
お金がない方でローンなどが利用できない場合のお金を借りる方法の一番手は「親」です。では、親からお金を借りるときには何に気を付ければ良いのでしょうか?今回は、親からお金を借りる方法。親への頼み方(言い方)と贈与税にならない対策・注意点を丁寧に解説します。
親からお金を借りる方法
親からお金を借りる人のアンケート調査
株式会社サザンダイアが行ったアンケート調査を紹介すると
親からお金を借りた理由
- 1位 生活費が足りなかったら:22%
- 2位 車に関わる費用が必要だったから:15%
- 3位 仕事を止めて支払いが滞ったから:10%
- 4位 住宅に関わる費用が必要だったから:9%
- 5位 借金の返済に充てたかったから:8%
親からお金を借りられた割合
- 1位 全額借りられた:89%
- 2位 一部だけ借りられた:6%
- 3位 借りられなかった:5%
親からお金を借りられた金額
- 0~1万円:7%
- 1~5万円:17%
- 5~10万円:12%
- 10~20万円:17%
- 20~30万円:14%
- 30~50万円:8%
- 50~100万円:9%
- 100~300万円:15%
- 300万円~:1%
親からお金を借りる意味
親からお金を借りる意味というのは
- 返済を明確にしなくても、金融機関ほど厳しく取り立てられない
- 利息がないケースも多い
- 高い確率で貸してくれる
- 高額なお金も貸してくれる可能性が高い
- 返済できなくなても、人間関係が崩れる可能性が少ない
という点が挙げられます。

親からからお金を借りるメリット
1.返済を明確にしなくても、金融機関ほど厳しく取り立てられない
親の教育方針によって、差がありますが
明確に返済期間、返済日・返済額が決められてしまう「金融機関からの借入」と比較すると、大分ファジーな約束になるケースが多いようです。

「半年後までには返すよ。」
と、甘い親であればあるほど、返済期間、返済日、返済額を明確にしなくても、お金を借りることができるのです。
2.利息がないケースも多い
親からの借入では「利息を考えない」方が多いようです。
カードローンなどでお金を借りれば 金利は「年率10%~15%」に設定されます。
3.高い確率で貸してくれる
お金が必要な理由にもよりますが、アンケート調査にもあるように89%の方が全額お金を借りることができています。
多くの親にとって、子供はかわいいものですので、正当な理由がある場合は、貸してもらえる可能性が高いのです。
カードローンなどの審査よりも、格段に借りるハードルが低いお金を借りる方法と言えます。
4.高額なお金も貸してくれる可能性が高い
これも理由次第ですが、アンケート調査では
- 50~100万円:9%
- 100~300万円:15%
と、比較的高額な借入も成功しています。
個人の信用力によって異なりますが、金融機関から300万円を借りることは、簡単ではありません。
5.返済できなくなても、人間関係が崩れる可能性が少ない
金融機関からお金を借りない方法として「友人・知人からお金を借りる」という選択肢がありますが、友人・知人からお金を借りて、お金を返さなかった場合には、そこで友人関係が終わってしまうリスクがあります。
親からお金を借りるリスクとデメリット
1.贈与税が発生する可能性がある
親からお金を借りると「借金」であっても、税務署から「贈与」と見なされる可能性があります。
「借金」であれば、「贈与」ではないため、「贈与税」は発生しません。
しかし、親から借金としてお金を借りたとしても

というあいまいなお金の借り方をしていて、返済をしていない場合、税務署からどう見えるかと言うと
「

と判断されてしまうのです。

贈与税
- 贈与を受けた金額 - 基礎控除額:110万円 = 課税価格
- 贈与税 = 課税価格 × 税率 - 控除額
一般税率
基礎控除後の課税価格 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
200万円以下 | 10% | ‐ |
300万円以下 | 15% | 10万円 |
400万円以下 | 20% | 25万円 |
600万円以下 | 30% | 65万円 |
1,000万円以下 | 40% | 125万円 |
1,500万円以下 | 45% | 175万円 |
3,000万円以下 | 50% | 250万円 |
3,000万円超 | 55% | 400万円 |
特例税率
財産の贈与を受けた年の1月1日現在において20歳以上の子や孫が父母又は祖父母から贈与を受けた場合の税率
基礎控除後の課税価格 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
200万円以下 | 10% | ‐ |
300万円以下 | 15% | 10万円 |
400万円以下 | 20% | 30万円 |
600万円以下 | 30% | 90万円 |
1,000万円以下 | 40% | 190万円 |
1,500万円以下 | 45% | 265万円 |
3,000万円以下 | 50% | 415万円 |
3,000万円超 | 55% | 640万円 |
※扶養義務者からもらう生活費や学費には贈与税は発生しません。
つまり、
「贈与」と判断されないための対策
- 借用書、契約書を作成する
- 利息を設定する
- 銀行口座への返済とする
の3点です。
対策1.借用書、契約書を作成する
借用書、契約書があることで「証拠」となるため、「贈与」と見なされるリスクが減ります。
「贈与」と判断されても、「契約書」があることで、「贈与ではありません。借金です。」と対抗することも可能になります。
借用書、契約書には
- 契約書を作成した日時
- 借主と貸主の氏名・住所・押印
- 借入金額
- お金が受け渡された日
- 返済方法
- 返済期日
- 利息
- 遅延損害金など、返済が遅れたときの取り決め
などを記入しなければなりません。
ただ、「お金を貸す、返します。」だけが記入された借用書、契約書では、証拠としての意味をもたないのです。
対策2.利息を設定する
無利息でお金を借りてしまうと、「利息分 = 贈与」と見なされてしまうことがあります。
借用書、契約書があれば、元本自体は「借金」と認められても、無利息だと利息分を融通しているため「利息分 = 贈与」と判断されてしまうリスクがあるのです。
そうならないためには、少しで良いので利息を設定しておく必要があります。
対策3.銀行口座への返済とする
税務署に対抗するためには「返済の事実を記録として残しておく」必要があります。
現金の手渡しでは、領収書などを発行しない限り記録が残りません。
2.親との関係が悪化する
友人や知人からお金を借りて、返済しない場合には、人間関係自体が終わってしまうことがあります。
親からお金を借りて、返済しない場合でも、親子関係は簡単に崩れるものではないのです。
ただし、親も、いくらかわいい子供だとしても、自分が稼いだお金を返さないと、徐々に不信感が溜まってきます。当然、信用も下がって行くため、親子関係は悪化してしまいます。

友人よりも、大切な親子関係にヒビが入ってしまう、修復できなくなってしまうのは、親からお金を借りる最大のりスクと言えます。
3.罪悪感を抱えながら暮らさなければならない
親と子は、同居していれば、毎日顔を合わせる機会があります。
別居していたとしても、冠婚葬祭や正月、夏休み、お盆など節目節目で顔を合わせることがあります。
親からお金を借りる時の親への頼み方(言い方)のポイント
1.親が仕方ないと思われる正当な理由でお金を借りる
親が仕方ないと思う理由には
- 教育や仕事、夢などの前向きな行動に対して資金が必要
- 不可抗力で一時的に支出が増えてしまった
- 子供のピンチ
の3種類があります。
教育や仕事、夢、子育てなどの前向きな行動に対して資金が必要
- 参考書を借りる
- 塾に通いたい
- セミナーに行きたい
- 資格取得の必要が必要
- 就職活動
- 就職活動を有利にするための留学をしたい
- 留学
- 免許を取りたい
- 予備校に通いたい
- 子供の入学費用が必要
- 出産費用が必要
- 結婚費用が必要
- マイホーム費用が費用
- 卒業旅行の資金が必要
- 一人暮らしの費用が必要
- 引っ越し費用が必要
- 起業資金が必要
- 仕事で使うパソコン、道具が必要
不可抗力で一時的に支出が増えてしまった
- 病気になって、働けなくなった
- ケガをして、働けなくなった
- 会社をクビになった
- 財布を落としてしまった
- 急な冠婚葬祭でご祝儀などの資金がない
- 家電製品が壊れた
- 家具が壊れた
子供のピンチ
- 税金を払えない
- 交通違反の罰金が払えない
- 生活費が払えない
- 家賃が払えない
- 借金が返せない
とくに前向きな理由でお金を借りる場合には、高い確率で親はお金を貸してくれるはずです。
逆にこの理由だと、親であってもお金を貸してくれないというのは
- 彼女や彼氏とのデートや交際費
- 友人との交際費
- ギャンブル
- 投資
- 旅行代
などがあります。
自分が遊ぶためのお金を親に工面してもらう形では、親も、お金を貸してくれない可能性が高いのです。
2.親へウソをついてお金を借りない
どうしても、お金を借りたいからと言って、前述した「親が仕方ないと思う理由」に合わせて、本当の理由を隠してウソをついてお金を借りるという方も少なくありません。
しかし、ウソをついてお金を借りるという行為は、かなり危険です。
なぜならば
親は自分の子供がウソをついているかどうか、すぐにわかる
からです。
結局、ばれてしまうのですから、言いにくい理由でお金が必要だとしても、正直に話した方がお金を借りられる可能性は高くなるのです。
ウソをついてお金を借りたとしても、ウソであることは親にバレているのですから、心理的な負担(罪悪感)もかなりのものになります。

と本当の理由を話し、親に頼ることをおすすめします。
3.借用書、契約書を作る
借用書、契約書を作るというのは「誠実さの証」です。
前述したように「借用書、契約書を作らないと贈与税が取られる」というリスクがあります。

借用書、契約書を作るときのポイント
確実に返済できる返済額、返済日を設定する
お金を借りるときは、ハードルを下げるために「早期返済」をするための高めの返済計画を立ててしまうことが少なくありません。
しかし、信頼を損なわないのに重要なのは「早期返済」よりも、「確実な返済」です。
- 確実に返済できる返済額
- 毎月少しずつでも返済する(返済の継続)
という設定にすることをおすすめします。
金利は1.0%にする
金利は、無利息だと
- 親への誠意がない
- 贈与税が発生してしまう
というデメリットがありますし
金利が高すぎると
- 毎月の返済がきつくなる
- いつまでたっても完済しない
ことになります。
これを回避するためには、贈与を疑われない範囲で一番低い金利設定をおすすめします。
- 金利 年率:1.0%
の設定が良いでしょう。
遅延損害金など、返済が遅れたときの取り決め
誠意を見せる方法といのは「返済が遅れたときの取り決めを厳しくする」ことで対応できます。

など、自分に厳しいルールを課すほど、信頼性は上がります。
4.どうやって返済資金を捻出するのか?方法を話す
学生であれば
- アルバイトをして返済する
- 働いてから返済する
という選択肢がありますし
社会人であれば
- 来月の給料で返済する
- 年末のボーナスで返済する
という選択肢があります。
「きちんと返済できるのか?」という裏付けは、「どうやって返済資金を捻出するのか?」にかかってきます。
「親からお金を借りるメリットデメリットは何ですか?」
「親からお金を借りるときの注意点を教えてください。」