FX初心者のみなさんは利益確定と損切りをどのように行っているでしょうか?
「結構利益が出ているからここで利確」、「ちょっとしか利益が出てないけど久々のFXだしこれでいいや」、「損切りはイヤだからこのまま放置!」。
初心者の場合、利確・損切りともに毎回明確な基準をもって行っていないのではないのでしょうか?
そもそも基準なんてあるのかと、FXの初心者でしたら思うかもしれません。
逆に明確なルールを決めたいけれどどうやったらいいのか分からないという方もいるでしょう。
基準やルールをもとに利確・損切りを行う目的は、荒波FXの世界において資金を急激に減らすことなく長く安定した取引を行うためです。もちろんその結果、利益を積み上げていくことに狙いがあるのは言うまでもありません。
これからご紹介します「FXにおける9つの利確・損切りの基準や方法」はどれも簡単なものばかりで、あとはその気にさえなれば初心者でもすぐに実行することができます。
テクニカル分析を利用した方法
1.FX初心者にもできる移動平均線を使ったやり方
移動平均線の種類
移動平均線には以下のような種類が存在しています。
- 単純移動平均線(SMA)・・・過去数日間の平均価格をもとに作成
- 指数平滑移動平均線(EMA)、加重移動平均線(WMA)・・・直近の価格を重視して作成
時間軸の違い、ライン形成に使われる取得平均日数によって次のような分け方もあります。
- 5分、15分、1時間などの「短期チャート」に形成されるライン
- 日足、週足、月足といった「長期チャート」に形成されるライン
- 5日移動平均線、25日移動平均線、75日移動平均線 など
利確の仕方
出典:(株)DMM.com証券
(米ドル/円 30分足、75日移動平均線からレートが反発)
またこのラインは、視覚的な存在であることから他の参加者の意識も比較的強く、単純に決済の素材として使われるだけでなく、FX相場全体の方向を予測するのにも役立ちます。
損切り時の注意点
ラインという性質から、レートはライン到達直後は反発しますので、例えば損切りを現在のレートからラインまでの10pipsに設定した場合、ライン到達直後にレートが4pips戻れば、4pips分の損切りが無駄だったのではないかと思いがちになります。
この現象はライン到達後によく起こるものですが、そもそもストップにかかるほどのポジションだったという点に加え、数pipsの戻りまで計算するのは初心者でなくとも非常に難しいです。
それよりも、失敗ポジションとして速やかに決着をつける習慣を、初心者のうちにぜひ身に付けてもらいたいものです。
他の方法を採るのであれば、ラインがブレイクしたらさらに逆行が進むだろうと判断しラインよりも先のレートをストップに設定することです。
特に日足以上のライン突破後は計り知れないほど強烈にレートが進行する場合がり、ライン突破直後の損切りは非常に有益なものとなります。
実際に設定する作業も初心者・ベテランの区別なく難しいものではありません。
チャート選びの基準
最初の方で時間軸の分類をいくつか挙げましたが、どのチャートのラインを基準にすればいいのかが特に初心者としては問題となってきます。
ただ、FXではそういった強めのラインに遭遇する機会は多くないので、日々の取引においては日足以下から見ていくことになります。
レンジ相場の時
トレンドラインのように移動平均線のラインは視覚的に目に付きやすく、直近にあるものはレンジ相場でのスキャルピングにおいて、FXでの一般的な決済ポイントとなります。
また、レンジ相場での取引はレートがあまり伸びないことを見越して、最大で30分(または15分)チャートのラインで利確を考えた方が初心者には無難です。
中・長期足などの可能性が見えてきたら?
レンジ相場でも「短期チャートの50日以上の線」にレートがたまに到達することがあり、初心者であってもFXにおける「絶好の大勝ち利確ポイント」となってきます。
トレンド進行中の場合
1分、5分、15分などの短期足のラインによって時折レート移動の足止めを受けながらも30分~4時間足のラインを利確の目途にしていきます。
トレンドを狙う場合は短期足の妨害に屈しないメンタルの強さも大切です。初心者の方ですとしばらくは練習が必要かもしれません。
2.トレンドラインを使ったやり方
移動平均線のラインを使った決済方法と同様、レートがラインに到達したら利益確定を行います。
短期足によるトレンドラインはFXでは非常に多く作れますが、レンジ相場においては10pips前後のレンジ幅のある所を見つけ一定の利益確保を狙います。
FX初心者の場合、色々なラインが気になったりしますが、初めの内は上記のようにある範囲を決めそこを集中してFXの経験を積むことが大切です。
その他のポイントは移動平均線と同じものとなります。
ラインを作成する際の注意点
ラインは明確な視覚的存在ですが自分で描くものなので、あまり細やかでマニアックなラインですとごく少数の参加者だけが作成したラインになりやすく、その他多くのトレーダーに注目されないラインとして機能が発揮しにくいといったことがあります。
自分が作成したラインよりもレートが進んでいき、利確目的であれば本来稼げたはずの値幅を取り逃すことになります。
ただ、損切りの場合は逆に実際のレート進行が想定以上(ライン以上)であれば大きな損失に至らずに済むということになります。
利確ラインとして利用する最高値・最安値はなるべく自分以外の他のトレーダーでも使いそうだと思えるような、視覚的に尖った、目立つものを選ぶようにしましょう。
移動平均線・トレンドライン共通のポイント
確実な利益かリスクを取るか?
FXは短期足で決済する方が利益確保の確実性が高く初心者にもうってつけなのですが、それだけ利益も低く抑えられてしまいます。
FXは大きな値幅を狙うほどリスクが高まっていきます。資金管理やFXの経験など総合的に判断しチャートを決めるのがベストです。
キレイなラインほど決済に使いやすい
両者とも目で見えるハッキリとした存在ですので、常に多くのFXトレーダーの視線を浴びている状態です。
特に「初心者にも分かりやすい、目立った、キレイな」ラインであるほど注目が集まりやすくなりますので、そういったラインを見つけたら決済のポイント(エントリーにも使える)として積極的に使うことを勧めます。
出典:(株)DMM.com証券
(英ポンド/円 4時間足)
ボラティリティを考慮した方法
「ボラティリティ」とは通貨ペアや市場が値幅変動する際の「程度」のことです。
FXの通貨ペアの中では米ドル/円のボラティリティが狭く、英ポンド/円のボラティリティが最も広いとされています。
市場におきましては、東京市場はボラティリティが狭く値幅変動が穏やかで、ニューヨーク市場は1日の中で最もボラティリティが広い市場として大きな利益と大損失の可能性を秘めています。
3.通貨ペアのボラティリティを利用したやり方
以下に主な通貨ペアの、ボラティリティの観点から考えた利確・損切りの大雑把な目安を挙げてみます。
米ドル/円 | ユーロ/円 | 英ポンド/円 | 豪ドル/円 | ユーロ/米ドル | |
---|---|---|---|---|---|
利確 | 短め(FX初心者向け) | 短め~長め | 長め | 短め~長め | 短め~長め(FX初心者向け) |
損切り | 短め(FX初心者向け) | 短め~長め | 長め | 短め | 短め(FX初心者向け) |
4.外国為替市場のボラティリティを利用したやり方
こちらもFXでメジャーな3大市場を例にとって挙げてみます。
東京市場 | ロンドン市場 | ニューヨーク市場 | |
---|---|---|---|
利確 | 短め(FX初心者向け) | 短め~長め | 長め |
損切り | 短め(FX初心者向け) | 短め~長め | 長め |
両者を合わせたポイント
米ドル/円
市場は「東京市場」、通貨ペアは「米ドル/円」の組み合わせがFXの中で最もボラティリティの狭いものとなり、「ニューヨーク市場」における「英ポンド/円」が最も大きな値幅の可能性があります。
もちろんこれはあくまでも一般的な話ですので、東京時間でも前日のニューヨークダウ(株式市場)で大きな出来事が発生すれば、FX取引が朝から騒がしい状況にもなります。
出典:BUSINESS INSIDER JAPAN
米ドル/円もニューヨーク時間ではボラティリティが大きくなりやすく、普段同通貨ペアをロンドン市場や東京市場で取引している人には注意が必要でありながら、ニューヨーク市場ではある程度大きな利益を望むことができます。
英ポンド/円
英ポンド/円は元々レート変動が大きいことから、利確・損切りともに大き目の値幅を推奨しますが、損切りにおいては損失金額の大きさが初心者のネックとなりやすくなります。
特にロンドン・ニューヨーク時間ではルール通りに機械的な損切りを行うことがメンタル的に難しい側面があり、豊富な資金とともに損切りの痛みに負けないメンタルの強さが必要となってきます。
豪ドル/円
豪ドル/円はスワップポイントを稼ぐ通貨としてFX初心者に人気ですが、ロンドン・ニューヨーク市場では参加者の増加に伴ってボラティリティが膨らみ、損切りにかかりやくなったりメンタル面で初心者には負担が大きくなりやすいものとなります。
また豪ドル/円は、月足単位での値幅は米ドル/円とさほど違いはありませんが、理由は不明ながらも投機的にやや激しいトレードがなされる傾向があります。
他の通貨や市場材料などとの連動性の薄い急激なレート変動に注意すべき通貨で、従って初心者の方では適切な損切り幅を決めることが難しいです。
資金管理を元にした方法
5.資金管理を利用したやり方
資金管理を使って安全性を高めた決済方法です。
これに向いている方としては、初心者をはじめ口座資金が十分でない方や、FXをギャンブルのように味わうのではなく、堅実に副業やお小遣い稼ぎの手段として行いたい方です。
デメリット
利確も損切りも割と早く終了してしまい物足りなさが残ったり、原資が少ないほど利益も非常に乏しくなってしまう点です。
また1%の利確・損切り幅だけを忠実に実行していても「勝率」を考慮しないと、トータル損益がどうなってしまうのかが分からないことが挙げられます。
勝率が51%以上か、スプレッドやちょっとしたミス等を考え60%以上はないとトータルで利益が出しにくいです。
初心者の内からトレードスキルのやや本格的なレベルアップを行っていく必要があります。
6.金額を固定したやり方
こちらも1%のやり方と同様非常に簡単です。
例えば、利確は3,000円で損切りは1,500円といったルールや、利確は20,000円、損切りは11,000円などと決済のルールを金額で決めるやり方です。
また金額の決定は口座資金の量とポジションサイズによって大きく変わってきます。
資金に余裕があり初心者でも10万通貨以上のポジションを余裕で建てられるのでしたら、利確・損切りともに大きな金額にすることができます。
この方法は金額を無理のない範囲で設定すれば資金管理的に優良なやり方であり、大きなリスクを負うことがなく、初心者でも安全に取引を行うことができます。
ただやはり先ほどの1%のやり方と同様、最終的な利益を得るためには、金額の詳細な設定とトレードの勝敗比率、FX取引の経験などを考慮しなければなりません。
リスクの軽減を最大の目的とした利確・損切り
ここでは、上記までとは異なりFXにおける不測の事態を避けることが目的で行うものです。利確・損切りの区分はなく、状況によって即座にポジションを決済していきます。
FX初心者にとっては、もしかしたら実感が湧かない内容かもしれませんが、計算等で割り切れないことがあるのもFXの性質です。
7.分からない時のやり方
ポジションを建ててみたものの、利確・損切りのレート(リミット・ストップ)になかなか到達しなかったり、相場状況が不透明で、たとえ評価損でなくてもポジションに自信がもてなくなった場合です。
ベテランはもちろん、特にFX初心者でしたらこういった状況になりやすいものです。
この場合は、「即座に決済」してポジションを整理します。
一般的にFXや投資は「分からないものには手を出さない」ことが基本であり、ポジション保有中であれば即座に決済するのが大切です。
8.トレンド終了を見越したやり方
数十pipsもの値幅をかかえるポジションだったり、デイトレード・スイングトレードで中・長期的に運用している場合、レートの先に月足や週足などからなる大き目の反発ラインが控えていたら、念のためそこで利確することをオススメするものです。
各種ラインは、長期のチャート上で形成されているものほどその反発する可能性が高いので、利益の確保や安全重視といった意味ではそこで一旦利確するのが特に初心者には最適です。
9.経済指標発表前のやり方
経済指標発表によるレート変動は突発的で(発表日時は事前に分かるのですが)、時に激しい上下動にさらされることもあり、FXにおいてはトレードの計画性が発揮しにくい存在です。
ここでは7.と同じく「即座に決済」が最適となります。
まとめ
FXにおける利確・損切りのやり方は初心者にも簡単なものが実は多いのです。以下のようにまとめればうまくその迷いを断ち切ることができるようになります。
- 移動平均線とトレンドラインは視覚的存在として非常に使いやすい
- ボラティリティによって適切な利確・損切り幅を決定する(通貨・市場)
- 資金管理による方法は簡単だがトータルで利益が出せるかどうかまで考慮する
- 不透明な相場状況や経済指標発表前、大きなラインが直前にある時は利益を優先し決済
他には重大な突発ニュースが流れた時や金曜日(土曜の朝)のニューヨーククローズ前なども、利確・損切りかかわらずポジションを解消するいいタイミングです。
「9つのクールなやり方」一覧
- FX初心者にもできる移動平均線を使ったやり方
- トレンドラインを使ったやり方
- 通貨ペアのボラティリティを利用したやり方
- 外国為替市場のボラティリティを利用したやり方
- 資金管理を利用したやり方
- 金額を固定したやり方
- 分からない時のやり方
- トレンド終了を見越したやり方
- 経済指標発表前のやり方