるか:既存顧客の数人と照らして、当てはまるかを確認します。当てはまらなければ、材料が足りていません。

施策の判断に使えるか:この人物像を見て、記事の題材や訴求の方向が決まるか。決まらないなら、項目が抽象的すぎます。

理想の顧客になっていないか:予算が潤沢で意思決定が速い、といった都合のよい設定になっていないかを確認します。

OKとNGの比較。根拠を確認する、実在顧客と照らすのがOK
検証していない人物像が独り歩きすると、誤った前提で施策が組まれます。 出典:Anthropic「プロンプトエンジニアリングの概要」(確認日 2026-08-20)

AIならではの使い方

材料の整理以外に、AIが役立つ場面があります。

表現の言い換え:顧客が使っている言葉と、社内で使っている言葉のずれを見つけられます。材料の中から顧客側の表現を抜き出させると、記事や広告で使うべき言葉が分かります。

想定される反論の洗い出し:作ったペルソナに対して、「この人が購入をためらう理由は何か」と尋ねると、検討の抜けが見つかります。

複数のペルソナの比較:作った人物像を並べ、違いを整理させると、施策の出し分けが検討しやすくなります。

やってはいけない使い方

材料なしで作らせる:「BtoBのマーケティング担当者のペルソナを作って」という指示では、一般論しか出てきません。自社の顧客とは無関係です。

出力をそのまま社内共有する:検証していない人物像が独り歩きすると、誤った前提で施策が組まれます。

個人情報をそのまま入力する:氏名や連絡先を含めた入力は避けます。

AIに顧客を「調べさせる」:手元にない情報を推測で補われます。調査は人が行います。

更新の進め方

ペルソナは一度作って終わりではありません。受注の傾向が変われば、見直します。

AIを使うと更新の負担が下がります。新しく集まった問い合わせや聞き取りの記録を渡し、前回のペルソナとの違いを挙げさせると、変化した点が見つかります。差分に注目することで、全部を作り直す手間が減ります。

半年から1年に一度、この形で見直すと、実態とのずれを防げます。

施策に落とすまで

作ったペルソナは、次の3つに翻訳して初めて実務が動きます。

題材への翻訳:この人物が検索しそうな疑問を書き出し、記事の題材にします。ペルソナの「困りごと」の欄が、そのまま材料になります。

表現への翻訳:材料から抜き出した顧客の言葉を、記事や広告で使う表現に反映します。社内用語のままでは、検索する言葉と一致しません。

優先順位への翻訳:この人物が判断の基準にしている項目を、ページの上部に置きます。基準の順番が、掲載する順番になります。

この3つが揃うと、ペルソナが資料ではなく判断の道具として機能します。逆に、作ったまま参照されていない場合は、項目が抽象的すぎるか、実在の顧客と離れている可能性があります。

この記事のまとめ

AIを使ったペルソナ作成では、材料集めと検証を人が担い、整理と下書きをAIに任せます。この分担を守らないと、自社の顧客とは無関係な一般論の人物像ができます。

指示では、渡した材料の範囲で答えること、根拠を併記すること、複数案を出すことを明示します。出力は、根拠の有無と実在顧客との一致を確認してから使います。更新時は、前回との差分を挙げさせると負担が下がります。

材料が少ないときの進め方

創業間もない事業や、顧客数が少ない場合、材料が十分に集まりません。この状況での進め方があります。

まず数人に聞く:3人でも5人でも、実際の顧客に話を聞けば、想像で作るより精度が上がります。

問い合わせを1件ずつ読む:件数が少ないなら、すべてを読み込めます。使われている言葉を書き出します。

近い立場の人に聞く:顧客ではなくても、同じ業務を担当している知人に話を聞くと、状況の理解が進みます。

仮のペルソナとして扱う:材料が少ない段階では、確定させず「現時点の仮説」と明記します。受注が増えたら更新する前提にします。

避けたいのは、材料が少ないことを理由に、AIの一般論で埋めることです。未確認と書き残すほうが、後の判断を誤りません

出力を社内で扱うとき

作った人物像を社内で共有する際、次を明記します。

根拠となった材料:何人への聞き取りか、どの期間の問い合わせか。

確認できていない項目:空欄や「未確認」を残したまま共有します。

作成日と次回の見直し時期:古い前提のまま使われることを防げます。

AIを使った旨:整理と下書きにAIを使ったこと、検証は人が行ったことを添えておくと、内容の扱い方が伝わります。

出典と注記

プロンプトの書き方については OpenAI と Anthropic の開発者向けドキュメントに基づきます(いずれも確認日 2026年8月20日時点)。各サービスの仕様と規約は変更が速いため、運用の際は提供元の最新の記載を確認してください。 工程の分担や検証の観点は、当社が支援の現場で用いている整理です。入力するデータの扱いは、利用するサービスの規約と自社の方針に従ってください。

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