株主優待の制度と種類を知ってお得にゲットしよう!

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株主優待は日本特有の制度で、全上場企業の約3分の1が株主優待制度を導入しています 。個人投資家にも非常に人気があります。この記事では株主優待にはどんなメリット・デメリットがあるのか、そしておすすめの株主優待制度はどんなものがあるのかをご紹介していきます。

 

株主優待とは企業が株主に商品やサービスを提供するもの

株主優待とは企業が株主に向けてサービスや自社製品などを提供するものです。例えば商品券や食事券、割引券などをもらうことができます。 上場企業の約3割が株主優待を行っています。企業にとっては次の二つのメリットがあるので今後も株主優待制度は広がりを見せて行くでしょう。

企業にとって株主優待を行う2つのメリット

①安定株主を確保できる

企業が株主優待を行うメリットの1つは、長期で保有してくれる安定した株主を確保できるというのがあります。短期的な株価の値動きではなく、株主優待目的の個人投資家であれば長期間で安定して保有してくれるので、値動きが安定する効果があります。

②企業のファン(顧客)を増やせる

二つ目のメリットとしては、株主優待をきっかけに自社製品やサービスを利用してもらい、自社のファンになってもらえるというのがあります。

株主優待を受け取るには権利付き最終日に株式を保有

株主優待は、会社の決算月に株主だった投資家に送られます。決算は毎月あるので株主優待も毎月手に入れることができますが、日本企業は3月決算が多いので、3月末に株式を保有していると優待を手に入れることができます。

また、株主優待を受け取るには現物で株式を保有する必要があります。信用取引の買いでは株主優待を受け取ることはできません。

売買単位が100株単位でも最低株数が決まっている株主優待もあるので必ずチェックするようにしましょう。例えば、コロワイド(証券コード:7616)の株主優待は500株以上です。また、2年、3年など株式を長期保有するほど内容がグレードアップする優待もあります。

2016年7月末現在では全上場企業のおよそ3分の1に当たる1,327社が実施しています。株主優待は日本独自の制度で、海外では一般的ではありません。日本ではお中元やお歳暮などモノを送るという文化があるので、日本人に馴染みやすかったという背景があります。

株主優待を受け取るには、権利確定日に株式を保有してはいけなければいけません。そのためには、権利確定日の3営業日前である権利付最終日までに株券を買わなくてはいけませ次の図でご説明します。

出典 SBI証券

権利確定日が20日(金)だった場合、権利付最終日は3営業日前の17日(火)です。ですから株主優待を受け取るためには、17日(火)までに 株を購入しなければならないのです。

株主優待のメリット・デメリット

まずは、メリットを見ていきましょう。

株主優待のメリット

優待品を受け取れて、実質利回りが高くなる

企業の配当の他に優待がもらえるので、実質的な利回りが高くなります。また、自社の製品などで配当をだすよりも還元額を多くできます。

税金がかからない

株主優待は、原則非課税で確定申告不要です。ですから配当をもらうよりも税金分お得です。ただし、本来は株主優待も雑所得に入るので給与所得と退職所得以外の所得の合計が20万円を超えると確定申告の対象になります 。

株主優待のデメリット

株式の値下がりリスク

お得な株主優待ですが、株式を買っているということを忘れないようにしましょう。株価は下がることもあり、値下がりリスクがあります。そして、株主優待以上の損失が出る可能性があるのです。まずはしっかり財務内容や業績を確認して株価が大きく下落しない銘柄を選ぶようにしましょう。ただ人気が高い銘柄は、株価が下がってくると買いが入ってくるので買い支え要因の一つにはなります。

株主優待の変更・廃止

株主優待には安定株主が増えるなど企業側にもメリットがあるので、そう簡単になくなることはないものの、株主優待制度自体は企業の任意で行っているものであり義務ではありません。配当は株主総会の決議が必要ですが、株主優待制度自体は変更や終了が取締役会の決議で簡単に行うことができます。株主優待制度が変更や廃止になると株価が下落することも多いので要注意です。

それでは、おすすめの株主優待をご紹介します。

おすすめ株主優待

イオン(証券コード:8267)

権利確定月 2・8月

イオンは国内流通2強の一角で、総合スーパー(GMS)や食品スーパーを全国に展開しています。郊外にショッピングセンターを設立し、マイカルやヤオハンなどの M & A で成長しました。売上や利益も安定しており、配当や株主優待をもらいながら長期保有する銘柄として適しています。配当利回りは1.38%。株主優待と配当金がもらえるのでお得です。株価は2,700円前後最低単位の100株でも27万円前後です。

イオンでは株主優待としてイオンオーナーズカードをもらうことができます。

出典 イオン

これは持株数に応じて買い物した金額が半年ごとに返金される制度です。返金率は以下のようになります。

  • 100株以上  3%のキャッシュバック
  • 500株以上  4%のキャッシュバック
  • 1,000株以上  5%のキャッシュバック
  • 3,000株以上  7%のキャッシュバック

例えばイオン株500株を有していた場合、半年間で100万円の買いものをしたとすると

100万円 × 4% = 4万円

4万円が返金されます。

また、3年以上継続保有の株主(2月末)に対しては以下のようにギフトカードが進呈されます。

ギフトカード

  • 1,000株   2,000円分
  • 2,000株 4,000円分
  • 3,000株 6,000円分
  • 5,000株 7,000円分

保有株数や保有年数によって優待制度の内容がグレードアップするので、近くにイオンやマックスバリュなどあればイオンの株主優待は非常にお得な制度です。

日本マクドナルドホールディングス(証券コード:2702)

権利確定月 6月・12月

日本マクドナルドホールディングスは国内最大規模を誇る「マクドナルド」を中心とした飲食店を行なっている企業です。権利確定月は6月と12月で食事優待券(ハンバーガー類、サイドメニュー、ドリンクの商品引換券が6枚ずつで一冊)を年2回もらえます。

出典 日本マクドナルドホールディングス

  • 100株以上 優待食事券1冊
  • 300株以上 優待食事券3冊
  • 500株以上 優待食事券5冊

商品引換券1枚でセットメニューを注文できる 他、ハンバーガーだけ、ドリンクだけを注文する時などは商品引換券を切り離して一枚ずつ利用することも可能です。

ハンバーガーは全ての種類のドリンクSから L まで選択することができます。またシート一枚でハッピーセット(おもちゃなどのセット商品)との交換も可能です。

マクドナルドを利用する方に人気が高い株主優待の一つです。

ビックカメラ(証券コード:3048)

権利確定月 2月・8月

ヨドバシカメラに並ぶ家電量販店大手です。ソフマップに加え2012年にコジマを傘下にしています。駅前に大型の店舗を構えていますし、ネットでも株主優待を使うことができるので人気が高い株主優待銘柄です。株価は1,500円前後なので、100株で15万円前後の買付金額になります。

お買い物券(1000円相当)が年2回株主優待としてもらえます。

 

出典 ビックカメラ

 

2月の株主

 

  • 100株以上      2,000円相当
  • 500株以上      3,000円相当
  • 1,000株以上   5,000円相当
  • 10,000株以上 25,000円相当

 

8月の株主

 

  • 100株以上      1,000円相当
  • 500株以上      2,000円相当
  • 1,000株以上   5,000円相当
  • 10,000株以上 25,000円相当

 

★継続保有1年以上100株・・・1,000円相当追加

継続保有2年以上100株・・・2,000円相当追加

 

8月末に関しては株数だけでなく、継続保有でお買い物券の金額がアップします。

 

オリエンタルランド(証券コード:4661)

権利確定月 3月・9月

株価 11,365円

皆さんご存知のディズニーランド・ディズニーシーを運営しているのがオリエンタルランドです。 人気が高い株主優待銘柄ですが、株価が1万円を超えてきているので、買付金額が高いというのが難点です。

ディズニーランド・ディズニーシーの1日パスポート券が株主優待としてもらえます

 

出典 ディズニーリゾート

 

3月末

  • 100株   1枚
  • 400株   1枚
  • 800株   2枚
  • 1,200株 3枚
  • 2,000株 5枚
  • 2,400株 6枚

 

9月末

  • 400株   1枚
  • 800株   2枚
  • 1,200株 3枚
  • 2,000株 5枚
  • 2,400株 6枚

 

★100株は3月末のみ

 

コロワイド (証券コード:7616)

権利確定月 3月・9月

コロワイドは外食大手です。全国各地で居酒屋「甘太郎」「いろはにほへと」屋焼肉屋「牛角」回転寿司の「かっぱ寿司」 などを展開しています。

単元株数は100株ですが、株主優待をもらうには500株以上を保有する必要があります。

500株  1万円相当

9月の株主には12月と翌年3月に株主優待が発行されます。3月の株主には6月と9月に株主優待が発行されます。つまり年4回、1万円相当の株主優待がもらえるので非常にお得です。

 

ANA(証券コード:9202)

権利確定月3月・9月

国内線・国際線共に首位です。日本では JAL と並ぶ航空大手。航空運賃が50%割引になる株主優待が人気です。

ANA 国内線ご搭乗優待

 

ANA 国内全路線の片道一区間が大人、小児(3歳~11歳)ともに株主優待割引運賃でご利用になります。

 

  • 100株 1枚
  • 200株 2枚
  • 300株 3枚
  • 400株 4枚(400株以降は+200株ことに1枚増加)
  • 1000株 7枚(1000株以降はプラス400株ごとに一枚増加)
  • 10万株 254枚(10万株以降は800株ごとに一枚増加)

出典 ANA

 

株主優待をお得に取得する裏ワザ

株主優待の権利を得るためには、権利付き最終日に株式を保有していなければなりません。ただ人気のある優待銘柄は、権利付き最終日にかけて株価が上昇する傾向があります。そして権利落ち日以降に株価が株主優待や配当でもらえる金額以上に下落してしまうこともあります。

実は株価に影響を受けることなく株主優待を得る手段があります。

それは現物株の買いと信用取引の売りを合わせた「つなぎ売り」です。

信用取引には制度信用取引と一般信用取引があります 。制度信用取引とは証券取引所が定めた銘柄で返済期限は6ヶ月と決まっているものの金利は低めになっています一般信用取引は証券会社が定めた銘柄で、金利は高めになっています。つなぎ売り一般信用取引がおすすめです。それは次のようなコストがかかるのですがその中でも「逆日歩」が最も大きなコストになるからです。詳しく解説させていただきます。

 

つなぎ売りには4つのコストがかかります

 

売買手数料

現物買いと信用売りの売買手数料が発生します。

 

貸株料

貸株料とは証券会社から株券を借りて信用取引の売りをするので、借りた日数分の金利がかかるということです。

信用と現物の配当金の差額

信用取引の売りでは配当相当額を信用取引の買い方に支払わなければなりません。しかし、現物の買いを組み合わせて配当金を受け取れるので、差引ゼロになり、実質的な負担はありません。つまり、株主優待は手に入れることができますが、配当金はもらえないので注意しましょう。

 

逆日歩(制度信用のみ)

制度信用取引では株券が不足すると追加のレンタル料がかかります。これが逆日歩です。人気のある優待銘柄などでは信用利をするための株券が不足しがちで、逆日歩がかかることがあります。株主優待以上にコストがかかる可能性があるので要注意です。ただし一般信用取引ではこの逆日歩がかかりません。ですから、つなぎ売りをする場合は「一般信用取引」を利用するようにしましょう。

それでは具体的にどうすればいいのか見ていきましょう。

まずは優待銘柄を取引所の寄付(9:00)前に現物の買いと一般信用の売りを成行で出しておきます。必ず同じ株数で注文するようにしましょう。

出典 SBI証券

 

そうすると同じ値段で約定するので 、損失が出ることはありません。

出典 SBI証券

 

そして、権利付最終日まで株券を保有します。そうすると株主優待の権利をゲットすることができます。

出典 SBI証券

 

最後に現物株を現渡して終了です。現渡とは信用取引の売り建玉を保有株の返却で手じまうことです。現渡をすれば売買手数料がかからないので、リスクを軽減させることができます。

出典 SBI証券

 

つなぎ売りができる!おすすめ証券会社

 

それではつなぎ売りができるおすすめ証券会社を3社ご紹介します

証券会社を選ぶ際にまず大事なことは、一般信用銘柄の売りができる銘柄数が多いかどうかです。自分が欲しい株主優待で一般信用売りができる証券会社を選ぶ必要があります。また短期間とはいえ貸株料(空売りのコスト)が かかるのでその金利にも要注意です。

つなぎ売りに使える一般信用取引には長期(無期限)と短期(2週間前後)の2種類があります。期間や金利は証券会社によって異なりますので要確認です。

また銘柄数も時期によって大幅に変わりますので、必ずチェックするようにしましょう。それでは、証券会社の特徴をそれぞれ見ていきましょう。

カブドットコム証券

カブドット証券では現在一般信用できる銘柄が2,000銘柄前後あります(2018年10月現在)銘柄数は上下変動するもののネット証券の中ではダントツで銘柄数が多いので、つなぎ売りをする場合には必須の証券会社です。

貸株料は長期銘柄(3年)1.5%、短期銘柄(14日)3.9%となっています。

松井証券

松井証券では長期銘柄(無期限)のみですが、1,000銘柄近く一般信用取引ができます。貸株料は2.00%となっています。

SBI 証券

ネット証券最大手の SBI 証券 。一般信用売りは500銘柄前後となっています。長期(無期限)では貸株料が2%、短期(15日)では3.9%となっています。

証券会社ごとに一般信用ができる銘柄は異なるので、複数の証券口座を開いておくことをおすすめします。

まとめ

 

株主優待の制度と仕組みをご案内してきました。 企業にとってのメリット、そして株主にとってのメリット・デメリットがそれぞれありました。現在は全上場企業の3分の1が株主優待を行っています。今後も人気が衰えることはないでしょう。そして一般信用のつなぎ売りによる株主優待を低リスクで手に入れる方法も紹介してきました。ただし、これは投資家にとってはメリットですが、企業側にとってはデメリットになります。ですから最近では長期保有で株主優待の内容を変える、もしくは複数単元や保有期間を長く持たないと株主優待自体がもらえないといった企業もあります。株主優待制度自体の変更の可能性があるので、株主優待を狙う時は必ずその内容を確認するようにしましょう 。

 

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