ふるさと納税は節税にならない?メリット・デメリットをやさしく解説!

生まれ育った市町村や都道府県に貢献できる「ふるさと納税」。

その地域の特産品がもらえるということもあり、返礼品の比較検討ができるポータルサイトなどができるほどの人気ぶりです。

節税にもなるという情報もあり、興味のある方は多いのでは?

しかし、いろんな特典がつき、節税にもなると人気のふるさと納税ですが、本当にお得なのでしょうか?

ここでは、気になるふるさと納税のメリット・デメリットをご説明していきます。

そもそもふるさと納税とは?

総務省 ふるさと納税ポータルサイト

http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/080430_2_kojin.html

 

ふるさと納税は税金ではなく寄附金

「納税」とついていますが、制度上は「寄付」とされています。名称や節税に効果があるというメリットから税金と思う方が多いようですが、直接納税しているわけではありません。

仕組みとしては現在住んでいる地方自治体への納税の代わりに、任意の自治体に寄付を通じて「納税」するというものです。

そのため、ふるさと納税をすることで寄附金控除として、それまで支払った税金の中からふるさと納税の対象分が差し引かれる仕組みになっています。

ふるさと納税を節税につなげるには?

ふるさと納税をしても、ふるさと納税した分の金額の税金が返ってくるわけではありません。

自分の選んだ自治体にふるさと納税を行った場合、寄付額のうち2,000円を越える部分について、所得税と住民税から控除される制度です。

参照:総務省 ふるさと納税の概要

http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/furusato/mechanism/about.html

 

 

また、自動的に控除になるわけではありません。税金の控除を受ける場合は、確定申告が必要になります。

給与所得者で年末調整を行っている場合は、寄付したことを証明する「受領書(寄付金受領証明書)」を付けて、ふるさと納税用の確定申告書に記入し税務署へ提出します。

インターネットを利用して納税ができるe-Taxからの申告では、書類を添付する必要はなく、他の確定申告の時と同じように、必要事項を入力すれば申告ができます。

現在は「ふるさと納税 ワンストップ特例制度」が導入されました。そのため、予め納税先の自治体で手続きをすることで、確定申告をしなくても税金が戻ってくるようになりました。

ふるさと納税の控除限度額

ふるさと納税をする金額に限度額はありませんが、税金の控除には限度額があります。そのため、ふるさと納税をすればするほど税金が返ってくるわけではありません。

控除される金額には、年収と世帯状況によって上限があります。

例えば、世帯年収700万円の給与所得者の方で夫婦と子供1人のみの場合、控除額の上限額は86,000円となります。

この家族が30,000円のふるさと納税を行うと、2,000円を超える部分である28,000円(30,000円-2,000円)が所得税と住民税から控除されます。

  • 世帯年収:700万円
  • 職業:会社員
  • 家族構成:夫婦と子供1人
  • 控除限度額:86000円

30000円のふるさと納税を行った場合の控除額

ふるさと納税分30000円ー自己負担額2000円=控除額28000円

※控除限度額内なので、この分が次年度の所得税・住民税から控除される。

 

参考:ふるなび 控除上限額の目安

https://furunavi.jp/deduction.aspx

 

ふるさと納税で節約できる?

Woman
ふるさと納税のメリットは「節税」というけど、それなら家計の負担も減るかしら?

 

Expert
いいえ。ふるさと納税は「節税」にはなりますが、「節約」には必ずしもなるとは限りません。

 

 

税金も減って地域の特産品ももらえるとあって、人気のふるさと納税ですが、お金の面では本当にお得なのでしょうか?

答えは「『節税』にはなるが、『節約』にはならない」です。

一体どういうことでしょう?

 

そもそもふるさと納税は「寄付」ですので、税金ではありません。

節税できる!という意見がよく聞かれるのは、「確定申告を行うことで、その寄附金額の一部が所得税及び住民税から控除される」という点でしょう。

確かに支払う税金自体は減りますが、その分寄付としてお金を払っているため、家計全体としてみれば負担が減るとは言えません

 

例えば先に出した例でいうと、30,000円のふるさと納税を行って28,000円の控除ができるのですが、逆に言えば税金を28000円安くするために30000円の寄付を行っているのです。

税金自体は28000円分安くなりますが、家計全体でみると2000円のマイナスとなっています。

純粋に家計の負担を減らしたい!と考えている方にとっては、あまり良い節約方法ではありません。

あくまで応援したい自治体への寄付、お得な返礼品と節税のおまけがつく寄付と考えましょう。

ふるさと納税のメリット

ここまで読むと、「節約にならないんじゃ、何のメリットがあるの?」と思われるかもしれません。

しかし、ふるさと納税にはきちんとメリットがあります。使い方次第では、より大きな「お得」が返ってくるかもしれません。

ふるさと納税の主なメリットは下記の4つです。

  • 生まれ育った地元や応援したい地域に貢献できる
  • 返礼品で地方の特産品から便利なサービスまで利用できる
  • 税金の控除ができる
  • 確定申告の手間を省けるワンストップ特例が利用できる

生まれ育った地元や応援したい地域に貢献できる

ふるさと納税の主な目的は「成長して生まれ故郷を離れても、その地域に貢献することができる」ことです。そのため、今は都市部に住んでいても、生まれ故郷に貢献できるというのが、一番のメリットでしょう。

例えば、若い世代が都市部で働いており両親が地元に残っているという家族ですと、ふるさと納税をすることで、両親のいる地域の行政サービスを充実させることもできます。

また、自然災害などの被災地を応援するために、ふるさと納税によって寄付をする方もいます。

自治体によっては寄付金の用途を選ぶこともできますので、「この部分をもっと手厚くしてほしい」など要望があれば、目的に合わせてふるさと納税先を選んでもいいかもしれません。

返礼品で地方の特産品から便利なサービスまで利用できる

ふるさと納税の「お得」として、ぱっと思いつくものはまずこれでしょう。

返礼品には、各地の特産品・名産品と呼ばれる品が数多くそろっており、中にはその土地でしか手に入れることが難しいものもあります。

寄付という形で全国の名産品・特産品を知るキッカケができるのも、ふるさと納税ならではのメリットです。

返礼品はおいしい地元の食品のほかにも、体験イベントや便利なサービスなど、さまざまなものがあります。

地元の工芸品をつくる体験イベントや、地元に帰省しやすいようにと交通費の負担が減る航空券のクーポン、高齢の両親の様子をお知らせする郵便局の「みまもりでんわサービス」など、多種多様です。

自分の家族や生活状況に合わせて返礼品が選べるのも、ふるさと納税の魅力の一つです。

 

参照:郵便局のみまもりサービス ふるさと納税返礼品導入自治体

https://www.post.japanpost.jp/life/mimamori/furusato.html

 

税金の控除ができる

ふるさと納税を行うと、寄付額のうち2,000円を差し引いた金額が、所得税と住民税から控除されます。

2015年1月からは、控除上限額が約2倍に引き上げられ、より節税効果が期待できるようになりました。

控除の金額や上限は住んでいる地域や、所得・扶養している家族が何人いるかなどによって変わってきます。各ポータルサイトでは、そんなわかりにくい控除上限額の計算が簡単にできるシュミレーションがありますので、ふるさと納税する前にチェックしてみてはいかがでしょうか?

参照:さとふる ふるさと納税控除手順

https://www.satofull.jp/static/deduction.php?&utm_source=google&utm_medium=cpc&utm_campaign=dsa&gclid=EAIaIQobChMIhf3a1uKh3gIVjAsrCh1xRg8NEAAYASAAEgLPSfD_BwE&gclsrc=aw.ds

確定申告の手間を省けるワンストップ特例が利用できる

通常の寄付で税金の控除を行うには、基本的に寄付をしたという証明(寄付金受領証明書など)をそろえて確定申告をしなければなりません。

しかし、その手間を簡略化するために2015年4月より、「ワンストップ特例制度」が創設されました。

ふるさと納税するたびにワンストップ特例制度の申し込み手続きも同時に行うと、毎年1月1日~12月31日に行ったふるさと納税分が、自動で翌年分の税金から控除される仕組みです。

「年に一回、地元にしかふるさと納税しないのに、確定申告をしなきゃならないなんて…。」とお悩みの方におすすめの便利な制度です。

 

ワンストップ特例制度:確定申告を行わなくても、ふるさと納税の寄付金控除を受けられる仕組み

 

対象になる方

  • もともと確定申告をする必要のない方(会社員・公務員など)
  • 1年間の寄附先が5自治体以内の方
  • ふるさと納税以外に税金控除の対象になるものがない方

参照:さとふる ふるさと納税 ワンストップ特例制度について

https://www.satofull.jp/static/onestop.php

ふるさと納税のデメリット

メリットが多く見えるふるさと納税ですが、ふるさと納税する際に注意すべき点はどんなところでしょうか?

ふるさと納税の主なデメリットは下記の4つです。

  • 節税するためには確定申告をしなければならない
  • ワンストップ特例は対象にならない人がいる
  • 控除される税金は所得税と住民税のみ
  • 所得や控除の対象に変化があった人は節税にならない場合がある

節税するためには確定申告をしなければならない

当たり前ですが、税金を安くするには申請が必要です。ふるさと納税すれば自動的に税金が控除されるわけではありません。

節税するための手続きは2通り、確定申告をするか、事前にワンストップ特例制度の申し込みをするかどちらかになります。

この2つの方法の違いは下記のようになります。

参照:さとふる ふるさと納税 ワンストップ特例制度について

https://www.satofull.jp/static/onestop.php

何度もたくさんの自治体にふるさと納税する方は、確定申告の方が年に一回の手続きで完了します。

ワンストップ特例制度は確定申告がいらない分、ふるさと納税する都度申請が必要ですが、例えば年に一度しかふるさと納税しない方はワンストップ特例制度の方が便利でしょう。

ワンストップ特例は対象にならない人がいる

一度の申請手続きで、確定申告が不要になる便利なワンストップ特例制度ですが、適用対象外になる方がいますので注意しましょう。

 

ワンストップ特例の対象にならない方

  • 自営業や自由業の方(そもそも確定申告が必要な方)
  • 会社員や公務員でも6か所以上の自治体へふるさと納税をした人
  • 年収が2,000万円を超える所得者
  • 住宅ローン控除の初年度の手続きや医療費控除など、その他の控除で確定申告が必要な方

これらに該当する場合は、ワンストップ特例制度は利用できず、確定申告が必要となります。

参照:ふるさとチョイス かんたん!「ワンストップ特例制度」

https://www.furusato-tax.jp/about/onestop?ipao9700=g&ipao9702=%E3%81%B5%E3%82%8B%E3%81%95%E3%81%A8%E7%B4%8D%E7%A8%8E%20%E3%83%AF%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%83%E3%83%97&gclid=EAIaIQobChMIlcLsp96h3gIVkwsrCh1T_AL0EAAYASAAEgL3ZvD_BwE

控除される税金は所得税と住民税のみ

節税のメリットがあるふるさと納税ですが、控除の対象となるのは所得税と住民税のみになります。

相続税や固定資産税などの、そのほかの税金については、控除の対象になりません。

また「ワンストップ特例制度」を利用した場合、所得税は控除されず、全額が翌年の住民税の減額という形で控除されますので、注意しましょう。

所得や控除の対象に変化があった人は節税にならない場合がある

一度ふるさと納税をして控除が受けられたとしても、ずっと同じままではありません。

所得金額に変化があったり、家族構成が変わったり、住宅ローンの控除や医療費控除など、ふるさと納税のほかにも所得税や住民税に関わる控除に当てはまる方は要注意です。

所得額や家族構成に変化があった方は、控除の上限額が変化する可能性があります。

住宅ローン控除や医療費控除など、控除に関わるものがある方は、ふるさと納税でできる控除の限度上限額が変わってきます。

下記の4点に当てはまる方は、今までと違ってくる場合がありますので、注意しましょう。

  • 所得に変化があった方
  • 家族構成に変化があった方
  • 住宅ローン控除を受ける方
  • 個人型確定拠出年金(iDeCo、イデコ)を始めた方
所得に変化があった方

所得が変動した人、特に金額が下がった方は、前年よりも控除の限度額が低くなる可能性があります。

また所得が増えた場合も、年収が2000万を超えるとワンストップ特例制度が利用できなくなりますので注意しましょう。

家族構成に変化があった方

お子さんが増えた・70歳以上の親と同居することになった・妻が働き始めたなど、家族構成に変化があった方も注意しましょう。

配偶者控除・扶養控除に関わるような家族の変化があった場合、所得税の控除額が変わってきます。

控除の対象が増えるとふるさと納税の控除限度額が下がる可能性があります。

住宅ローン控除を受ける方

自宅を購入し住宅ローンを組んだ方も要注意です。

住宅ローンを組むと住宅ローン控除の対象となり、毎年所得税と住民税が控除されます。

金額が大きいのもあり、住宅ローン控除は節税にとても効果があります。しかしその分、ふるさと納税による控除限度額にも大きく影響します。

ですので、ローン期間中、特に住宅を購入した最初の年は忘れずにチェックしましょう。

個人型確定拠出年金(iDeCo、イデコ)を始めた方

意外と忘れがちなのが、個人型確定拠出年金(iDeCo、イデコ)に関わる控除です。

個人型確定拠出年金は積み立ててきた掛け金が全額所得控除の対象となりますので、税金が戻ってきますが、その分ふるさと納税で控除できる金額にも影響してきます

また、会社員や公務員の場合は年末調整で手続きが終わり、別途確定申告をすることがありません。

そのため、確定申告とは別物ととらえてしまう方や、年末調整で手続きしたことを忘れてしまう方も多いのですが、控除の対象になるのは同じ所得税となりますので、注意しましょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

魅力的な特産品と節税に効果がありお得と人気のふるさと納税ですが、意外と知らないメリットやデメリットがあったのではないでしょうか?

最近、各自治体もさまざまな返礼品のラインナップを取り揃えていますので、お得さに目を引かれるのは当然ですが、何より大事なのはその地域や自治体を応援したいと思う心です。

メリット・デメリットをしっかり理解した上で、各地の名産品を楽しんだり、便利なサービスで地元への帰省回数を増やしたりなど、ふるさとをより身近に感じられると良いですね。

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