先物投資を始める前に知っておきたいリスクとリスクヘッジの方法

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「先物投資はリスクが高くて怖い」

こんなことがよく言われています。たしかに先物投資は他の投資にはないリスクが有ることは確かです。

とはいえ、

  • 先物投資の具体的なリスクがわからない
  • リスクを回避する方法は無いの?

という方も多いと思います。

そこでこの記事ではそんな先物投資のリスクに関するお悩みを、
実際に日経先物を運用している視点から解説します。

具体的には

  • 先物投資の魅力
  • 先物投資のリスク
  • 先物投資のリスクを回避する方法

の順番にポイントを解説していきます。

先物投資を始めようとしている方は是非とも参考にしてみてくださいね。

先物取引の魅力

投資には様々な種類が存在し、株式投資やFXに投資信託などそれぞれに特徴があり、リスクもあります。その中で先物投資は長い歴史のある投資の一つですが、FXや株式投資よりも知名度は低い傾向があります。

先物投資に関しては、対象が身近な商品である金や農作物を始めとしてとっつきやすいですし、日経先物は日経平均株価を予想するものです。これだけ聞くと株式よりも簡単そうと考える人もいるかも知れませんね。

先物投資の仕組み

しかし、やはりイメージが掴みづらい・よくわからないという方も多いかと思います。先物取引は実は魅力の多い投資ですし、一度仕組みを理解できるとそこまで難しいものでもありません。

先物取引にはまず大きく分けて商品先物と金融先物という2種類が存在します。この2種類は取引の仕組み自体はほぼ同じですが、扱うものが異なります。商品先物は金やプラチナなどの現物を扱い、金融先物は株価、特に日経225の価格を参考にして取引を行います。

多くの投資は商品と現金を交換する現物取引という手法を採用しています。株式投資や投資信託は現物取引にあたります。投資資金を株式などに交換をすることではじめて投資を行えます。

反対に先物取引は、今は購入しないけれども将来的に購入する約束を取り付けるという取引です。将来的にその商品が値上がりしても値下がりしても約束された価格で購入することができます。

例を挙げると、現在のガソリン価格が180円と仮定します。1年後には大きく価格が上がることが予想されているので早めに確保しておけば、差額分の利益を儲けることができますが、商品を置いておく場所も資金もありません。

そこで、はじめに約束を取り付けておきます。「半年後に180円で100リットル購入したい」と事前に買い注文をしておくのです。

これで問題は解決しました。あとは1年後を待てば問題ないと思いますが、その前にやることがあります。それは、証拠金を先に渡しておくことです。

そもそも売り手側としては半年後に本当に買ってくれるかということは、補償がありません。実際非常にリスクが高いわけです。そこで買い手側に証拠金を預けてもらうことで店側もリスクヘッジを図るのです。

そして半年後に商品を購入し、1年後予想通り価格は300円まで上昇したとします。すると30,000円から買ったときの合計18,000円を引き、差額は12,000円から仲介した証券会社に手数料を支払い残った11,000円が利益になります。

反対に100円まで下がった場合は、その差額分が損失になります。これが大まかな先物取引の流れです。

先物投資のポイントは、将来的に購入する時期と量を事前に約束しておくこと、証拠金を事前に払っておき支払いは購入日当日に行うこと、そして購入時と売却時の差額から手数料を引いた手元が利益になります。

商品先物はこれを金やプラチナ、ガソリンにコメなどの実際の商品で行います。金融先物は日経平均を始めとして国債や金利先物もありますが、最もメジャーでわかりやすいのは日経225先物でしょう。

レバレッジを効かせて取引ができる

現物取引と先物やFXの大きな違いでもあり、メリットでもあるのはこの点です。レバレッジを効かせることができるのは少ない証拠金で大きな取引ができるのは魅力的と言えるでしょう。

先物取引では証拠金を預けることでそれ以上の金額の取引をすることができます。これにより、投資家は多額の資金を準備しなくても投資をすることができますし資金に余裕があればより安全に投資が可能です。

商品や株価も変更されることがあるように必要な証拠金も変動します。例えば金先物の場合は、1キログラム単位での売買になり1g4,000円と仮定した場合は400万円分の取引をすることになります。

9月時点での証拠金は66,000円ですので、400万÷66,000円=60.6つまり倍率は約61倍の取引ができます。同様に日経先物の場合は約33倍の取引ができます。ちなみにFXは25倍程度で現物はレバレッジを効かせることが出来ないため、少額で大きな取引ができるのは先物の大きな特徴です。

 

短期間で大きな利益を得ることができる

先物取引は短期間のうちに大幅に値段が変わることもよくあります。ニュースでも株価が高騰した場合や金の価格が突然上がるということも珍しくありません。連続で続くケースもあります。

そうなった際にレバレッジにしていることが効いてきます。実際に預けている金額は多くても数十万ですが、取引している金額はその数十倍の数百万~数千万円単位のやりとりを行っています。

日経先物の場合は平均株価の1,000倍が実際の取引価格になるため、100円価格が上昇すれば10万円の利益が入ります。他の投資はそこまで短期間で利益を得ることは難しいためこれも先物投資の魅力と言えるでしょう。

「売り」「買い」どちらからでも取引が可能

先物投資の特徴の一つとして両建てつまり、「売り」「買い」両方向から注文して取引をすることが可能です。相場は一方的に上昇するだけとは限りません。時には大きくその価格を下げることもあります。

そうなった場合に現物取引の場合は買った価格から下落分がそのまま損失になります。しかし、先物取引の場合は下落時にも利益を狙うことが可能です。「売り」から取引に入った場合は下落分の差額が利益になるため大きな利益を獲得できるチャンスなのです。

 

つまり、この先価格が下がりそうならば「売り」もしも上がりそうならば「買い」と相場の状況ごとにトレードのやり方を変えることも出来ます。この用に柔軟な取引ができるのも先物取引の魅力の一つです。

取引時間が長い

先物取引の場合はトレードできる時間が比較的長いため、自分のタイミングで投資を初めて利益を狙うという方法も可能です。例えば、会社帰りに少しトレードなども実際に十分可能なのです。

先物相場は日中の8時45分~15時15分までの通常相場に加えて、ナイトセッションと呼ばれる16時30分〜翌05時30分まで取引をすることが出来ます。現物株の取引時間は短いため、こちらの邦画史上の時間が長い分利益も十分に見込めます。

日経先物は海外の投資家もナイトセッションに参加するため、海外での重要な指標があった場合には価格が大きく変動することもあります。その流れになることができれば大きな利益を獲得できるでしょう。

 

先物取引は特定の商品を将来の決められた日にあらかじめ決めておいた価格で売買する取引のことです。先物投資は大金を用意しなくても始めることが可能な投資方法で、短期間かつ少額でも利益を得ることのできる投資です。

株式投資と異なり日中だけではなく、ナイトセッションも開かれているため引時間も長く、価格の変動もあり、両建てで取引ができるためいつでも利益を獲得できるチャンスがあります。他の投資方法と比べても魅力的な投資方法と言えるでしょう。

先物取引のリスク

先物投資は株式投資や国債に比べると比較的リスクの高い傾向にある投資の部類でしょう。始めるにあたってこのリスクが大きな壁となっていることは確実です。そこで先物取引によくあるリスクを解説します。

リスクを知っていれば、手順や考え方はそこまで難しいものでもありません。むしろ他の投資に比べて選択の対象やレバレッジなども固定されているため、やりやすいと言えるかもしれません。

元本保証がない

これは株式投資も同じですが元本保証はありません。そして株式投資の場合は投資先の企業が倒産しても元本が全額なくなるだけですが、先物投資はそれだけではありません。大幅な損失をした際にはその損失をそのまま抱えることになります。

国債などと比べるとかなり厳しい条件ではありますが、損失が起こった場合はすべてが自己責任なのです。もしも元本保証や損失を被ることを避ける方法は国債や株式投資などのレバレッジのかからない投資方法に切替えましょう。

レバレッジがかからなければ最低でも元本が全てなくなるだけで済みます。損失は痛いですが致命傷は回避することができます。

先物投資は他の投資に比べてレバレッジも大きいため、動く金額も非常に大きいのです。また先物投資はレバレッジをFXのように変更することが出来ません。常に倍率は固定化されています。

だからこそ短期間で利益を出すことも難しくはありません。しかし、その反面として損失するリスクも高いのです。資金に注意しながら投資をすれば問題ありませんが、それでもリスクは高めと言えるでしょう。

そして短期間で大きく損失を出した場合は、追証(おいしょう)とよばれる証拠金を再度収める必要があります。元本を下回るような損失を出した場合は追加で証拠金を収める制度があるのです。「いつか必ず」と考えているうちに追証になってしまいます。

流動性が非常に高い

相場に関しては先物取引は株式投資やFXと並べても取引の流れや流動性が非常に高い取引です。まず、レバレッジが高いために価格が10円動いても日経225ラージの場合は11,000円単位で相場がやり取りされます。

100円も動けば数分で10万円を失うなんてこともありうるのです。日経225miniの場合は5円単位のため、より売買が活発になります。また株式投資と異なりナイトセッションもあり、海外の市場とも時間帯が被るため夜中に数百単位で乱高下もします。

そして相場は常に動いていますが、先物投資は世界各国の影響を非常に受けやすいという傾向もあります。そのため、取引の供給量も上下することもよくあるため、市場の参加者が少なくなり、買いたくて買えない。売りたくても売れないなんてこともあり、予定外の損失をだすこともあるのです。

その反面チャンスも何回もあります。上手にリスクを扱うことができれば問題なく利益を得ることもできます。リスクも大きいですが、その分利益を出すこともできるのが先物投資の面白いところと言えるでしょう。

先物投資は株式投資や国債などよりも、利益も大きい半面リスクも高い傾向のある投資方法の一つです。流動性は非常に高いため値段の上下は一日になんどもありますし、レバレッジが高いので損失を出した場合には追証の可能性も十分にあります。

決して簡単な投資ではないですし、安全な投資でもありません。利益は出しやすいですが損失も同じぐらい出しやすい投資なのです。

先物投資のリスク管理方法

ここまでは先物投資のリスクに関してご紹介してきましたが、もしかしたらリスクが高く利益も大きいことからギャンブルのようだと思う方もいるかも知れませんね。しかし、ギャンブルと違いリスクは十分にコントロールすることが可能です。

リスクのコントロールが可能になれば相場でも大きな損失を出すことなく、市場でトレードを続けることが十分できるでしょう。ここでは先物投資のリスク管理方法をご紹介します。どの投資にも言えることも含まれているので、先物投資以外でも十分に活用できるでしょう。ぜひとも参考にしてください。

資金に余裕を持つ

これはすべての投資に共通ですが、たまに投資資金を全てトレードする方や預金を全て投資に回す方もいます。しかし、絶対に資金を全額投資に回すのは止めましょう。相場は何が起こるかわかりません。

どれだけ上手なトレーダーでも大損することもある世界であり、相場には世界中の投資家が参加します。投資に慣れていない段階では思わぬ損をするかもしれないため、一番のリスク管理は余剰資金でトレードすることです。

資金を全額投入しての投資はギャンブルと変わりません。余裕のあるトレードをまずは心がけましょう。

投資方法や対象を分散させましょう

投資に回す総額を決定したら投資対象や方法を一つに絞るのではなく、分散させたほうがリスクを減らすことが出来ます。投資資金を全て投入し、利益を上げることも重要ですがやはり損失した際のリスクは大きいものです。

そのため、投資資金は国債や投資信託に加えて先物をやるなど何かとの組み合わせをすることで、仮に大きく損失を出しても投資資金を全額失うことはありません。投資資金の中でもより余裕のある金額でトレードしましょう。

ロスカット値をあらかじめ決めておきましょう

トレードを開始するまえにロスカット値と利確値を決めておきましょう。この2つは投資をするに当たり非常に重要で、何よりも難しいものです。

ロスカットは他にも損切りとも呼ばれており、いくらまでの損ならば許容できるかという考え方です。この損切りが上手くなるとトレードも上達します。「損したくない」とは誰しも考えるもの。

しかし、自分の思うどおりには相場は動いてくれません。その場で対応することが常に求められます。そのため、予想外の損失を出す可能性は常にあるのでその損失を最小限にする技術が求められます。

利益はトレード回数を重ねることで自然とついてきます。だからこそはじめのうちは損切りを徹底してしましょう。とはいえ実際になかなか出来ないのもよくあるため、そのような場合は証券会社の逆指値注文を上手に活用しましょう。

また利益確定もロスカットと同じ程度大切で難しいです。儲かっている時は常により儲けたいと思うものです。あまり長く保持している場合は利確できずに大暴落して一気にマイナスになったりします。

あるいは早めに利確してしまい数分後にはその倍以上の利益をつけていたなんてことも珍しくありません。しかし、重要なことは利益を出して損失を抑えることにあるため、まずは最小限の損失で早めの利確を心がけましょう。

 

先物投資はリスクの大きい投資方法のため、そのコントロールも非常に重要です。最も効果的で単純なリスク回避は資金を減らして始めることで、これを守れば少なくとも全額損失しても破産するということはありません。

当たり前と思うかもしれませんが重要な考え方であり、損失がかさんでいる場合には実際にやりがちなのです。そしてロスカットは迅速にすること利益はあとから付いてきます。これらを守れば少なくとも大損はしないはずです。

投資を始める前に覚えておきたいこと

先物を始める前にはここまで紹介したとおり、まずはリスク回避を重点において運用を心がけましょう。特に資金管理は最重要事項です。

先物投資を始める前には十分な証拠金を用意して少ない枚数から取引初めましょう。商品なら1枚から、日経225miniなら1~2枚からポジションを持つといいでしょう。具体的に証拠金は最低額の3倍は入れておくととりあえず安全と言えます。

先物投資は場合によっては1日で500円単位で動くことも稀にあります。そこまではないにしても1日で100~300円上下することは普通にあります。予想外の損失に備える意味でも余分に証拠金は入れておきましょう。

証拠金が下回る場合は追証になることもあるため、まずはそこに注意して取引を始めるようにしましょう。数十円単位でも十分に利益の出る投資方法のため、リスクヘッジに重点を置くことをおすすめします。

まとめ

先物投資はリスクが高く怖い投資方法と思うかもしれません。しかし、先物投資の特徴とリスクの内容を把握できていれば、他の投資とそこまで大きな違いはありません。資金管理に注意できれば問題ないでしょう。

あとはどのような投資方法が、自分自身にあっているかを把握して実行するほうが重要です。是非とも自分にあった投資方法を選択して投資を始めてみてください。

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