収入面だけ考えないで!始める前に知っておきたいフリーランスのお金の話

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ネットワークの発達に従って、働き方も多様化している近年。会社員という選択をとらずに、在宅でフリーランスとして働く人が増えています。

私もフリーランスのライターとして活動をしていますが、確かにフリーランスという働き方は自由度が高く、全てが自分次第です。時間も場所も縛られずに、好きなように働くことが可能なため、フリーランスとしての働き方に憧れを抱いている人も少なくないでしょう。

 

とはいえ、自由には責任が付き物です。自由な反面、全てが自分の舵取り次第ですから、収入を安定させるまでに、多くのフリーランサーが苦労しています。

特に、収入面・金銭面については事前に知っておくべき知識がたくさんあります。収入が安定しないだけではなく、フリーランスだからこその苦労がいくつもあるのです。

思い立ったらすぐに行動に移してしまう性格の私は「独立する前にちゃんと知っておけばよかった・・・」と思ったことがたくさんありましたし、同じような同業者もたくさん見てきました。

 

今回は、私自身の経験も踏まえて、フリーランスにまつわるお金の知識を紹介していきたいと思います。

将来フリーランスとして働くことを考えている方、安易に独立せず、必要な知識は事前に得たうえで、現実的な収支計画を立ててから独立を目指しましょう!

 

フリーランスが直面するお金の苦労

フリーランスとして起業すると、当然ですが、毎月決まった給料を企業が払ってくれることはありません。どのくらい収入を得られるかは自分次第です。フリーランスとして働く上で、最初に直面するのが、お金の苦労でしょう。

そこで、まずはフリーランスがよく直面するお金の苦労を取り上げていきます。

 

単価が低すぎる

「単価が安い」というのは、駆け出しフリーランスがよく直面する問題です。初心者だから仕事を選んではいけないと思い、安い仕事でも請け負ってしまいがちです。

しかし、「実績がつくまで、最初のうちだけ」と考えていても、一度低い単価で仕事を請け負ってしまうと、なかなか単価を上げづらくなり、低単価地獄にハマってしまいます。

私もライターとして駆け出しの頃、「4,000文字で3,000円」という仕事を受注したことがありました。いざ書き始めてみると、調査量が多く書き上げるのに5時間はかかった上に、クラウドソーシングの手数料をとられて、最終的な振込額は2,500円程度・・・時給換算すると500円です。ライターは特に初心者が安く買いたたかれてしまいやすい職種です。「初心者だから仕方ない」と思って、低単価の仕事を増やしていると、どんどん安い仕事が増えて、ワーキングプアに陥ってしまいます。

 

ライターだけでなく、デザイナーやイラストレーターなど、作業系のフリーランスには単価問題が付き物です。初心者だからといって、あまり安売りしないように、仕事選びには細心の注意を払ってください。

単価をどう設定したらいいのかわからない場合は、先ほどのように時給で考えてみるのがおすすめです。提示された金額のみで判断するのではなく、作業時間を見積もって時給換算するといくらになるか考えてみましょう。最低時給を自分の中で設定して、あまりにも安い依頼はきっぱり断る勇気も必要です。

 

有休がない

会社に勤めていないフリーランスの人には有休という制度はありません。休めば休んだだけ、収入は減ってしまいます。

「あたり前じゃん!」と思うかもしれませんが、急な休みが必要になってしまった場合、この事実が重くのしかかってくることがあります。例えば、風邪を引いて体調を崩したとき、身内に不幸があって急遽お葬式に出ることになったとき、家族が病気になって看病しなければいけなくなったときなど、事情があって仕方なく休まなければいけない場合でも、休んだ分だけ収入は減ってしまうのです。

毎月、生活費ギリギリの収入を稼いでいたのでは、このように急用で働けなくなったときに家計が破綻してしまいます。万が一の事態を考えたうえで、収支計画を立てるようにしましょう。

 

報酬未払いトラブル

フリーランス界隈でよく耳にするのが、報酬の未払いトラブルです。私自身は経験したことがありませんが、同業者の間でもしばしば耳にする話題ですので、他人事ととらえていてはいけません。

フリーランスの立場を甘く見て、納品した途端に連絡が途絶えたり、なんだかんだ言い訳をしていつまでも支払いを渋る業者がいるようです。中には倒産してしまって回収が不可能になってしまった・・・なんて事例もあります。

取引先が実績のある企業で信用できるところなのか、しっかりと調べてから契約を結ぶようにしましょう。

 

クレジットカードが作りづらい

フリーランスは、企業の正社員と比べると社会的信用度が低い職種とされています。なぜなら、安定してお金を稼げる確証がないからです。そのため、新しくクレジットカードを作ろうと思っても、審査に通りづらいのです。確定申告の書類があって相応の年収があることを証明できたとしても、審査に落ちてしまうこともありえます。

特に、起業1~2年目の人はなおさらです。収入の証明ができませんからね。

もちろん、銘柄によっては審査に通りやすいものもあり、絶対に作れないというわけではあありません。いざ独立してから焦らないように、事前に準備しておくことがおすすめです。

 

知っておくべきフリーランスの支出

会社員時代、あなたは給料から天引きされていた保険料や税金、または支給されている各種手当の金額を正確に把握していましたか?

・・・手取り額だけ見て、把握していない人も多いことでしょう。フリーランスとなるとそうはいきません。なぜなら、保険料も税金も自分で支払いをしていかなければいけないからです。

この章では、フリーランスの支出について紹介していきます。目標年収を定めるためにも、支出となるものは正確に把握しましょう。

 

国民健康保険

国民健康保険料は、全ての国民に加入義務があり、加入者は保険料を納付する必要があります。

保険料の金額や計算方法は自治体によって違うため、各自治体のホームページを確認するのが確実です。

 

国民年金

国民健康保険と同様、こちらも全国民に加入義務があり、保険料を支払わなければいけません。

こちらについては保険料が明確で、1カ月当たり16,260円です。(ただし、今後値上がりする可能性あり)

 

税金

年収にもよりますが、フリーランスが納めることになる税金は次の4つです。

 

①住民税

都道府県民税、市町村民税、特別区民税の総称が住民税です。6月頃にお住まいの自治体から納付書が届きます。

住民税は前年の課税所得をもとに計算されます。つまり、フリーランス1年目でまだ収入が安定していなくても、会社員時代の年収をもとにした課税されるのです。1年目フリーランスにとってはこれがけっこう痛い出費です・・・

独立初年に慌てないように、自分にどのくらいの課税がくるのか把握しておくといいでしょう。

 

②所得税

所得税は、一年間に稼いだ課税所得によって税率が変わります。ギリギリで税率があがってしまうことがないように、課税所得はしっかり計算しておきましょう。

参考:https://creator.levtech.jp/tips/article/59/

 

③個人事業税

個人事業主が各都道府県に対して納付するものですが、全てのフリーランスが対象となるわけではありません。指定されている70の業種のみが対象になりますので、自分の職業が指定に入っているか確認しておきましょう。

 

④消費税

2年間の売上高が1000万円を超える場合のみ、納付が義務付けられます。2年目以降で1000万円以上の売上が予想される場合は、注意しましょう。

 

個人年金・保険

フリーランスには退職金もなければ、会社が半分を負担してくれる厚生年金もありません。そうなると、心配なのは老後のことです。国民年金のみでは、厚生年金よりも年金受給額は低くなってしまい、リタイア後の生活が苦しいものになってしまいます。

そのため、万が一の事態に備えて、積立制度を利用したり、民間の保険に入っている人も少なくありません。また、条件を満たせばこれらの費用は控除の対象となります。

数十年先のライフプランまで考えて、自分に必要な制度を選ぶようにしましょう。

 

意外と痛い、交通費

会社から定期代がもらえていたときはあまり気にならなかった交通費も、フリーランスになるとけっこう痛い出費となります。

完全に自宅作業するから家から出ない!という人であれば気にならないかもしれませんが、コワーキングスペースを借りて作業しようと思っている方は、交通費もしっかり計算にいれておくべきです。

ちなみに、都内在住で週3~4日は外出する私の場合、月の交通費は余裕で1万円を超えています。自己負担となると、けっこう大きな出費なんです・・・。

 

自己投資

これは私の実体験からもいえることですが、フリーランスとして成功したいならば、自己投資にはしっかりお金をかけるべきです。フリーランスで高い収入を稼いでいる人たちは、決まって自己投資にお金をかけています。

意識しないと外の世界と接する機会が減ってしまうフリーランスは、自分の世界に閉じこもってしまいがちです。積極的に新しい情報を仕入れなければ、スキルも伸び悩んでしまいます。成長を止めてしまっては、フリーランスとして仕事を獲得するは難しいのです。

そのために、本を買ったり、セミナーに出たり、同業者の話を聞く機会には積極的に投資して、どんどん新しい情報を仕入れましょう。毎月、自己投資のための支出額を設定しておくことがおすすめです。

 

フリーランスの平均年収は?

フリーランスとして働いている人たちは、一体どのくらい稼いでいるものなのでしょうか?なんとなく年収は低そう・・・と思っている人も多いかもしれませんね。

 

大手クラウドソーシングサイトの「ランサーズ」の調査によれば、専業フリーランスの約4割が年収200万円未満だったそうです。

参考:https://www.lancers.jp/magazine/20254

また、企業に所属しながら副業でフリーランスをやっている人の場合は、年収400万が最多層でした。これを見ると、専業フリーランスが年収300万円を超えることがいかに高いハードルであるか理解できると思います。

ただし、個人や職種によってかなり大きな差があります。単価が低くなりやすいライターでも、月収50万円以上稼いでいる人も大勢いますし、エンジニアなど専門性の高い職種であれば年収が高くなりやすい傾向にあります。

自由だからこそ、収入も自分のスキルや営業次第。フリーランスの魅力でもあり厳しさでもあるところです。

 

退職するその前に!独立前に準備しておくべきこと

私がそうなのですが、フリーランスという選択肢をとる人は、行動力が高い反面、行き当たりばったりで行動する人がとても多いです。思い立ったら吉日、特に準備もせずに独立を決めてしまい、お金周りの知識が全然ない人のなんと多いこと・・・。

会社が収入を保証してくれない分、自分の生活は自分で守らなければいけません。いざ独り立ちしてから行き詰ってしまわないように、以下のことは独立前にしっかり準備しておいてください。

 

半年~1年分の生活費を貯金しておく

フリーランスとして独立したからといって、仕事はふってきてくれません。実績のない独立当初は、仕事が取れず苦労することも多いでしょう。仕事がなければ、収入も途絶えてしまいます。

独立直後は収入が安定しないことを見越して、当面の生活費は十分に貯蓄したうえで独立をするのがベターです。最低でも半年、出来れば1年分の生活費を貯めたうえで独立すると安心です。安定した収入を得られる会社員のうちに、余裕を持って資金を蓄えておきましょう。

 

クレジットカードを複数枚作ろう

前述した通り、フリーランスになると収入面の不安定さから、社会的信用度がガクッとさがってしまいます。そうなると、難しくなるのがクレジットカードを新規に契約することです。

もちろん、フリーランスでも絶対にクレジットカードを作れないわけではありませんが、会社員のうちに作るほうが、圧倒的に審査は通りやすいです。

独立後は、生活用と仕事用でカードを分けたほうが管理もしやすいですし、クレジットカードが複数あると収入が不安定になったときの保険にもなります。そのため、退社前にクレジットカードを複数枚作っておくことをおすすめします。

 

ローンを組んでおこう

クレジットカードと一緒で、社会的信用が落ちるため、金額の大きな住宅ローンなども審査が通りづらくなります。家庭を持っていて住宅の購入を考えている人は、こちらも退職前に審査を終えておいたほうが無難です。

ただし、こちらも絶対に審査に通らないということはありません。安定した収入を得ており、3期分の確定申告書類を用意できれば審査に通りやすいようです。また、クレジットカードの支払いに遅延がないかどうか、頭金が十分にあるかどうかも審査もポイントになるようです。

何にせよ、独立直後に住宅ローンを組むことはかなり困難と思っておいた方がよさそうです。将来住宅の購入を念頭に置いている人は、ライフプランをしっかり練っておきましょう。

 

引っ越しするなら賃貸契約は退職前に

こちらも信用問題の話になりますが、賃貸アパートの契約も会社員よりも厳しい場合が多いです。

契約するには、確定申告書類で収入を証明できること、税金の納付証明書が用意できること、保証能力の高い連帯保証人か保証会社をつけられることが求められます。ただ、物件の大家さんの方針によっては、フリーランスというだけで契約を断られる場合も多々あります。独立後に賃貸物件を探すときは、せっかく探した物件で契約を断られることのないよう、あらかじめフリーランスでも契約可能な物件を探してもらうようにしましょう。

独立後の収入に自信がない人は、独立前に契約をすませておいたほうがいいでしょう。会社員の方が審査に通りやすいことに間違いありません。

 

助成金を賢く使おう

助成金とは、一定の条件を満たすと付与される返済不要の資金のことです。

なんとなく、会社を立ち上げて大規模な事業をしている企業が申請するもので、フリーランスとして働く人には関係ないように思えますが、実はフリーランスでも申請できる助成金や補助金もいくつかあげられます。

「創業補助金」「IT導入補助金」「小規模事業者持続化補助金」などです。また、「横浜市創業促進助成金」のように、地方自治体が支援している助成金もありますので、自分の住んでいる地域でそのような制度がないか調べてみるのもいいでしょう。

これらの助成金をもらうには、一定の受給資格を満たす必要があります。各助成金で条件が違うので、ホームページなどで条件を確認してください。

 

まとめ

フリーランスという働き方は確かに自由度が高く、自分次第でどのような生き方も可能なる可能性を秘めています。

ただ、その自由さの反面、社会的にはたくさんの不自由さも享受しなければいけません。特に、社会的信用がさがることが一番のネックといえるでしょう。

独立する前にちゃんと知識を身に付けて、収支計画を立てたうえで独立すれば、過度に心配することはありません。行き当たりばったりで対応するのではなく、あらかじめ知っておくことが大切です。後から損をしないように、必要な知識なしっかり頭にいれておきましょう。

 

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