クラウドファンディングとは「銀行に頼らない資金調達」|仕組みから始め方まで徹底解説!

今回は、クラウドファンディングを知らない人でも理解できる、クラウドファンディングの特徴や仕組みを紹介していきます。クラウドファンディングは10年前に国内初のサービスサイトが生まれましたが、日本ではまだそれほど活用されていません。しかし、世界のクラウドファンディング市場は10兆円規模にまで成長することが期待されており、今後は日本でも新たな資金調達として利用されることが多くなるでしょう。

この記事では、主に投資家の方に向けてクラウドファンディングを紹介しています。そのため、クラウドファンディングの5つの種類や、クラウドファンディングの支援方法なども投資家の目線からお伝えしています。

クラウドファンディングでは投資したプロジェクトから利息や配当金を受け取ることも可能で、株式投資やFXに代わる新たな投資手法として活用できるでしょう。もしかしたら、クラウドファンディングを通じて、今まで見たことのないような有望銘柄に出会えるかもしれません。

クラウドファンディングのメリットは「誰でも資金調達可能」

クラウドファンディングという言葉がにわかに注目を集めつつあります。最近では、新規就農者がインターネットを通じて資金を調達し、ユーザーに向けて有機野菜や国産牛を販売していくクラウドファンディングの活用事例も見られます。

クラウドファンディングでは、「私はこんな事業を考えている」、「こんなアイデアを形にしたい」という想いさえあれば、誰でも資金調達を行える画期的なシステムです。プラットフォームにはインターネットを活用することで、日本全国はもちろん、事実上世界中から投資を募ることができます。

今まで企業や個人事業主が資金を集めるためには、銀行に融資を申し込んだり、株式を発行して投資家に出資してもらう方法が一般的でした。しかし、クラウドファンディングを活用すると、プラットフォーム上でアイデアを発案し、その内容に共感を抱いた人たちから事業資金を提供してもらえるのです。

クラウドファンディングとは?新たな資金集めの手段

クラウドファンディングを英語に直すと「Crowd Funding」となります。「Crowd」は「群衆」を表し、「Funding」は「資金調達」という意味があります。この2つの言葉を組み合わせて、「広く世界中から資金を集めること」という意味でクラウドファンディングが使われているのです。

クラウドファンディングが一般に認知したのは2011年に起こった東北大震災のときで、被災地復興事業という名で、日本のために世界から多くのお金が寄せられました。従来の復興支援では、国が大規模な予算を組んで資金援助を行わなければならなかったので、クラウドファンディングは国の経済状況まで影響を及ぼしているとも言えるでしょう。

ただ、クラウドファンディングの歴史を覗いてみると、その考え方は意外と古くから存在していたことが分かります。

世界では17世紀初頭に、書籍編集者であったジョン・テイラー氏が出版に関わる資金を公募したことから始まります。この頃はインターネットが存在していなかったので、公募といっても規模は大きくなかったものの、その根底にはクラウドファンディングの考え方が垣間見えます。

また、1884年に建設が開始された自由の女神像にもクラウドファンディングが活用されています。当時、アメリカ合衆国独立100周年を祝ってフランスから贈呈された女神像ですが、その台座の建設費用が不足する事態に陥ってしまいました。そこで、ジャーナリストのジョーゼフ・ピューリツァー氏が中心となり、大手新聞ニューヨークワールドにて寄付金を呼びかけたのです。その結果、10万人を超える寄付者が集まり、合計1,000万円以上もの資金を調達することができました。

「クラウドファンディング=寄付金」という考え方をすると、実は日本でもより古くからクラウドファンディングに似た考え方が実証されたことがあります。1180年、いまだ平氏と源氏の争いが絶えないなか、東大寺などの寺々、そこに収納されている大仏が焼失したまま再興の目途もたっていませんでした。そこで重源(ちょうげん)という1人の僧侶が立ち上がり、全国各地の信者や融資から再建のための資金を募りました。こうした動きは当時「歓進」と呼ばれていましたが、約1,000年の時を越え、今ではクラウドファンディングへと受け継がれているのです。

クラウドファンディングの市場規模

矢野経済研究所が発表した「国内クラウドファンディング市場の調査を実施」によると、クラウドファンディングによる国内新規プロジェクト支援額は2013年度には124億円ほどしかありませんでしたが、年間約1.5~2倍もの成長力を見せ、2016年には745億円、2017年には1,090億円にまで達しました。

ちなみに、資金調達におけるそのほとんどはソーシャルレンディングと呼ばれる融資型です。後ほど詳しくお伝えしますが、融資型のクラウドファンディングは、出資者が資金を提供する代わりに、利子という形で一定のリターンを得ます。他にも購入型や投資型などの資金提供方法がありますが、国内のクラウドファンディング市場は、融資型がシェアの約8割を占めるほどに優勢です。

では、世界のクラウドファンディング市場はどうなっているのでしょうか。

世界銀行(World Bank Group)の調査によると、世界のクラウドファンディング市場は2015年に350億ドル近くを記録しました。また、試算ではありますが、2020年には900億ドル規模にまで成長するとさえ言われています。

単純に1ドル=100円で計算したとしても、2015年の世界規模は3兆5,000億円にまで達します。その内、日本のクラウドファンディング市場のシェアはおよそ2%程度にしかならないため、まだまだ日本でも発展の余地が残されていると言えるでしょう。

クラウドファンディングの事例紹介

クラウドファンディングの世界市場規模は350億ドルを超え、年を追うごとに大きな動きが生まれています。中には、クラウドファンディングによって大きな原資を獲得し、事業として大成功をおさめたケースもあるのです。

たとえば、日本からはBONXというBluetoothイヤフォンを開発するブランドがクラウドファンディングによって成功しました。支援者の募集からわずか5日で750万円もの資金を集め、国内IoTハードウェア分野の先駆けとなる成功をおさめています。

また、クラウドファンディングサービス「Kickstarter」を活用し、EUでも活発な資金調達が行われています。Uloはフクロウ型の小型監視カメラとして開発され、家庭内の監視映像を瞬時にGIFアニメーションへ変換し、メールで知らせてくれる機能が特徴です。Uloも資金調達を開催中に1,000万円以上もの資金を集めました。

クラウドファンディング5つの種類

クラウドファンディングには合計5つの資金調達方法があります。それぞれ資金支援した際の利息や配当の違いや、プラットフォームを運営するための免許の違いで分けられることが多いです。

5つの分類は以下のようになっています。

  • 寄付型
  • 融資型
  • 購入型
  • 株式投資型
  • ファンド投資型

それぞれの特徴は次の項目から詳しく解説しています。特に日本で多い融資型クラウドファンディングはよく覚えておきましょう。

寄付型クラウドファンディング

寄付型クラウドファンディングは見返りを求めないことに特徴があります。日常の生活でも駅前や街頭などで、寄付や募金を募っているのを見かけますが、資金を出して見返りに何かを受け取るということは少ないですよね。寄付型クラウドファンディングも、それと同じように、資金提供者は慈善的に行うことが多くなっています。

そのため、一般的にイメージされるクラウドファンディングというよりも、現実の寄付や募金活動をインターネット上で行っていると考えると分かりやすいでしょう。投資というよりも社会貢献という位置づけが強いです。

寄付型クラウドファンディングは、まずプロジェクトが発案され、それに沿ったホームページを開設します。資金を提供したい人は、そのホームページにアクセスしてクラウドファンディングを行うことが多いです。また、寄付型クラウドファンディング専用サービスもあります。専用サービスの場合は、掲載するプロジェクトの健全性や安全性などもチェックするため、優良なプロジェクトが揃うメリットがあります。

プロジェクトの支援を行った後は、開発状況を見て支援額を増やしたり、応援活動をする方が多いでしょう。プロジェクトの事業者によっては寄付を行ってくれた方に、お礼の手紙や支援者限定の活動報告、ポイント還元、寄付金控除などで返礼することもあります。

融資型クラウドファンディング

融資型クラウドファンディングは、プロジェクトに資金を貸して、そのプロジェクトが成長した後に元本と利息を返してもらう仕組みです。企業が事業資金を得るために、銀行などに資金を借りる場合と非常に近しいと言えるでしょう。

日本のクラウドファンディングではおよそ80%以上が融資型クラウドファンディングで占められているほど人気が高いです。その理由の一つは、寄付型とは異なりリターンが期待できることです。プロジェクトが成功すれば、貸したお金も利息付きで返ってくるため投資家に大きなメリットがあります。

また、プロジェクトを発案した事業者にすると、集めた資金をもとに事業を発展させていけるので、投資家と事業主、双方ともにメリットを享受できるのです。

融資型クラウドファンディングサービスはたくさん登場しており、日本では2008年にmaneo(マネオ)が登場、また、よりサービスジャンルが特化したクラウドクレジットやOwnersBook(オーナーズブック)なども現れました。

ただ、融資型クラウドファンディングの各プロジェクトは利息が発生する関係から金融商品として分類されます。そのため、融資型クラウドファンディングサイトは金融商品取引法における登録が必須です。

購入型クラウドファンディング

購入型クラウドファンディングも融資型と同じく、資金を提供することで後々リターンが受け取れます。ただし、購入型の場合は、受け取るリターンが商品やサービスに限定されているのです。資金を提供したプロジェクトに関わる商品やサービスを受け取れることから、購入型クラウドファンディングは単なる資金調達の手段だけではなく、企業のマーケティングとして活用する事例も見られます。

購入型クラウドファンディングには2つのタイプが存在します。1つ目は「All or Nothing方式」といい、募集期間中に目標金額に届かないときは調達した資金のすべてを放棄します。もう1つは「All-In方式」で、募集期間に目標金額に到達しなくても、それまでに集めた資金を受け取ることができるのです。

資金を提供する際は、「All or Nothing方式」か「All-In方式」かによって、プロジェクトの進捗に違いが生まれるため、事前にしっかりと確認しておきましょう。

購入型クラウドファンディングは資金提供の見返りに利息や配当を受け取れないため、プロジェクトは金融商品に該当しません。そのため、事業者の参入障壁も低く、今後はますます購入型クラウドファンディングが増えていくことが予想されます。

株式投資型クラウドファンディング

株式投資型クラウドファンディングは、未上場の企業に絞って株の購入ができる仕組みです。未上場というところがポイントで、一般的な株式投資とは異なります。

株式投資型クラウドファンディングに資金を投じると、見返りにその企業の株式を受け取れます。利息や配当収入とは違ってすぐには収益に繋がりませんが、のちのち企業がIPOやM&Aの買収対象になったとき、株を売却して利益を獲得できるのです。つまり、株式投資型クラウドファンディングは一般公開前の企業の青田買いとも言えます。

こうした新しいクラウドファンディングの可能性が登場したことで、上場していない企業にとっても資金調達の選択肢が増え、経済的にも恩恵があるでしょう。今までの未上場企業への投資は、ベンチャーキャピタルや企業経営者の家族や知り合いなどに限定されていましたが、インターネットで広く投資家を募ることができるので、特に中小零細企業にとっては追い風となります。

ファンド投資型クラウドファンディング

ファンド投資型クラウドファンディングの特徴は、資金を提供した見返りに元本に加え、分配金という形でリターンがもらえることです。分配金とは企業の売上に応じて変動する利息を指します。売上が大きくなれば受け取れる分配金が上昇し、逆に企業業績が悪ければ分配金の内容も悪化します。

ファンド投資型クラウドファンディングは、元本と利息が受け取れる融資型に似ていますが、リターンの内容が「利息」か「分配金」で大きな差が生まれます。利息の場合は、あらかじめ設定された金利をもとに金額が確定しますが、分配金は企業の業績次第で高くなったり低くなったりするのです。

そのため、企業やプロジェクトの成長性に期待する割合が高いほど、ファンド投資型クラウドファンディングを活用すべきでしょう。

覚えておきたいクラウドファンディングのリスク

クラウドファンディングに資金を提供する場合、もっとも気をつけておかなければならないことが「カウンターパーティリスク」です。カウンターパーティリスクとは、事業者がプロジェクトの開発を途中で断念したり、経営が行き詰まってしまうことにより、資金の回収が難しくなる危険性のことです。

クラウドファンディングサービスは立上げってから歴史が浅いこともあり、現在でも資金提供者を守る制度が確立されていません。そのため、プロジェクト発案者の見通しの甘さで開発が中断したり、資金を持ったまま逃走するなどの詐欺案件に遭っても、元本やリターンが戻ってこない可能性もあります。

今後は世界的に制度整備が行われる可能性が高いですが、クラウドファンディングを利用する場合は自己責任で資金を提供しなければならないことを覚えておきましょう。そのためには、プロジェクトや事業者の情報を詳しく調べ、本当に信頼が置けると思った場合のみ行うべきです。

クラウドファンディングの始め方(支援方法)

クラウドファンディングで支援者になりたいという場合は、クラウドファンディング専用のサイトに登録することから始めましょう。

国内では「Readey for」や「Makuake」、「CAMP FIRE」などが代表的です。また世界的に有名な「Kickstarter」もおすすめでしょう。ただ、サービスサイトによって扱っているプロジェクトに違いがあり、特定のジャンルに強いサイトや、案件数が豊富なサイトなど様々です。

ここでは「Readey for」の支援方法を紹介します。

まずはトップページから会員登録を行いましょう。

トップページ右上に「ログイン・登録」というボタンがあるのでクリックします。

すると新規登録画面が開くので、「メールアドレスで登録」をクリックします。

ユーザー名、メールアドレス、パスワードを入力し「新規登録」を押してください。すると、アドレス宛にメールが届くので、中に記載されている本登録アドレスをクリックすると会員登録は完了です。

次に、プロジェクトの一覧から支援したいものを選びます。サイトトップページには検索窓もあるので、特定のワードを入力して探しても大丈夫です。

気に入ったプロジェクトがあれば「このプロジェクトを支援する」、もしくは「このリターンを購入する」を選んでください。

すると上のようにプロジェクトの内容とリターンの詳細が表示されます。支援金額が設定されているので、資金の金額に応じて個数を設定します。

すると今度は上のように支払い画面に移動します。支援はクレジットカードと銀行振込の2種類がありますが、今回はクレジットカードの支払い方法をお伝えします。

上の画面で「クレジットカード」を選んで「次に進む」をクリックしてください。

今度はクレジットカードのカード番号と有効期限を入力します。

仮にプロジェクトが目標金額に達しない場合、返金先の情報が必要なので、上のように返金先の金融機関情報を記入しましょう。

最後に住所や電話番号を入力します。入力後、「次に進む」をクリックしましょう。

後は「支援を確定する」を選べば、指定した金額分の資金が提供されたことになります。しばらくすると、事業者からお礼のメールが届いたり、こちらから事業者にコメントを送ることができます。

クラウドファンディング基礎知識のまとめ

今回はクラウドファンディングについて紹介しました。クラウドファンディングはプロジェクトの発案者(事業者)、プロジェクトに支援する資金提供者の視点で異なりますが、この記事では主に支援者の視点から紹介しています。

クラウドファンディングが登場したおかげで、事業者にとっても、投資家にとっても選択肢が広まったと言えます。今までであれば事業者が資金調達をする場合、銀行に融資の依頼をしたり、株式を発行する方法がありましたが、インターネットの利便性と相まって世界中の人々から資金を集めることが可能です。

また、支援者(投資家)にしてみても、従来なら株式投資やFX、投資信託といった投資方法が主流だったなか、証券会社などを挟まずに事業者と直接応答をしながら投資できる環境が整い始めたと言えるでしょう。

クラウドファンディングはこの先も世界的に拡大し、特にマーケットシェアの低い日本はより一層拡大することが予想されています。今の内からクラウドファンディングサービスに慣れ親しんでおくことも大切です。

 

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