【債券投資の基礎知識)】 国内債券・外国債券・利回りと利率の違い・格付けなどの用語をわかりやすく解説!

債券投資は、リスクも低く初心者にもおすすめの投資方法ですが、いざ始めようと思ってもわからない用語がたくさん出てきて混乱してしまいます。

債券という言葉は、株式やFXなどと比べると耳に馴染みのない方も多いかもしれません。債券は一見すると債権という言葉とも似ているので、債券と債権が混ざってしまって解釈する人もいるでしょう。

今回は、これから債券投資を覚えたい人のために債券と債権の違いや、国内債券、外国債権の種類、利率と利回りについてなど、基礎的な債券用語をわかりやすく解説していきます。

債券の基礎知識

債券とは、国家や企業が資金を調達するために、金融機関、投資団体、個人投資家達からお金を借りるために発行する証券の1つです。

証券とは、法的効力を持つ証明書のことで、証券を所有するものの財産や権利を証明する重要書類であります。

債券投資とは

債券投資とは、国家や企業が発行した債券を購入して利益を得ていく投資方法のことです。

債券は返済日が約束された借用証明書のようなもので、

債券を購入する=お金を一定期間貸しておきます

という意味でもあります。

ただ単に100万円を誰かに貸して、期日に100万円返してもらったとしても、良心は満たされますが、具体的な利益にはなりません。債券がただお金を貸す行為と大きく異なるのは、利子が付くなどの条件付きでお金を貸すことができる点です。

さらには、100万円の債券は、その時々の市場の動きによって価格変動しますので、中途換金の売買差益によって利益を得ることも可能なのです。

つまり、債券を購入するということは、

金利を受け取るなどの条件付きでお金を貸して、約束の日に貸したお金を返してもらえることが法的に保証されている借用書を購入するということです。

債券投資の利益

債券投資の利益は、

  1. 金利による利益
  2. 償還(売買)差益による利益
  3. 為替差益利益(外貨建ての場合)

主に以上3つの利益を出す方法があります。

債券と債権の違い

では、債券と似たような言葉に、債権というものがありますが、債券と債権はどのように違うのでしょうか。

債券と債権の違いについてご説明していきましょう。

債権とは

債権とは証券のように目に見えるものではなく、ある行為を要求することのできる権利のことを言います。債権という漢字を分割して考えてみるとわかりやすいと思います。


借金、借財、他人から金品をかりた代償、借りたものを返す約束

債の類語→債務、負債などがあり、何となく債のもつイメージがわかるかと思います。


権利のことです。認められた力、主張する資格、法的に要求できるもの

以上のように、債権とは借金や借財などの借りたものを証明するものであり、その返却を要求することができる権利のことをいいます。

つまり・・・債券とは、債権の詳細を記載したもので、金融商品として発行されるもの→(目に見える証券)

すなわち・・・債権とは貸した金品の返済を要求することができる権利→(目に見えない権利)

というように、債券と債権は意味は似たようなものですが、使い方は全く異なるのです。

債券投資に必要な用語を覚えよう!

 

いざ、債券投資を始めようと思っても、わからない言葉がたくさん出てきて、何が何だかわからなくなってしまいます。債券が発行された時に、発行条件を読んだとしても用語がわからなければ、先に進めなくなってしまいます。

債券には様々な種類があり、初心者でもできるものからベテランでないと難しいものがあります。まずは最低限必要な基礎的な用語を覚えてみましょう。

仮に自分でオンラインなどで債券情報を調べてみる時に、必要な用語をいくつかご紹介します。

既発債券 すでに発行されてから日数が経っている債券
新初債券 新しく発行される債券
外貨建て債券 外貨で取引きする債券のこと(国内、外国のもの)
国内債券 国内で発行された債券のこと(円建て、外貨建て)
外国債券 海外で発行された債券のこと(円建て、外貨建て)
発行条件 利率、満期日、額面、購入価格などの債券の詳細を記載したもの
募集期間 その債券が購入できる期間のこと
償還日 満期になる期日のこと
残存期間 満期日までの残りの期間を表示したもの
発行体 その債券を発行もと(国家、企業、地方自治体など)
個人向け国債 個人向けに発行される国債のこと

だいたいの大まかな債券用語は以上のようになります。

金融機関や、発行体が公開している発行内容によっては、若干、言い回しが異なる場合もあります。債券の情報を調べる過程で、わからない用語が出てきた時に役に立つサイトをご紹介しておきます。

証券用語集:野村証券

債券の種類

それでは、続いて債券投資の用語を説明しながら、債券の種類をいくつかご紹介していきます。

国内債券の種類

国内で発行される債券のことを国内債券といいますが、発行体や通貨、金利のタイプなどによっていくつかの種類に分けられます。国内で発行された債券の中には外貨建てのものもあり、そのような債券が外国債として扱われる場合もあります。

  • 国債

国債は国が発行するもので、変動10年、固定5年、固定3年、などが代表的な債券になります。日本政府が発行体となるので、信用度も高く初めて債券を購入する人にはおすすめです。個人向けに発行される国債が個人向け国債で、他にも割引国債などが不定期で発行されます。

※国債について詳しく調べたい方は・・・

  • 地方債

都道府県がそれぞれの地域での財源を確保するために発行する債券で、公共事業の運営、教育、災害復興、防災設備などの運営に活用されています。例えば、向こう5年程は使う予定のない資金がある場合は、災害があった地域の5年ものの債券を購入すれば、地域の貢献にもなるし金利で稼ぐこともできるということです。

  • 普通社債

民間の企業が運営資金を調達するために発行する債券で、単に社債とも呼ばれています。社債は、各企業によって発行条件や発行されるペースも異なり、情報を入手するのが難しい点もありますが、株式のように高いリスクが生じないため人気のある債券の1つです。

社債について詳しく調べたい方は・・・

  • 転換社債

転換社債とはCBとも呼ばれる債券のことで、基本的なことは社債と変わりませんが、特定の条件のもとで株式に転換可能な債券のことを言います。株式に転換できる条件は、それぞれ発行体によって内容が異なりますが、例えば社債1,000円につき1株と交換できるものなどがあります。→(転換価格)

  • 早期償還債

繰り上げ償還債とも呼ばれるもので、満期日前に繰り上げて償還される債券のことを言います。発行体によって、全部または1部が早期償還されるものと、ある条件のもとでのみ早期償還されるものなど内容が変わってきます。

外国債権の種類

外国債権とは、発行体、発行される場所、通貨などが外国の債券のことを言います。

外国債権も、国内債券同様に国、自治体、企業など発行体によってわかれますが、通貨の取引き方法などによっていくつかに分類することができます。

  • 国内発行円貨建て債

国際機関や外国政府、法人が国内でで発行する債券で、購入、利払い、償還が円貨でされるもので、為替リスクの影響を受けないメリットがありますが、為替差益による利益が期待できないというデメリットにもなります。

  • 海外発行円建て債

海外で発行される債券ですが、円貨ですべて取引ができるものになります。同様に為替差益による影響を受けない外国債権です。

  • 単一通貨建て債券

各国の政府が発行する国債、外国大手企業の社債などがその国の通貨で発行する債券です。日本の企業などが社債を外国で発行するものも多くあり、国内ものよりも金利が高く為替差益による利益を狙うこともできます。

  • デュアルカレンシー債

購入時と利払いが同一通貨、償還は別の通貨で行われるものです。その時のそれぞれの通貨の為替レートが大きな影響を与えますが、逆にそれを利用して利益を狙っていく方法です。

  • リバースデュアルカレンシー債

利子のみを異なる通貨で受け取る債券になります。購入時、償還時は円貨、利子のみが米ドルなど様々な組み合わせのものがあります。

  • ゼロクーポン債

ゼロクーポン債とは、利子が全くつかない債券で償還差益による利益を狙うものになります。アメリカの超長期国債にはゼロクーポン債が多く、価格の変動も他の債券に比べると大きくなるのでタイミングを見て売買する方法です。

※クーポンとは金利のことです。

以上が大まかな国内債券と外国債権の種類になります。債券の中には、複雑な仕組みになっており初心者に判断することが難しいものもありますので、最初はシンプルな仕組みのものを選ぶといいでしょう。

外国債券に興味のある方は以下のサイトもご覧下さい・・・

債券の利率と利回り

債券の基本的なメリットは、預金よりも高い金利を得ることができる点にあり、利率が高いものを選びたくなるのは当然ですが、利率と利回りの関係を理解しておく必要があります。

では、債券の利率と利回りの違いをご説明します。

利率と利回りの違い

通常、債券の利率とは、定期的に支払われる金利の年率を表したものになります。年間に2回支払われるものが多くなりますが、年率で表記してあるので1回に支払われる金利はその半分だということです。

利率:2.00%の債券の場合、

10万円の債券であれば、金利は年間で2,000円。

100万円の債券は、金利は年間で2万円。ということになります。

債券の金利は、固定利付型と変動利付型と大きく2つにわかれます。

固定利付→額面に対して利率が設定してあるものになるので、支払われる金利が毎回同じ金額になります。ただ、外国債で外貨で支払われる場合は、円貨に換算した時に金利の価格は変動していくことになります。

変動利付→その時の債券の市場価格×利率になりますので、毎回の金利の金額は変動していきます。債券自体がその他の金融商品に比べると価格の変動が少ないため、それほど大きな損失になることはありませんが、債権の金額が大きくなればそれだけ差額も大きくなり、また外貨の場合は為替レートの影響を受けてしまいます。

利回りとは
利回りとは、投資金額(支払った金額、元本)に対して利息も含めて、年間にどれくらいの収益を出しているのがをパーセンテージで表したものです。

例えば、

額面金額100万円、利率3%、償還日まで5年間、購入価格が95万円の債券の利回りは・・・

金利が年間→3万円 3×5年間=15万円

額面金額(償還金額)100万円-95万円(購入価格)=5万円(償還差益)

5年間の収益は
5万円(償還差益)+ 15万円(5年間の金利)= 20万円

では、1年間の収益率はどうなるでしょうか・・・
20万円(5年間の収益合計)÷ 95万円(投資金額)×100
=4.21%

利回りは、4.21%ということになります。
(税金が差し引かれるので実質の利回りはこれより低くなります。)

※国内債券で、円貨建ての場合はこの計算通りになりますが、外貨建ての場合は為替差益がこれに加わりますので、その時の為替レートによって変動します。

以上のように、利率を確認した上でさらに利回りがどれくらいなのかを明確にすると、債券を購入する際の目安にすることができます。

利率→その債券の年間の利子率
利回り→投資金額に対する、その債券の年間の収益率

債券の発行条件や詳細には、利率にプラス利回りが表記されてあるものありますので、参考にしてみて下さい。

債券の格付け

それでは、最後に債券の格付けについてご説明したいと思います。

いくら債券がリスクの少ない安全な投資方法だとはいえ、発行体(国や企業)によっては債務不履行になってしまう可能性も考慮しなければなりません。

戦争や内戦などで国が壊滅したり、企業が倒産したりすれば、その発行体の債券は法的効力を失ってしまい、返済されるべき金額は戻ってこないことになります。

従って、それぞれの発行体の信用度が非常に重要になります。

その信用度の目安となるものが「格付け」と呼ばれるものです。

格付けとは

「格付け」とは「信用格付け」とも呼ばれるもので、金融商品、国、企業などの信用力をある一定の基準に基づいて評価したものになります。

それぞれの債券の発行条件や詳細には、この「格付け」の情報も一緒に記載されてあります。

格付け会社には、

  • ムーディーズ
  • S&P
  • フィッチ・レーティングス
  • 日本格付研究所(JCR)
  • 格付投資情報センター(R&I)

などがあります。

評価をするにあたっては、特に公的な指標はなく、各会社が独自の分析方法を用いて評価を行っており、その評価は格付け会社によって若干の差があります。

格付けの表記は、

アルファベットの大文字、小文字、数字、プラスマイナスなどが使われており、それぞれの格付け会社によって表記方法が異なり、基本的に大文字A→C,Dとランクは低くなっていきます。

表記方法はそれぞれ異なりますが、それぞれの表記の見方のポイントは、

A>B →共通してAが最も信用度が高い
AA>A →アルファベットの数が多いほど評価は高い
AAA>aaa →小文字は大文字よりも評価は低い
BB+>BB− →マイナスよりプラスが信用度が高い
Ba1>Ba2 →1,2,3の順に信用度が低くなる

ムーディーズの信用格付け表

以下は、ムーディーズの信用格付け表です。

Aaa 信用度は最高評価
Aa1 高い評価 レベル高
Aa2 高い評価 レベル中
Aa3 高い評価 レベル低
A1 中上位の信用度 レベル高
A2 中上位の信用度 レベル中
A3 中上位の信用度 レベル低
Baa1 中位の信用度 レベル高
Baa2 中位の信用度 レベル中
Baa3 中位の信用度 レベル低

という内容になります。ムーディーズの評価ではBaa以下のランク、Ba、B1、Caaなどはリスクが高いと判断されています。

債券の特徴として、発行体の信用度が低くなるほど利率は高くなる傾向にあります。

必ずしも格付け会社の評価が低いものは投資すべきでないといったわけではなく、実際にムーディーズが最高評価をつけていても倒産する企業が出たこともあります。

また、信用度が低く、リスクの高い商品はハイイールド債とも呼ばれており、あえてそのような債券を選ぶ投資家も少なくありません。安全性を重視するか、利率を重視するかによって選ぶ債券も異なります。

これらの格付け評価は、絶対的に100%正しいというわけではありませんが、債券を選ぶ際に参考にすることができます。

まとめ

例えば、預金口座に数年に渡って手をつけていないお金があれば、投資を考え始める人も多いと思います。投資に興味を持ち、いつか始めてみたいと気になりながらも、いざ始めるにあたってはそう簡単にはいきません。

まず、比較的安全だと言われる債券から始めようと思ったとしても、意味のわからない用語が続くと混乱してしまいます。

債券という言葉の響きから、何だか得体の知れない複雑な金融商品のようなイメージを与えてしまいますが、いくつかの債券用語さえ理解できるようになれば、至ってシンプルで安全な商品であることがわかります。

使わないお金をしばらく国や企業に貸しておいて利子を得る、そして期限がきたら全額返してもらう、これが債券投資の基本的な構造です。

元本がほぼ確実に保証される投資方法は、債権以外に見つけることはできません。預金だけではやはり金利が物足りないと思われる方は是非、この機会に債券投資を始めてみては如何でしょうか?

 

 

 

 

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