Apple株が上昇し続ける訳は何?Appleから見る米IT関連株の株価が強い理由

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上昇を続けるApple株、なぜ強い?

資産運用を行っている方の中に、株式投資の神様と言われるウォーレン・バフェットが、アップル株を保有している・買い増ししているというニュースを聞いた事がある方も少なくないはずです。

ウォーレン・バフェットはこれまで、自分の理解できないようなビジネスには投資をしないという姿勢が広く知られており、数々のIT企業が上昇したドットコムバブルの際にもIT関連銘柄には投資を行いませんでした。

しかし、近年IBM(既に全て売却しましたが)への投資をきっかけに、IT関連銘柄への投資を行っています。その中でも、2018年の8月には時価総額「1兆ドル(約110兆円)」を世界で始めて達成したAppleへの投資を多く行っています。

バリュー投資を行っているウォーレン・バフェットが、時価総額1位のApple株へ投資を行うのは少し違和感を感じますが、それほどAppleに大きな可能性を感じたという事なのでしょう。この記事では、そんなAppleの株価が上昇を続ける理由、アメリカとIT、アメリカのIT関連銘柄は買いなのか?などの点についてご紹介していきたいと思います。

まず、はじめに「Appleが上昇を続ける理由」について詳しくご紹介していきます。

元々は倒産寸前だった

現在では時価総額1位という地位を築いており、Appleの製品を持っていなかったとしても「Apple」という企業について知らない人は殆どいないと言えます。現状からは想像も出来ませんが、元々Appleは「倒産寸前」でした。

Appleと切っても切り離せない人物に「スティーブ・ジョブズ」が挙げられます。スティーブ・ジョブズは、スティーブ・ウォズニアックと共にAppleを創業し、数年間でAppleを大企業へと成長させました。

しかし、反感を買いやすいような人柄、利益・コストを度外視したコンピューターの開発によって取締役会との関係も悪くなり(Macintosh失敗が大きかった)、スティーブ・ジョブズは解雇されてしまいました。

その後、Appleは低迷の一途を辿りました。このあたりの経緯や詳細について「誰がAppleを倒産寸前にした?」という点については様々な意見がありますが、1つ分かるのはスティーブ・ジョブズというカリスマを失ってしまって、Appleは弱体化してしまったのです。

しかし、Appleは1997年にスティーブ・ジョブズを呼び戻します。その後、スティーブ・ジョブズ率いるAppleは「think diffrent」という印象深い言葉を用いた広告のキャンペーンを行い、新たなMacintosh、ipodなどを世に輩出しました。

スティーブ・ジョブズの根底にある考え方として「優秀な製品に集中させる事が重要」だと言う考え方がありました。そのため、AppleのCEOに返り咲いたスティーブ・ジョブズは、復帰当時Appleが抱えていた多種多様な製品ラインナップの大部分を削減し、労力を一転集中させました。

中には失敗作品も確認出来ますが、その考え方は優秀な製品を生み出す事に繋がっていきます。特にiPodは大ヒットし、倒産寸前だったAppleをまたITの巨人に復活させた存在になったと言えるでしょう。

スティーブ・ジョブズが残した最大の財産

スティーブ・ジョブズが残した最も大きな財産は「iPhone」だと言えます。iPhoneの発売当初からスマートフォン自体は存在していました。しかし、その当時存在していたスマートフォンのほとんどがたくさんのボタンが付いており、一般の方とっては使いにくい「コンピューターに詳しい特殊な人」だけが使うものでした。

しかし、iPhoneの場合は「タッチパネル」を搭載し、優れたUIによってコンピューターに詳しくない人でも簡単に触れるものになっており、iphoneは発売当初から大きな売上を記録しました。そのため、iphoneが世にスマートフォンを広げ、人々の生活を大きく変えた製品になったと言えるでしょう。

このiPhoneは現在もAppleの中で、売上の6割以上を占めており現在でもAppleが時価総額1位になるほどの企業になった要因だと言えます。

今回は、このiphoneを中心的にapple株が上昇を続ける要因である

  • iPhoneと関連サービス
  • ブランド力

についてご紹介したいと思います。

Apple株が上昇を続ける要因1「iPhoneと関連サービス」

iPhoneの売上は、現在Apple全体の半数以上であり大きな収益を挙げている製品です。また、同時に大きな利益率を誇っている製品だと言えるでしょう。

iPhoneは競争する必要性がない

通常、競合他社が出てくると「価格の下落」が発生します。最も分かりやすい例は同じスマートフォンOSである「Android端末」における市場でしょう。Android市場では、たくさんの企業がAndroid端末を販売しており、中には「1万円」というiPhone xの10分の1程度で購入出来る製品も確認出来ます。

iPhoneがスマートフォンを広げ、代表的なスマートフォンという点に関しては否定する事は出来ません。ただ、一般的に競合他社が入ってくると価格競争が行われて、価格が下がっていく事が一般的です。

しかし、AppleのiPhoneは競合他社の登場によって安売りされる事はありません。むしろ、近年高くなっていると言えます。これはOSをオープンソース化しているAndroidとは対照的に、「ios」というAppleの独自OSをAppleが他社に公開しておらず「iosを使うならiPhoneだけ」というポイントが大きく影響していると言えます。

つまり、iosが使いやすい・慣れ親しんでいるという方にとっては、AppleのiPhoneを購入するという以外の選択肢はありません。そのため、Appleは競争によってiPhoneの価格を下げる必要がなく、高い利益率を維持した状態で、iPhoneを販売する事が出来るのです。

関連サービスからも大きな収益

また、高い利益率のみがAppleの株価上昇にポジティブな影響を与えている訳ではありません。そのほかにも「関連サービス」が挙げられます。iPhoneを購入した人がAppleの売上に貢献しているのは、端末代金のみではありません。

アプリをダウンロードしようとすると「App Store」の利用が必要になりますし、iPhoneで音楽・映画などの娯楽を楽しむために「Apple Music」「iTunes」などのサービスを利用する方も少なくないはずです。

App Storeからダウンロードしたアプリで課金すればAppleに手数料が入りますし、Apple Musicなどのストリーミングサービスを使用すれば、その料金はAppleの懐に入ります。

つまり「iPhoneの利用者がiPhoneを利用すればするほど、Appleは儲かる」という事なのです。そのため、重要なのはiPhone端末が売れる事だけではありません。iPhoneが使われる事によってAppleに齎される「長期的な利益」も、Appleの大きな収益源の1つになっているのです。

Apple株が上昇を続ける要因2「ブランド力」

コンピューターを持っている事で「ステータス」になるのはAppleの製品くらいだと言えます。東南アジア、アフリカなどに訪問した事がある方は、経験した事があるかもしれません。「iPhoneを持っているだけでステータスになる」という現象です。

もちろん、日本でもiPhoneを持っていると、ケース・周辺機器などのアクセサリーでファッションの一部としてiPhoneを用いて一種の自己主張する事は可能です。しかし、発展途上国でiPhoneを持っているのとでは事情が少し違います。

iPhoneを持っていることで、憧れの目で見られる事が少なくないです。それは、まるで「ROLEX」などの高級時計を日本人が憧れの目で見るような感覚です。

また、現在は変化見られるようですが、一時では中国でもそのような現象が起こっていたようです。経済成長によって沢山の人がiPhoneを持つようになったため、現在その傾向は弱まっていますが「iPhone = お金持ち」というイメージが出来ていたようです。

その国の経済状況によっても変化しますが、1つ確かなのはこれほど大きなブランド力を持っているIT企業はこれまでにはないという事だと思います。AppleはこれまでのIT企業には見られない「アパレル・ブランド」に似たような価値を持っている稀な企業です。

そして、そのブランド力によって「Appleの製品は優秀」というイメージが広がっていると言えます。もちろん、Appleの製品の好き嫌いは人それぞれですが、Appleの大きなブランド力が売上に繋がり、株価を上げる要因の1つになっていると言えるでしょう。

時価総額上位5位は全てアメリカの企業?

先程、Appleの株価が上昇し続けている理由についてご紹介させて頂きました。しかし、アメリカのIT関連銘柄にはAppleに限らず、時価総額の観点から見た時に世界的にも大きな企業が沢山あります。

もしも、AppleのようなIT関連銘柄に興味があるなら、他の銘柄についてもしっかりとチェックしておいた方が、投資機会が増える可能性が高くなります。なので、これからAppleを含めた時価総額ランキングと、その順位の要因などについてご紹介していきたいと思います。

時価総額ランキングTOP5

現在、大きな規模を持っているほとんどの企業の株式は、上場しており株式取引を行う事が可能です。そのため、会社の規模や可能性を測る上で「時価総額」というのは、1つの目安として重要視されています。

そもそも、時価総額というのは「株価×発行株式数」で求める事が可能であり、大きな企業のほとんどが株式市場で取引出来るため、株式の全体の価値=会社の価値という認識する事が可能なのです。

つまり、時価総額を知る事で「企業規模」「企業全体としての価値」をチェックする事が出来るのです。世界時価総額ランキングは以下のようになっています。

  • 第1位 Apple(約1兆ドル)
  • 第2位 Amazon(約9,700億ドル)
  • 第3位 Microsoft(約8,700億ドル)
  • 第4位 Alphabet (8,300億ドル)
  • 第5位 バークシャー・ハサウェイ(5,200億ドル)

(Alphabetとは、Googleの親会社です。)

上記の表を見て気付いた方も多いかもしれませんが、全て「アメリカの企業」であり、バークシャー・ハサウェイを除く上位4位までは「IT企業」です。

なぜ、時価総額上位にIT企業が多いの?

時価総額上位を、アメリカのIT企業が独占している理由については、いくつか考えられますが

  • 成長産業である
  • アメリカの得意分野

という点が挙げられると思います。

IT関連事業は成長産業

既に、IT関連の技術は人々の生活に浸透しきっているように感じられますが、基本的にIT関連事業はこれからも成長産業であると言われています。例えば、AIだったりIoTだったりが、ITの中でもこれから伸びるかも知れない産業として挙げられるでしょう。

株式の時価総額というのは、今の利益という点も重要視されますが、特にIT関連銘柄に関しては「これからの可能性」というのも時価総額に大きく影響します。

最近黒字化しましたが、Twitterも上場当時は赤字であり、上場してからも長期間「赤字」状態が続いていたのです。それでも、Twitterの時価総額は日本のどんなIT企業よりも高い時価総額をキープしています。

時価総額トップ5に入っているIT企業は、どの企業も大きな利益を挙げています。しかし、それと同じくらいこれからの成長に期待されており、その点が時価総額に反映されていると言えるでしょう。

ITはアメリカの得意分野

もしも、ITが成長産業であるという点だけで時価総額が押し上げられるなら、日本のIT企業も日本の時価総額ランキングで上位に入っているはずです。しかし、日本の時価総額ランキングは

  • 第1位 トヨタ (約22兆円)
  • 第2位 ソフトバンク (約12兆円)
  • 第3位 NTTドコモ (約11兆円)
  • 第4位 三菱UFJ(約10兆円)
  • 第5位 NTT(約9兆円)

となっています。主に、携帯の通信事業を行っている会社がランクインしており、その中でもソフトバンクはインターネット事業を積極的に行っているので、IT企業というイメージに近い企業だと言えます。

しかし、そのソフトバンクでも「12兆円」であり、アメリカのトップIT企業の時価総額と比較した時に低く感じてしまう規模だと言えます。

では、なぜ「アメリカのIT企業」の時価総額だけがトップ5を独占しているのでしょうか?それは、ITがアメリカの得意産業であるという点が大きな要素になっています。理由の1つとして、IT企業の中心地であるシリコンバレーはアメリカに存在していますし、そこで投資を受ける事で効率的に成長出来る環境があることなどが挙げられます。

また「英語圏」であるという点も大きいでしょう。日本の有名なIT企業が海外進出をしても、数年で撤退・規模を縮小するのはよくある事です。しかし、アメリカのような英語圏であれば世界に向けて効率的に開発したサービスを展開する事が出来ます。

そのため、アメリカのIT企業が何かするのと、日本のIT企業が何かするのでは「市場規模が全く違う」という点が、時価総額に大きく影響しています。

英語圏・得意分野・成長産業であるという3点が重なっているからこそ、アメリカのIT企業の時価総額は大きいと言えるでしょう。

アメリカのIT関連株は買いなのか?

最後に、投資家が最も気になる「アメリカのIT関連株は買いなのか?」という点についてご紹介していきたいと思います。

長期的なスパンで考える

アメリカのIT関連株は買いなのか?という凄く抽象的な話なので、各銘柄についてのご紹介ではなく、これからのIT産業の動向について解説していきたいと思います。

世界のオンライン人口やモバイル普及率などの統計データを発表している「We Are Social」のデータによると

出典:We Are Social

世界のオンライン人口は「53%」のようです。つまり、世界の半分以上の人がインターネットに繋がっているという事です。このデータを見てどのように感じるか?は人それぞれですが、1つ分かることは「まだ、半分近い市場規模がある」という事です。

現在、GoogleやFacebook等の企業では、世界のオンライン人口を増やすために様々な取り組みを行っており、これから世界的に人口の増加も予想されているので、これからもっと「IT関連の市場規模は大きくなる」と予想する事が出来ます。

そのため、現在時価総額上位にいるような企業がもっと大きな規模を持つ事は十分に考えられますし、これからもIT関連産業が成長していく事についても可能性が高いと言えるでしょう。また、ITはアメリカの得意分野であるという点も考慮するべきです。

そのような点を踏まえると「失敗しにくい投資対象」であると言えます。市場規模が大きくなればなるほど、必然的にその市場で事業を行っている企業は成長しやすいので、企業価値を成長しやすい状況にあるという見方が出来ます。

ただ、割高に感じている意見も少なくないので、買い時については検討の余地がありだと言えるでしょう。

まとめ

Apple株が上昇を続ける理由

  • 元は倒産寸前
  • iPhoneが未だに大きな収益源
  • iPhoneが利用されれば、されるほど利益が発生する
  • 高いブランド力

なぜ、アメリカのIT企業は巨大なのか

  • 英語圏なので、世界に展開させやすい
  • 成長産業である
  • アメリカの得意分野である点

アメリカのIT関連銘柄は買いなのか?

  • 長期的なスパンで考えた時に、まだまだIT企業に成長の余地はある

この記事では、Apple株が強い理由、アメリカとIT企業、アメリカのIT関連銘柄は買いなのか?という点についてご紹介させて頂きました。

アメリカの株式市場は、長期的な観点から見た時に緩やかに・着実に成長しています。そのため、IT関連銘柄に限らず株式の「長期投資をする」という点においては、魅力的な市場だと言えるでしょう。

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