LINE広告を検討するときに最初に要るのは、費用の相場感ではありません。どこに出て、誰に届き、何に対して課金されるのかという媒体の輪郭です。LINEヤフー for Businessの公式マニュアルを順に読むと、出稿までに決めることは4つに整理できます。キャンペーンの目的、ターゲット、配信先、入札と予算です。この4つは管理画面の階層とそのまま対応しているため、順番どおりに決めれば設定で迷う場面が減ります。
この記事では、公式サービスページと公式マニュアルの記載にもとづいて、配信面、キャンペーンの目的、配信手法、ターゲティングで指定できるもの、課金の仕組みを順に整理します。あわせて、参照したページに書かれていなかった項目も、推測で埋めずにそのまま残しました。確認日は2026年10月14日です。管理画面の表記や選択肢は改定されるため、実際に出稿するときは当日の画面を優先してください。
出る場所は、LINEアプリの中だけではない
LINE広告を「トーク画面の上に出る広告」とだけ捉えていると、設定の意味が分からなくなります。公式サービスページが挙げている配信面は、記事の確認時点で次の18件です。並びは公式サイトの表記のままです。
- トークリスト
- LINE NEWS
- LINE VOOM
- ミニアプリタブ
- LINEチラシ
- LINEポイントクラブ
- LINEクーポン
- LINEマイカード
- LINEブランドカタログ
- LINEヤフー広告ネットワーク
- ホーム
- LINE Monary
- LINEオープンチャット
- LINEファミリーアプリ
- LINE公式アカウント
- アルバム
- LINE GAME公式アカウント
- LINEスタンプショップ
この一覧で性質が違うのが、10番目に挙がっているLINEヤフー広告ネットワークです。公式サイトは、これを通じて13,000を超えるアプリメディアへ掲載できると記載しています。注記は2024年10月時点です。つまりLINE広告の配信先には、LINEアプリの外にある他社アプリの広告枠が含まれます。「LINEを使っている人の画面にだけ出る広告」ではない、という点は最初に押さえておく価値があります。
配信先は広告グループの設定項目です。公式マニュアルは、広告の配信について自動配置(推奨)を選ぶとすべての配信面に広告が配信されると説明しており、配信先を編集してトークリスト、LINE NEWS、LINE VOOMなどから選ぶこともできると案内しています。最初から配信面を絞り込むと、どの面が自社に効くのかを確かめる材料が手に入りません。逆に、見せたくない面がある場合は、ここで編集する必要があります。
公式サービスページの見出しは、月間アクティブユーザー数を「1億人」と示し、注記に2026年3月末時点と添えています。規模は媒体を選ぶ理由になりますが、規模の大きさは成果を約束しません。届く人数と、自社の商品を必要としている人の数は別のものです。
設定は3つの階層に分かれている
公式マニュアルの構成を追うと、決めることが階層ごとに割り振られていることが分かります。キャンペーンで目的を決め、広告グループで配信の条件と予算を決め、広告で素材を登録します。どの設定がどの階層にあるかを先に把握しておくと、「この項目が見当たらない」という詰まり方をしません。
広告グループの設定項目は、公式マニュアルによると、広告グループ名とステータス、ターゲット(デモグラフィックターゲティング、オーディエンス設定、地域ターゲティング)、広告の配信(自動配置または配信先の編集)、最適化と入札(入札単価の設定方法、課金方法、入札戦略、入札価格・上限単価・目標単価)、そして1日あたりの予算です。1日あたりの予算は1円以上の金額を入力する欄だと記載されています。広告グループ名は一覧に表示される名前で、広告配信には表示されない、という注意書きも添えられています。
ここで見落としやすいのが、配信面の指定とターゲットの指定が同じ広告グループの中に並んでいることです。面を絞り、さらに対象も絞ると、掛け合わせの結果として配信できる相手が急に小さくなります。検証したい条件が2つあるなら、1つの広告グループに詰め込まず、分けて作るほうが結果を読み取れます。
最初に選ぶのはキャンペーンの目的
キャンペーンの階層で選ぶのは目的です。公式マニュアルの「キャンペーン目的別設定ガイド」に挙げられている目的は次のとおりです。
| キャンペーンの目的 | 公式マニュアルの説明 |
|---|---|
| ウェブサイトへのアクセス | ウェブサイトへのアクセス数を増やすことを目的としたキャンペーン |
| ウェブサイトコンバージョン | ウェブサイトでのコンバージョン数を増やすことを目的としたキャンペーン |
| アプリのインストール | アプリのインストール数を増やすことを目的としたキャンペーン |
| アプリのエンゲージメント | インストール後のアプリのエンゲージメントイベントを増やすことを目的としたキャンペーン |
| 動画の再生 | 動画の再生数を増やすことを目的としたキャンペーン |
| 友だち追加 | LINE公式アカウントの友だち数を増やすことを目的としたキャンペーン |
| 商品フィードから販売 | 商品フィードを使い、ユーザーが関心を示した商品を表示するキャンペーン(当社による要約) |
最後の1件だけは公式の説明が長いため当社が要約しました。ほかの6件は公式マニュアルの記載のままです。
他の広告媒体を使っている担当者にとって見慣れないのは友だち追加でしょう。LINE公式アカウントの友だちを増やすことを目的にしたキャンペーンで、これはLINE広告の側にしかない選択肢です。広告をきっかけに友だちになってもらい、その後はメッセージ配信で接点を持ち続けるという設計ができます。逆にいえば、自社がLINE公式アカウントを運用していない段階でこの目的を選んでも、集めた友だちに対して打つ手がありません。
目的の選択は、あとの工程を縛ります。公式マニュアルは、入札方法や最適化の対象、課金タイプがキャンペーンごとに異なると明記しています。目的を変えると使える入札の形も変わるため、「とりあえずアクセスを集めてから考える」という進め方は、集めたあとに別のキャンペーンを作り直すことになりがちです。何を成果として数えるかを先に決めてください。成果の定義と計測の整え方はWeb広告の効果測定方法|見るべき指標と改善の進め方で扱っています。
誰に届けるか:配信手法は3つ
公式マニュアルの「配信手法別設定ガイド」は、配信手法を3つに分けて説明しています。手元にあるデータによって使えるものが変わるため、ここは自社の状況から選びます。
類似配信は、公式マニュアルの言葉では「ソースオーディエンスに類似したユーザーをLINE内で新たに探しオーディエンスを拡張して配信する手法」です。もとになるオーディエンスが先に要ります。リターゲティング配信は「過去に広告主様のウェブサイトを訪問したことがあるユーザーに対して広告配信を行う手法」で、こちらは自社サイトの計測と、訪問データの蓄積が前提になります。
はじめて出稿する会社が最初に使えるのは、オーディエンスセグメント配信です。公式マニュアルは「LINEの持つ膨大な行動データをもとにした、幅広く精度の高いセグメントを広告配信に利用する手法」と説明しています。自社のデータが無くても、条件を指定して配信を始められます。配信を始めてデータが貯まってから、類似配信とリターゲティング配信が選択肢に入るという順番になります。
ターゲティングで指定できるもの
オーディエンスセグメントで指定できる項目は、公式マニュアルに一覧があります。
| 区分 | 指定できるもの |
|---|---|
| 地域 | 都道府県や市区町村の単位での指定 |
| 年齢 | 年齢帯での指定 |
| 性別 | 男性/女性 |
| OS | Android、iOS(バージョンの指定を含む) |
| 詳細ターゲティング | 趣味・関心/行動/属性/購買意向/Yahoo! JAPAN 興味・関心/Yahoo! JAPAN 購買意向/Yahoo! JAPAN 属性・ライフイベント |
詳細ターゲティングにYahoo! JAPANの区分が並んでいるのは、LINEとYahoo! JAPANが同じグループの中にあるためです。LINEの中の行動だけでなく、検索やショッピングの側の情報にもとづく区分を選べます。
ここで注意が要るのは、これらの属性が登録された事実そのものではないことです。公式サービスページは「みなし属性」という言い方で、性別や年齢、地域などの精度の高いターゲティングができると案内しています。公式マニュアルの側にも、利用できるデータが携帯キャリアやOSなどの一部の一次属性を除き、ユーザーの登録情報と行動履歴をもとに生成されている、という趣旨の記載があります。つまり推定を含みます。
推定である以上、絞り込みすぎると取りこぼしが出ます。「30代女性にしか売れない商品だから30代女性だけに出す」と決める前に、その判断が実際の購買データにもとづくものか、担当者の印象かを確かめてください。推定属性の扱いは他の媒体でも同じ構造があり、Meta広告のターゲティングとは?種類と設定の考え方を解説でも同じ注意点を扱っています。
地域ターゲティングについては、公式マニュアルに指定数の上限に関する記載があります。細かく市区町村を並べる運用を考えている場合は、設定前に上限を確認してください。
費用は、配信されてから発生する
LINE広告の料金について、公式サービスページははっきりした書き方をしています。初期費用はかからず、費用は広告が配信されてから発生すること、そして最低出稿金額はないことです。決まった料金がなく、金額を自由に設定できるとも記載されています。広告グループの1日あたりの予算が1円以上から入力できることも、公式マニュアルに書かれています。
ただし、同じページには条件も添えられています。予算が少なすぎると、広告効果を高めるために必要なデータが十分に蓄積されない場合がある、という記載です。最低出稿金額がないことと、少額で成果が出ることは別の話だと、媒体の側が先に書いていることになります。
実際に請求されるのは、入札と課金タイプで決まります。公式マニュアルの「入札方法と入札価格について」は、入札単価の設定方法に自動入札と手動入札があり、自動入札の最適化は広告グループ単位で行われること、手動入札ではCPCまたはCPM単価で入札設定ができることを説明しています。課金は、クリックごとに課金するCPCと、インプレッションごとに課金するCPMです。
公式マニュアルには「最適化と入札の対応表」が置かれており、各キャンペーン毎に対応する入札方法や最適化対象・課金タイプなどは異なります、と明記されています。目的を選んだ時点で、使える入札と課金の形はある程度決まります。自動入札を前提に設計を進めてから、選んだ目的では使えないことに気づく、という手戻りを防ぐために、出稿の前に対応表を確認してください。
自動入札をどう扱うかという論点は、媒体をまたいで共通しています。考え方は広告の入札戦略の選び方|自動入札を計測の状態から決めるにまとめていますが、こちらはGoogle広告の公式ヘルプにもとづく整理です。戦略の名称も条件もLINE広告とは異なるため、そのまま当てはめないでください。媒体費以外に制作費や運用の人件費が乗る点は、どのSNS広告でも同じです。費用の全体像の考え方はInstagram広告の費用はいくら?課金方式と予算の考え方で扱っています。
参照したページに記載がなかったこと
推測で埋めないために、今回参照した公式ページで確認できなかった項目を残します。
クリック単価や獲得単価の相場は、参照したどのページにも記載がありませんでした。業界別・目的別の平均値を示す記述もありません。したがって「LINE広告のCPCはいくら」という問いに、公式情報で答えることはできません。
CPCとCPM以外の課金タイプについても、「入札方法と入札価格について」のページで確認できたのはこの2つです。友だち追加や動画の再生といった目的で、どの課金タイプが対応するかは対応表の側にあり、今回はその表の中身まで読み取れていません。目的ごとの対応は管理画面と対応表で確認してください。
広告の審査にかかる日数も、今回参照した範囲には記載がありませんでした。入稿してすぐ配信が始まる前提でスケジュールを組むのは避けたほうが安全です。
年齢の区分の刻み方、地域ターゲティングの指定上限の具体的な数、配信面ごとに使える広告フォーマットの対応関係も、今回参照したページでは数値まで確認できていません。これらは出稿時の管理画面で確認する項目として残します。
まとめ
LINE広告は、LINEアプリ内の複数の面と、LINEヤフー広告ネットワークを通じた外部アプリの枠に配信する運用型の広告です。配信面は確認時点で18件が公式サイトに挙げられており、広告グループの設定で自動配置にするか、面を選んで編集するかを決めます。
設定は3階層です。キャンペーンで7つの目的から1つを選び、広告グループでターゲット、配信先、最適化と入札、1日あたりの予算を決め、広告で素材を登録します。目的の選択が入札と課金の選択肢を左右するため、何を成果として数えるかを先に決めるのが実務上の近道です。
配信手法は、類似配信、オーディエンスセグメント配信、リターゲティング配信の3つです。自社のデータが無い段階で使えるのはオーディエンスセグメント配信で、配信を続けてデータが貯まってから残り2つが選択肢に入ります。ターゲティングで指定できるのは地域、年齢、性別、OS、詳細ターゲティングで、これらは推定を含む「みなし属性」です。
費用は、初期費用なし・最低出稿金額なしで、配信されてから発生します。1日あたりの予算は1円以上から入力できますが、予算が少なすぎるとデータが貯まらない場合があると公式サイト自身が書いています。少額で試すこと自体は可能でも、判断材料が集まるかどうかは別に見積もってください。
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