株のデイトレードとは?始め方と手法を詳しく解説

「毎日利益を得たい」「持ち越した銘柄が翌日大きく下がってしまった」そういった願望や悩みに対処できる手法があります。それはデイトレードです。デイトレードなら全体相場が上げ相場でも下げ相場でも、そして動かない時でも利益を得るチャンスを見つけることができます。しかし、どうやったらデイトレを始めることができるのか、メリット・デメリットは何なのか、そういったところをじっくりと解説していきます。

株のデイトレードとは

デイトレードとは同じ銘柄を買ってその日に売却、もしくは売り建てて買い戻すことをいいます。デイトレードと言っても時間軸は様々です。例えばある銘柄を買ってわずか数秒で決済するスキャルピング。寄り付きで仕掛けて引けで決済する寄り引きトレードというのもあります。ですから、数秒から数時間という時間の長さの違いはありますが、その日のうちに決済するという共通点があります。

ネット証券に口座を開こう

デイトレードをするにはネット証券に口座を開くことが必須になります。1日に何回も取引を繰り返すわけですから、手数料が安ければ安いほど有利になります。対面の証券会社では手数料が高いので、デイトレには適していません。必ずネット証券で取引するようにしましょう。

株では信用取引が有利

株でデイトレードを行う場合は信用取引が有利です。現物株と違い差金決済ができるからです 。差金決済とは、例えばある銘柄を100万円で買って110万円で決済したとします。購入代金の100万円を支払うと同時に売却代金の110万円を受け取りになりますが、差金決済では110万円と100万円の差(10万円)をやりとりするのみで決済することができます。ですから、100万円の資金を使う必要がないので、同じ銘柄を1日に何回も売り買いすることができるのです。

現物株では同一銘柄を買いつけたら資金は拘束されてしまうので、同じ資金で同じ銘柄を買い付けすることはできません。新資金が必要になるのです。

 

出典 松井証券

差金決済でさらに資金効率があがる

差金決済は利益を出せばさらに有利に働きます。例えば100万円で10万円儲けた場合、次のトレードでは110万円分を買い付けすることができます。ですから、勝ち続けていればその日のうちにどんどん複利で資金を増やしていけるのです。もちろん、これは勝ち続けた場合の話です。負けが続くと資金は減ってしまうので、デイトレードにおいては、リスク管理を徹底するようにしましょう。

値動き(ボラティリティ)が大きく、出来高がある銘柄が適しています

中長期トレードでは動き出すまで何日でも待つことができます。短期的な値動きに惑わされることなく、長期的な値上がりを享受するのです。しかしデイトレードにおいては、その日のうちに値動きがなければなりません。ですから安定的で動かない銘柄よりも、ある程度の値動きがあるほうがデイトレードには適しています。

銘柄に関しては資金量によって異なってきます。値がさ株(株価3,000円以上)で流動性があり、板が厚い銘柄はデイトレードに適していますが、まとまった資金が必要です。50万円前後からデイトレードは始めることができます(信用取引の最低保証金は30万円)が、最初にデイトレードをしようとする初心者の方はそういった値がさ株よりも低位株(株価500円以下)の方がデイトレードを始めやすいでしょう。

任天堂(証券コード:7974

 

出典 SBI証券

任天堂は値がさ株の代表的な銘柄で、デイトレの人気が高い銘柄です。ただし株価は4万円前後で最低単位100株でも約400万円の資金が必要になります。ある程度資金力に余裕のある投資家向けの銘柄となっています。

みずほフィナンシャルグループ(証券コード:8411

 

出典 SBI証券

みずほフィナンシャルグループは低位株(株価が低い銘柄)の代表です。出来高も非常に多く、デイトレードをするのにも適しています。株価は100株単位ですので2万円前後から投資することができます。

損切を徹底する

デイトレードは1日のうち何回でも仕掛けることができます。しかし、適切な損切りができないと損失が拡大するばかりか、新たなトレードチャンスを逃してしまう可能性もあります。「損切りは早く、利食いは遅く」という相場格言があります。ただ、実行するのは困難です。初心者の方は利食いが早く、損切りは遅れる傾向にあります。まずは相場の世界で生き残るためにも損切りを徹底させましょう。

勝率か値幅か

例えば、勝率9割でも、勝ちトレードの利益が負けトレードの利益よりも少ない場合はトータルでマイナスになってしまいます。逆に勝率1割でも勝ちトレードの利益か多ければプラスになります。勝率重視か、値幅重視か、これは投資家の性格やトレードスタイルにもよりますが、デイトレードでは勝率を重視します。取引回数を増やして小さな利益を積み重ねていくのです。

順張りと逆張り

デイトレードでは順張りと逆張りのどちらが適しているのですか一概に正解は言えませんが、値幅や勝率で比較してみましょう。まず勝率に関しては逆張りの方が高くなります。仕掛けるタイミングにもよりますが、一時的に上がりすぎ下がりすぎた相場は戻る可能性が高くなります。そういったポイントで逆張りを仕掛けると勝率は高いのです。しかし行き過ぎと判断してもそのまま相場がトレンドに入ってしまう可能性もあります。

相場の7割はもみ合い言われています。ですから逆張りでは勝率は高くなるのですが、トレンド作ったときに損切りを素早くしないと大きな損失を被る可能性があります。コツコツ利益を積み重ねていても1回の損失でマイナスに転じてしまうといった恐れがあるのです。また勝率が高いので安易にナンピンを入れてしまうことあります。相場のほとんどがもみ合いになるので、ナンピンかいかを入れると平均買い付け単価が下がる売りでは逆ことから相場が戻れば利益が出る可能性が高まります。しかしこれもリスクをさらに倍にすると言う事ですから大きなリスクを伴います。

 一方、順張りとは相場と同じ方向に買い、もしくは売りを行う取引です。相場が上昇局面なっている場合は買いを、下降局面になっている場合は売りを仕掛けます。トレンドに沿った取引をするのが順張りになります。

順張りの特徴は逆張りに比べて大きな値動きを狙えるということです。トレンドに沿った動きを狙う手法に高値や安値のブレイクアウト、押し目買いなどを狙っていきます。デイトレードにおけるブレイクアウトにはマーケットプロファイルが有名です。また押し目ではフィボナッチ比率や、半値押し、三分の一押しなどの目処をつけて売買を仕掛けます。

順張りのデメリットとしては、勝率が低いということが挙げられます。逆張りの項でも書きましたが、相場の7割はもみ合いです。高値を更新した、安値を更新したからといってそのままトレンドが続くという確率は低いのです。そして逆張りの投資家はブレイクアウトのポイントで逆張りを仕掛けてきますし、利食いを出してくる投資家もいます。そういった投資家に対してさらに買いまたは売りを仕掛けていくというのはなかなか難しいのです。ただし逆に言えば大きく動いた時は逆張りの投資家の決済を巻き込み値幅が出るので、大きな利益を得ることができるのです。

デイトレードのメリット・デメリット

 

デイトレードのメリット

 

複利で資産を増やすことができる

細かい利益を積み重ねていくデイトレード。毎日勝ち続ければ複利で資産を増やすことができます。ただし、負ける時もあるので、必ず損切はするようにしましょう。

オーバーナイトリスクをなくすことができる

デイトレードの大きなメリットの一つとしてオーバーナイトリスクを避けられることがあります。オーバーナイトリスクとは15時に取引が終了してから翌日9時の寄り付きまでの時間帯のことです。取引所で株取引をすることはできませんが、ヨーロッパ市場やアメリカ市場はオープンしています。そういった海外市場の値動きにポジションを持っていると影響を受けてしまいます。特に日本の株式市場は売買代金の6割以上が外国人投資家です。国内要因で動くというよりは外部要因で動いてしまう銘柄も多いのです。

PTS( 夜間取引)を利用すれば夜間でも取引することができますが、デイトレードなら日中の取引で終了するので、そういったオーバーナイトリスクを心配する必要はないのです。

 デイトレードのデメリット

デイトレードのデメリットとしは、取引回数が多くなるので手数料などのコストがかかることがあげられます。なるべく手数用の安いネット証券を利用するようにしましょう。また、相場を監視する必要があるので、疲労が蓄積します。値動きのある時間帯を見極めて効率的な取引を心がけましょう。

 

デイトレードの手法

取引が活発な時間帯で取引する

現物株では、最も取引がある時間は910時までの一時間です。前日引けてからの様々なニュースを織り込む時間帯だからです。デイトレードは流動性が高い時間帯に取引するのが一番効率的です。値動きもありますし、市場参加者も多いからです。中長期の投資家も取引開始までの個別株のニュースや海外市場の状況を見て売買します。ただ、注目すべきは個人投資家や短期トレーダーがどの銘柄に注目しているかを把握することです。決算発表や、個別株の材料はでていないか、朝の寄り付き状況はどうなのか、そういったところを参考にして銘柄を決めましょう。

幅広い銘柄を監視する

中長期投資では個別銘柄の業績などのファンダメンタルを分析し、株価が割高か割安かを判断します。ですから、ある程度銘柄をしぼり、深く理解する必要があります。しかし、デイトレードでは、人気のある銘柄をトレードするので、銘柄分析を丹念に行う必要はありません。企業のファンダメンタルは日々変わるものではないからです。どの銘柄に材料がでているのかを調べ、値動きが良さそうな銘柄を取引するようにします。そのためには幅広い銘柄を監視しておく必要があります。

デイトレードに必要な環境

モニターが1台でもデイトレードすることができますが、多くの銘柄を監視する必要があるため、株価の値動きを表す画面またニュースやチャートを表示する画面、できればデュアルモニター(2画面)が最低必要でしょう。人によっては4画面、5画面もしくはそれ以上と表示させることもできますが、あまりにも多すぎると注意散漫になってしまうので、まずはデュアルモニターから始めてみましょう。

またパソコンのトラブルなどにおいてスマートフォンなどでも取引できるようにしておきましょう。複数の取引手段を持っていくことは大事です。ポジションを持ってなければ問題ありませんが、買いのポジションを持っている時に売りの決済ができない、売りのポジションを持っている時に買いの決済ができないといったことはデイトレードにおいて致命傷になります。また証券会社のトラブルなどによって、パソコンやスマートフォンから取引できないこともあります。サポートの電話受付がありますが、なかなか繋がらないことがありますので、トラブルがあったらすぐに電話をできるようにしておきましょう。

値上がり率ランキング

 

出典 ヤフーファイナンス

デイトレード銘柄を決める際は、まず値上がり率ランキングを参考にします。これは引けた後のランキングになりますが、デイトレードを行う際は寄り付きからこのランキングを見ています。今ではカブドットコム証券や楽天証券など、複数の証券会社で寄り付き前の値上がり予想ランキングというのもあります。どの銘柄が値上がりしそうなのか、どの銘柄が注目されているのか、そういったことを把握するのに値上がり率ランキングは役立ちます。

決算発表銘柄

決算発表も株価を大きく動かす材料になるのでチェックしましょう。場中に決算発表がある場合は発表時間を事前に調べておき、また引け後は翌日の株価に影響与えるので、主要な銘柄は調べておきます。サイトでは東証のTDnet(適時情報サービス)が参考になりますが、株探も便利です。予想数値や見通しなども書いてあるので参考にしてみて下さい。またそれ以外にも提携や合併、新商品の開発など、株価に影響を与える材料が出てくることがありますので必ず目を通すようにしておきましょう。

テーマ株

AI、自動運転、5Gなど大きなテーマがあるときは株価もよく動きます。しかも1銘柄だけでなく、関連銘柄が複数あるので、1銘柄乗り遅れたとしても出遅れ銘柄を買うことでデイトレしやすくなります。ただし相場環境が悪い時やテーマが注目を集めていない時もあるので、どのテーマが現在盛り上がっているのか、注目されているテーマはあるのか、そういったところを日々ニュースやTwitter、ブログ等で確認するようにしましょう。

売買代金ランキング

 

出典 楽天証券

出来高ランキング

 

出典 楽天証券

売買代金、出来高ランキングは銘柄選定の参考になります。どんな銘柄の出来高が多いのか、またどの銘柄の売買代金が高いのかを表しています。これらのランキング上位に来ている銘柄の流動性は十分にありますので、値上がり率ランキングと合わせて参考にしてみてください。ただし、出来高ランキングでは低位株ほど出来高が増える傾向があります。ですから、値動きを必ずチャートで確認して、1日の値幅がきちんとあるのかどうかを確認しないといけません。例えば、出来高ランキング4位のティアックは、1日の値幅が2円程度しかないことが多く、とてもデイトレードできるような値幅ではありません。どの程度の値幅があればというのは、銘柄や株価によって変わってきますので、自分の投資手法投資資金にあった銘柄を調べるようにしましょう。

松井証券デイトレ人気ランキング

 

出典 松井証券

「どんな銘柄をデイトレードすればいいのか。」そうはいっても自分で銘柄を見つけるというのは、最初のうちは大変なことだと思います。取引に慣れてきたら自分の得意なテーマや得意な株というのができてきますが、東証全体で4000銘柄もあるのですから、その中から銘柄を決めるというのは大変です。

松井証券では「デイトレ人気ランキング」を発表しています。実際に松井証券での信用取引におけるデイトレードの売買ランキングですから、他の投資家がどのような銘柄を取引しているのか参考になります。是非チェックしてデイトレの銘柄選定に役立ててください。

取引日誌をつける

1日が終わったら必ず取引日誌をつけるようにしましょう。銘柄の買い付け(売り建て)した値段や決済した値段や損益。そして、なぜその銘柄を買ったのか、材料やチャートなど合わせて書いておくといいでしょう。人間の記憶というのは曖昧なものです。記録を残しておかないと後でなぜその銘柄を仕掛けたということはなかなか思い出すことはできません。そうした日々の積み重ねがトレード技術の向上につながります。またツイッターやブログなどで公開するのもいいでしょう。その場合は詳しい内容まで書くことはありませんが、取引の反省点や相場環境など書いておくと役に立ちます。また、他のトレーダーと交流ができる可能性もあり、視野が広がります。

まとめ

デイトレードでは銘柄選びが大切です。どんなに売買技術を持っていても、銘柄が動かなければ利益を得ることは困難です。まずは銘柄選定技術そして売買技術を磨いていきましょう。勝ち続ければ複利で利益が増えていくデイトレードですが、逆に損切りばかりが重なってしまう時もあります。そういったときはいったん取引を終了するようにしましょう。 冷静さを欠いていてはデイトレードでは勝つことができません。一晩休んで新たな気持ちで翌日の取引に臨むようにしましょう。この記事がデイトレードを始める際の参考になれば幸いです。

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