確定申告が初めてでわからない人必見!サラリーマンの副業や個人事業主のやり方・必要なものを解説!

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「今年、住宅ローンを組んだので会社から確定申告したほうが良いよと言われた。でも何から始めたらよいのかさっぱり…。

「サラリーマンをしながら副業をしているけど、確定申告って必要なの?」

「今年から独立して自営で仕事を始めたけど、確定申告の仕方がよくわからない。税金を納めていないと税務調査が来るらしいけど、どうしたらいいの?」

などなど、確定申告について疑問や不安がある方は少なくないでしょう。

この記事では、確定申告をするのが初めてという人向けに、基本的に計算方法や申告手続きの注意点について説明しますので参考にしてみてください。

確定申告が初めての方へ!基本的な税金計算の仕組みを理解しよう

確定申告では、所得税という種類の税金の計算を行いますので、以下では所得税の基本的な計算方法について理解しておきましょう。

所得税の計算は、次の計算式で行います。

所得税=(1.所得の金額-2.所得控除)×3.税率-4.税額控除

具体的な例で考えたほうがわかりやすいと思いますので、次のような状況の人の所得税の負担額を考えましょう。

  • 職業=自営業の八百屋さん
  • 今年の収入総額=1000万円
  • 今年の経費総額=850万円
  • 所得控除の総額=100万円(意味は後で説明します)
  • 税額控除の金額=0円

上の条件を所得税計算の計算式に当てはめると、以下のようになります。

  • 1.所得の金額=1000万円-850万円=150万円
  • 2.所得控除=100万円
  • 3.税率=5%
  • 4.税額控除=0円

よって、この人の所得税の金額は以下のように計算できます。

所得税=(150万円-100万円)×5%-0円=2万5000円

上の計算式ではむずかしい言葉が並んでいる印象があると思いますが、次の1.~4.のそれぞれの意味を理解しておけばそれほど難しいことではありません。

  1. 所得の金額
  2. 所得控除
  3. 税率
  4. 税額控除

以下ではそれぞれの言葉の意味についてわかりやすく説明します。

1.所得の金額

所得の金額とは、収入から経費を差し引きした金額のことをいいます。

例えば、八百屋さんが野菜を100円で仕入れて150円で売ったとしたら、収入150円-経費100円=所得50円と計算できます。

税金を安くするにはどうしたらいいか?という視点から言うと、税金計算に含める収入をいかに小さくして、経費をいかに大きくするかということを考える必要があります。

サラリーマンの人の所得の金額

自分で事業をされている人(個人事業主)であれば基本的に上の考え方で問題ありませんが、サラリーマンとして勤務先からお給料を受け取っている人の場合は少し考え方が違います。

収入については、勤務先からあなたの銀行口座に振り込まれる「手取り」の金額ではなく、給与明細に記載されている「支払金額」の金額があなたの収入額です。

実際に振り込まれる手取り金額は、支払金額から源泉所得税や社会保険料を差し引きした金額になりますので、所得税の計算を行う際には、これらが差し引かれる前の金額を見る必要があるのです。

サラリーマンの経費=給与所得控除

また、経費についても事業主の人とは考え方が少し違います。

ごく簡単にいうと、サラリーマンの人は経費の金額が収入額に応じて法律で決まっているのです(これを「給与所得控除」と呼びます)

具体的には、次の表のように「収入」の金額から「経費=給与所得控除」の金額を計算することになります。

収入の金額 給与所得控除額
180万円以下 収入金額×40%(最低65万円)
180万円~360万円 収入金額×30%+18万円
360万円~660万円 収入金額×20%+54万円
660万円~1000万円 収入金額×10%+120万円
1000万円以上 220万円(一定)

例えば、収入額が500万円の人であれば、給与所得控除の金額と、所得の金額は以下のように計算できます。

  • 収入額=500万円
  • 給与所得控除額=500万円×20%+54万円=154万円
  • 所得の金額=500万円-154万円=346万円

2.所得控除

所得の意味について理解ができたら、次は所得控除の意味について理解しておきましょう。

↓なお、所得税の計算式を再度確認すると以下になります。

所得税=(1.所得の金額-2.所得控除)×3.税率-4.税額控除

※すでに1.の所得の金額まで説明が終わりましたので、以下では2.の所得控除について説明します。

所得控除とは、ごく簡単にいうと「税金を納めるその人の事情に合わせて、所得の金額から差し引きしてもらえる金額」のことをいいます。

例えば、年収がまったく同じ500万円の人だったとしても、独身で一人暮らしの人と、専業主婦の奥さんと子供3人を養わないといけない人とでは、税金を納める上での負担感はまったく違います。

このような違いがあるのにまったく同じ税金の負担額としてしまうと不公平感が生じますので、その差をうめるために「税金を納めるのが大変な事情がある人は、その内容に応じて所得の金額を小さくしてあげる=税金を安くしてあげる」というように国がルールをつくっているわけです。

所得控除が認められる具体的なケース

所得控除=「税金を納めるその人の事情に合わせて、所得の金額から差し引きしてもらえる金額」と説明しましたが、具体的には次のような事情がある人は、所得から一定額を差し引きしてもらうことができます(利用頻度が多いものだけ抜粋して紹介しています)

基礎控除

納税するすべての人に適用されます。

控除額は38万円です。

配偶者控除

専業主婦(専業主夫)の配偶者がいる人に適用されます(配偶者の所得が一定額以下であることが条件です)

控除額は38万円です。

扶養控除

16歳以上の家族を扶養している人に適用されます。

16歳未満の扶養親族については人数に含めないので注意してください(児童手当の制度ができる以前と以降ではルールが変わっているので注意しましょう)

扶養控除は、扶養親族一人につき38万円が控除されます。

例えば、19歳の長男・18歳の次男・17歳の三男の3名を扶養しているという人は、38万円×3人=114万円が所得から控除してもらえます。

医療費控除

医療費を多く支払っている人は、病院等に支払った金額の一部を医療費控除として所得から差し引きしてもらうことができます。

医療費控除の金額は以下の計算式で計算します。

年間で支払った医療費総額-受け取った保険金-10万円の金額

例えば、年間で医療費を50万円支払い、保険会社から30万円を保険金として受け取ったという人の場合、医療費控除額は以下のようになります。

医療費控除=50万円-30万円-10万円=10万円

なお、医療費控除に含めることができるのは病気療養のための支出に限りますので、たとえば美容整形などのために支払ったお金は医療費控除に含めることができない点に注意が必要です。

社会保険料控除

国民健康保険料や、国民年金の支払額は、その支払額全額を社会保険料控除として所得から差し引きしてもらえます。

例えば、毎月2万円の国民年金を12か月支払った人の場合、社会保険料は24万円(2万円×12か月)ということになります。

これらの社会保険料は「いつの年度の分を支払ったか」を関係なく、支払ったその年の分の所得から控除してもらうことが可能です。

例えば、2018年度に滞納していた過去の社会保険料(例えば2017年分の社会保険料)を支払ったという場合には、その滞納分の支払額も2018年の所得控除として扱います。

生命保険料控除

生命保険会社の保険に加入している人は、その保険の種類に応じて、支払った保険料の一定額を所得控除として扱ってもらうことができます。

所得税の計算上、生命保険会社の保険は次の3つに分類され、それぞれの合計額を所得控除として計算します。

  • 一般の生命保険料:最高4万円
  • 介護医療の生命保険料:最高4万円
  • 個人年金の生命保険料:最高4万円

上の3つの種類の生命保険すべてに加入しているという人の場合、最大12万円(4万円×3件)の生命保険料控除を適用してもらうことが可能です。

地震保険料控除

損害保険会社の地震保険に加入している人は、地震保険料控除として保険料の支払額を所得控除として扱ってもらえます。

損害保険料控除の金額は、5万円以下の場合は支払額全額、5万円を超える場合には5万円となります(上限額が5万円)

寄付金控除

国や都道府県、市区町村などの公的組織にお金を寄付した場合、寄付金控除として所得控除が認められます。

寄付金控除の金額は、次のどちらかのうち「少ないほうの金額」で計算します。

  • 寄付金額-2000円
  • 総所得金額×40%-2000円

なお、総所得金額というのはその人の所得のトータルという意味で、例えばサラリーマンで副業もやっているという人の場合、給与所得と事業所得の合計額が総所得金額ということになります。

なお、最近話題のふるさと納税は地方税の計算にかかわることなので、所得税計算でいう寄付金控除とは分けて考える必要があります。

青色申告特別控除

自営業として事業をしている人は、一定の条件のもとに所得から青色申告特別控除(65万円)を差し引きしてもらえます。

上の「一定の条件」というのは、ごく簡単にいうと次の3つです。

  • 会計ソフトなどを使って記帳を行っていること
  • 年度の初めに税務署に対して「青色申告の承認申請書」を提出済みであること
  • 期限までに確定申告をすること

3.税率

1.所得の金額と2.所得控除の金額がわかったら、1.から2.を差し引きした金額に対して所得税の税率をかけ算します。

※計算式を再度確認すると以下の通りです。ここまで1.と2.について説明済です。

所得税=(1.所得の金額-2.所得控除)×3.税率-4.税額控除

所得税の税率は、「所得が多い人ほど税率が高くなる」という仕組みになっていることに注意しましょう(このようなルールを累進課税と呼びます)

所得税の税率は、所得の金額から所得控除を差し引きした金額に応じて、以下のように法律で決まっています。

「所得の金額-所得控除」の金額 税率 控除額
195万円 5% 0円
195万円~330万円 10% 9万7500円
330万円~695万円 20% 42万7500円
695万円~900万円 23% 63万6000円
900万円~1,800万円 33% 153万6000円
1,800万円~4,000万円 40% 279万6000円
4,000万円超 45% 479万6000円

「控除額」という言葉が使われているのでややこしいのですが、ここでいう「控除額」というのはあくまでも税率を計算するための考え方です。

なので、ここでいう「控除額」は単純に「税率をかけ算した後に、引き算する金額」と考えていただけば問題ありません。

所得控除や税額控除といったときの「控除」とは意味が違いますので注意しましょう。

4.税額控除

税額控除は、一定の事情がある場合に、1.~3.で計算した所得税の金額から、一定額を差し引きしてもらえるルールのことをいいます。

所得控除とよく似ていますが、所得控除の金額は、計算上「一定額×税率」の金額になるのに対して、税額控除は「一定額そのまま」が差し引かれるという点で異なります。

必然的に税金を安くする効果としては税額控除の方が大きくなることが多いですので、税額控除を適用できる場合には、必ず計算に含めるようにしていたいところです。

税額控除としては住宅ローンを組んだときに適用してもらえる住宅ローン控除がもっとも利用頻度が高いでしょう。

住宅ローン控除の金額は、ごく簡単に説明すると「年末現在の住宅ローンの残高×1%」で計算できます。

例えば、年末の段階で3000万円の住宅ローンが残っている人の場合、3000万円×1%=30万円を税額控除として適用してもらえます。

上でも見たように、税額控除は「所得税の金額からそのまま差し引く」というものですから、この人の税額控除前の所得税の金額が30万円未満であれば、その年の所得税は0円ということになります。

サラリーマンの副業で確定申告する場合

サラリーマンの方が副業で収入を得ているという場合、副業の収入額が年間20万円を超える場合には、確定申告を行う義務があります。

この場合には、サラリーマンとして受け取っている収入は給与所得として、副業で得ている収入は事業所得として申告を行うのが一般的です。

副業について開業届を税務署に出していない場合は「雑所得」として申告しますが、事業所得として申告する場合に比べると税金の負担が大きくなってしまいますから注意しましょう。

給与所得と事業所得の所得の計算方法はそれぞれ以下の通りです。

  • 給与所得=収入-給与所得控除
  • 事業所得=収入-経費

これら2つの所得を合算したら、後は所得税(※すでに何度か見ていますが下で再掲します)の計算式に当てはめて計算を行えば問題ありません。

所得税=(1.所得の金額-2.所得控除)×3.税率-4.税額控除

なお、副業の事業については青色申告特別控除(所得控除として65万円)を利用することができますから、税務署に開業届を出すときには「青色申告の承認申請書」も必ず提出しておきましょう。

副業の収入を事業所得ではなく雑所得として申告する場合には、税務署への開業届の提出は必要ありませんが、青色申告特別控除を認めてもらうことができません。

確定申告するために必要なもの

サラリーマンの副業で確定申告を行う際には、以下のような書類が必要になります。

  • 勤務先が発行している源泉徴収票
  • 事業所得の計算に含めた収入や経費を証明する書類(レシートや請求書など)

なお、所得控除に関連する書類は勤務先で年末調整をしてもらうときに提出済みだと思いますので、確定申告の際には添付する必要はありません(源泉徴収票の内容にすでに含まれています)

勤務先に副業を知られたくない場合

サラリーマンをしながら副業をしているという方の場合、勤務先には副業で収入を得ていることを知られたくない…という場合もあるでしょう。

このような場合には、確定申告書類を作成する際に「住民税に関する事項」の欄で「自分で納付」に〇をつけるようにしてください。

  • 普通徴収=「自分で納付」:自分でコンビニなどで納める方法
  • 特別徴収=「給与から差し引き」:勤務先のお給料から天引きで納める方法

住民税は所得税の申告書から自動的に計算されるのですが、納付方法として普通徴収と特別徴収の2種類があります。

もし特別徴収(確定申告書の起債では「給与から差し引き」)を選択してしまうと、勤務先があなたのお給料から住民税を天引きするときに、あなたの所得金額を知ることができてしまいます。

所得金額がやけに多いとなると「この人は、お給料の他に収入を得ている」ということが分かってしまいますから、副業を勤務先に知られたくない人は避けなくてはなりません。

まとめ

今回は、確定申告を今年は初めて行うという人向けに、基本的な所得税計算の仕組みと、確定申告を行う際の注意点について説明しました。

副業レベルの事業を営んでいる方や、住宅ローン控除を受けるために今年だけ確定申告しないといけないという方の場合には、本文で説明した計算方法で順番に計算していけば確定申告書を自力で作成するのはそれほど難しくはないと思います(実際に手を動かしてやってみると意外に簡単です)

一方で、本格的に個人事業主として活動している人の場合、自力で確定申告を行うことが難しいこともありますから、状況に応じて専門家(税理士)と顧問契約を結ぶようにしましょう(経営者が売上に直結しない経理や確定申告の作業にあまりにも時間をかけるのは必ずしも望ましいことではありません)

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