高金利の外貨預金に興味がある方には、外貨預金を始めるにあたって、こんなお悩みが出てくるのではないでしょうか?
最近では各金融機関でも取り扱う通貨が増えてきました。おなじみの米ドルやユーロのほか、通貨によって金利や為替手数料が違っていたりと、なかなか悩ましいポイントがたくさんあります。
確かに「外貨」と一口に言っても、たくさん種類があって、どれを選べばよいか迷ってしまいます。今回は、外貨預金で運用すべき通貨を選ぶ際の、重点ポイントをご説明します。
1、取引通貨を選ぶポイント
外貨預金でまず目が行ってしまうのが、やはり「金利」!
そして、為替交換の際のリスクである「為替手数料」です。
通貨を選ぶ際、どうしてもこの2つを比べがちです。もちろん選ぶ際には、金利も手数料も見るべきポイントではありますが、もっと大きな視点で選んでみましょう。
外貨預金で利益を考えている方にとっての本音はこんな感じではないでしょうか?確かにその気持ちはよくわかります。
しかし、実際にはなかなか「これ!」といったおすすめ通貨がないというのが現状です。
なぜなら、日本も含めて世界の経済は常に変化していますから、いつどんな要因が起きて通貨の価値が急激に変わるかわからないからです。
大きな企業のある国の通貨であれば、安全というわけでもありません。日本の大企業でも、海外の大企業でも、絶対に倒産しない・安心とは言い切れません。例えば、2008年のリーマン・ショックでは、連鎖的に世界規模の金融危機が起こり、世界経済へ大きな影響を与えました。
そのため、常に安全で利益の出る通貨というのもはありません。
しかし、「いつ運用しても、とにかく利益がでてコストも少ない安定した通貨」、という完全無欠な通貨は残念ながらありませんが、「こういう目的で運用するには、どんな通貨があっているか?」という指標はあります。
外貨投資のほか、投資信託や株などのリスクを伴う金融商品においては、何が自分の目的に合っているか見分ける基準や目安を持つことが大切です。金融情勢は常に変化していくものなので、きちんと自分なりに情報収集をして判断していくことが大事な基本になります。
では、なかなか難しい運用通貨の選び方ですが、ポイントはその通貨を使用している国がどんな国かを見極めることです。
まず、各国の経済状況など大きな視点で見てから、各金融機関の金利や外貨手数料などの細かい点を比較して、検討するのが良いでしょう。
各国の経済状況などを見て選ぶ
外貨を選ぶ際に一番重要になるのは、「その通貨を使用している国がどんな国か」ということ。つまり、その国の「安定性・信頼性・成長性」をしっかり見極めることが必要です。
例えば、いくら金利が良くても、もしその国の情勢が不安定になり、経済的に破たんしてしまったらどうでしょう?その国の通貨の価値は低くなり、最悪紙切れ同然になってしまうかもしれません。
基本的には、財政破たんの可能性が低く、経済的にも情勢的にも安定した国の通貨を選ぶことをお勧めします。
とはいえ、「財政破たんの可能性が低く、経済的にも情勢的にも安定した国」とはどんなところでしょうか?
見分けるポイントとしては、下記の3点になります。
- 安定的な値動きをしている
- 流通量が多い
- 国債格付けのランクが高い
これはどういうことでしょうか?具体的に説明していきます。
安定的な値動きをしている
安定的な値動きをしているとは、その国の社会情勢や経済の動きが安定しており、通貨の価値が急激に変わらないことを言います。
そもそも、国内の政治が不安定でいつ国自体がどうなるかわからないというのでは、通貨もいつ価値ががくんと落ちてしまうかわかりません。
通貨の価値が大きく変わる通貨は、毎日の為替相場の値動きが大きく変動します。毎日為替相場や各国のニュースに目を通すことで、ある程度の判断ができるようになるでしょう。
流通量が多い
たとえその時の通貨の価値が高くとも、通貨自体が使えなくなる、または使える場所が少なくては本末転倒です。
世界規模で見て、たいていの国でも流通している・取引している通貨は、為替相場が比較的安定していますし、情報量も多いためある程度動きを予測しやすいというメリットがあります。
外貨預金を作る際にも、取り扱っている金融機関が多いため、選択肢が広がるという利便性もあります。
国債格付けのランクが高い
国債格付けとは、ムーディーズ、スタンダード&プアーズがまとめている、各国の国債の信用格付けのことです。
信用格付けとは、「その国が発行している債権の信用度」であり、その国の債権を買ったら、元本や利息が約束通り支払われる信用度を表しています。つまり、信用格付けが高いほど、その国は国の借金に対して返済能力があるということになります。逆に低ければ、返済能力がないということになり、経済状況に不安があるという見方ができます。
ソブリン格付けリスト(2018年8月31日現在)
ムーディーズ、スタンダード&プアーズHP
まとめると、取引通貨を見極めるポイントは、下記のようになります。
- 安定的な値動きをしている=政治的・経済的に安定している
- 流通量が多い=世界でメジャーな通貨として取引されている
- 国債格付けのランクが高い=国が発行する国債の信用リスク(元本や金利が約束どおりに支払われない確率)が低い
2、迷った時はこの通貨を検討
取引通貨を選ぶポイント、と言われても、なかなか具体的にこの通貨!とは決めにくいでしょう。初心者にもチャレンジしやすいベーシックな通貨、となるとどんな通貨が良いのでしょうか?
結論としては、外貨取引をする人の多くは、まず米ドルをお勧めすることが多いようです。
理由としては、米ドルは「世界の基軸通貨である」ということが挙げられます。
基軸通貨とは?
基軸通貨とは、世界(国際社会)で基準・中心となる通貨のことです。
世界の基軸通貨は流動性が高いため、他の通貨と比べて急変が起きにくい通貨とされ、外貨投資では高い人気を誇っています。
基軸通貨がお勧めな訳
基軸通貨が初心者にとってオススメな理由としては、下記の3点が挙げられます。
- 流通量が多く、情報が得やすい
- 流動性が高い
- 通貨の価値が安定している
世界の基軸通貨であるということは、それだけ流動性や信頼性が高く、安定して運用できるということです。
このほかにも、流通量が多いため普段から為替の値動きなど情報収集もしやすく身近な通貨と言えます。そのため、米ドルが初心者におすすめされているのです。
米ドルが基軸通貨となっている理由
なぜドルが基軸通貨になっているのか?それは、アメリカが「世界経済の中心を担っている」ためです。
2008年のリーマン・ショック以降、不景気になったとはいえ、以前として世界経済の中心的存在になっていることは確かです。
アメリカのように経済的に力のある国の通貨は、価値の変動が少なく安定しているので、国際的な取引の支払いに好まれます。商取引においては、価値の変わらない通貨の方がいいですものね。
そして万が一の場合も、基軸通貨ならではのお得な方法があるのです。例えば極端な話、金庫にお金がなければ、ドルを大量に発行して金庫の中身を増やせばいいのです。
他の国がやれば、通貨の量だけが増えてしまいますので通貨の価値が下がり、為替のバランスが崩れ、インフレが起こってしまいます。
しかし、世界の基準のお金である基軸通貨であれば、通貨量を増やしても価値は下がらないため、金額をふやすことが可能になってしまうのです。
またそのほかの側面として、自国に危険が迫ったときも、自国の軍事力で対応できるということも基軸通貨である理由の一つです。(逆に、基軸通貨を持つ国であるからこそ、他国は文句を言いにくいという面もありますが…。)つまり、色々な意味で交渉力があり。国際的な場において力があると言えます。
このように基軸通貨であるということは、それだけ流動性や信頼性が高く、安定して運用できるということです。
そのため、初心者向けにオススメされやすい通貨なのです。
そのほか初心者にお勧めの通貨
また、外貨預金に限らず、外貨投資を行う場合は通貨配分が重要です。つまり一つの通貨に偏って投資しないということが重要になります。
米ドル以外にどんな通貨がいいかというと、基本的に先ほどご説明した、米ドルが初心者にとってオススメな理由=基軸通貨の特徴をみたすような通貨を考えればよいでしょう。
- 流通量が多く、情報が得やすい
- 流動性が高い
- 通貨の価値が安定している
この考え方で言うと、ベースとなる投資対象通貨は米ドルとユーロになるかと思います。
ユーロも世界的に流通している国が多いため、流通量が多く流動性も高く、情報収集がしやすくなっています。また、通貨の価値も安定していますので、比較的チャレンジしやすい通貨と言えるでしょう。
この考え方は、外貨預金に限らず外貨投資など全般についても同じことが言えます。今後世界経済の変動はあるでしょうが、基本的にはこの2つの通貨を中心にほかの通貨も資産を分散させていくことがポイントです。
3、各通貨の特徴
ベーシックで安定している通貨は、今のところ米ドルとユーロということをご説明しましたが、このほかにも世界にはたくさんの通貨が存在します。
金融機関ごとに扱っている通貨も様々ですが、米ドル・ユーロのほかに金利の高い通貨もあり興味が惹かれますが・・・外貨預金すべきかどうか、迷いますよね?
それではこのほかの通貨を検討しようと場合、どんなポイントで選べばよいのでしょうか?
ここからは、おすすめな通貨をご紹介していきます。
世界の通貨のカテゴリー
世界の通貨を見ると、外貨預金などで取り扱われている主な通貨は、ざっくり下記の3つのカテゴリーに分けられます。
- べーシックな通貨
- 資源国の通貨
- 新興国の通貨
それでは各カテゴリーについて、詳しく説明していきましょう。
ベーシックな通貨
ベーシックな通貨とは、先にご説明した基軸通貨である米ドルやユーロなどの、流通量が多く、価値が安定している通貨です。まず取引通貨の基本として持っていてよい通貨です。
資源国の通貨
石油や鉱物などの天然資源の埋蔵量が豊富な国などの通貨です。2018年9月現在ですと、オーストラリアや、中東資源国の通貨がこれに当たります。
資源国は文字通り自国の資源が豊富なため、比較的経済が安定しています。
なぜかというと、もし世界規模での経済危機が起こったとしても比較的ダメージが少ないため、万が一の時にも急激な為替変動は起きにくいと考えられているからです。
金利も高めであることが多く、安定的に中長期運用したいという方には人気です。
ただし、資源国であるから安心というわけではありません。内戦など国の政治情勢が不安定であれば、万が一の時通貨の価値が下落するリスクがあります。
そのため資源国であったとしても、政治情勢などその国の状況をしっかりチェックすることが大切です。
新興国の通貨
新興国は、先進国に対し現在の経済水準はまだ低いけれど、高い成長性を秘めた国々のことをいいます。
どんどん発展していくため、時代と共に新興国は変わっていきますが、2018年9月現在の新興国は、具体的にはアフリカ・中南米・東南アジア・中東・東欧の地域の国がこれにあたります。特に経済面で注目されている国々は、BRICs、VISTA、ネクスト11といったグループで表されています。
新興国の通貨の特徴は、経済的成長が目覚ましいため比較的短期間で多くの利益発生が望めるということです。実際、各金融機関の外貨預金の金利も比較的高く、魅力的です。
しかし、経済や市場が未成熟であるため国内が混乱することがあり、通貨の価値も安定していないというデメリットがあります。そのためハイリターンハイリスクな通貨であるともいえます。
それぞれの通貨の特徴
それぞれの特徴をまとめると下記のようになります。
べーシックな通貨
- 情報が手に入りやすいので、為替変動などの変化をチェックしやすい
- 初心者など外貨取引を始める人全般におすすめしやすい
資源国の通貨
- 価値が安定している
- 中長期的な運用にあっている
新興国の通貨
- 経済が急成長を遂げているので、利益を期待できる
- 国の情勢によっては、急激な為替変動の可能性がありリスクがある
4、まとめ
いかがでしたでしょうか?
外貨と一口でいっても、さまざまな国の通貨があるため、どれにしようかなかなか迷ってしまいますよね?
さらに経済は生き物ですから、常に変化しており「絶対に安全・確実なもの」というのがありません。どんな選択をしても、リスクが必ずセットでついてきます。
リスクのある資産運用というと、なんとなく不安で踏み切れない方が多いと思いますが・・・その不安や迷いの原因は、「知らないこと」です。
知らなければ、判断する基準もありませんし、リスクが発生したときの対応もわかりません。知ることでそのリスク回避や対応ができるようになりますので、自信を持って資産運用ができるでしょう。
もし知らないことがあっても、ネット上にはたくさんの資産運用の情報が載っています。不安なこと、わからないことは自分で調べる。これが「安心」して「順調」に資産を増やすコツでしょう。
正しい知識と情報を持ち、どのリスクにはどの情報が有効なのか?それをきちんと見極める力を付けることができれば、リスクのある金融商品の取り扱いも怖くはありません。
ぜひ外貨預金で資産の運用を始めてみてはいかがでしょうか