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マンションや一軒家などの住宅を購入した時に、ほとんどの人が住宅ローンを借りていると思います。住宅購入は、大きな買い物で一生に一度の人も多いでしょう。そのため、住宅ローンの借入金額は、どうしても大きな金額になり、返済期間も長くなるのです。
このように住宅ローンの返済はかなりの負担になるため、少しでも毎月の返済額や総返済額を減らしたいものです。住宅ローンの負担を減らす方法として、借り換えがあります。ここでは、どのように住宅ローンの借り換えを行えば得になるのかについて解説していきます。
住宅ローンの借り換えについて解説
住宅ローンの借り換えを考えるタイミング
住宅ローンの金利は、固定金利であっても変動金利あっても借入時の金利動向で決まります。借入金額が大きいため、金利が0.1%違えば総返済額も結構違ってくるのです。そのため、借入時の金利動向よりも今の金利動向の方が低く推移をしているのならば、借り換えを考えた方が良いかもしれません。
もちろん、住宅ローンを借り換えるためには、今借りているローンの抵当権を、借り換え後のローンの抵当権に変更しなければなりません。そして、そのための登記費用などもかかりますので、よくシミュレーションをしてお得になるようであれば借り換えを考える必要があります。
借り換えすると何がお得
総返済額が少なくなる
住宅ローンの借り換えをするということは、借り換え前の住宅ローンよりも金利が低くなるということです。そのため、毎月の返済額を減らすこともできますし、同じくらいの金額を返済すれば期間を短くすることができます。いずれにしろ、住宅ローンに支払う総返済額が少なくなるのです。
金利のタイプを変更することができる
例えば、現在の住宅ローンを変動金利で借りている人が、将来金利が上昇するリスクを考慮して借り換え後の住宅ローンは固定金利にすることもできます。金利の低い今だからこそ固定金利にしておけば、将来金利が上がった場合に得することになります。
住宅ローンの借り換えタイミングは金利だけで判断できる?
住宅ローンの借り換えにかかる諸費用
事務手数料
事務手数料とは、住宅ローンの借り入れや返済などに関して金融機関に支払う手数料のことです。住宅ローンを借り換えするためには、借換先の金融機関への事務手数料を支払う必要があります。また、借換元の金融機関にも、繰上返済の手数料を支払う必要があるのです。
住宅ローンを借り入れする時の事務手数料は、金融機関によっていろいろです。事務手数料がかからないところもありますし、かかるところもあります。金融機関によっては、借入金額によって一定の割合の事務手数料を支払う「定率型」のところもありまし、借入金額に関係なく一定金額の事務手数料を支払う「定額型」のところもあります。
借換元に支払う繰上返済手数料も、金融機関によっていろいろです。金融機関によっては無料のところもありますし、インターネット経由であれば無料になるところもあります。
保証料
保証料とは、住宅ローンが返済できなくなってしまった場合に保証会社に残債を返済してもらうために支払う手数料のことです。保証会社に住宅ローンを肩代わりしてもらったからといって、返済義務が無くなるわけではありませんので注意が必要です。
保証料は借入時に一括で支払う方法と、毎月の金利にプラスして支払う方法などがあります。保証料を支払う方法は、金融機関によって違ってきますので事前に調べておきましょう。
インターネット銀行などの保証会社を持たない金融機関では、保証料かかからないところもあります。また、借換元の住宅ローンの借入時に保証料を一括で支払った場合は、繰上返済により残債分の保証料か戻ってくることもあります。
登記費用
住宅ローンの借り換えでしなければならない登記は、借換元の住宅ローンの抵当権の抹消手続きと、借換先の住宅ローンの抵当権の設定の手続きになります。抵当権の抹消にかかる登録免許税は、不動産1個につき1,000円です。
また、抵当権の設定にかかる登録免許税は、基本的に借入金額の0.4%です。さらに、基本的には登記に関する手続きについては司法書士に依頼すると思いますので、司法書士への報酬がかかります。司法書士への報酬も司法書士によってそれぞれですが、おおよそ3万円~10万円程度かかると思われます。
印紙代
住宅ローンの借り換えは、借換先で新規の住宅ローンを組んで、借換元の住宅ローンを完済させるということです。そのため、新規の住宅ローンは、金融機関と「金銭消費貸借契約証書」という契約書を取り交わします。そして、金銭消費貸借契約証書には、印紙を貼る必要があるのです。貼り付ける印紙の金額は、借入金額によって変わります。
借入金額 | 印紙税の額 |
---|---|
100万円超~500万円以下 | 2,000円 |
500万円超~1,000万円以下 | 11,000円 |
1,000万円超~5,000万円以下 | 20,000円 |
5,000万円超~1億円以下 | 60,000円 |
このように、住宅ローンの借り換えには、いろいろな諸費用がかかります。金融機関によってそれぞれ諸費用にかかる金額が違うため正確な金額を示すことはできませんが、おおよそ30万円~70万円くらいかかると思われます。そのため、借り換えをする前には、金利以外にも諸費用のことをよく考えて決めましょう。
金額以外での理由での住宅ローンの借り換えタイミング
健康なうちに借り換えをする
ほとんどの金融機関の住宅ローンで、団体信用生命保険の加入が義務付けられています。団体信用生命保険とは、万が一債務者が返済の途中で亡くなってしまった場合に、保険料で住宅ローンの残債を返済してくれる保険です。
どこの金融機関でも住宅ローンの借入条件として、団体信用生命保険に加入できることという要件があります。団体信用生命保険は、健康な人でないと加入することができません。
したがって、健康でない人は、住宅ローンを借り入れすることが難しくなるのです。そのため、住宅ローンの借り換えは、健康のうちに考える必要があります。
転職する予定がある場合は転職前に借り換えをする
住宅ローンの審査では、ほとんどの金融機関で勤続年数を審査対象としています。そのため、転職してすぐに住宅ローンの借り換えの申し込みをしても、勤続年数がネックになり審査に通らない場合もあるのです。転職する予定がある場合は、転職する前に住宅ローンの借り換えの申し込みをした方が良いでしょう。
返済が苦しくなった場合は、借り換えを検討しましょう
住宅ローンの返済期間はとても長いため、ずっと安定して返済ができるとは限りません。また、子供の大学進学などあらかじめ出費が多くなり先々返済が苦しくなることがわかっている場合もあります。そんな時は、返済が苦しくなる前に金利の低い住宅ローンに借り換えすることを検討しましょう。
金利の低い住宅ローンに借り換えれば、総返済額が少なくなります。その結果、毎月の返済を減らすか、返済期間を短くすることができますので検討する価値があります。
住宅ローンの借り換えで得するために考えるべきこと
借換元と借換先の住宅ローンの金利差
住宅ローンを借り換えする基準として、一般的な目安として金利差1%、残債1,000万円以上、残期間10年以上といわれています。しかし、金利差が0.5%でも残債や残期間によっては十分に得することもありえるのです。
借り換えするかどうかの目安は、以下の計算式でおおよその判断ができます。
借り換えによる軽減額 = 借換元の住宅ローン金利での今から完済までの総返済額 - 借換先の住宅ローン金利での完済までの総返済額 - 諸費用の総額
例えば、借換元の住宅ローンの残債が2,000万円で、残期間が20年で、金利が1.2パーセントだったとします。そして、借換先の住宅ローンの金利が0.7%で、諸費用が30万円の場合に借り換えたらどうなるかを計算してみます。
22,505,736円(借換元の住宅ローンのこらからの総返済額) - 21,438,371(借換先の住宅ローンのこらからの総返済額) – 300,000円(諸費用) = 767,365円(借り換えによる軽減額)
この場合の借り換えによる軽減額は、20年間で767,365円です。この金額と手間を考えて借り換えするかどうかを検討していきます。
現在の住宅ローンの残債、残期間
住宅ローンの借り換えをする時に、同じ金利差であれば残債が多ければ多いほど、また残期間かが長ければ長いほど効果が高くなります。一方、残債が僅かだったり、完済までの期間が短かったりする場合は、いくら金利差があったとしても借り換えメリットはあまりありません。
借り換え前と借り換え後の金利タイプ
住宅ローンの金利タイプを大きく分けると、変動金利、当初固定金利、全期間固定金利の3種類になります。当初固定金利とは、3年固定や5年固定など一定期間固定金利で推移する住宅ローンです。
金利タイプを金利の低い順に並べると、変動金利、当初固定金利、全期間固定金利の順番になります。そのため、単純に考えると変動金利へ借り換えをすれば、一番メリットが大きいように思えます。
しかし、変動金利には、市場の金利が上がった場合には金利が上がります。変動金利には、金利変動によるリスクもあるのです。
一方、全期間固定金利にしておけば、金利変動リスクはありません。しかし、金利が変動しなかった場合は、変動金利の方が得だったということになってしまいます。借り換え時の金利タイプは、将来の動向などをよく調べて決める必要があるのです。
諸費用
住宅ローンの借り換えには、登記費用や手数料などの諸費用が必ずかかってきます。借入金額にもよりますが、諸費用だけで何十万もかかることがほとんどなので、できるだけ諸費用が抑えられる金融機関を選ぶと良いでしょう。登記にかかる費用などはどこの金融機関でもあまり変わりませんが、事務手数料や保証料などは金融機関によってかなりの差があるのです。
金利上昇傾向の時
住宅ローンを変動金利で借りていて、金利が上昇する気配がある時は借り換えのタイミングになります。この場合は、借換先の住宅ローンの金利タイプは、固定金利にすると良いでしょう。同じ変動金利に借り換えても、市場金利が上昇すれば住宅ローンの金利も上昇しますので意味がありません。
当初固定金利の優遇期間が終わる時
当初固定金利の住宅ローンの仕組みは、当初からの固定期間は決められた金利で推移して、期間が経過したら改めて金利タイプを選択する商品です。しかし、当初何年間かの固定金利は店頭金利から大幅に優遇してくれるためお得ですが、その後の金利は引き下げ幅が小さく以前より高くなるのが当たり前です。
この当初固定金利の固定期間が終わって金利が上がってしまうタイミングこそが、借り換えのタイミングなのです。新たに金利が上昇するリスクを避けて、借り換えした方が得になる場合もありますのでよく検討してみましょう。
住宅ローンの借り換えで陥ってしまうケース
年収不足で借り換えができない
会社の業績が悪化して給料が減ってしまったのとにより、毎月の返済がきつくなるケースもあると思います。毎月の返済額を減らすために、いざ住宅ローンの借り換えをしようと思ったら、年収不足でローンの審査が通らなかったということもあります。できるだけ、実際に年収が下がってしまう前に借り換えをしましょう。
金利の引き下げ交渉も可能
金利が低いからといって、すぐに借り換えを考えるとかえって損をする場合もあります。なぜなら、あまり知られてはいませんが、既存の住宅ローンについての金利引き下げ交渉もできるからです。
特に、借り換えを考えている旨を示せば、引き下げてくれる可能性も高くなります。金利引き下げであれば、諸費用などを支払う必要もないためお得です。
借り換えするのにおすすめな住宅ローン
住宅ローンの借り換えをする時に、金利差以外にも諸費用がどのくらいかかるのかは重要なポイントです。ここでは、諸費用が安くすむおすすめの住宅ローンについて紹介します。
住信SBIネット銀行 ネット専用住宅ローン
- 金利詳細
- 事務取扱手数料:借入金額の2%+消費税額
- 司法書士への報酬:6万円~10万円程度
- 保証料:無料
住信SBIネット銀行のネット専用住宅ローンは、WEBで完結できる住宅ローンです。団体信用生命保険だけでなく、全疾病の保障も無料で付いています。また、保証会社を利用していないため保証料は無料です。
イオン銀行 住宅ローン
- 金利詳細
- 事務取扱手数料:定額型・・111,000円(税込)(定額型を利用した場合は、定率型に比べ金利が年0.2%高くなります。)、定率型・・借入れ金額の2.20%(税込)、ただし最低取扱手数料220,000円(税込)
- 保証料:無料
イオン銀行の住宅ローンは、団体信用生命保険料0円、保証料0円、一部繰上返済手数料0円が特徴の住宅ローンです。また、借入利率に0.1%の上乗せでガン保証付き住宅ローンになりますし、0.3%の上乗せで8疾病プラス付き住宅ローンになります。
ソニー銀行 住宅ローン
- 金利詳細
- 事務取扱手数料:借入時に44,000円(税込)
- 保証料:無料
ソニー銀行の住宅ローンは、保証料、団体信用生命保険料、一部繰上返済手数料、全部繰上返済手数料がすべて無料の住宅ローンです。さらに、変動金利から固定金利への金利変更手数料や、返済口座への資金移動や、ATM手数料まで無料なのが特徴です。
まとめ
このように、今支払いをしている住宅ローンの金利が今の金利状況よりも高い場合は、住宅ローンの借り換えを考えてみると良いでしょう。ただし、住宅ローンの借り換えは、金利だけでなく、現在の住宅ローンの残債や残期間、金利タイプ、諸費用などを考慮する必要があります。いろいろ考慮してみて総返済額などにメリットがあると判断できたなら、住宅ローンの借り換えはおすすめです。